ひぽこんコラム

2013年10月23日(水) フリーダ・ケリーさん

 この土日は台風なのか、どうなのか? この週末はまた高円寺フェスとかいうのがあって、店では105円均一やる!と、店長はだいぶ前から張り切っておったのだが。。。どうなることやら。

 先週も土日は雨で、パン売れず。

 パン売れずという前に、高円寺の通りには人おらず。どの店も閑古鳥が鳴いていた。中野にチョロッと行くとものすごい人ごみで、たった1駅違うだけなのに、なんて差!と驚くわ。 まぁ、人間はほとんど見かけませんなぁ。。。な、冥界からしたらすごい人出なのだがな。。。

 しかし、そうやって、商売に張り切ろうとしても天候に左右され。。。人間の技など、天気の前には無力で。

 台風でリンゴがぜんぶほとんど落ちてしまった、という農園さんもさっきテレビでやってたが。

 あらゆることは思うがままにならないんだよなぁ。

 自分の人生はちっとも思うがままにならないとジリジリするけど、こうして店などで働くと、どの人の人生も意外と思うがままにならないと知れる。

 店などで働いて、地べたに這いつくばって床なぞ磨いていると、チョロッとやってきて、150円のパン1個買ってくれるお姉さんにも、ありがとうありがとう、と心から感謝できる。

 店などで働くことのよきことは、けっこうあるのだ。

 ところで、今週はその合間に「愛しのフリーダ」という映画の試写会に行ってきた。

 フリーダさんはビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインの秘書で、ファンクラブも運営していた人。

 なんと! わずか17歳でその職に就いた。てか、イギリスの学校制度で、フツーの人は、当時は大学なんて行かないし、高校にも行かないから、16歳から彼女もすでに働いていたんだ。

 でも、ある日の昼休みに仕事仲間に誘われ、近所にあるキャバーンてクラブに行って、そこで演奏してるビートルズってバンドに夢中になり。

 もう昼休みごとに通って。。。。でも彼女はぜんぜん出しゃばりじゃないから、いつも柱の影からコッソリ見てた。

 そのうちでも、バンドとも親しくなって。あるときブライアンが「バンドと契約した、秘書になって!」と頼んでくる。このときまだ、ブライアンも27歳なんだよね。わけ〜〜。

 ブライアンはその若さゆえにビートルズの新しさと面白さに共感できて契約したんだと思うけど、同時にフリーダさんという、信じられないくらいの誠実さとバンドへの忠誠を持つ女性を秘書にしたって、やっぱりすごい人を見抜く目を持った、超頭のキレる男やったんやなぁと思う。当時、イギリスは法律でゲイが禁止されていたらしく、ゲイのブライアンは、人を見抜く目を自分が生きるための術として身に付けていたんだろうけど。。。(それも切ないのぉ)。

 とにかくフリーダさんはすごいんだ。ぜんぶのファンレターにちゃんと返事書いたり。床屋さんでゴムマット敷いてメンバーの髪の毛集めて、要望するファンに送ったりさ。

 ウソついて、面倒だからって自分の妹の毛を入れたアシスタントの女の子はソッコーでクビにしちゃう。もう、バンドを守るため、ファンにウソをつかないためなら、鬼軍曹になるんだっ!

 とにかくでしゃばらない。ウソつかない。ファンは絶対。バンドは死んでも守り抜く。

 その気持ちだけで動いてる!

 すげぇ強くて、考えてて、働く女性としても、当時は誰かえらい人の秘書になることが女性の仕事の頂点だったから、自分は死んでもこの地位を捨てない!と頑張ってて。癇癪持ちのブライアンの横柄さにもクールに立ち向かう。

 でもって。バンドが解散。自分も結婚して辞める。でも辞めた後もオフィスに届いていたファンレターにぜんぶ返事を書き続けて、バンドについて教えてきたりしたんだ。。。何年間も。

 それなのに、その後はフツーの主婦にして、やはりまたフツーの会社の秘書としてフツーに働いてきた。ずっと。何も語らず。黙々と。しゃべれば数億のお金がもらえるときもあったのに、知らん顔。

 でも、孫が生まれて、自分の人生を語っておこうと思って、ドキュメンタリー映画のオファーを引き受けたんだ。

 もう、ほんと、すばらしい。その決意をしてくれて、ありがとうだ。

 この映画はビートルズ関連のドキュメンタリーって以上に、働く女性の、決意と、誠実さをどうあらわすかの映画だと思う。

 世の中にはカッケー女の人がいっぱいいるんだなぁト思った。すげぇ、カッケー人ですわ、フリーダさん!

 あ。最後に、ネタバレだけど、リンゴが出てきてコメントしてくれるんだが。。。泣ける。ジョージの映画でもそうだったけど、リンゴってすげぇコメントが素晴らしすぎるっ。頭エエ人なんやなぁ。。。フリーダさんとリンゴのママのエピソードもすごい素敵やったしなぁ。。。親がいい人やったんやなぁ、リンゴは。。。(というようなことも分かります、はい。ビートルズ好きの人は必見です)。

2013年10月21日(月)

 土曜日かな? 店に「袋」の営業の人が来たんだ。

 店には、アポなしで色んな営業の人が来る。だいたいホットペッパーみたいな食べ物サイトの営業の人で、土曜日に来た人も、最初「お忙しい中、失礼いたします〜〜」と入ってきて、ああ、また、そういう人か、と思ったらちがくて、お店の色々な袋を作る会社のオジさんだった。

 ハゲてて。小柄。年の頃、45歳ぐらいか?

 て、オレより年下じゃないか。ガッデム。。。

 オジさん、ものすごい低姿勢というか。ものすごいへりくだりまくりで。

 ペコペコしまくる風。

 が。が。言うことは全部言う。わが社の袋はですね。。。みたいな感じから。値段がいかに安いか。とにかく見積もりだけ出させてくれ。グロスが少なくてもやれる。お宅は今、どれぐらいの数で発注してるのか。。。

 すごいペコペコしてるのに、次々畳み掛けてくる。

 畳み掛けてんだけど、ガアアアアとした感じがちっともしない。

 ペコペコの威力。

 ちっとも圧力を感じることなく、店長はあっさり「じゃ、これで見積もって。あ、こっちの袋だとどう?」とか、すごいノリキになってた。

 その間、わずか3分もない。

 やり手だった。。。。

 あああ。こういう人が営業のプロなんだな、としみじみ思った。彼に比べたら、ホットペッパーとかぐるなびで来る若い営業マンはペコペコだけで、自分の言いたいこと、自分の言うべきこと、どこが売りかを、力強く押せてない。

 ペコペコしながらも、いかに自分の売りが何か。的確に。素早く。しかしおしつけがましくなく。

 それを伝えるのは難しい。

 営業のプロの仕事を間近に見せてもらい、すがすがしい気持ちがした。

 プロの仕事はいつも気持ちがいいものだ。


 

2013年10月20日(日)

 今日は大失敗。やらかしてもた。。。

 朝、パンを鉄板から売り場の台に並べるのだが。開いた鉄板を鉄板置きに置いたとき、実はそこには別の鉄板がちょっと奥まって置いてあって、そこには焼いたばかりのパンが。。。

 あっ!と気づいたときには、鉄板がパンごとゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンと床に落ちて、パン、ブチまけてもた〜〜。

 アワワワワワワワワ。。。。。。

 ウガアアアアアアアアアアアアア。。。。

 す、すみませえええええええええええんん。。。。
 あやまりまくる。。。。しかし、店長、あまり怒らず。

 前にコンビニで油ぶちまけてもたときも、マダム、あんまり怒らず、いっしょに拭いてくれた。今度もそんな風。あまり怒らない。

 こういう突発的な大失敗て、意外と怒られないもんだ。。。

 それより、ボケランしてたときのが怒られたりするもんな。

 今日は別にボケランしてはなかったのだが。やってもたのだ。。。

 あああ。。。

 アスペちゃんでさえ、そげな失敗はしたことないそうで。。。

 あああうううう。

 オレ、やらかしてもた。。。。

 これがブラック企業なら、大変なことになるよな。うん。

 20代の過労自殺は6倍に増えてるんだって。この6年で。このデータ見ると、震える。

 まだまだのん気だよな、私なんて。こうしてのんびりパン屋で働いてる。でも20代は死ぬほど働かされ、しかし自活できないほど収入は少ない

 こんなデータとか見ると、私ら大人の罪はなんて深いんだと思う。

 ダラダラと何も考えないで暮らし、選挙にもろくに行かず(私は行ってきたけど)、目の前の銭儲けと、自分のことばっかり考えて、未来のことや若者のことなんて、ぜんぜん考えてこなかった。

 今から何が出来るんだろう? 何をしたらいいんだろう?

 もう、自分のことばかり考えていたら、この先はない、と思う。社会全体で何をすべきか考えないと終りだ。

 パン、床に落ちたからって捨ててしまった。反省だ。

PS:それで、さっきからずっと、何か出来ないのか? 何が出来るんだろう? どんなことしたらいいんだろう?と考えてるけど、考えられないバカなオレ。色んな人に会いたい。色んな人に話を聞いて、なんとか出来ることを模索したい。何もしないでいたら、私なんて、子どもも育ててなくて、何ら社会に貢献してないんだから、ダメすぎる。何かしなきゃ、自分も含めて、貧乏人はこれからみんな死んでしまう。

2013年10月19日(土)

 なんかもう、アタシ、パン売り子のオバちゃんじゃなくて、パン作りのオバちゃんに変身だわ。

 今日は朝1はアスペちゃんがいる日だから、1時間遅く9時に行った。

 行ってからずっと、今週から始まったサンドイッチ作りをした。

 卵サンド、野菜サンド、ポテサラサンド。

 それらをチマチマと作り、「こえ、幾らですか?」と聞くと、えっ? そんなに高く売るの?ってちょっとビックリ。すぐ斜め前にセブンイレブンがあんだから、それと値段揃えれば?と言うと、「コンビニといっしょにすなっ」とブチ切れる店長。

 えええええ。。。。。だって。コンビニのサンドけっこううまいぜ。てか。セブンのサンド、コンビニ業界1だぜ。

 ったくよ〜〜。わかってねえのかよ〜〜〜。

 しかし。オレはしがない雇われパートババなので、言われたとおりにやる。

 できたサンドはヒヤヒヤしながら切る。サンドイッチ切るって、けっこうドキドキでしょう? しかも売り物となると、もう、超ドキドキしたけど、なんとか切り。袋に詰め。値札シールを貼って並べた。

 売れるかな?

 売れるかな?

 売れるかな?

 あれれ。。。。。。。

 う、売れない。。。。。ぜんぜん、売れない。。。。ぜんぜん。

 今は「1個買えば、1本スープをプレゼント」なんてやってるのに。ぜんぜん、売れない。。。。。。。涙。

 やっぱり高いんだよ。だってふつうサンドイッチが2つ入って200円ぐらいでしょう? それが1個で150円とかなんだよ。高いよね? 高いよね? 第一、アタシが作ってるようなシロモノなのに。。。 

 サンドイッチはまだまだ改善の余地があるな。うん。

 で、その後は、もろもろの材料を切り、切り、切り、切りきざんだ。

 玉ねぎだの。イチジクだの。。。。色々切り刻んで。袋に詰めたり、箱に詰めたり。パン作りの準備をする。

 ホットサンドも作って、それを窯に入れて焼いたりも。

 バイト始めて4ヶ月弱。パン屋のっとり計画を実現すべく、パン作りを覚えていくオレですっ!!!

 まだまだですがっ!

 来年の今ごろには店長いなくても、オレが好きな音楽かけて→「高円寺のREMパン屋」になるww  パンをこねてみたいっ!

 ブッハ〜〜〜。

 ・・・にしても。そうしてオレが裏方してると、アスペちゃんは食パン切るだけでいっぱいいっぱいになり、お客さんが来ると、もう、それだけでテンパりまくった声を出す。

 店長が「慌ててるから、行ってやって」というから、店へ。

 アスペちゃんはキイイイイイイイイイイイイみたいになってる。。。

 お客さんに何か聞かれると、イライラした声で、くどくどと、あれこれ言ってしまう。。。

 あああああ、アスペちゃん、いいから。。。。いいから。。。。あああううううううう。

 今日は、特に、アスペちゃん、大暴れだったな。。。

2013年10月18日(金) 明るいお兄さん

 昨日は野崎さんがプロモーションで協力してるギターのお兄さんの無料演奏会に行ったのだが、お兄さん、人がいいのか、はりきりすぎたのか、とにかくはしゃぎっぷりが尋常じゃなく。見ていて辛くなる感じ。ジム・キャリーが映画の中で異常ハイテンションで演じてます!みたいな空気までも漂い。お兄さん、なぜそんなにはしゃぐのか?と思ってしまった。ごめんね、野崎さん。和田は引いておりました。

 そうなんだ。ステージ上の人があまりにぐいぐい押して押して押して明るく明るくハ!ハ!ハ!ビューティフルサンデ〜〜〜〜♪すぎると、ステージ下にいるオレのようなオバさんは思い切り引いてしまう。

 押して引いて押して引いて。ステージの上の人はバランスをとってくれないと。。。

 さらにお兄さんは超絶ギターテクが売りらしいのだが、ギターをバンバン叩くタッピングってんですか? あれを出しまくる。正直、それが疲れた。もう少しギターそのものの音色をゆったりと出せばいいのに、と思った。超絶は分かったから、フツーでいいんだよ、お兄さん、と心で話しかけた。

 技も見せすぎるとイヤらしい。技は小出しに。たった4分足らずのフィギュアスケートとか、わずか1分足らずの体操なら、これでもか!と技を繰り出すしかないけど、ステージは1時間ぐらいある。

 その間、ずっと、これでもか!では、いやいやもう、おなかいっぱいですから、となってまう。

 そうでなくても、今、なんか胃が悪いのか、ずっと口の中が気持ち悪いというか、口がまずいので、ああ、もう、いいです、いいです、と思ってしまった。ごめんね、野崎さん。

 しかし。ツイッター見てると、そんなお兄さんへの絶賛の声が並んでる。

 うううむ。オバさんは厳しすぎる審査員みたいになってるのだろうか?

 確かにお兄さんはギターが本当にうまい。ギター1本で色々な音を繰り出せる。1人で、ギター1本で、バンドです! みたいな音が出せちゃうんだ。

 天才ギタリスト。そうだろう。アンコールで出てきた押尾コータローさんにも通じる。

 しかし。。。

 そういえば、この間見たベス・オートンのライヴもまったく声が出てなくて、ジム・オルークがゲストで出てきてくれてなんとか場が保たれ、やはり子育てしてました、という女性シンガーが久々にコンサート活動始めました、というのは何かと準備不足になってまうもんだなぁと思ったのだが、ツイッターでは絶賛の嵐。

 オバさんは世の中の耳とかけ離れてきたのだろうか?

 でも、いいんだ。オバさんはオバさんの耳で、聞くのさ。他の誰が楽しんでいようと、楽しんでいまいと、オバさんは自分の耳で確かめる。

 それがオバさん流。

 それにしてもベス・オートンに原発のことなんて聞いちゃったアタシ。そして悲しいかな、いや、それが現実だよね、何ら関心なかったよぉ。

 子育てで忙しくて、それどころじゃないのかもなぁ。。。てか。もともとあんまり社会に関心はないようなことを言ってた。そうかぁ。。。

 でも、そんな人の歌だから、今の私の心には響かなかったのかもしんない。あんまりにも立ってる場所が違うのかも。

 そんなかもしれんのぉ。

 昨日のお兄さんにも、ステージ上がる前に、福島第一原発の悲惨な状況など重々語ってさしあげればよかった。したら、お兄さん、あのはしゃぎっぷりなど鳴りを潜め、暗く寂しく悲しく、ポロロンと哀愁のギターをうつむき気味に弾いて、意外とすごく良かったかもしれんな。

 お兄さん、哀愁を頼みます。
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