はじめてのヨーロッパ その4 〜フランクフルトへ - 2003年04月15日(火) アエロ○ロートの機体で10時間の旅をした私にとって、ルフト○ンザでの旅はもう天国のようです。 乗務員のオジサン(なぜかあまりスチュワーデスがいなかった)がニコニコしながら飲み物やら軽食を出してくれます。 あ、アエロ○ロートの名誉のために言っておきますが、ここは機体とサービスこそ「値段通り」ですが、パイロットは戦闘機乗り上がりがやっているということで、操縦は上手いです。 それに何かあったらきっと完璧に逃げられるのじゃ?(それも怖いけど) さて友人Uはとなりでパクパク食べながらご満悦。 私はすっかり気分が落ち着いていたので 「さ〜て、フランクフルト着いてさ、それからウィーンに行くまでの2週間の予定を考えようよ。ドイツのどんなとこ回る?」 と今まで懸案になってた相談をもちかけました。 すると 「それなんだけどさー。俺、今まで行ってないロンドンとかパリとか行こうと思うんだ。 まずはチューリヒに行ってから。そんでウィーンにはどっちにしても友達に会いたいからさ、そこで合流しようぜ。」 「ちょ、ちょっと待ちなさい。なに、ってことは私にまるまる2週間ヨーロッパ一人旅しろってことかい?私が英語ほとんどダメなの知ってるだろ? 路頭に迷うよ〜。じゃ、私もロンドン、パリに行くよ。」 「いや、俺は一人で行きたいんだ。英語が出来なくてもなんとかなる。子供じゃねえんだからよー。ドイツ行きたいんだろ?? 赤ちゃんだって水に放りこみゃ泳げるようになるんだ。とにかく行け、行け!!」 「おめー、乱暴だなー。鬼!!」 一度決めるとテコでも動かない男です。奴は。 これ以上抵抗しても気持ちを変えられないことは明らか。 えーーー! でもいきなりこんな異国の地で一人でおっぽりだされてどうすんだよー。 正直怖いっすよ。ビクビクです。 そのうち飛行機はドイツ上空へ。 窓から下を見ると、 お〜、昔グリム童話の絵本で見たようなおもちのお家がいっぱい並んでいる! なんだか夢のような気分。 「ドイツだ、ドイツだ、ドイツに来たんだ〜!」 着陸しました。 こんなことは初めてなのですが、機体の中央が開きそこから階段を下りて外へ。 するとドイツ軍の兵士がズラーッと並んでいます。 私は横須賀とか沖縄で米軍兵士を遠目で見たことはありますが、こんなそばで銃やら剣をもってる軍人を見るのは初めて。 やっぱり怖いものですね。 「パスポート!」 威圧的に言われ、首に下がってるパスポートをシャツから出して提示します。 (ちなみに私はパスポートの所持のことだけは今も安心できず、未だに首からぶらさげてシャツの中に隠してます。変ですか?) 隣を見るとUが写真と見比べられながら何事か怒鳴られています。 どうやら写真が古いので、別人じゃないかと疑われていた模様。(だって顔が倍くらいになってるもんだから。) そして荷物を引き取って(ちゃんとあって良かったよ。)イミグレーションへ。 私の番になって今度はそこでなんだかまくしたてられるのですが、ドイツ語だか英語だかわかりゃしない。 メチャクチャ混乱して、「おーい、U。この人なんて言ってんだ。」 「…・って言ってんだよ!(さすがに忘れた)そのくらいわかるだろ!」 「わかんねーよ!」 ああ、この先どうなるんだろ? 空港でマルクに両替。(今だったらユーロに換えることになるんだなぁ〜) 「こういう時はmit coinて付け足して小銭を少しもらうのがコツだ。」 「おーおー、旅慣れてること。」 しかし確かにためになります。 それにしてもフランクフルト空港はデカい! 成田よりデカイ。 その後も何度かこの空港を経由しましたが、いつも迷う。 だからこの空港から日本に帰る時はいつも3~4時間前に来ることにしてます。 ただ市内までのアクセスは楽。 地下鉄で10分くらい。 そのまま他のドイツの主要都市にもそのまま乗り換えなくても行ける。 フランクフルトの駅へ着くとUが「おい、あれ見ろ。」 見ると浮浪者とおぼしき人たちがみんな注射器を持ってる。しかもそばには血のついたチリ紙が散乱している。 「あれ、ヤクってことですかい?」 「そうだろうな。」 怖えー。なんかヨーロッパって怖ぇー。 ところで我々今回の旅行ではひとつも宿をとってません。 私はとりあえずインフォメーションに行こうよ、と言ったのですがUは、 「手数料とられるのが惜しい。」 と言うので、テクテク(私は重いスーツケースを引いてガラガラと)市内を歩き始めました。 まあ、でも外国っていうのはすぐホテルがあるものですね。こういうところは日本と違う。 ほどなく入ったホテルでまあそれなりの広さ、シャワー付で一泊70マルクくらい(当時1マルク=70円くらいでした。)のところが近くにみつかりました。 いやー、モスクワの施設とは違うぜ。ホッとするひととき。 でも私は明日からが正念場(?)なんだけど。 それから2人で市内の散歩へ行きました。 でもフランクフルトはかなり都会です。東京を歩いてるのとあんまり変わらない感じ。 ただ生えている樹木の色合いや建物の色、それに空気がカラッとしているせいか光の感じも違ってやっぱり異国だな〜と、なんだかフワフワした気分で歩いていました。 と、突然、何の前触れもなく大雨が! ものすごい雨。 ベートーヴェンの「田園」交響曲の4楽章みたい。 やっぱりこういう天気の変わり方するもんだから、ああいう音楽になるんだな、と大慌てしながらも納得していた私でした。 《つづく》 ... はじめてのヨーロッパ その3 〜モスクワにて - 2003年04月13日(日) さて、ダークグレーのバスに護送される囚人のように詰め込まれた私達。 空港を出るとしばらく荒れ果てた荒野のようなところをひたすら走っていましたが、しばらくするとモスクワ市街へと入っていきました。 中心までは行かなかったので街の様子というものは分からなかったのですが、印象に残ったのは道路を走っている他の車がなんとも汚い。 みんな泥だらけ。ガラスも砂ぼこりで「あれで見えんのか?」という感じです。 まだその当時ペレストロイカからそうたってない時だったから、相当経済もまだ混乱してた頃。 もっともそういうことなのか、単にキレイ好きな民族でないのか判断つきかねましたが。 あと2台分のバスがチューブでつながったようなのが走ってたのが、なんとも危険そうで怖かった。 そんなこんなで宿泊施設に到着したのですが、そこは自分たちがやはり護送されてるんだな、とますます錯覚させられてしまうような監獄のようなところ。 ものすごーく気分が落ち込んだのを昨日のように思い出しますよ。 部屋に案内されると、オヤ!ここは綺麗な部屋じゃん。(でもトイレは汚かったけど。水洗じゃないし。) それから夕食ということで大広間に誘導されました。 ところが出てきたのは「ナンデスカ?これ」って感じの油ドロドロの中に何か得体のしれない物体が浮いているような食べ物(?) ちょっとタジっとなってる私にUが 「これヤベーよ。やめようぜ、確実に腹いっちまう気がする。」 コイツはいつでもどこでも何でも食べ、食べ物さえ与えとけばご機嫌、というゴリラのような男。そんな奴ですらこう言う食事。 私は一にも二にも賛成で二人で部屋へ戻りました。 え?それでどうしたかって。 実は私の母がロシアはそういう所だと見ぬいていたのか、(まさかな)朝出掛けに二人分のおにぎりを無理矢理私に渡してくれていたんです。 それを食べました。 おー、母の愛は胃袋を通る!感謝、感謝。 その後二人でしばらくくつろいでいるとロシア人のおばさんで日本語を話せる人が突然訪ねてきました。 しかも前置きもなしに「日本円2000円くれないか?そしたら夜中内緒で赤の広場に連れてってあげる。」と言うのです。 我々はトランジットしてるだけで、ビザ持ってないですから空港関係の施設以外には行けなかったんですね。 それとこの当時(今はどうなのだろう?)なにしろ彼らは外貨を欲しがってましたから。 それでUは怖気づく私に「バカヤロ、赤の広場だぜ。普通じゃ行けないぜ。話のタネだぜ。2000円だったら全然OKだろうが。」 まあ確かにそうです。 考える前にUに引きずられてロビーへと行きました。 すると7〜8人やはり我々と同じ旅行者が待っていて、私たちは彼らとマイクロバスに乗りこんだのです。 車から見える夜のモスクワの街はなかなか綺麗で、昼見た汚れた車たちがウソのよう。 途中、なんとも豪華な作りのマクドナルドがあり、そのおばさんが色々解説してくれたのですが、ビックマックを食べるには自分たちの給料二ヶ月分がいる、とのことでした。 こういう話は今でこそ私も色々聞きますが、現地の人から直接聞くこうした現状というのはやっぱりショックです。 考えさせられました。 「着いたわよ。」 降りた私の目に入った光景。 うわ〜〜、おとぎ話?? クレムリンとかのあの何と言いましたっけ?あの帽子みたいな建物。 あれがライトアップされてて、もうちょー幻想的!!! あれは今でも脳裏に焼き付いてますが、これはホントに目の前に現実に立ってんの?ていう感じでしたねー。 ストロボは持ってきてなかったんですが、とにかく写ってようが写ってなかろうがおかまいなしにシャッターを切り続けました。(それなりに写ってましたが。) しばらく二人で「こりゃまじすげーな。来てよかったな。」とたたずんでいたら、数人の若いロシア人男性が寄ってきます。 ロシア語なんで何言ってるかわからないのですが、絵葉書とか人形みたいなのを持ってるので、それをどうも売りつけようとしてるんじゃないか? 「No。No。」とか言って断ってるうちにどんどん人数が増えてくるので、さすがに逃げました。 車に戻ると案内のおばさんがしゃあしゃあと「今日の私の勤務時間はこれで終わりだから、あとはこの車でさっさと戻ってね。」 …本当にさっさと帰っていきました。 いやー、でもいい体験でした。実に素敵なものを見ました。 翌朝起きると、う〜ん、これは北国のさわやかな空気ですね。 窓を空けると白樺のような木がたくさんと、カラスのようでカラスじゃない品の良い鳥が庭を歩いています。 朝食はパンと紅茶。 これなら大丈夫、と安心して食べました。 さあまたモスクワ空港に戻り、いよいよフランクフルトへ! この乗り換え線はルフト○ンザの機体で、エアバス。乗務員もドイツ人ばかりだったのでなんだかホッとしました。 で〜も、このフライト中、友人Uの発言で私はそのつかの間の平安から一気に叩き落されたのでありました。 《つづく》 ...
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