はじめてのヨーロッパ その6 〜ニュルンベルク - 2003年04月17日(木) フランクフルトの朝。 「ありゃ?」起きると友人Uがいない。 でも荷物は散乱しているので、私を置き去りに逃げたのではなさそうです。 仕方なく私は一人で朝食を食べに行き(ここは硬いパンだった・・・)、部屋に戻りテレビをつけると「スーパーマン」のアニメがやってました。 ドイツ語吹き替え! 「ズッペルマン」とか言ってるんですよ。 飛ぶ時は「ズパッ」とか言ってるし。(^○^) かなり笑いました。 Uが帰ってきました。 マインツ河沿いに走ってきたとのこと。 この男は何処に行っても走るらしい。方向音痴なのに無謀な奴。 先日もニューヨークに出張の際、早朝セントラルパークを走ってきたとのコト。 週三回は朝ジムに行ってるらしいし、健康オタクだ。(・・・にしてはナゼやせない?) 「さあ、行くか。」 駅に行き、Uはチューリヒへ、私はニュルンベルクまでのキップを買います。 ところでヨーロッパの大都市の駅の規模には驚かされます。 巨大なドーム状の駅。 今でこそ日本もだいぶそうなってきたけど、向こうのハウプト・バーンホフ(中央駅)には食べるところ、カフェ、床屋、スーパー、etc何でもあるし、プラットホームは50以上ある。 国境を越えて旅行するんだもんな。デカくて当たり前か。 それに改札もない。 バリアフリー(?)というか、ホームまでは段差がないので駅にスーツケースでガラガラ入ってきても、そのまま電車に乗れる。 確かに元気なおじいちゃん、おばあちゃん多いし。 「アイン カルテン ビッテ」 旅行に役立つドイツ語本、で覚えたセンテンス。 でも駅員は「ワンウェイ?」とか聞くので「は?」と思ってたら、向こうは往復で買うのが普通らしいんですね。 その後も色んな所でこの質問はありました。 常識っていうのは、土地によって変わんですね〜。 「郷にいっては郷に従え」 面白いものです。 Uはあっさり「まあ頑張れや。」と一言、チューリヒ行きのICE(ドイツの新幹線。カッコいいっす。)に乗っていってしまいました。 さあ、私は一人旅。 まあ大丈夫、と思いながらもさすがに不安が襲ってくるのは否めない。 「ホント、大丈夫なんだろうな〜?」 でも電車の旅は楽しい。 ヨーロッパの電車はみんなコンパートメントに仕切られている、と聞いていましたが段々そういうのは減ってきてるらしい。 私は初対面の人と弾んだ話をするのはニガテなので、しかも外人と一緒に何時間も狭いスペースにいるのは結構辛いかも、と思っていましたが、私が乗ったのは片方の窓際に一人用の席が1列に並んでいる車両。 いやー、車窓から見るドイツの田園風景。 素晴らしいですねー。ヽ(^。^)ノ 高い山がないせいでどこまでもなだらかに、ゆるやかに波打つ緑の丘が続いてる。 そんな中に時々ポコッと、なんだろう?あれが菩提樹?が涼しげに立ってたりして。 ヴュルツブルクなんかの途中駅が近づいて街に入ると、山のロッジみたいなかわいい家がたくさん見えてくる。 みんな窓のヘリに赤やピンクの可愛い花がいっぱい置いてあって、おーこれぞヨーロッパ!となんだか感激でした。 あっという間に3時間半。 ニュルンベルクに着きました。 電車を降りるとまずは“i”の大きなマークを探す。 インフォメーションセンターです。 (日本にも最近、これだいぶ増えましたね。) ヨーロッパの駅は何といってもこの“i”が充実している。それだけ旅行者が多い、ということ。 あった、あった。 ドキドキしながら中に入る。( ¨)( ‥)( ..)( __)ヽ 今から考えると超恥ずかしいんですけどね、私「I want to stay Hotel」とか言いましたよ。 そしたらそこの係のおばさんが、この男はかなり慣れてない、英語もダメとすぐ察してくれたみたいで「budget? Shawer?」とか聞くので「Max 80マルク。Shawer プリーズ」 あー、恥ずかしい。でも精一杯。 でもそれでOKでした。ちょうどそのくらいのホテルが駅のすぐ近くにある、と地図をくれ、フロントであなたの名前を言えばそれですぐチェックインできるから、と親切に説明してくれました。(細かいことは全然わからなかったけど。) この駅は地下がショッピング街になっていて、その中をスーツケースをガラガラ引っ張って歩いていくとすぐホテルが見つかりました。 おー、安い割には小奇麗なホテルではないか。ちょうどホリデイ・インみたいな「Hotel ibis」というホテル。 私はチェックインすると、すぐ散歩に飛び出しました。 このニュルンベルクは中世の雰囲気がそのまま残っていることで有名な街。 ほんとです。どこまで行っても石作りの建物、教会、道。 駅ひとつとったってもう雰囲気万点です。 たくさんの観光客さえいなければ、もう完全にタイム・スリップ気分。 リヒャルト・ワーグナー・プラッツなんて広場もありました。 ここに写真でも添付できればなあ・・・ ニュルンベルク城にのぼり町を一望。 う〜〜ん、私はドイツにいるんだなあ〜(°▽°=)ノ彡 なんだかここへ来てようやく実感できました。 歩いていると、こんな小さな街にもオペラハウスがある。 ドイツってみんなそうです。 もう夕方だったんですが、たくさんの正装した紳士・淑女がワインでも飲みながら外で語らっています。 なんとも華やか、優雅でこれがヨーロッパの社交のひとコマなんですね。 せっかくだから私も「カルメン」見たいなーと思いました。一応ダークスーツは持ってきてたし。 でも今日は初日、プレミエ公演ということでソールドアウトでした。残〜念。 だからこんなに華やかに着飾った人たちが楽しそうにしてたんだな、と納得。 また少し街をうろついたら、もう夜10時。 あ、そうそう、私がビックリしたのはヨーロッパの夏って9時くらいまでは完全に昼間の明るさなんですよ。 全然知らなくて、時間の感覚が全く狂ってしまいましたよ。 明日は6時くらいの電車に乗ってプラハ行きです。 疲れたし早く寝よっと。 ... はじめてのヨーロッパ その5 〜フランクフルトにて - 2003年04月16日(水) 続きを書く前に… 昨日は素晴らしいコンサート、最高のピアノ・リサイタルを聴きました。 ブラジル出身の大ピアニスト、ネルソン・フレーレ。 これは自慢するわけでもなんでもないのですが、私は今生きている「大家」といわれるピアニストはもうほとんど聴いていて、聴いていないのはあとほんとに数人。 その筆頭がフレーレだったのですが、あまりにもそれはそれは素晴らしいものでした。 温和で控えめな雰囲気なクマさんみたいな人なのですが、そのピアノたるや、赤ちゃんの産毛のような柔らかい最弱音から雷鳴の如き轟音まで、その間のどんなニュアンスもすべて微妙な音色にしてみせる。それにどんなに嵐のように疾走するパッセージも唖然とするような技術で、それも楽々と弾ききってしまう。 それに音楽が誠実で優しい風情で、そして気持ちが深いんです。 現代のピアノの大家といえば、ポリーニやアルゲリッチという人たちなのですが、間違いなくフレーレはそれに並ぶ最高級のピアニストだ、と否応なしに心が捕われてしまいました。\(^o^)/ さて、10年前の旅行記に戻ります。 大雨に見舞われたフランクフルト。 あまりにもすごいのでマインツ河のほとりの、なんだろう? 小さな小屋に駆け込みました。中には誰もいません。 「日本とは気候の変化が違うんだな〜」と呆れている内に、背の低いおばさんが警戒したような目で入ってきました。 2人でとっさに「I’m very sorry!」と謝りますが全然通じないよう。 Uがとっさにドイツ語で謝ります(コイツはホントに語学センスが凄い。ドイツ語なんてやってなかった筈なのに)が「???」って顔をしてます。 お互いになんだかわからないので、思わず双方とも苦笑。 そのうち身振り手振りで、時々英語、時々ドイツ語なんかでわからないながらも3人で話すと、そのおばさんはクロアチアあたりから戦火を逃れてここへ来て、とりあえず掃除婦をやっているらしい。 家族もあちこちの国に分かれたらしい。(その辺は絵を書いて説明してくれた。) 「いやー、日本ではなかなかこんなことはないし、何て言ってよいかわかりません。」 と伝えたら、 「いいえ、生きてるだけでも十分なんですよ。それよりあなたたちもせっかくの旅行存分に楽しんでね。」(← と言っていたと思われる。) いや、旅行っていろんな意味で「人」に触れられるんだよな〜、と実感してしまいました。 ところでUは方向音痴。 対する私はかなり方向感覚は確か。(最近それが少し崩れつつあるけど。) なのでUが私をドイツで置き去りにする宣言をしても、まあ何とかなるかな?と考えられるようになった。 時刻表を見るのも大好きだし。ヨーロッパの鉄道の旅なんて、実のところ憧れてましたからね。 「まあ、頑張って2週間旅するよ。」 「よーし、偉い!(偉いじゃねーよ) で、どこ行きたいんだ?」 「うーん、色々あるけどな。まずはプラハ行きたいんだよな。それからミュンヘン。あとブダペストとかねぇ。やっぱりこうなったら音楽会をできるだけ聞きたいな。」 …と言ったところで閃きが! 「そうだ。今この時期(7月の下旬です。)ミュンヘンではオペラ祭をやってるはずだったな!まずミュンヘンには行こう。」 「よし、そうしたら餞別に(ナニ?)それ調べてチケットの手配、俺が手伝ってやる。」 このミュンヘンのオペラ祭というのは、毎夏、ドイツ・オペラの総本山であるバイエルン州立歌劇場で2週間くらいに渡って行われるオペラの祭典。 必ず7月31日の楽日にワーグナーのオペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」で幕を閉じます。 バイロイトの代わりに行くにはうってつけです。 ホテルに戻りUは何やらフロントでホテルの人と話しています。 「おい、みゅう太。結構、チケットいっぱいらしいんだけどさ、R.シュトラウスの「薔薇の騎士」とヴェルディの「椿姫」の日はキャンセル待ちで可能性があるって。ちなみに「マイスタージンガー」は無理だ。」 「薔薇の騎士」! これは私が一度ナマでみたかったオペラ。(今はもう何度か見てるけど) これは音楽も話も極上に美しくて、豪華絢爛(っていってもすごく趣味の良い豪華さ)な、私の好きなベスト5に入るオペラ。 「見たい、見たい。絶対見たい!」 「じゃあ、一番チケットの可能性があるのがミュンヘンのJALらしい。担当者の名前は聞いといたからこの人を追っかけろ。」 「おー、サンキュー!」 目的が一つ決まりました。 あとはミュンヘンを中心に行けるところをシュミレートする。 私はこういうプランニングは何故か早い男。優柔不断なくせにこういうことは早い。 …というわけで フランクフルトをでたらまずニュルンベルク。そして国境を越えプラハへ。そこから南下してミュンヘン、そしてウィーンへ。 うん良いではないですか。 その晩、マインツ河のほとりにあるホイリゲで夕食を。 ビール、とっても美味しいんだけど、まあきついのなんの。ボディブローくらったような感じ。すぐフラフラになってしまいました。(もともとアルコールには弱い。) それと私はソーセージ頼んだら「なんだコレ!?」ってくらい巨大。(;゜△゜)ノ Uはステーキ(みたいな肉)頼んだら草履のようにやはりデカイ。(*_*; 「これはまさに昔マンガで読んでイメージしてたビフテキ!」 しかしどちらもあまりにも…って感じで、食いしん坊のUですら食いきれませんでした。 でもドイツの酒飲みたちって、本当に雰囲気良いです。 ワイワイワイワイ楽しそう。 こうしてドイツでの初日の夜は更けていきました。 《つづく》 ...
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