コトノハ
DiaryINDEXpast


2009年06月22日(月) Night on Bald mountain 5 (DMC)

 汗だくになった俺を連れていったのは、俺の脈を取った白衣っぽい兄ちゃん。
「じゃあ、僕の家に泊まっておいでよ」と、あっさりと誘うので、俺もあっさりとついてった。初対面の正体不明の人の家に泊まるのは、正直、不安だったけどもさ?
 つか、な。細かいことは、もうどうでも良くなった。

一一今は、凪。嵐の過ぎ去った後だ。

 それから?なし崩し的に同居。で、「住むなら金払え。君に玉があるならね」というので仕事。にこやかな顔で毒舌を吐きまくる。あの夜の連中の中で、一番まともだと思っていたのが間違いだった。

「自立?まず金を稼げるようになってから大口を叩きたまえよ」
「つか、俺学生だっつーの」
「ああ、すまない。その奴隷根性を直すのが先だったね」
「俺はもう奴隷じゃねーよ」
「なら自分の足で立ちたまえよ。言い訳で全身を固める前にね」
 たまに寝首をかいてやろうかと思うが、猫の子拾ったみたいだと笑って飯くれるんで、ありがたい。適当に放っておいてくれるのも。

 んで、その仕事、な。
「実は僕はブルーでね」
「?」
「君。上背あるから似合いそうだね」
「……何の話っすか?」
「世界は君を待っている。良かったら一諸に世界を救おう。一一嘘だけど」
胡散臭い微笑み。肩ぽん。
「……だから何の話っすか!」
「仕事」笑顔。

 疑問府の果てに判明したのは、ヒーローショーの主役という仕事。正義戦隊ブイスリー。俺クラウザーさんの信者なのに、何の皮肉だ。んでもまあ、結構日々は楽しくて、DMCの信者仲間も出来た。始めて出来たような気がする。ダチ。
 あの嵐の夜を、俺は忘れないだろう。

 そうだ、お袋?
 一度は様子見に家に戻ったぜ?……散々心配された挙げ句、ひっぱたかれて、最後には喧嘩して帰って来たけど。お袋が物わかりが良くなったら気色悪いから、いいや。もう、知らねー。とか言っていたらブルーに笑われた。糞。
 

 後日。
 正義戦隊ブイスリーアンパン。これ俺達配るの?
 アンパンを配る正義の味方は、かなり間抜けだと言う主張は却下された。俺リーダーじゃなかったのか。んで、お使いの帰り道、妙にごきげんな歌を耳にして、俺は立ち止まった。くねくねと弾き語りしている兄ちゃん。前も見た事がある。犬一匹しか客がいないのに、いかにも楽しそうにご機嫌に歌っている。──面白え。
 あ、黒子。クラウザーさんと同じ場所だ。羨ましい。
 
 俺は立ち止まり、そのキノコ頭の歌に聞き入った。
──奴の正体を知るのは、ずっと後の事になる。
 
 
Fin


p. |MAIL

My追加