無責任賛歌
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| 2002年08月05日(月) |
いのち棒に振って/『おせん』其之四(きくち正太)/『ワンピースブルー』(尾田栄一郎) |
昨日の日記で書き忘れてたこと。 こうたろう君との電話の中で、某サイトで知り合った方の消息が知れなくなっているので、どうしちゃったんだろう、と会話。 ホームページをお持ちだったのだが、何度行っても「forbidden」の表示しか出ない。ここの掲示板で呼びかけをしても、全く応答がない。メール送ればいいじゃん、と言われそうだけれど、うっかりしていてメールアドレスを控えてなかったのよ。 某サイトの管理人さんならメールアドレスをご存知かもしれないが、ある事情で絶縁しちゃってるので、そちらに問い合わせすることもできないのだ。 うーん、何か事故にでもあってるのか、それとも国際的な陰謀に巻き込まれて命を狙われてるのか、○○に○○れて○○○○○るのか。 お元気ですか? 保美絶塘さん。ご消息をご存知の方がいらっしゃいましたらご一報を。
職場にちょっと神経を病んでらっしゃる方がいて、気がついたら、半日くらいずっと、クドクドとその方の愚痴を聞いている。 あまり大きな声では言えないが(で、勝手に憶測されても困るのだが)、私の職業は、毎年必ず心を病んで退職する人がン万人いると言う、ハードな職業なのである。私の日記からは全く想像できないだろうが(^_^;)。 普段はそーゆー人から相談を受けても、まあまあ、とかテキトーなこと言って誤魔化しちゃうんだけどねー、今日はちょっと事情が込み入っていてたんだよねー。 なんたって、その方、「私、あの人を殺します」とか本気で仰ってるのだもの(^_^;)。いくら人非人を自認する私であっても、さすがにこれは止めないと、ホントにやっちゃったら寝覚めが悪い(それが理由か、オイ)。 もちろんホンネでは「勝手にすれば?」と思ってるのだ(やっぱり人でなし)。でも、ここで止めておかないと、万が一、この人がホントに事件を起こした時に「有久さんに唆されました」とか言われかねないしな。 「あんなやつのために、あなたが人生棒に振るなんてもったいないでしょ」とか言って説得するが、このセリフって、裏を返せば「そんなことで人生棒に振るのなら、アンタの人生ももともと価値なんてない」と言ってるのと同じことなんである。もちろん相手はバカなんでそんな私の言葉の含みには気がつきもしないが。 いや、実は私は怒っているのだ。 その人が心を病んでらっしゃることは見て確かに分かることだ。殺意もまた本物だろうと思う。殺意を抱くに至った過程も、理解できなくもない(納得はしないが)。だが、なぜそれを口にするかな。本気で人を殺したいなら、それは秘密裏に行うべきことだろう。口にすることで止めてほしい、という言い方はしていない。「もし殺してしまったら許してください」だ。 許してください? 仮にも人一人の命を奪おうというのに、その罪を背負う覚悟もなく、許してもらおうなんて甘えくさってるのか? 結局は、実際に人を殺すような度胸もないってことなんだろうが。 自分一人が被害者だって思いこんでるあたり、周囲でも鬱陶しく思ってるのだが、なんでこういうやつに限って、私のところに相談に来るのかね。相談相手が人でなしかどうかくらい見分けてくれよ。
仕事が終わって駐車場で待ってたが、しげ、迎えに来ない。 また寝てたんだけど、昼間、オートバックスにカー用品なんかを買いに行ってたんで、寝る時間が少なかったとか。どうせほんの少しの買い物に1時間も2時間も掛けてたんだろうな。
何の気なしに、しげが「明日、アンタが仕事休みならプールに誘うのにな」とつぶやくのを聞いて、「あ? 出張があるから午前中だけで休みだよ? オレ」と答える。 「じゃあ、プール行く?」 「いいけど、ウチ、水着あったっけ?」 「オレのはあるけどアンタのは、もう、どこへ行ったかわからん」 「じゃあ、買いに行くか」 というわけで、急遽、海水パンツを買いに、グッデイに行く。けれど、ホームセンターって、水着は置いてないらしい。仕方なく、大野城サティへ回って、しげに海パンを見立ててもらう。 しげ、「アンタばっかり買っていいな」と指をくわえて羨ましがるが、だったら自分も新しいの買えばいいじゃん。日頃甘えて食い物たかってばかりいるくせに、更に何かプレゼントをしてもらおうなんて、甘いのである。
ネットを見てると、安達祐実と黒田アーサーの21歳差カップルのニュース。 ……いたなあ、黒田アーサー。もう何の番組に出てたか忘れてるけど。安達祐実はこないだ『ナースのお仕事』に出てるのを見たけれど、グラビアでどんなにえっちなポーズ取ってても、ほかの女優と並んで動いてるの見るとどうしたって子供なのである。実年齢差以上にこのカップル、無理っぽくないか。 思わずしげを呼んで、「これもオトナへの背伸びなのかなあ」と聞いてみたが、返事はない。まあ、返事できることでもないってことなんだろうけれど、「私は違うよ」とかなんとか言ったっていいじゃん。一応ウチもトシの差カップルなんだし。
夜、しげ、何かの用事で鴉丸嬢のウチへ出かける。 帰って来て、久しぶりに藤田くんのウワサを聞く。 鴉丸嬢の口に戸は立ってないので、彼女が聞き知ったたいていの情報は筒抜け素通り拡声器なのであるが、本人にはその自覚がない。ウチの劇団の黒柳徹子だね。戸が無理ならせめて暖簾ぐらい下げとけばいいのにとは思うが、性格だから仕方ない。 で、そのウワサだが、藤田くん、なんと彼女ができたらしい。 しかもどこでどう知り合ったかというと、あの最近問題になっている○○○○○○○というのがもっぱらのウワサ。だからそのウワサ、鴉丸嬢が広めてるんだって(^_^;)。 どんな彼女か気になるところだが、私ゃ特に詮索好きではないので、「どんな人?」とだけ聞く(聞いてるやん)。 「よく知らんけど、また藤田くん、趣味が変わったって」 藤田くんはとてもモテたがり屋なので、彼女ができるたびに彼女に合わせて自分の趣味を変えるのである。健気と言うかアレと言うか。 「で、どんな趣味」 「……ビジュアル系?」 ……はあ(゚゚)。 えーっと、さて、藤田くんをご存知の方、彼がイザムとかアッチ系の人だと思うヒト、手をあげなさい。撃ちます。 日本は自由な国だから、誰が誰とくっつこうが、自由である。自分を省みないのは周囲には迷惑だが罪ではない。それに被害があるとすれば私にではなく、其ノ他くんや鴉丸嬢とかにだろうから、私には知ったこっちゃない。 これでまたしばらく楽しい話を聞かせてもらえそうである。
マンガ、きくち正太『おせん』其之四(講談社/モーニングKC・580円)。 描線のヌキが、随分浮世絵っぽくなってきたなあ。あの、ちょっと小さなダマを作るような感じね。それがうるさく感じないくらい、ペンで和風の絵を描くことに、きくちさん、慣れてきているのである。カラー口絵のおせんなんか、そのフォルムを厳密に見れば既に人間じゃないんだけれども(^_^;)、美しさ伸びやかさの方が先に立って、違和感を感じさせない。 もっとも、おせんのキャラが立ち過ぎちゃってて、毎回のゲストキャラがみんな「味の分からん唐変木」ってステロタイプにハマっちゃってるキライはあるんだが。でもそりゃ料理マンガの宿命か(-_-;)。
マンガムック、尾田栄一郎『ONE PIECE BLUE(ワンピースブルー)GRAND DATA FILE』(集英社/ジャンプ・コミックス・600円)。 表紙はニコ・ロビンも入れて七人の海賊揃い踏み。チョッパーだけ背丈が合わないので樽に乗ってるところがかわいい(^^)。収録されてる作者インタビューによれば、黒澤明の『七人の侍』ファンだそうだから、ルフィ海賊団は一応これで打ち止めになるかな。キャラ的にも配分はこれがベストだろう。八犬士とか009とかもあるけど、これ以上増やしても、収集つかなくなると思う。 構成の半分はキャラ紹介。チョイ役や落書きキャラに至るまで、ほぼ全登場キャラクターを壮観できるようになってる分、『RED』よりは読み応えはある。年譜見て、初めのころどんなエピソードがあったか思い出すことができるのも便利。いや、ホント、細かいところは忘れちゃうんだよねえ。 ほかには描き下ろし四コマや、原稿の制作過程解説や、「ワンピース占い」など。ためしに占ってみたら、私は「Dr.くれは」タイプで、「現実から目をそらさずに、自由な人生を歩む」んだそうだ。それにしちゃ随分手枷足枷がかかってるみたいだけど。それ以前にくれはって、女じゃん(^_^;)。 フロクのアイロンプリント、新書サイズだとちょっと小さ過ぎないか。
2001年08月05日(日) ちょっとさよなら/『シルバー仮面・アイアンキング・レッドバロン大全 宣弘社ヒーローの世界』ほか 2000年08月05日(土) しまった、翌日になっちゃった/『人喰いの滝』(有栖川有栖・麻々原絵里依)ほか
| 2002年08月04日(日) |
爆走……できねーなあ(^_^;)/『スーパーロボット烈伝』(石川賢)/『光の島』3巻(尾瀬あきら)/『黒ベエ』1巻(藤子不二雄A)ほか |
短くするとか言いつつ、また長くなってきてるぞ、書き出したら止まらない悪い癖だ。 しかも休日だからDVDとか見まくってるし。こんなん全部感想書いてたら、原稿用紙が何10枚あったって足らんわ。できるだけ短めに書こう。できるのかホントに。
朝寝したあと、DVD『刑事コロンボ』祭(^o^)。 『野望の果て(Candidate for crime)』。 原題は「犯罪立候補者」。あまりイキなタイトルではないね。概してコロンボシリーズ、邦題の方がうまい付け方をしてる。民放に移ってからはちょっとダサくなるけど。 上院議員候補の犯人役を演じるのはジャッキー・クーパー。30年代、子役で有名ってことだけど、『チャンプ』とかに出てたんだね。私ゃリメイク版しか見てないけど。昔はこの人と、『チャップリンのキッド』のジャッキー・クーガンの区別がついてなかった。そういうことは映画ファンでも多いらしいので恥じゃない……ということもないが(^_^;)。 子役は大成しない、というジンクスは東西共通のものらしく、この人もパッとしない時があったらしい。けれど、本作やクリストファー・リーブ主演の『スーパーマン』シリーズでホワイト編集長を演じたりと、ちょっとクセのある演技をするようになってカムバックした。その時代しか私は知らないので、なんだか大仰な人だなあ、という印象しか私にはない。 悪徳政治家をコロンボが罠にかけていく様子は溜飲が下がるが、こんなバカに投票していいのか、とか思っちゃうな。声優は珍しくも中谷“弥七”一郎。コロンボシリーズは、日頃、声優をやらないような人を起用するところも楽しい。
『二つの顔(Double shock)』。 銀行マンと料理家の双子の二役を演じるマーティン・ランドー、こういう複雑な役のオファーはやっぱり『スパイ大作戦』(『ミッション・インポッシブル』のテレビ版だよ、と説明しとかないと今やわかんないよな)で変装の名人を演じてたからか。 コロンボシリーズ初の「犯人あて」モノってことだけど、まあ、あまり工夫があるとは言えない。テレビで見たときトリックすぐ分かっちゃったし。 コロンボがむりやりテレビ番組に引っ張り出されて、料理を作らされるギャグシーンがあるけれど、常識じゃあそんな飛び入り(しかも警察官)を許しゃしないよな。シリーズを重ねると、コロンボの別の一面も出そうと、こういう無理が生じるシーンを作ることも多い。ギャグがうまくハマると『逆転の構図』の救護施設のシーンみたいな名シーンも生まれるんだけどね。
『意識の下の映像(Double exposure)』。 原題はもともと「二重露出」の意味だけれど、これは当時まだ“subliminal”という単語が耳に新しかったからタイトルとしては意味不明、と思われるのを回避するためだろうな。実際私もこれで初めて「サブリミナル効果」の存在を知った。邦題も今だとなんだかまどろっこしい。 サブリミナル効果については、本当に実効性があるのか疑問視する声の方が大きくなってるけれども、トリックとしては決して悪くない。「本人に喉の乾きがなければ、フィルムのひとコマにコーラの写真を挿入しても効果はない」ということは押さえてあるので、どうして被害者だけに効果が現れたかの説明になっているからだ。物語の中での整合性があれば、トリックは成り立つんである。 犯人役のロバート・カルプはコロンボシリーズの常連で三度も出演しているけれど、今回の役が一番いい。 ラストでトリックを見破られたあとも、自ら恃む思いに笑みを浮かべる憎々しさ。アチラで「理想の犯人役」と評されたのも分かる。声は毎回、梅野泰靖(『ラヂオの時間』のマネージャーさんですな。邦画ファンには『幕末太陽伝』の若旦那、と言ったほうが通りがいいか)がアテてるけれど、張りのある生意気な感じがいい味を出してる。
アニメ『サイボーグ009』第41話「悪夢の未来」。 作画がえらくイイと思ったら久しぶりの紺野直幸さん。この、紺野さん以外の作画がヘタレってのが本シリーズの一番のネックなんだよな。 なんだか未来の描写がまんま『ターミネーター』なのが気になるが、ブラックゴーストが未来も存在してるってのは、『ヨミ編』ラストへの伏線かも。
夜、こうたろう君に電話。 彼も『スターウォーズ エピソード2』を親子連れで見てきたそうで、前半の退屈なシーンの連続には閉口したそうだ。 「草の上を抱きあってゴロゴロって、どうしようかと思っちゃったよ」 そりゃ、どうしようもないよ、ありゃ(^_^;)。 やっぱり精神年齢が高校生で止まってるやつに映画作らせちゃなあ。 いろいろまたまたここに書けない話など、1時間以上駄弁り。気がついたらWOWOWで録画してた『陰陽師』が終わっていた。全く、オタク話のタネは尽きない。
しげが仕事から早めに帰って来たので、「びっくりドンキー」で食事。 しげが「まだ飽きてない?」と聞くが、そりゃ何度か食べてりゃいつかは飽きは来る。ここのハンバーグもそろそろ味の見当がついてきたんだけれど、また「めしや丼」か「王将」に戻りたくはないし。 というわけで(何が「というわけ」か)ハンバーグとスパゲティを食べる。
マンガ、永井豪原作・石川賢とダイナミックプロ作画『スーパーロボット烈伝』(双葉社/アクションコミックス・1000円)。 スーパーロボットシリーズとか、世界観が違うモノをムリヤリくっつけたやつって、私にゃ全然面白くないんだけれども、一応原作者本人が描いてるんだからちったあマシかと思ったら、つまんねーったらありゃしない。デカイ敵出して突っ込ませりゃいいってだけの話だもんなあ。 しかも最後はマジンガーZ、グレート、グレンダイザー、ジーグ、ゲッターGの全ロボットが合体して、完成したロボットの名前が、「ダイナミックサーガ」って……。ばか? 一応、本シリーズとはパラレルな設定になってるんだろうけれど、どうせそうするんなら読切単発で適当に話を繋げるんじゃなくて、一本筋の通った話にしてほしかったな。 後半に行けば行くほど絵が荒れ出すし、ロボットばかりで人間キャラが出なくなるし、たまに出たかと思ったら、石川賢じゃなくて安田達矢が描いてるし。ジーグだからそれはいいんだけども(よくわかんないひとのために注。一応、全部永井豪原作ってことになってるけど、実際にはジーグは安田達矢の原作・作画なんである)。 こういう「夢の競演」ってやつに弱いファンもいるみたいだけど、余りやりすぎると安っぽくなっちゃうんだけどなあ。『仮面ライダー』や『ウルトラマン』だって、後半に行くほど「ヒーロー競演モノ」がつまんなくなっていったでしょ。マジンカイザーくらいに留めておくのが無難だと思うけどね。
マンガ、尾瀬あきら『光の島』3巻(小学館/ビッグコミックス・530円)。 ふと思い出したけど、私ゃ昔、尾瀬あきらのマンガって、かわいい女の子キャラ目当てで買ってたんだよな。いや、『夏子の酒』のころじゃなくて『初恋スキャンダル』のころ。f(^^;) 「松本めぐむ」名義で『バビル2世』とか書いてたころはあまり女の子の絵、うまくなかったけど、『初恋』でちょうどあだち充から始まる少年マンガのラブコメブームに乗ったんだよな。尾瀬さん自身はそのころの記憶は封印したいかもしれないけれど、実はキャラクターの表情の作り方は、だいたい『初恋』と『飛べ!人類』のころに固まって、それ以来たいして変わってないのである。 なんでこんなこと書いたかというと、今巻新登場の美幸を見てて、このキャラをきちんとヒロインにしたてることができたら、尾瀬さんもう一つ化けられるかもな、と思ったからだ。 言っちゃなんだが、『夏子』以降の小瀬さんのマンガはどのキャラもみんな同じ顔をしていてつまらない。深刻そうにテーマを語り、誰かに向かって叫び、説教臭いばかりでかえってリアリティに欠けている。ここで俯く、ここで目を見開く、ここでコブシを握る、要するに、型にはまった芝居しかできていないのだ。 美幸は今までの尾瀬キャラと少し雰囲気が違う。まずかわいくない。面長でおでこは広いし鼻は低い。性格はヒネクレている。過疎で子供がノドから手が出るほどに欲しい、言い返れば大人のエゴで子供をほしがっている唄美島に自ら行こうとする。何を考えているかわからないところがある。 予定調和的に「実はいい子」で終わってしまう可能性はあるが、こういうキャラは得てして作者の手に余ることが多く、とんでもない行動を取ったりするものだ。いわゆる「キャラが勝手に動く」ってやつね。そうなればまたぞろ「愛は地球を救う」的な展開で終わっちゃいそうなこの物語に、少しは「破」が生まれそうな気がするのだけれど、もしかしたら私は尾瀬さんを買いかぶっているのかも知れない。 しかし、尾瀬あきらのファンって余り聞かないなあ。『夏子』のころにはまだファンがいたように思うが、三里塚扱ったあたりから毛色が変わってきたかな。政治を扱ってるからどうの、というより、マンガをテーマ主義で描いてるせいでマンガとしての魅力が減殺されてると思うんだが。
マンガ、藤子不二雄A『黒ベエ』1巻(ブッキング/藤子不二雄Aランド008・410円)。 昔、中央公論から出てた「藤子不二雄ランド」のAさんの分だけ移籍して再出版。更に言えば、もっと昔、サンコミックスから出てたときは、表紙の絵柄が黒ベエのアップでおどろおどろしく、怖くて私は買えなかった(^_^;)。……今見るとかわいいとこもあるよな、恐らく若いファンはその存在も知らないだろう安孫子さんの隠れた名作である。 いや、隠れた、と言っても『怪物くん』ほどには有名ではない、程度の意味である。『黒イせぇるすまん』や『魔太郎がくる!』の原型になっている、という点ではこれぞ安孫子さんの原典とも言えるだろう。 サラリーマン社会や学校に舞台が限定されている『せぇるすまん』や『魔太郎』より、どこからやってきてどこへ行くのか、得体の知れない黒ベエの方が、描かれる世界は広くなる。軍事教練を行う会社の施設にフラリと現れる黒ベエ。黒ベエの魔力(?)は、当然、訓練と称して社員をシゴき、イビる上司たちに向けられるが、その結末の付け方、今日の人権擁護の見地から鑑みればちょっとヤバい気がしないでもないが(^_^;)、最近の腑抜けた『踊るせぇるすまん』なんかに比べると、宝石の原石のような輝きがある。 ……って、旧作で渇を癒さなきゃならないのって寂しいよなあ。
イカン、やっぱり長い(^_^;)。
2001年08月04日(土) やっと入院準備/映画『猿の惑星』/『20世紀少年』6巻(浦沢直樹)ほか 2000年08月04日(金) 特許成金、夢じゃない?/『20世紀モノがたり』(紀田順一郎)ほか
| 2002年08月03日(土) |
手帳求めて花いちもんめ/DVD『刑事コロンボ 別れのワイン』/『忍者飛翔 桜の章』(和田慎二) |
いい加減、日記の更新が滞りまくってるので、短く書こう。 今度こそホントに。内容がウス味にはなるかもしれないけれど、まあもともとボケた頭で書いてるから大して変化はないかも。
しげ、昨日の今日で盗難のショックで立ち直れていない。 手帳を改めて買いたいと言うので、今日は朝から出かける用意をしていたけれど、いっかなしげが起きて来ない。 昼を過ぎてついにシビレを切らし(いつものことだ)、しげを叩き起こして天神へ向かう。 LIMBのポイントカードが溜まっていたので、『刑事コロンボ』『サイボーグ009』など、DVDを5枚ほど、2万円分も買ったが全部ロハ。随分儲かった気もするがそれだけBOX買いをしているせいであるから、贅沢している点に変わりはない。 しげが注文していたダン・エイクロイドが出演している『ハリウッド・アドベンチャー』、まだ届いていない。店員さんの話によるとどうやら絶版らしいとのこと。「在庫がないか、ほかの店舗に聞いてみます」とのことだが、望みは薄かろう。どなたか見かけた方はご一報を。ほかにも、ダン・エイクロイド情報をご存知の方がありましたら、しげのHPの掲示板にでも書きこんでいただけると嬉しい限りです。
http://homepage3.nifty.com/aykroyd/aykroyd.html
丸善を回ってしげの手帳を探すが、手ごろなものがない。一応、気に入ったものがありはしたのだが、値段が6000円。とてもそこまで身銭は切れないので、しげ、泣く泣くあきらめる。おまえが買ってやれよ、と言われそうだが、私とて金欠病で私のサイフには常に見えないアナが開いていて、おカネはそこを素通りしているのである。ンなバカな(-_-;)。 天神コアのレストラン街に行くと、「カレー研究所」という新しいカレー専門店ができていた。メニューを見ると各国のカレーを「研究」しながら出しているようだ。面白そうなので入ってみる。 ベースはやっぱりインドカレーが多いようだが、スパイスや具が国によって違うらしい。私は名前だけで笑える「アメリカンステーキカレー」を注文。肉入れりゃいいって発想が大雑把なアメリカ人だ。 しげは甘口のチキンカレー。味見に一口食べてみて、それでも辛かったらしく、チャツネをボックスから小さな匙で掬ってカレーに入れようとするが、不器用でうまく匙からカレーに落とせない。「もういい!」と泣きベソをかいていたので、仕方なく私がスプーンを使ってキレイに落としてやる。全く気の短い幼稚園のガキを連れてるみたいだ。 福家書店を回って本を買いこみ帰宅。 途中、「はかた文具館」にも寄るが、やっぱりしげの気に入る手帳はない。チャック式で、丈夫で、メモ帳の入れ替えが可能で、ペンも入れられるとか、いろいろ機能が付いてなきゃいけないらしい。 「もしもどうしてもいいのが見つからなかったら、誕生日の祝いにあの6000円の買って」と、ねだられる。 「誕生日って、来月15日?」 「そんなに待てんよ! 早めに貰うと」 ……早いとこ、安くて使い勝手のいい手帳が見つかることを祈ろう。
ロイヤルホストで食事。 暑い日が続くので、かき氷が目当て。「ずんだ氷」というなんだかよく分らない名前のかき氷があったが、白玉がふにふにした食感で美味。「ずんだ」という名前のイメージは何となく東北っぽいが、どこかの名品なのかな。
DVD『刑事コロンボ 別れのワイン(Any old port in a storm)』。 これももう何度目かの再見だけれど、何度見返しても飽きない。誰もが誉めそやす、コロンボシリーズ最高傑作である。LDも持ってるし、前にも感想を書いたかもしれないけれど、まあいいや。 原題は「嵐の中のオールドポルト」の意。ある意味トリックのネタバラシになってる芸のないタイトルなので、日本語タイトルの方がずっといい。 毎回、コロンボ役のピーター・フォークと、犯人役の名優との丁々発止が楽しい本シリーズであるが、実際には、歴代犯人の中には、名前が売れてる割に演技が大根って人もいて(誰とは言わんが、『○○ー○○ッ○』シリーズの○ー○船長で有名なアノ人とか。見るからにアホなのに、二度も犯人役演じてるんだよなあ)、作品自体が腑抜けた印象になっちゃってるものも多い。 その点、『別れのワイン』の犯人、エイドリアン・カッシーニを演ずるドナルド・プリーゼンスは文句なしの配役である。一般には『007は二度死ぬ』の初代ブロフェルドで有名だが、『大脱走』、『鷲は舞い降りた』ほか、100本以上の出演作がある名優中の名優。残念なことに、あまりに重要な役が多すぎて、晩年は『コロンボ』に出演したことはすっかり忘れちゃったらしいが(^_^;)。 しかし、この犯人がシリーズ中最もユニークな犯人であることは間違いない。なにしろ、全犯人中ほぼ唯一、コロンボの共感を得るという稀有な役柄なのである。ワイナリーの経営権を、ワインの価値も分からぬバカな弟に奪われることを阻止するために犯した犯罪。視聴者の同情は被害者にではなく犯人側に注がれることになる。 オタクならばこの犯行心理は容易に理解できよう、子供のころ、せっかくコレクションしたオタクグッズを親に捨てられそうになって、殺意を抱いたことがなかったかどうか。私の場合、あまりにそんな経験が多すぎて、母親が死んだときも恨みが晴れた気持ちの方が大きくて、全然哀しくなかったくらいである。多分、親父が死んでも哀しくないな。須らくオタクの道は外道の道か。 コロンボが、ワインコレクターであるエイドリアンと対等に会話するために、“本気で”ワインの勉強をするところがまさにオタク泣かせ。その懸命の努力があったればこそ、犯人もまた、彼になら逮捕されても悔いはない、と観念するのだから。オタクは、自らの価値を知るもののために死ぬものだ。ちょっと違うか(^_^;)。 もう一つ、犯人がコロンボに逮捕される決意をするのが、秘密を知った女秘書に結婚を迫られたから。やっぱ、オタクは女よりグッズを選ぶよな。厩火事厩家事(←意味の分らない人は落語通に聞いてみよう)。
気になるのは、以前は封入パンフに書いてあった、追加声優(NHK放送時には本編がカットされていたので、完全版では追加アフレコをしなければならなかったのである)、なぜか今巻から記載されなくなっている。 コロンボは故・小池朝雄に代わって銀河万丈さんだということが前巻までの記載で分かるのだが、ドナルド・プリーゼンスの声が誰だか分からない。オリジナルの中村俊一ではないのは間違いないのだが、追加のセリフがヒトコトだけなので全く見当がつかない。 こういうところ、手を抜くなよユニバーサル。大事な記録なんだぞ。
マンガ、和田慎二『忍者飛翔 桜の章』(メディアファクトリー/MFコミックス・599円)。 3巻が先に出たけど、これが『忍者飛翔』シリーズの第一作。 「幼馴染どうしの恋」とか、「陰ながら少女を見守る少年」とか、今の和田慎二の諸作よりもよっぽど少女マンガマンガしてる展開だけれど、それでも「忍者」って設定だけで当時は充分少女マンガ界から浮いてたんじゃないかな。 無意味に脇キャラを死なせるあたり(しかも爆死させたり食わせたり、悪趣味が鼻につく)、やっぱり作劇はヘタだけれど(手塚譲りだな)、長編ものよりはまだ見られる。長編になると設定の破綻が激しくなるからな。読み切りシリーズの方が和田さんはまだ体質に合ってると思う。
2001年08月03日(金) 1周年!/TVスペシャル『ルパン三世・アルカトラズコネクション』ほか 2000年08月03日(木) 巻頭言&近頃の若いやつぁよぉ……/『ジェームズ・ボンドへの招待』(ジェームズ・チャップマン)ほか
| 2002年08月02日(金) |
復讐正露丸/『快傑ズバット』第一話/『芥川龍之介 妖怪文学館』/『秘宝耳』(ナンシー関) |
朝、というより夜中の1時過ぎ。 当然、私は安らかな眠りについていて、鳥の囀りのように軽やかなイビキをかいて(もちろん想像である。熟睡してるんだから自分でイビキをかいてるかどうかなんて分るわきゃない)いたのだが、けたたましく鳴り響く電話のコール音に 飛び起きた。 仕事中であるはずのしげからである。 「どしたん? 夜中やん」 「……車上荒らしにあった」 「はあ?」 「窓ガラス割られてね、バッグ盗られたと」 「ケガとかしとらん?」 「うん。駐車場に停めてたら、お客さんが盗まれたって言ってたから、見に行ったら盗られとった」 「おカネとかは?」 「いや、お金は盗られてないけど、練習用のバッグだから、着替えとか、スケジュール書いてた手帳とか、全部盗られた」 「うーん、まあ、そんなもんで済んでよかったと思わにゃ」 「あれ、正露丸入れとったやろ」 「だっけ」 「うん。泥棒があのバッグ開いて、正露丸の匂い嗅いで『なんじゃこりゃあ!』って驚くのがせめてもの救い」 「……そういうもんか?」 「じゃ、警察行ってくる」 電話を置いて、一息ついて思ったこと。 確かにしげにとっては大変な災難ではあったろうが、なんでわざわざ私を叩き起こして電話してくる必要があったのか。朝になって報告すればよかったんじゃないのか。今日も朝もはよから、私、仕事があるんだけど。
しげのロドリゲス(車にそういう名前をつけてた気がするが、もうしげ本人もそんな名前で呼んでない。薄情なやつである)、窓が割られたままなので、職場へはタクシーで行く。 ところが、帰りはしっかり窓ガラスを入れて迎えに来たのでビックリ。 「どうしたん? もう、保険が降りたの?」 「計算してみたらこれから払う保険代のほうが高くつくから、2万円で入れてもらった」 ほかに、バッグや手帳や着替えを買い直したら、結局5万円くらいはかかりそうとのこと。「もう出て来んよね」と繰り返すが、今頃はどこかのゴミ箱行きだろう。まかり間違って、犯人がヘンタイだったとしても、着替えの持ち主がしげのようなやつだと分かったら幻滅するのではないか。ジャージには正露丸の匂いが染み付いてるし、嗅いでも嬉しくないだろうな。 「しーじゃっく」で寿司を食って、マルキョウでトイレットペーパーを買って帰宅。
2004年から紙幣の肖像が切り替わるそうな。 なんだかついこないだ夏目さんと新渡戸さんと福沢さんに切り替わったばっかりのような気がするのは気のせいか。20年くらい経ってんの? もう。 1万円札の福沢諭吉は変更ナシだけれど、5千円札は樋口一葉、千円札は野口英世だって。どういう基準で選ばれてるのかは分らないけれど、なんでこの人? って違和感を感じるほどではない。女性文学者を誰か一人、ということになるとやっぱり一葉かなって気はするし。与謝野晶子や林芙美子がなぜダメなのかは触れないでおこう(^_^;)。 テレビのニュースでは、野口英世の姉さんの孫って人が喜びのコメントしてたけど、そんなに嬉しいものなのかね。まあマイクを向けられたら喜びのコメントしか言えないだろうけど。 今回のニュースを見て初めて知ったことだけど、この肖像選択に際しては、子孫とかに事前の連絡や許可を求めたりってこと、一切しないんだね。樋口一葉記念館の人が「そう言えば以前役所から写真くれって言ってきたのはこのことだったのかと」って言ってたのはちょっとマヌケだったな(^o^)。 けどなー、まるで比較するように、新渡戸稲造の子孫や道後温泉の従業員にコメントを求めてたのは、ちょっとばかし失礼ではないの? んなこと聞かれたって、「淋しいです」以外に返事のしようがないやん。マスコミが失礼だってことは昔から分ってたけどさ、それ以前に視聴者は誰もそんなこと聞きたいと思ってないってこと、わかんないのかね。 まあ、夏目房之介さんにコメント求めに行かなかっただけまだ理性があるのかな。もっとも、実はコメント求めてて断られたのかもしれないけど。「おじいさんがお札から消えてしまいますがどう思われますか?」なんて質問、返事のしようがないよなあ。
唐沢俊一さんのWeb現代『裏モノ見聞録』番外編に、品田冬樹さんが、戦前の瀬尾光世(男性ですよ)のアニメ『くもとちゅうりっぷ』に登場するてんとう虫ちゃんのフィギュアを制作したとの記事。 『くも』は、戦前の日本のアニメ技術がディズニーにひけを取るものではなかつたことを示す好例だけれど、特にこのてんとう虫のキャラの可憐さと色気を同時に体現した滑らかなフォルムと動きは、未だに誰もまねできない高みを築き上げている。 そんな最高のキャラクターをフィギュア化しようってんだから、こりゃちょっと無謀な試みではある。実際、写真を見る限りでは、出来はやはりイマイチと言わざるを得ない。品田さんご本人が、「ノスタルジーでやるというのではなく、今の子どもが違和感なく遊べるように、少し顔などは現代風にしました。」と仰ってるが、そんな改変をするなら初めから作る意味がないのである。出来上がったものはごく普通の、キューピーかペコちゃんもどきの人形。買う人どれだけいるのかなあ。
昨日から、CSファミリー劇場で、『快傑ズバット』が放送されている。録画しといたのをしげと二人で見た。しげもこれを見たくて見たくて見たくて見たくてたまらなかったのだ。なんだか一緒に同じドラマを見るのって久しぶりだなあ。 本放送時は、東京ローカル(12チャンだよ)だったせいで、福岡じゃ一度も見られなかったのだが、ようやく見られた。全く、長生きはするものである。 しかし凄いね(@。@;)。オープニングからトバしまくりっつーか、なんで私立探偵がセスナに乗って飛んで来て、しかも降りてきたらギター抱えたカウボーイスタイルで投げキッスにウインクするんだよ。聞きしに勝るというのはまさしくこのこと。宮内洋氏が自ら代表作と言うのも分るよ。長坂秀佳のどうしようもないバカ脚本を、ここまでヒロイックに演じ切れているのはまさしく宮内洋あってこそだろう。 いや、脚本がヒドイってのは、結局ズバットのやってることって、悪人相手とは言え、リンチで犯罪だからな。『必殺』シリーズみたいな闇の稼業ならともかく、堂々と警察が後ろ盾についてるってのはマズイっしょ(^_^;)。『仮面ライダー』だって、一応は密かに戦ってたって設定だったのに(後半どーでもよくなってったけどな)。 でも、見てる間それが気にならないのは、やっぱりヒーローが宮内洋だから(^o^)。うん、宮内洋なら何をやっても許せる。飛んでるピストルの弾丸に更に弾丸を当てる、なんて芸当が宮内洋と片岡千恵蔵以外の誰にできると言うのか。親友の死に夕日に向かって泣きながら歌を歌おうが、誰もいない草原でポーズ決めてようが、「正義のシーロー」ってセリフがナマってようが、宮内洋ならオッケーである。 これは全話録画しそこなわないようにしないとなあ。
東雅夫編『伝奇ノ匣3 芥川龍之介 妖怪文学館』(学研M文庫・1575円)。 巻頭に芥川自筆の妖怪画帖も付いてて、彼の怪奇文学を概観するにはお得な一冊。 と言っても、国語の教科書で『羅生門』しか読んだことのない人には、芥川が怪奇文学に興味を示し、相当数の実作をものしていたことは意外に思えるかも。 まあ、コッチコチのブンガク馬鹿じゃなくて、実際に芥川の作品に触れてる人なら、芥川が怪奇・ホラー小説もユーモア小説もものしていた(というより自らの創作の主としていた)エンタテインメント作家だってこと、分ると思うんだけどな。 ウソじゃないぞ、『羅生門』だって本人がちゃんと「明るい小説を書いた」って述懐してるのに、後世の評論家が勝手にエゴイズムだのなんだのとコリクツこねてブンガクに仕立て上げちゃったんだから。
芥川の怪奇小説の分析能力に関しては、解説の東さんも力説してるけれども、まさしく慧眼、当時の第一人者と言ってもよかったのではないか。メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』も、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』も芥川は読んでいたし、しかも「怪奇小説としては駄作」と切って捨てている。このことについては、原典を読んだことがある人には理解できると思うけれど、ゴシック・ロマンとして面白くはあっても、怪奇小説としてはクドイばかりでちっとも恐くないのだ。この二作は映画化作品があまりに有名になっちゃっために原作まで過大評価されてるところがある。 芥川が第1級の怪奇作家と誉めているのは、エドガー・ポーや、アンブローズ・ビアス、M.R.ジェイムズ、アルジャーノン・ブラックウッドあたり。『新青年傑作選』あたりを読まないと今ではなかなか読むことの出来ない作家もいるが、当時でもこのあたりの作家に食指を伸ばしていたというのは珍しい。この「なんでも読む」姿勢は師の夏目漱石に通じるものがある。こうなると、ラブクラフトも読ませてみたかったなあ。 果たして、当時のブンガク作家たちでこれだけ怪奇小説に造詣の深い人間がどれだけいたことか。芥川以外は怪奇小説のアンソロジーを編んだ岡本綺堂くらいのもんじゃないのかね。師匠の夏目漱石が49歳の若さで死なず、昭和の世まで生きていたら、芥川もキチンと評価してもらえて自殺しなかったかもしれないな。
本書の巻頭に載っている『妖婆』、これ、佐藤春夫からケチョンケチョンに貶されて芥川はすっかり落ちこんじゃったやつである。佐藤さんもロマンチシズムの作家のように見られてるけれども、実際には結構理詰めで作品書いてる人なんで、『妖婆』が作品としてどうこう、というより、同じ理知派の代表と見なしていた芥川が、得体の知れない妙ちきりんなものを書いたってこと自体、気に入らなかったらしい。 でも、実際に読んで見れば分るけれども、書き出しなど、「都会の恐怖」の本質をつかんでいる名文である。残念ながら結末の付け方があっさりしていてあまり恐くないけれども、駄作とまで断じるのは早計だろう。 何より、『河童』は芥川のユーモアとホラーの両面が融合した集大成だろう。ラストなどは、東宝映画の『マタンゴ』にも影響を与えていると思しい。本書は、ブンガクなんてツマンナイんじゃない? って思ってる人にはその思い込みを転換できるきっかけになる一冊であると思う。
巻末収録の怪談会・座談会もレアもの。芥川全集にも未収録のやつじゃないかな。メンツの豪華さと言ったら、泉鏡花・久保田万太郎・白井喬二・長谷川伸・平山蘆江・菊地寛・柳田國男……といった人々が、それぞれの持ちネタを披露してくれてるのである。こんなのが今まで日の眼を見てなかったってのは、ブンガク研究者がどれだけ不勉強かってのを露呈してるよな。大学でブンガクブに進もうなんて考えてるやつは、須らく明治から文学史を全部読み変えてく必要があるだろうな。
ナンシー関『秘宝耳』(朝日文庫・546円)。 『小耳にはさもう』文庫化第5弾。 出版予定は生前からあったはずだが、結果的にこれが追悼出版の形になった。 解説を「ナンシー関」の名付け親、いとうせいこう氏が担当しているが、あまりにも悲しい名文。そして、第1級のナンシー関論である。 「もしも本当に彼女がいなくなってしまったとするなら、我々は社会から正論を失ったということになる」 これは既に怒りだ。事故で死んだわけでも、誰かから殺されたわけでもない。けれど、なぜナンシーさんが死なねばならなかったか、その事実を認めたくない思いは怒りという形でしか発露しえなくなっている。
本書の内容は、1999年から2000年にかけてのものが多い。 よくもまあ、これだけヒトの言葉の揚げ足取りが出来るものだ、と鼻白む思いをしていた人は多いのかもしれない。いや、確実にいたはずである。でなければナンシーさんの言質を単純に「毒舌」というコトバで括れはしなかったはずだと思う。 ナンシーさんの眼はテレビの中の芸能人だけに向いていたわけではない。サッチー・ミッチー騒動時に、「人間の欲望が際限なくふくらんでいくものであるなら、商品もまたどんどん増える」と、彼女たちの醜態もまた、視聴者たちの需要のもとに成立していたことを喝破した。 ナンシーさんを毒舌家と呼んでいた人たちは自らを省みることなくテレビの「毒」に身を任せていた人々であろう。 ……もう一月が過ぎようとしている。 芸能界は相変わらずクダラナイ、卑俗な、どうでもいい事件とも言えない瑣末な出来事を垂れ流し続けている。しかし、ツッコミを入れてくれるナンシーさんの文章を今は読めない。これでは、それらの出来事が本当にクダラナイ、卑俗などうでもいいことになってしまう。 ナンシーさんはどこかで、やはりツッコミを入れているはずだ。そうでも思っていないことにはどうにもやりきれない。
疲れ果てて寝たので、日記更新できず。さあ、どんどんたまるぞ、大丈夫か、私。
2001年08月02日(木) 『題未定』ってタイトルのエッセイ集があったな/『キノの旅�検戞併�雨沢恵一)ほか
| 2002年08月01日(木) |
MANGA ATACK!/テレビ特番『パワーパフガールズムービー』/『トランジスタにヴィーナス』4巻(竹本泉)ほか |
『少年ジャンプ』が、11月から全米で発売されることになるそうである。 と言っても、現行のものをそのまま英語訳するのではなく、『ドラゴンボール』や『幽遊白書』『ワンピース』『遊戯王』『シャーマンキング』など、アニメ化されたものばかりをピックアップして月1回のペースで発行するとか。 日本人にとっては今更なラインナップだけれども、アメリカで果たして人気が取れるものかどうか。日本のアニメがどの程度アメリカに浸透してるか分らないけれど、商売が成り立つほどに日本マンガのオタクはいるのかね。まだまだ全米レベルでは少数派なんじゃないかと思ってたんだけど。 以前、『北斗の拳』の単行本が全然売れなかった、という話は聞いたことがあるけれど、人気至上主義の集英社が、まさか安っぽいリベンジを考えてるわけでもあるまい。更に市場を開発できるというリサーチでもしたんだろうか。夏目房之介さんあたりに聞いたりして(^^)。 一応、『ドラゴンボール』はアニメがアメリカでも高視聴率だったそうだし、映画化を当てこんだんだろう、という想像が一番妥当な気はする。けれど、映画の企画は途中でポシャることも多いし、時期尚早だったって結果になる危険もあるよな。20万部発行予定って、そんなに捌けるものなのかどうか。 それでも日本文化がどの程度グローバルなのかってことを計れはするから、できれば成功してほしいね。単に本の綴じ方を変えるだけじゃなくて、中身もいろいろと改訂されるだろうから、どう変更されたかを見てみたい。『シャーマンキング』とかが宗教上の問題に引っかかったりしないことを祈ろう(^_^;)。
血便はしょっちゅうなんだけれど、今日は更に下痢が重なる。 医者から「長く続くようなら肛門科に」と言われてたけど、またケツカメラぶちこまれるのやだしなあ。 職場でもちょっと立ってられなくなってきたので、午後から休む。 休んだおかげでと言っちゃなんだが、テレビをつけると、偶然、明後日から始まる映画『パワーパフガールズムービー』の宣伝番組をやってた。 『とびきりキュート めちゃ元気! パワーパフガールズムービー カンペキ攻略!!』ってやったら長ったらしいタイトル。ここ10年くらいか、この「攻略」って付けるメイキングものや宣伝ものが随分増えたけれど、ゲームじゃないんだから、はっきり誤用だとみなした方がいいと思うんだがどうか。 映画の名場面のクリップの合間に、the brilliant greenの川瀬智子、少年ナイフの山野直子、ナレーションの小堺一機のインタビューを差し挟む構成。……こんな昼の時間帯にこの人たちのファンがこの番組見てて、「わあ、『パワーパフガールズ』見てみた〜い♪」なんて思うものかいな。喋ってることもたいしたことない。川瀬さんは「すっごい流行ってるから〜」だし、山野さんは「原色系で好き〜」だし。監督のクレイグ・マクラッケンが少年ナイフのファンだったって打ち明け話にゃ驚いたけど。全くこのひた〜、どこまでオタクなんだか。 小堺一機はさすがに「いい人も悪い人もみんな正しい、誰にでも憧れられるアニメです」と、的確に解説してくれてるけれども、ゲストは少なめに抑えて、テレビシリーズの「おさらい」編なんかを参考にして、もっとキャラクターの特徴なんかを掘り下げてくれたほうがよかったなあと思う。フィーチャーしてるのがPPGとモジョ・ジョジョ以外は名前だけの紹介だもんな。 ちょっと面白かったのは、本国版の声優のアフレコ(プレスコ?)風景が見られたこと。地声全然違うんだなあ、よくあんな声が出せるもんだ。あと、マクラッケン監督が学生時代に習作したオリジナル版『ウーパーズガールズ』をチラッと見せてくれるけれど、これはもう私はDVDで見てるから、それほど得した感はなし。宣伝番組は記録的な意味でも充実させなきゃってアタマを持ってほしいもんだ。
『クレヨンしんちゃん』のスペシャルの再放送を見る。 新聞の番組欄だと何の話かわからなかったけれど、前に見た、魔法使いしんちゃんと、家を建てる大工さんの話だった。しげに一緒に見ないかと誘ったが無視される。どうやら寝室でプレステ2『幻想水滸伝』の何番目かをやってるらしい。ゲームに関わったら最後、しげは日頃以上に家事をしなくなるので、もう私との生活は完全に家庭内別居状態。これでしげの野郎、私のことを「構ってくれない」と文句をつけるんだから勝手なもんだよなあ。
ドラマ『サトラレ』第5話、サトラレ同士がニアミスする話。 原作マンガじゃ主人公と子供だったが、ドラマではオトナ同士にアレンジ。どうやって会わせないですますか、そこが脚本家の腕の見せ所だろうけれど、あまりうまくはない。里見を無理矢理福引きに行かせるというのはちょっとワザトラし過ぎだったね。 けれど、クライマックスの処理はよかった。 もう一人のサトラレ、矢沢の妻・珠子が心臓発作に襲われ、そこに居合わせた法子はとっさに携帯をかけて里見に助けを求めてしまう。谷沢もいるその現場にタクシーで駆けつけようとする里見。法子は二人を合わさないために、心臓マッサージの仕方を里見から教わる。命に関わることだから、シロウトの法子が里見に指示を仰ぐのも全然不自然じゃない。 設定として、サトラレ対策は充分取られてるはずだから、周囲がオタオタし過ぎるのはかえって興を殺ぐ。ムリにギャグを作らなくても、サトラレって設定だけで自然な感じでスリル感を出せるようにしないとねえ。
マンガ、竹本泉『トランジスタにヴィーナス』4巻(メディアファクトリー/MFコミックスフラッパーシリーズ・580円)。 23世紀の諜報部員、周りに人死にを出さないという特殊能力の持ち主、エイプリル・イーナスの活躍(だかなんだか)を描く、竹本泉の一番えっちなマンガ(^o^)も第4弾。 しかも、今回はまるまる一冊使ってのエピソード、『リスボンのねずみ』。 ご本人はあとがきで「長い話は苦手なんですけどー」とか仰ってるけどどうしてどうして。短編のときにはあまり見られなかった映画的なコマ割りが駆使されてて、いつもよりずっと読みごたえがある。うーん、この日記に絵がアップできれば(その技術が私にあれば)、どれだけドラマチックなコマ割りがされてるか、説明できるのだが。少なくとも、竹本さんが手塚治虫、石森章太郎の直系だってことは間違いない。キャラクターが単純なんでサラリと読めてしまうけれど、できればコマを追ってじっくり読んでいってほしいなあ。 川獺に似てふわふわでかわいいけど実は凶悪なウロボース人の護衛を、彼らの正体をそれと知らずに依頼されるイーナス。同じウロボース人同士の争いに否応なしに巻きこまれるうち、ウロボース人の悪巧みも徐々に明らかになっていく。そこには失われた文明である謎の三角人の宇宙船の秘密を奪い合う虚々実々のカケヒキがあったのだった。 ……ってこう書くとすごくシリアスなドラマみたいだな。でも読んでる間はどんなにあぶない展開になってもどこかほんわかしてるんだよね、この話。ホント、どこかでアニメ化してくれないかなあ。『ナジカ電撃作戦』より面白くなると思うんだけど。
2001年08月01日(水) 掲示板変更&21世紀の夏/『日本はなぜ負ける戦争をしたのか。 朝まで生テレビ!』(田原総一朗)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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