はじめてのヨーロッパ その2 〜モスクワへの旅路 - 2003年04月11日(金) 今朝から大ニュースが音楽界を激震しました。 私が先日ふれた、ワーグナーの創設したバイロイト音楽祭に日本人としては初めて、大植英次さんが指揮をすることになりました!! これはスゴイことです!! 小澤征爾さんが去年ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを日本人初の指揮をしたのと同じくらい、いや私にとってはそれ以上のコト。 指揮するオペラの演目は「トリスタンとイゾルデ」。 う〜〜、興奮してます!!! さて、昨日の続きです。 うおー、外国へ行くんだ、日本の外へ行くんだ、どうしよう〜〜!(个_个;) と行きたいんだか怯えてるんだかグチャグチャな気持ちで成田空港へ。 空港で友人Uと待ち合わせ。 私はデカいスーツケースをゴロゴロ。 Uはきたねーズタ袋みたいなのを一つ持っていた。 「お前、そんだけかよ。」 「おめーは引越しかよ!」 と対照的な2人。 チェックインしてからちょっと食事。 でも私は何だか緊張してあまり食えない。今から考えると信じられない話です。 「おい、ここで円をマルクにしといた方がいいんじゃ…」 「てめえはホントにトーシロだな。こういうのは向こうに行ってからの方が手数料が安いんだよ。」(←未だにホントなのか微妙によくわからない。) そしてパスポート・チェックなどを受けまた緊張しながら(これはまじ、初めてですからね。)ゲートへ。 これがシャトルへ乗ったりしてまた長い。 ホントに成田空港ってバカでかいっすね。 さすがのUも「やっぱアエロ○ロートって空港内でも端に追いやられてるんじゃないか?」と不安そうでした。 「おう!あれか!」 って見た機体がまあ、超ボロい。そして小さい。これが国際線なのか? ホントにヨーロッパ行けるのか?って感じでした。 そして機体に入ると、天井から冷気のガスがシューッと。 冷蔵庫かよ!(◎_◎) そして機内を見渡すと3列の席が両側にあり、その真ん中の通路は人一人通れるのがやっとの幅。 そして席に座ると肩にポタッポタッと何か落ちてくるので、「何だ??」と見上げると天井から水滴が。(0o0) 歩いているスチュワーデスは女子プロレスラーかっ!?って感じ。 …もう信じられんねーよ。と陰鬱なる気分になりました。 さすがのUも「こりゃ、想像以上にすげぇ。安いワケだぜ。」と隣で黙り込む始末。 さあ、離陸。いよいよ日本を離れるんだ!不安だなあ、と思った瞬間、今度は 「何か熱くなってきた気がしないか?」 「いや、まじ熱ぃ。なんだこりゃ?」 ぐんぐん高度とおもに温度があがっている様子。 冷却機能がないのか? あー、それで飛び立つ前に冷蔵庫みたいになってたんだなー。 …って納得するような事か? でもそれはしばらくたつと落ち着き、ようやくホッとしました。 いや〜でもすごい旅が始まったな、と実感。 予想通り不味い(それでもこの時は食べられた。)機内食を食べながら窓の外を見ると、 あれはツンドラ地帯というのか、眼下にクールな緑とくねくねとグレーの大河が広がっている。 すると今度は突然ガクーンッと衝撃が! 乱気流に巻き込まれたらしい。 私はこういうのに最高に弱い。ジェットコースターも乗れないくらいですから。 「ひぇ〜〜、神様ぁ〜。こんなツンドラで落ちたら骨も拾ってもらえないよー。 まだまだやりたいことは一杯あるんだよ〜。」 と機内にも緊張が走る中、ロシア人パーサーのトボけたアナウンスが。(しかもカタコトの日本語で) 「ミナサマ〜、チョットユレテマスケド、タブンダイジョーブデス。」 …多分かよ!! そんなこんなで10時間。トランジット地点のモスクワにようやく到着しました。 長いような早かったような。 でもかなり疲れましたね。 降りる時にスチュワーデスたちは私たちにマトリョーシカの小さいのをくれました。 複雑な気分が織り込まれた思い出。 しかし、他にサービスがないのか飲み物攻めという感じでした。 モスクワ空港に降りるとそこはまさに北国ロシア。 ヒューーッと涼しげな針葉樹林が窓の外にしんしんと広がっている。 ところでゲートが4つくらいあったのですが、なぜか女性職員が一人だっているだけ。 こちらは満員で人がたくさんいるのにイミグレーションはそれひとつだけで、ちっとも進まない。これがロシア人気質?…。 でもその女性職員、ロシア人なんだけどスチュワーデスとは違い小柄で色白で超美人なんですよ。透き通る白い肌。 不思議なことに日本人的なその容姿。 Uとその時ボソボソ話したのですが、ロシアは広いから日本よりのモンゴル系(なのかなぁ?)には日本に近い血があるんじゃないか?新潟美人とか秋田美人ってのはそういうところから入ってきてるんじゃないか?・・とか。 あ、そうでした。大事なことを書き忘れましたが、このフライトは都合の良い時間がとれずこの日はモスクワで一泊トランジット宿泊です。 翌日フランクフルトへ出発予定。 さあ、我々乗客が地下に降りると収容所行きか、っていうようなゴツいバスが待っています。 どんなところに連れていかれるんだろう? 超不安。 《つづく》 *追記 書いてるうちに記憶がどんどん克明になってきてしまって、いったいこの旅行記何回かかるのか?心配になってきました。 まだフライト中という有様。 でももう始めちゃったので最後までいきます。何回かかっても(!?) ... はじめてのヨーロッパ その1 - 2003年04月10日(木) 昨日はつまんない愚痴日記をかいてしまって、本当にすみません。 こういうところにああいうことを書くことになろうとは、かつては考えもしませんでした。 でも書くことでスッキリする・・・ということもさることながら、自分の中にどんなものが渦巻いているのか、ということを知ることができるのですね。 どうか大目にみてやって下さいませ。 さて一昨日、亀山さんのことで初めての海外旅行のことを書き、私の中にはその時の記憶が猛烈に蘇ってきました。 それはもう抑えがきかないくらい、体の中を吹き上げてきましたよ。 しまってた写真まで引っ張り出したりして。 そうしたら当然のことながら、ますます、です。 10年も前になってしまうのが信じられないんですが、あれは最初単なる旅行目的じゃなかったんですよ。 私のかつての同僚で友人Uが当時あるドイツのソプラノ歌手のアテンドをしてまして、その歌手がUと意気投合してしまって、自分が出演するバイロイト音楽祭のチケットをくれるというんですね。 バイロイト音楽祭!・・・音楽家、音楽好き、それはありとあらゆる音楽に関わる者が一度は行きたいと夢見る、ドイツの小さな街バイロイトで行われる音楽祭。 8月にワーグナーのオペラだけを上演する、ワーグナーが自ら設計した劇場でワーグナー自らが始めた、150年以上も続いている世界最高のクラシック音楽祭のひとつ。 今もオーガナイズしているのはワーグナーの孫。 ここにはシーズンオフでありながら、ワーグナー命!と意気込む指揮者、歌手、そしてドイツ中のオーケストラプレーヤーが休み返上で終結します。 日本でもこの音楽祭の模様は年末の夜中、毎晩NHK−FMで放送されるのですが、私は学生時代からそれを聴くのが楽しみで、ホントに「いつかここに行けたら・・・」と夢見てました。 音楽関係の人間にとってはバイロイトは「聖地」というべき場所です。 友人Uは私がバイロイトに行くのが夢だと知ってたし、彼も無類のワーグナー好きだったので(あまりクラシック全般は聴かないクセに) 「おい、2枚くれるらしいんだけどみゅう太、まじ行くか?」 「ホントか、ホントに行けるのか?? 行くよー。行くに決まってんじゃん!!」 というワケで2人で行くことになったのです。 しかし私は外国に行くのは初めて。 それに英語も当時は全然おぼつかない状態。 かなり不安でしたね。 でもUは英語堪能。CNNニュースを副音声で聞いたり、高校時代からFENのラジオ放送を聞けた、という強者。 こやつはすべてにおいて面倒臭がりやで仕事もそこそこにしかしない、大学もやる気なくて中退、ていう奴のくせに好きなことに関してはスゴイ男。 (ある意味私と似ている。) 「まあ、こいつと一緒なら大丈夫か。」ととりあえず安心していました。 パスポートを取得し、飛行機も貧乏な2人はアエロ○ロートを無事予約、バイロイトの宿はそのソプラノ歌手がとっててくれる。 2週間のヨーロッパ滞在のスケジュールで(「ニーベルングの指環」だけで1週間かかりますからね。)フランクフルト到着、ウィーン出発。 私は何だかわからないけどとにかくスーツケースを買い、「引越しすんのか?」と思うほど色々な生活用品をそこに詰め、そうそうダークスーツもバイロイトには必要だよ、とそれも詰め、準備万端。 さあ、ワクワクドキドキで三日前だーーー! という時、事件は起きました。 Uが神妙な顔はしてるもののたんたんと、 「おい、みゅう太。彼女、出演キャンセルするんだってよ。」 「は? てことはどうなるの?」 「チケットくれないってことだろうな。」 「・・・・・・・・。なにーーーーっ!!!!」 どうすんだ!? 飛行機のチケット、キャンセルもうできないぞ。(そういうシステムの格安だったから)休みもバッチリとってるし。 U「行くしかあるまい。」 私「行ってなにするんだよ。チケットゆずって、とかプラカードだすのかよ?」 U「そんなの無理だ。もうバイロイトは行かないでヨーロッパ旅行にすればいいだろ。」 私「え〜!」 U「おまえ、ヨーロッパ行ったことないんだろ?音楽やってる人間がヨーロッパ行ったことない、でいいのか? じゃいいじゃねーか。」 私「まあ、そう言ってしまえばなぁ。」 U「そうしろ、そうしろ。俺も久しぶりに行きたいとこあんだよ。」 強引な奴です。ホントはデリケートな性格のクセに。 というワケで私の初のヨーロッパ旅行となったのです。 《つづく》 続くのか!!? それもまだ始まってもいないじゃねーか (_□_:)!! ...
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