ピアノの詩人 - 2003年03月31日(月) 日一日と暖かくなっていきますね。(^○^) 私は今朝はコートの中のインナーの布を一枚(あれ何て言うんですかね?)をぬいてきました。 さて私は先週末、府中市美術館で行われた「ショパン展」に行ってきました。 この美術館は府中の森公園、という緑のいっぱいある公園の中にあって、 桜もだいぶ咲き始めた並木道をテクテク歩いて行きました。 「楽しみだな〜」と気持ちも大きくなっていたのですが、さてたどり着いた展覧会は 「なんかショボイな…」(・。・; まあ、彼の自筆の手紙や楽譜、有名なドラクロワの書いた肖像画、とかそれなりにあることはあったのですが、大々的に宣伝していたあの大作曲家「ショパン」の展覧会としては少々寂しいような。 最初そう思ってしまったのですが、ひとつひとつ見ている内にだんだん考え方が変わってきました。 ショパンって作曲家に対してみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか? 「小犬のワルツ」とか「幻想即興曲」とか大田胃酸のCMでいつもかかってる曲(あれは前奏曲の第7番です。)の作曲家…。 繊細で病弱で幸薄い、はかない音楽家…。 そしてこれは誰も異論はない、と思いますが「ピアノの詩人」。 彼は一生、ほとんどピアノの曲ばかり書き続けました。 歌や室内楽なんかも書きましたが、まずピアノばかりに向かっていた人ですねー。 大体ショパンは作曲家と同じくらい大ピアニストでした。 彼の曲って弾くとわかるんですけど、指に無理がないんですよね。 慣れてくると指回りが難しい箇所でも、勝手に指がいくようになる。 ショパンは1810年に生まれ1849年に亡くなりました。 ショパンのピアノは、例えば同じ時代の例えばリスト(「ラ・カンパネラ」や「愛の夢」なんかを作曲した人)と全然違って、シンプルで控えめで柔軟、繊細、漂う高貴な気品のあるピアノを弾き、そんな音楽を書きました。 リストや、やはり同じ頃に活躍したワーグナー(「ニーベルングの指環」とか超大作オペラを書いた人です。)とは全く違った独創的なハーモニーを使いながら、決して声高にならない透明で高貴な曲を書いた。 どう思われるかわかりませんが、ショパンという人はおよそ音楽の歴史が始まってから、今に至るまで、クラシック、ポピュラーというジャンルを問わず、まったく類例のない独創的な異色の音楽家だったと思うんです。 まさしく「オンリー・ワン」のね。 そんなショパンのことを思い浮かべてたら、 「そうだよなー。そんな人なんだからデカデカと資料がいっぱい展示してあるような会よりこうしたひっそりとした方が彼らしいってことかな。」 っとだんだん気が変わってきました。 あと印象的だったのは、彼の手の石膏像があったのですが、まあ優雅な細い指!、小さな手。 どんなに繊細な人間だったかわかりすぎるくらいわかるというか…それに病弱で。 それから彼の字って、女の子みたいに綺麗でマメな感じなんですよ! あ、でもさっきからなんだか彼をウラナリ君みたいに言ってますが、彼の音楽を聴いてて大事なこと。 その虚弱で細い体の中に物凄く燃えている心がある、ということ。 ベートーヴェンのように激しく人に訴えかけるようなものとは違い、もっと密やかで青白いものではあるけれど、高潔で強い心。 ショパンのたくさんの作品を聴いてるとこんな心を感じずにはいられません。 そういう精神の持ち主だったからこそ、死後200年たった今でもその音楽がたくさんの人の心を動かしているのだと、なんだか改めて感動してしまいました。 〈参考CD〜〜っていうかみゅう太の愛する、ショパンのオススメCD〉 ★ワルツ集 ディヌ・リパッティ(ピアノ) ★バラード集 サンソン・フランソワ(ピアノ) ★練習曲集(「別れの曲」とかが入ってます。) マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ) ★ピアノ協奏曲第1番、第2番 クリスティアン・ツィメルマン(ピアノ、指揮) 他にもたくさんありますが、また今度の機会に!! ... 百花繚乱?日本のオーケストラ - 2003年03月29日(土) 今日は(もう昨日か。)札幌交響楽団という札幌のオーケストラの東京公演に行ってきました。 このオーケストラを聴くのは5年ぶりくらいでしょうか? 「おぉ、今はこんなに充実してるんだ!」 と感心しました。 今は尾高忠明さんという国際的な指揮者が常任指揮者を務めていて、2年前には札響(略しますね)初の海外公演を行ったり、レコーディングを行ったりと昔のローカル・オーケストラから脱皮を図っている、というのはよく聞いてましたが。 その尾高さんは何年か前までイギリスのBBCウェールズ交響楽団というオーケストラの常任指揮者を務めていました。 (その当時、ロンドンの地下鉄の駅などにPanasonicのポスターと一緒に「OTAKA」という写真ポスターが貼られていたんですよ。それくらい向こうではすごい人だったのだ。) で、その尾高/BBCウェールズ交響楽団の来日公演でエルガー作曲の「交響曲第1番」をやり、(エルガーはあの「威風堂々」作曲した人。)を私はそれを聴きに行ったのですが、これが素晴らしかった! 涙が出ましたよ。 隣に居た友人も泣いてました。(音楽馬鹿の友達はやはり馬鹿だ・・・(>y<) そのエルガーの曲をまたやったのです。 今度は涙までは流さなかったまでも、やっぱり良かったです。 さてその札響ですが、昔から思うのですが音が東京のオーケストラとは違うんですよね。 上手さ、という話ではなくて。 何というか、涼しげでクールでさっぱりとした音。 北国のオケだからそう思い込むんだろう、というツッコミが聞こえてきそうですが、これは決してそうではないんです。 よく「音楽評論家」と言われるセンセイ方が、 「日本のオーケストラには音のカラーというものがない」ということを仰られます。 これはまあ、ある程度は、というかオーケストラによってかなりホント。 例えば今をときめく小澤征爾さんが本拠となったウィーン・フィル。 あれなんか何回か聴けば誰でも音を覚えます。 なんたって、柔らかくて情緒感溢れる音色。 でも日本のオーケストラもその地方地方によってやはり色合いがあります。 方言があるように。 人間の集まりであって、その土地が育んできた人の心が音楽を発する限り、やはり音はそれぞれ違ったカラーが形成されるのは、考えてみれば当然なのであって。 私は仕事柄、海外から来たピアニストだとかヴァイオリニストを地方−(ごめんなさい。地方、地方と言って。でも回りくどい言い方も変なのでお許し下され。)−のオーケストラと共演させるために、そこへ行くことがよくあります。 で、日本中のプロ・オーケストラをよく聴く機会があるわけです。 これは私の独断と偏見ですが、各地のオーケストラについていくつかピックアップして思うところを書いてみますね。 独断と偏見ではありますが、まあ10数年この道で仕事をしてきた、という自負はありますから異論はあっても、そんな間違ってもいないと思いますが・・・(多分・・・) 自分のところのオケがないぞっ!ってお怒りの方、ごめんなさーいm(__)m 北から ★札幌交響楽団 ・・・全体に涼しげでさっぱりした音が快い。木管セクションが特に上手い。 常任指揮者=尾高忠明さん(国際クラスの実力派。温かみのある音楽をやります。) ★仙台フィルハーモニー交響楽団 ・・・青少年文化ホールという本拠地で練習、本番をすべてやるためとても丁寧に練りあがった音を持っている。 クリアー感がある。 常任指揮者=外山雄三さん(いかりや長介似) ★群馬交響楽団 ・・・高関健さんという常任指揮者のおかげか昔に比べて緻密な音になった。基本的に素朴な音で。 ★NHK交響楽団 ・・・「N響」の愛称で親しまれてるわが国最高のオーケストラ。 音の厚み、キレ、上手さは抜群。 昔はちょっと重すぎか硬すぎか?というところもあったが音楽監督を務めるデュトワという世界有数の指揮者のトレーニングで柔軟でカラフルさを増した。 ★東京フィルハーモニー交響楽団 ・・・昔から暖かい音を持っている。オペラの時オケピに入る機会が多いせいか、歌手のような息遣いで音楽ができる。 常任指揮者=チョン・ミュンフンという韓国の国際的カリスマ ★読売日本交響楽団 ・・・実に透明感のある音を持っていてN響に迫る上手さを持っているがナゼかたまにしかそれをださない。 「眠れる獅子」という感じ。 常任指揮者=ゲルト・アルブレヒトというドイツの大家 ★新日本フィルハーモニー交響楽団 ・・・あの小澤征爾さんがプロの常設では日本で唯一指揮するオケ。 すみだトリフォニーホールをフライチャンズホールとして、そこで練習、本番ができるようになって飛躍的にうまくなった。 「音楽を創ろう!」って熱気が感じられる音がする。 音楽監督=クリスティアン・アルミンクというウィーンの若きサラブレッドのような奴。 ★名古屋フィルハーモニー交響楽団 ・・・味噌カツのような音、とは事務局の方も言ってたし私もそう思う。馬力がある。 沼尻竜典(りゅうすけ)さんという、日本ではちょっと今までいなかった類の才能(非常に知的な方)が常任指揮者になり、それも変わっていくかも。すごく注目してます。 ★大阪フィルハーモニー交響楽団 ・・・2年前95歳で亡くなった朝比奈隆さんが振っていたオケ。 朝比奈イズムが長かったため、重厚で頑固な音がします。 ★九州交響楽団 ・・・これも大注目。 大山平一郎さんという50過ぎてから指揮者デビュー(ヴィオラの超一級奏者だった。)した方がここ数年で素晴らしく鍛え上げた。九州人の情が熱くたくましい音を創っているという感じ。 これ、ピックアップしたものなので日本のプロのオーケストラはもっとあります。 私としては京都市交響楽団と広島交響楽団だけがまだ聴いたことがないんだよな・・・。 京都のオケなんかは雅な音がするんだろうか?? いやはや、何だか仕事のおさらいのようになってしまった。 ここまで読んでくださった方に申し訳ない気がします。 でも、「そんじゃちょっと地元のオーケストラを聴いてみようかな?」なんて人が万が一で いたらすんげーーーー嬉しいかも。(^。^@) ...
|
|