無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年04月08日(月) ゲイは身を助く/『光の島』2巻(尾瀬あきら)ほか

 この日記ではできるだけ妻の恥を晒さないように気をつけている私である。
 ……誰だ、「ウソつき」と言っているのは。
 ジマンじゃないが、ウソとボウズのアタマとドロナワとはゆったことがないぞ。
 でも、恥をしのんでここに暴露してしまおう。私は今、妻の暴挙に対して憤りを感じているからだ。

 妻は自分の衣服に関しては実に無頓着である。
 いや、飾らないとか素のままというレベルではない。
 おシャレをしないどころか、そういうのを一切ムダ、と考えてるフシがある。
 その結果どうなるか。
 服を買うのがもったいなくて買わなくなる。
 それも下着もだ。
 だって、下着は必要でしょ? そう仰る方もおられよう。
 その通りだ。
 いかなしげとて、下着は身につけねばならない。
 しかししげは殆ど下着を買わない。
 ではどうするか。

 私の下着を身につけているのである。

 ああ、ついに言ってしまった。
 これだけはいくらなんでも日記に書いちゃうと、しげが恥ずかしかろうと、今まで秘匿していたというのに(でも実は書いてて忘れてたりしてな)。
 けれど、もう、私には我慢の限界なのである。
 しげには何度も言った。
 「オレの着るなよ。オレが着るのがなくなるだろ?」
 しかししげは無視しまくって私のシャツを着ている。
 「だって楽なんだもん」

 じゃあ、なぜ下まで履く。

 しかも、同じシャツを何日も着続ける。
 その結果どうなるか。
 実はしげは巨乳である。
 爆乳と言ってもいい。
 小池栄子かMEGUMI並にはあるであろう。
 なんたってバストがいちめーとるあるのだ。誰かが聞いたら激怒するであろう。
 そいつが私のシャツを着続けたらどうなるか。

 そう、伸びるのである。
 胸のところが、ダランと。
 そういうシャツが、今、ウチではどんどん量産されているのだ。
 ……そんなんなったの、二度と着れるか!
 オレの着られるシャツまで減らすな!

 「アブトロニック」買うカネあったら、下着買え。


 さて、そのしげは今日、『WX�掘戮鮓�に行ったらしい。
 「どうだった?」と感想を聞いたら、「まあまあ」。
 基本的にしげは「キャラ萌え」タイプの人間だからなあ。「こいつが好き」ってキャラがいなかったのかも。
 しげが好きな後藤隊長も今回は精細を欠いてるし(もちろんそれが脚本の意図なんだが)。
 人物もそうだが、私に興味があるのは、ドラマやディテールだったりするので、「秦が手を離すところとか、よくなかった?」と聞いてみる。
 「手が滑っただけじゃん」
 と言うので、「その前のとこだよ、一回、冴子の手を離すじゃんか」と言うと、「アンタもオレを捨てるんでしょ」と恨みがましい目で私を見る。
 ……脱力するなあ(-_-;)。
 あんなあ、わしゃ別にオマエの手を離したわけじゃないぞ。
 シチュエーションの全く違う架空の話を現実にムリヤリ当てはめて怒るなよ、それが「被害妄想」ってんだ。


 映画本編に「2ちゃんねる」が登場するので、久しぶりに『WX�掘戮良照修呂い�がなものか、とアニメ版を覗いてみる。
 予想通り賛否両論でよろしい。
 肯定派も否定派も、どこか視点が偏ってるというか、まさに盲人が象を触るがごとき批評、感想、賛美に罵詈雑言である。
 今更、2ちゃんねらーたちのトンチンカンぶりをあげつらっても仕方なくはあるのだけれど、何十人何百人という人間が書きこみしていて、ただ一人として、脚本とり・みき、総監督高山文彦の名前を挙げて批評しているものがないというのはどうしたわけかね(^o^)。
 出渕さん自身が「この二人に映画を作らせることが目的だった」と言ってるのにねえ。
 「2ちゃんねら〜だから仕方ねえよ」ということではなくて、ニフティの映画版などでも「説明不足で分らん」という声は多い。昨日も書いたが、そりゃ映画を見るチカラが本人にないだけなんだがなあ。それは決して「とり・みきが脚本に不慣れ」なわけではないのだ。
 でも、そのあたりの感想が出ることは予想範囲内だったのだけれども、「横溝ミステリのようだった」なんて感想にはさすがにコケたな(^_^;)。
 しかも賛同者いるし。
 それを言うなら「松本清張」だろう。水上勉だったらまだギリギリ理解はできるが、どこに横溝? つまりはミステリにおける本格と社会派の違いも分らないくらい、基礎教養に欠けてる連中がネットにゃもうゴマンといるってことなのだ。
 「知識がなくても語るべきだ」ってのは私の持論ではあるが、かといって私ゃ普段でもそういう連中とばかり仕事してるのだ。わざわざ2ちゃんねるに行ってまでそいつらと論争する気力・体力はないのよ。知り合いで不毛な論争に巻き込まれて果てちゃった人もいるし(^_^;)。
 けれど、私は「2ちゃんねる」を決して否定しているわけではない。たとえどんなにアホな意見、あるいは差別的な意見が書き込まれる場所であろうと、「論争の場」が否定されていいはずはない。
 それに、「今や批評という行為自体が成り立たなくなっている」という小林信彦の言を証明するものとして、あの「2ちゃんねる」は機能している。
 これから先、人が新たな批評の形を模索するとしたら、やはり「2ちゃんねる」という「俗」のエネルギーを内包したものでなければならないのではないか。
 ……まあ、そういう固っくるしいことは抜きにしてもね、ヒットはもともと見込めない映画だから、どんなかたちででも話題になって、DVDが出たら買ってやろう、というファンが増えてくれた方がいいってこと。


 仕事帰りにマルキョウで買い物。
 果物程度しか買わないつもりだったが、ついつい冷食なんかを買い込む。
 案の定、しげが私の冷食を勝手に食いつくしてたので、補充せざるを得なくなったのである。
 串カツを買って、しげにやるが、「タマネギばかりだ」「油が濃い」と文句を垂れて私に返す。食ってみるが、別にべとべとした感じはない。コロモがぱらぱら落ちるくらいだから、カラリと焼けあがっているほうだ。揚げ立てじゃないから油っこいように感じるだけで、だったらウチに帰って電子レンジにかければいいのだ。
 そういう手間を惜しんで食欲に負けて食いものに食らいつくからかえって損をする。所詮は身から出たサビってことなんだよなあ。


 帰宅してメールを開くと、ヘンなメールが。
 いや、ただの宣伝メールなんだけど、以下のようなもの。

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 ……(・・;)。
 なぜにこんなものが私のところに?
 無作為に送ってるんだろうなあ、とは思うが、知り合いが誰一人存在を知らなくて、私だけがターゲットにされてるんだったらヤだな。
 わしゃそのケは全くないぞ。
 めんどくさいものが来たなあ、さっさと削除しちまおう、と思ったが、その下にあった「ゲイ占い」をふと見て、脱力。

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◇◆今週のゲイ占い◆◇   

おひつじ座 :最近始めたオ○ニー日記。母親にみられて赤ペンされてた。

おうし座  :仕事の上司に告白!親父度87%タイプだ!!

ふたご座  :二丁目デビュー。声をかけてきたのは槙原●之だった!!

かに座   :あだ名が「むねお」になる

しし座   :ゲイ専用の裏ビデオ入手!やっぱり外人のはぺ●スは大きい!!

おとめ座  :「前世の頃の友人」と名乗る人が話し掛けてくる

てんびん座 :スポーツジムで筋肉観賞してたらナンパされた!

さそり座 :ヤフオクで(「童貞」売ります)を発見!!

いて座   :T●S深夜番組「ワンダフルボーイ」〜男と男の水着大会!〜
思わずイってしまう

やぎ座   :同窓会にきた友達が女になってた

みずがめ座 :花粉症でち●こがむずむず

うお座   :アントニオ●木に張り手をくらう

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ……バカだなあ。とことんバカだ(^o^)。
 よくわからんのがかに座の「むねお」。あの人ゲイなの?
 花粉症ってあそこまでムズムズするものなの?
 アントニオ猪木に張り手を食らうのは嬉しいのかツライのか。
 うーむ、ゲイの世界は奥が深い(^_^;)。
 けれど、こういう明るいゲイはいいよな。
 こっちに迫られるといやだけれども。

 ……こういうの、とっても喜びそうな人に心当たりがあるので、その人のサイトのBBSに紹介する。
 レスがつくのが楽しみだ♪


 マンガ、尾瀬あきら『光の島』2巻(小学館/ビッグコミックス・530円)。
 過疎に悩む沖縄・唄美島に呼ばれてきた少年、光くんの物語第2弾。
 現実にもあったことなんだろうけれど、相当脚色もあるんじゃないかな。ともかく、トラブルが都合よく起きすぎるから(^_^;)。
 爺ちゃんが病気になっても緊急ヘリは来ないわ、謎の男が島に住みつくわ、祭りは台風で中止になるわ、せっかく友達になった由美ちゃんは島を出ることが決まるわ、お母さんは光と離れ離れでちょっと心を病んで来るわ、いくらドラマを盛り上げるためだからって、ここまでテンコ盛りにすることはなかろう。
 これじゃかえって読者、「島の生活はどうしようもない」と思っちゃうんじゃないか。少なくとも私は「そんな島、さっさと捨てちまえ」と思うようになって来たぞ、だんだん。
 テーマは確かに重いんだけど、こうもムリヤリ感が強いと、それをどの程度真剣に考えてマンガ描いてるか疑問になるんだよな。
 でも、由美ちゃんかわいいから、このまま転校しないでほしいなあ(お前こそ何を見てるか)。


 マンガ、石ノ森章太郎原作、MEIMU漫画『キカイダー02』4巻(角川書店・567円)。
 あ、瘋癲和尚死んじゃった。
 原作じゃ、最後はどこへ行ったかわかんなくなってるキャラだったから、一応キャラにキチンと始末をつけて行こうって感じで描いてるのかな、MEIMUさん。
 ああ、しかし「巨大01」っていったい……。シルバー仮面ジャイアントを思い浮かべちゃったのは私だけか?(^_^;)
 しかも設定、殆ど巨神兵だし。
 原作を発展させるのはいいんだけど、それがどこかで見たようなものになっちゃ、しゃあねえんじゃないのかね。

2001年04月08日(日) デイ・アフター/『漫画 巷説百物語』(京極夏彦・森野達弥)ほか


2002年04月07日(日) 少女はやがて怪物になるのだ/映画『WX�掘。丕腺圍味腺贈錬辧。圍硲邸。唯錬孱稗釘魁戮曚�

 さて、今日は昨日取りやめた映画『WX�掘。丕腺圍味腺贈錬辧。圍硲邸。唯錬孱稗釘魁戮鮓�に行く日だ。
 しげは練習なので、ほったらかして私だけ行く格好になるが、もう一緒に行動する時間は取れそうにないので仕方がない。
 『しんちゃん』はどうしようかなあ、もう再来週公開で前売りも買ってるんだけど。初日の朝から行きたいんだけど、しげ、やっぱり練習だしなあ。
 一人で行けば、しげに涙見せずにすむけどな。もっとも、今年もまた泣くとは限らんが。

 AMCキャナルシティ13、開演の30分前に行ったのだが、舞台挨拶目当てのオタクどもが、300席ほどはあろうかという会場の、もう3分の2を占めている。けど、多分ほかの日は入ってないんだろうなあ。
 なんたって、公開2週目でもう朝上映2回のみ、併映の『ミニパト』、第2話すっ飛ばしてもう第3話上映だもの。今週で打ち切るってことだな。

 もう真中の席は最前列くらいしか空いていないので、まあ、ゲストの方、間近で見られるし、とそこに陣取る。
 隣に座った連中、チャパツでスタイルもよく、一見フツーの若者に見えたが、会話を聞いていると、「もう2回目ですよ」とか言っててやっぱりオタク。
 垢抜けてきたなあ、オタクも。

 定刻通り、舞台挨拶。
 ホームページの予定では、来館されるのは、綿引勝彦(声優)、とり・みき(脚本)、神山健治(ミニパト監督)、西尾鉄也(ミニパト作画)の四氏となっていたが、神山・西尾の両氏は来られず、実際に来られたのは、スーパーバイザーの出渕裕氏。
 ……『ラーゼフォン』の監督はどうした(^_^;)。

 MCの女性が美人でハキハキしてて、まずは好感。
 簡単な挨拶だけですぐにゲストを案内するのもイイ。
 こういう時にデシャバリなオタク男がMCすると、目も当てられないこと多いからなあ。某き○○博のように(まだ根に持ってるのか)。

 綿引勝彦さん、いやあ、ナマで見ると顔がでかい。
 さすが舞台俳優、肩幅の半分、顔だ(ホントかよ)。
 テレビではこわもての刑事とか、頑固な親父とか(福岡じゃ昼間ずっと『天までとどけ』再放送してる。MCでも「福岡には再放送でお馴染み」って紹介してたが、そんな紹介のしかたあるんかい。オタクは知らんぞ。私は入院中よく見てたが)、そんな役を演じることが多いんだが、一番綿引さんらしさが出るのは舞台だと思う。口跡がはっきりしてるから『仮名手本ハムレット』みたいなケレン味のある舞台だと映えるんである。
 綿引さん、いきなり「今日はポケモンの宣伝に来たのではありません」とウマイつかみ。綿引さんがオタクサービスまでできちゃうとはなあ。役者だなあ。
 ともかく、今回の映画を誉めること。
 「セリフが少ないが、その裏にある人間の思いを表すのが難しかった。しかし、それだけの映画になっている。アニメは今や実写以上に映画の最先端を行っているのではないか。試写を演劇連中と一緒に見に行ったが、そのあと口角泡を飛ばして論じ合った。これはぜひたくさんの人に見て頂きたい」
 宣伝はあるとしても、かなり本気で語っているのではないか。アニメに参加した声優でない役者さん、いろいろコメントを述べさせられるが、本気で言ってるのか、単なるリップサービスなのかは、やはり分る。
 『うる星やつら2』の藤岡琢也、『パトレイバー2』の竹中直人、『オトナ帝国』の津嘉山正種、彼らの誉め言葉は殆ど本音だと思う。なぜなら、その言葉に役者の眼から見た「批評」が伴っているからだ。
 でも、「ここだけの話ですが」と前置きして、「吹き替え(アフレコと言わないところが綿引さんらしい)のとき、絵が全くできてなくて、エンピツ画だけだったのが辛かった」とも(^_^;)。
 いわゆる「線録り」ってやつだね。原画しかできてなかったんだろうなあ。パイロットフィルムはできてたんだから、完全に原画のみってはずはないんだが、そういう印象がよっぽど強かったんだろう。
 確かに、本編を見ると、あ、ここの演技は絵がなかったな、とはっきり分るシーンがいくつかある。綿引さんが演じている久住刑事が、絵では随分走っているのに声はそれほど息が切れていなかったり。
 役者にとってこういうのは、本音を言わせてもらえるなら禍根だろう。「どうか、そのことを念頭において見て下さい」と綿引さんが念押ししているときの出渕さんのこまったような顔がなんとも(^o^)。
 最後に「福岡には年に2、3回来てるので声かけて下さい」とこれは明らかなリップサービス。ホントに声かけちゃいたいな。

 とり・みきさんは以前お会いしてから(随分会話したから、「お会い」と言ってもウソにゃならんだろう)、もう20年経ってるから、こちらのことなんて当然覚えちゃいまい。
 けど、あのころと印象が殆ど変わってない美青年なのにビックリした。
 美少年は老けないってホントだったんだね。
 MCさんが「マンガ家として、同じマンガの原作を乗り越える苦しみは?」と質問したのに対して、「もともと依頼されたのが、『原作無視していいから』でしたから」と軽い返事。でも、雑誌記事では「映画企画がどんどん大きくなって困った」とか、パンフにつけた四コマでも「脚本改稿が13稿(^o^)」とか苦労を語ってるけど。
 「綿引さんが仰ったとおり、セリフが少なくて説明不足に思われると思いますが、何度も見て下さい、ミニパト週替わりのついでに」の説明に会場が受ける。
 「アニメは饒舌になりがち」の一言に、とりさんの「今のアニメが映画として成り立っているのか」というさりげない批判が伺える。

 出渕さん、いきなり「『ラーゼフォン』監督の出渕です」(^o^)。
 やっぱり、忙しいところを抜け出してきたとか。
 「最初はビデオ企画だったんですけどね。この映画は自分が関わった作品で一番長くかかった作品で、普通自分の作品はできても見返したりしないけど、これだけは劇場で見たいから」と、宣伝に一役買いたいと参加したのだと仰ってたが、神山さんたちが来られなくなったからじゃないのかなあ。
 企画の立ち上げ時、とりさんに「特車二課出さなくていいから」だけならまだしも、「怪獣(廃棄物13号)も出さなくていいから」と言ったってのはスゴイ(本人は「そう言ったの忘れたけど」と言ってたけど)。
 「『パトレイバー』はブランドであって、それを利用してとりさんと高山文彦さんに映画を作ってほしかった」、これが出渕さんの本音であって、そのことを知っているか知らないかで、この映画を見る目、相当変わるんじゃないか。
 ともかく、お三方の解説で、否が応にも映画への期待が高まる。

 最初の上映は『ミニパト』第3話「特車二課の秘密!」。
 こういうSDものが併映につくと、たいてい「本編より面白い」と言われちゃうものだが、全くベクトルが違うものを単純比較するアホの言である。
 上映後やっぱりそんなことつぶやいてたアホがいたが、これ、「ゴジラよりハム太郎の方がおもしろかった」つて言ってる小学生と全く同じレベルだぞ。
 でも面白いな、『ミニパト』(^o^)。
 特車二課の食糧事情を南雲さんがパソコンに入力、記録して行く、という体裁は、後期OVAシリーズ「ダンジョン再び」でも使ってた手法だけれど、セルフパロディのように南雲さんに「あのいい加減なOVAシリーズ」と言わせてしまうあたり、思い通りの方向に行かなかった押井さんの恨みが脚本に表れている。
 ウワサの割り箸CGアニメ、こういうギャグものにはぴったり合っていて効果は抜群。でもCGのドットが粗かったのはちょつと気になった。
 欲を言えば、榊原良子さんの語り、もっとハイテンポで千葉繁さんみたいにぶっ飛んでたらもっと面白くなってたと思うんだが、他の二本は大林さんと千葉さんがナレーションしてるそうだから、やはり三本比較して見るとその面白さが解るって仕組みになってるんだろう。
 ……週替わり上映なんてアコギだって、とりさんも言ってたぞ。
 あ、あと『パト2』見て、荒川さんのファンになってた方、あの方、事件のあと証拠不充分なのかどうか分りませんが、無事もとの職に戻って、後藤さんのブレーンになってたみたいです。よかったね。

 さて、いよいよ『ウェイステッド・サーティーン』。
 実のところ、不安ではあったのだ。
 何しろ、劇場版、1・2からこれだけ間が空いての公開、とりさんは初の脚本。
 高山監督も、『ポケットの中の戦争』が傑作になったのは山賀博之脚本に助けられてのことだと私は思っていたから、今回のとり脚本とどう格闘しているか全く読めない。
 果たして、伊藤和典、押井守の色濃い前作と比較されて、それに堪えられるだけのものになっているかどうか。

 杞憂だった。
 結論から言えば、こんなに私の「好み」の脚本に仕上がってるとは思いもしなかった。
 つーか、この脚本の妙、読めなかったら、映画ファンとは言えね〜よ。
 確かにセリフは少ない。
 しかし、それは説明の必要がないからだ。
 まず、主役の久住がなぜ片足を引きずっているか、なぜ家族から見捨てられているか、そんなことは一切語られない。それがいい(「こないだ見たビートたけしの『張込み』とは雲泥の差だ)。
 「それじゃキャラクターに感情移入できない」と思ったやつ、小津安二郎を見ろ。初期の黒澤明を見ろ。説明なんかしてね〜よ。映像と音でちゃんと見せてらあ。いちいち説明されなきゃわかんないのはガキだぞ。
 今、「小津・黒澤」と言ったが、まさしくこの映画はその抑制されたセリフによつて綴られる日本映画の流れにあるもので、これがスゴイことに、怪獣映画でありながら、怪獣映画のセオリーをことごとく裏切っている。
 つーか、出渕さんが言った通り、「基本的に」怪獣が登場しなくていい映画になっているのだ。

 湾岸で次々と起こるレイバー襲撃事件。
 それは殺人事件にまで発展する。
 捜査を開始する久住と秦の両刑事。秦は捜査の過程で、岬冴子(原作の西脇冴子)という女性と出会う。
 隕石から採取され、培養された後、廃棄されたはずの宇宙生命体。
 彼女はそれに人間の癌細胞を移植していた。
 その怪物、「廃棄物13号(ウェステッド・サーティーン)」が事件の犯人だったのだ。

 事件の捜査の過程を地味に地味に追い続ける描写は、まさしく黒澤明の『野良犬』。ラストの13号との対決シーンで、ピアノが流れるコントラプンクト(対位法)まで。しかも、『野良犬』でピアノが流れるのは「偶然」だが、今回は「必然」である。それだけリアル志向が徹底していると言っていいだろう。
 劇中でのタバコの使い方、これもうまい。
 煙草を止めている秦が最後に無表情に煙草を吸う。なぜそうなったかは説明の必要もない。
 これは『晩春』の「瓶」なのだ。……小津だよなあ。
 ……ネタバレを避けて書いてるので、何のことか分りにくい人もいるだろうが、想像して下さい。

 実のところ、怪獣ものをリアルに描く、なんてことは不可能に近い。
 だから、たいていの怪獣ものはファンタジーに逃げる。映画そのものが一つのファンタジーである訳だから、それは構わないのだが、所詮、「絵空事」と批判されることにもなりかねない。
 培養された宇宙生命体。
 そこまではいいとして、それが巨大化し、人を食らい、更に「レイバーを着こんで」レイバーと戦う。
 ここまで来ると、「荒唐無稽」の謗りすら受けかねない。
 実際、ラスト近く、イングラムとの戦いが近づき、13号の姿が露わになるにつれ、それまでの「刑事もの」との違和感、久住と秦の存在と、ドラマとの乖離が始まると、「やっぱり怪獣出さないほうがよかったんじゃ……」という不安がよぎったのだ。

 しかし、レイバーを怪獣が着こむことに、原作と違う、あのような別の意味を持たせるとは!
 13号の装甲となっていたレイバーが破壊され、その中から現れたものは……。
 そしてそのとき初めて、西脇冴子がなぜ岬冴子にならねばならなかったのか、怪獣の少女のような悲鳴と、冴子の横顔がなぜオーバーラップしなければならなかったのか、それが見えるのだ。
 冴子は言う。
 「怪物、廃棄物13号、人はいろんな名前であの子を呼ぶわ。けれど私にはあの子の名前はたった一つだけよ」
 その名前を冴子は語らない。
 語らないが誰もが知っている。その名前を。
 そして気がつく。彼女が、今まで13号の名前を一言も発していなかったことに。
 それまで冴子の狂気の描写は数少ない。しかし、その瞬間、その「狂気」を示すシーンが観客の脳裏に蘇える。
 そう、それは「狂気」だ。物狂おしいまでの「愛」。
 う、うまいよ、とりさん!(ToT)
 ……ここは泣く。確実に泣く。特にあなたが「○○」ならば。
 
 見る人によっては、ここで、秦が冴子の手を「二度」離したこと。
 これを不自然、あるいは非情と見る人もいるだろう。
 しかし、秦はあのとき気づいたのだ。
 冴子が、言った、「あなたなら私を止めてくれるかと思った」。
 その言葉がウソだということに。
 「あなたは少しあの人に似てる」
 そう、「少し」でしかないことに。
 冴子の目は、秦には向いていなかった。
 誰が、冴子の手を握ったままでいられるだろう。

 そして、秦は煙草を吸ったのだ。

 これは、刑事ドラマである。そして、多分、とても切ない、恋の物語だ。
 なぜ切ないのか。
 男の恋は女から裏切られるしかない、その真実をこの物語が語っているからだ。
 なぜなら。
 少女は、やがて母になる。
 そして、怪物を生むからだ。
 あなたが父親なら、知らねばならない。あなたが愛した女が生んだ子供は、将来、「怪物」になるのだと。

 もう、一つ二つだけ補足。
 今回、再三、スタッフの人たちが言ってますが、特車二課、ホントに殆ど出て来ません。だから『パトレイバー3』を期待したら確実に裏切られます。
 つーか、パトレイバーシリーズとして作らなければ「売り」がなかったのは分るけれど、完全に切り離して作ってほしかったくらいです。それは出渕さん自身が、『パト3』というサブタイトル外してほしかった」と仰ってたくらいなので真実でしょう。
 そして、キャラクターデザインについても、できればもっとゆうきまさみ色を排除してほしかった。ゆうきさんの絵、好きだけれど、表現力に欠けます。あのドラマには不充分。
 久住はともかく、秦の線はゆうきまさみに近いので軽くって……(-_-;)。
 作画監督の黄瀬さん、前二作に続いての当番だけれど、ゆうきさんサイドのスタッフに押しきられちゃったんだろうなあ。
 大半のスタッフが、できるだけ押井色排除しようと思ってたんだろうけど、でも廃墟と鳥という押井二大アイテムはちゃんと出てくる。犬はいないけど(^o^)。

 自衛隊をはっきり悪玉(ちゃんとアメリカとつるんでるし)にしてることも近年の日本映画じゃ珍しいし(『ガメラ2』へのアンチテーゼか?)、後藤隊長がここまで完璧に出し抜かれるのも珍しい。
 国粋主義の方は、きっと腹立つから見ないようにね。


 映画見たあと、ZUBATさんと待ちあわせて、天神のベスト電器で落ち合う。
 ZUBATさんも『パト3』見たかったそうだが、残念ながら午後はもうやってない。
 「朝から来られれば舞台挨拶も見れたんですよ」
 「あ、朝は二日酔いでしたから」
 じゃあ飲まなきゃいいのに、というのは酒飲まない人間の発想なんだろうな。しばし、ガイナックスの変遷、岡田斗司夫さんがどうしてガイナを辞めたかなど、ヤバイ話で盛りあがる。
 お貸しするビデオカメラ、しげが一つ袋にまとめておいてくれたので、お渡しするのは簡単だったが、ひどく重い。ここまで運んでくるのも大変だったが、仕事に使うのもひと苦労だろうなあ。
 ジュンク堂に回って、唐沢俊一さんの新刊、『怪網倶楽部』を探したのだが、東京ではもう平積みされてるらしいが、まだ福岡では発売されていないようだ。
 仕方なく、というわけでもないが、ZUBATさんお勧めのマンガなど買って店を出て別れる。

 再びキャナルに戻って、ラーメンスタジアムのある店で、みそラーメンと餃子。
 辛過ぎもせず、あまったるくもなくちょうどいい味だが、半面個性に欠ける。
 ほかの店は長蛇の列だったのに、ここは空いてるから、と考えたのだが、列ができない、ということはやはりそれなりに理由があることなのだった。


 帰宅して数時間ひと寝入り。
 起きて、アニメ『サイボーグ009』第25話「ミュートス、終章」。
 おお、オープニングが今回1回きりのミュートス前回までのあらすじ編。
 これはなかなか燃えるな。
 原作紹介時には与えられてなかった名前、それぞれに付けられてるし。
 今見返してみると原作の「ライオン男」がアニメにはいないけれど、これ、もともとはヘラクレスあたりの動物化だったんだろうな。
 カットされたのはこれ入れちゃうと9対9にならないのと、『怪物島編』の獅子頭博士とキャラがかぶるせいだろう。細かいところまで配慮してはいるんである。

 アキレス、ヘラ、アルテミスと順番に死んで行くのはいいとして、あとのキャラを一気に殺して行ったのはちょっと性急な印象。
 本当ならあと二、三話長く見てたい話なんだけど、ともかく膨大な量の原作だし、クオリティを維持するためにはこのへんが限度なんだろう。
 紺野直幸さんもやっと作画監督に戻ってきたし今後に期待……と思ったら来週は総集編『ギルモアノート』か。
 まあ、番組編成期だから、今まで見てなかった人のために、ということで局の方も許可したんだろうな。これで一息ついて、もうひどい作画の回がないようにしてほしいものである。


 夜、またもや某チャット。
 オタクサイトってわけじゃないのに『うる星やつら』だの今日見てきたばかりの『パト3』で盛りあがる。
 うう、詳しいこと書きたいのになあ。書けないのがなあ。

 帰宅したしげ、私がチャットしている間にこっそり買って来たおかずを一人で食って、メシをおかわりまでしてたが、そのまま寝て、急にこむら返りを起こしてひんひん泣いている。
 セコイことやってるからバチが当たってるのだな。

2001年04月07日(土) 初めての花見/DVD『ブルース・ブラザースBBパック』


2002年04月06日(土) スランプで寝てたっス/『COJI−COJI』完全版1巻(さくらももこ)

 さて、予定通り更新が遅れている私である(^_^;)。
 以前の更新の遅れは、単に疲労の蓄積だったりしたのだが、ここ数日のは実は「スランプ」であった。
 ……おお、私にもあるのか、スランプ。
 だいたいにおいて、私は文章を書く時、悩まないタイプである。
 小学校の時から、1時間授業の中で作文を書きなさい、と言われたら、そのときにはもう書きはじめている。
 50分授業だと、課せられる枚数は400字詰め原稿用紙で5枚が限度。たいていみんな2、3枚しか書けず、残りは宿題、ということになっちゃってたのが、私一人、7、8枚書いてたりしてたのだ。
 教師が「書けるだけ書きなさい」と言うものだから、素直にそれを守ってたのである。でもこういうのが級友からは「イケスカネエやつ」と見られてた原因の一つだったらしい。
 今やパソコンでキー打つだけだから、1時間なら十数枚は書ける。毎回随分書いてますね、と言われるが、実は20枚書くのに2時間かけちゃいないのだ。

 なのにである。

 パソコンの前でウンウン唸るのだが、書けない。
 何を書けばいいのか分らない訳ではないのだ。
 内容は決まっている。
 構成も考えてある。
 なのに最初の一行が出て来ない。
 こんなことは初めてである。
 なんでこんなことに、と周章狼狽、ヘンなもんでも食って当たったか、と思って、ハッと、これが「スランプ」というものであるかと、やっと思い至った。

 原因は何なのか。
 つらつら考えるに、一つは診断結果が悪かったせいだろう。
 自分ではあまり気にかけてなかったつもりなんだが、深層意識では結構コタエていたのではないか。
 なんたって失明宣言である。
 今までも何度か「危ないよ」と宣言されてきてはいたものの、「あと十年」なんて区切られたのは初めてだったからなあ。
 本も映画も見られなくなる日が来る、あるいは死が目前に迫る、覚悟はしていてもそれが現実のものとして目の前に迫ると、人間やはりあがいてしまうということなのだろう。
 そういうのはみんな運命だからなあ、諦めるしかないんだけれど、諦めがつかないのもそれが人間である何よりの証拠なのだね。

 もう一つ心当たりがあるのが、ここ数日であるトラブルに巻き込まれちゃったのだが、諸事情でそのことがこの日記に書けないことである。
 基本的に私は日記には知人の悪口でも書く。親しいほど容赦しない。
 ある程度個人の不利益になる表現は避けるが、悪口書いても影響がない(あるいは書いた方が当人の益になる)と判断したら、そりゃもう書きまくる。
 それで当人との仲がこじれたらどうするの、とはよく言われるが、「なぜそんなことを書くのか」という筋道はちゃんと提示しているのだ。それでこじれちゃあようなら、何をどうやったって、結果としてこじれるようになってるのだ。
 だから、今回のトラブルについても面白おかしく書こうかとちょっと考えはしたのだが(その関係者の方々に親しみを感じているからこそ)、別の意味で相手を傷つける危険性に気づいたので「今は書けんなあ」と判断したのである。
 事情がわかんない人には何を書いてるのか自体、よくわからんだろうけど。

 で、そのことが書けないなあ、と思ったら、連鎖的にほかのことが書けなくなつちゃったのである。
 意外と私って繊細?
 でも、今日、たっぷり寝たらケロッと治ってやんの。
 なんなんだ私のスランプ。
 
 
 つーわけで、今日は一週間の疲れが一気に来てる感じで、昼間はずっと寝る。
 便秘のせいか、腹から腰にかけてメチャ重い。
 少しでも体を軽くしようと風呂に入って腹を揉んで、それからトイレに篭るのだが、ガス一つ出やしねえ。
 仕方なく横になって寝る、の繰り返しである。
 本当は今日、『機動警察パトレイバー』の劇場版第3作を見に行こうと思ってたんだけど、明日スタッフの舞台挨拶があるってんで、今日行くのはやめた。
 結果的に今日の予定が空いちゃったんだよねえ。
 こういう時こそ日記の更新したかったんだけどなあ。
 スランプ恐るべし。

 昼飯は冷凍の喜多方ラーメン。
 チャーシューとメンマと何かの菜っ葉も一緒に冷凍されてて、それで百円ちょっと、というのはマジで安い。
 量も多からず少なからずで適当なので、昼飯にはちょうどよい。
 インスタントより、こっちのほうが、多分、妙な合成添加物とか入ってなくて健康的だと思うんだが、今一つ、カップラーメンとかに比べて冷食はポピュラーじゃない気がする。
 味でいけば麺にも腰があって、圧倒的にカップ麺より美味いんだがなあ。
 やはり、たとえ不健康であっても、イメージとして、カップ麺の方が安価で手ごろ、というように刷り込まれているのだ。
 ほんのちょっと、お湯を沸かす手間をかけるのさえ惜しくなるほどに、「時間」の走狗に成り果ててるのかな、我々は。
 かと言って、エレベーターに乗るのを避けてあえて階段を歩くようなやつに付き合うのも好きじゃないが。


 しげ、今日は練習からすぐ帰ってくると言っていたのに、全然音沙汰がない。
 夜の10時を回っても連絡がないの携帯に電話すると、其ノ他くんとこで遊んでるらしい。
 妻「タコ焼き買ったから、お土産に持って帰るよ」
 私「タコ焼きはいいから、おかずになるもの買って帰れよ」
 妻「でも冷凍庫に餃子とかハンバーグあるんでしょ?」
 私「アレは俺の非常食。勝手に食うなよ」
 妻「わかった、買えたら買う。あ、それからZUBATさんに連絡入れてくれない?」
 私「何の用?」
 妻「ほら、ビデオカメラ貸す件。『明日会えませんか』って」
 私「会えね〜よ。映画行くし」
 妻「私も一日いないよ。映画終わって会えば?」
 私「会えばって……じゃあ、そう連絡入れてよ」
 妻「何で自分でせんの」
 私「ZUBATさんの電話番号知らないよ」
 妻「……だっけ?」
 私「教えてもらってね〜よ!」
 自分の知り得た情報は私には教えないくせに、私が秘密を持つことは絶対赦さないタイプなんだよな、しげは。
 骨の髄までジャイアンだよな。「オマエのモノはオレのモノ、オレのモノはオレのモノ」かよ。
 そのあとメールで番号を教えてもらってZUBATさんと連絡をとる。
 就職が決まったのでZUBATさん、随分明るい。
 天神で昼過ぎに待ち合わせを決める。

 しげが買って帰ってきたハンバーグとコロッケ(やっぱり肉)を分けて食う。だから肉ばかり食うなよ。と言ってもムダだよなあ。
 しかも、食べきれないと言って私に寄越す。食餌制限の授業受けたばかりなのに何も考えてないよな。よっぽど私に早死にしてほしいらしい。
 しげがそんなに私に早死にしてほしいならと思って食う。私がしげの制止を振りきってメシ食ってると思ってる人がいるといけないので明記しておくが、私にバカバカ食わしているのはしげなんである。
 だって、私が食ってないと、自分だけ肉食うわけにいかないからだ。
 つくづく自分のことしか考えてないよな。
 しげ、まだ具合がよくなってないのかそのまますぐに寝る。
 そのまま牛になっちまえ。

 
 マンガ、さくらももこ『COJI−COJI』完全版1巻(幻冬舎・1260円)。
 アニメにもなってたんだよな、これ。福岡じゃやってなかったけど。
 『ちびまる子ちゃん』もそうだけれど、さくらさんのキャラクター造型力は、基本的には子供のラクガキ以上のものではない。
 だからまあ、小林よしのりが「昼寝しながらでも描ける」と揶揄するのもわからなくはないのだが(お前が言うかってのはあるが)、下手な絵がマンガとして魅力的でないかというとそうでもない。
 難しいのは、「マンガの絵」として考えたとしても、決してさくらさんの絵、魅力的とは言い難いと思うし、その思想も決してスゴイと唸るほどではないんだが、言い帰ればその「適度感」がヒットの原因にはなっていたのだろう、少なくとも『ちびまる子ちゃん』に於いては。

 『まる子』ほどにヒットしたとは思えない、『コジコジ』や、『神のチカラ』といった短編集。こちらの方に実はさくらももこの作家性は表れていると指摘する人は多いのではないか。
 コジコジは宇宙生命体であり、なぜかメルヘンの国の学校に通っている。
 外見は小熊に似ているらしい(さくらさんの画力じゃクマには見えないが)。 宇宙生命体であるせいか、あまり地上の常識(それがメルヘンの国であっても)には拘らない。
 神様に手紙を書こうとする天使のルルに、コジコジは無邪気に尋ねる。
 「相手にしてくれなきゃこっちも相手にしなきゃいいのに手紙なんか書くのよしなよ」
 しかもルルが出そうとしている神様というのが実はもの知り爺さん(そういう胡散臭いやつもメルヘンの国にはいるのだ)がでっち上げたニセモノだから、話はややこしい。
 つまりこの世界、天使は実在しているが、神様はいない世界なのだ。
 メルヘンなのに神様はいない。
 さくらさんは実のところ「そういう考え方」をする人だということに、『ちびまる子ちゃん』のファンはどれだけ気づいているのだろうか。

2001年04月06日(金) プレ花見/『ミスター・クリス』3巻(秋本治)


2002年04月02日(火) だから仮病じゃないってば/DVD『京極夏彦・怪 隠神だぬき』ほか

 久しぶりの通院日である。
 つーか、行くのサボってただけだけど。
 どーせ悪い結果が出てるんだよなあ、と思ったら、病院から足が遠のいちゃうんだよね。そりゃもう、自分でもわかるくらい、食が増えてるし。
 言い訳をするのは男らしくないが、私は男である前に人間なので(どういう理屈だ)言い訳しちゃうのである。
 食べるのがガマンできないということはない。
 実際、入院中に食事制限を受けていても、全然苦痛はないのだ。
 つまるところ私がつい食い過ぎてしまうのは、ストレスが原因だということは見当がつく。
 ……気がついたら食ってるみもんな、私。しかも止まらないし。そのときだけ理性のタガが吹っ飛んでるなあ、というのはあとになって気がつくのだ。
 さて問題はだ。
 ストレスの原因が解らんのである(^_^;)。
 仕事がキツイとか、しげがしょっちゅう駄々こねるとか、そんなんストレスのうちに入らんのだが……。
 ハッ、もしかして「更新遅れてるのなんとかせねば」って考えてるせい?
 

 しげと西新に行くのも半年ぶり。
 とは言っても道を忘れるほどではない。でもしげはキレイさっぱり忘れていた。ネズミだって道くらい覚えるぞ。
 成人病センターには11時に来いと言われていたが、30分ほど早目に着く。
 受付はしたものの、尿検査だの血液検査を始めるまでに1時間待たされる。
 いくらなんでもそりゃ手持ち無沙汰なので、しげの案内で近所のカフェテラスみたいなところに行く。
 ……もちろん食いはしませんよ、お茶飲むだけ(^_^;)。
 トリュフォーの『突然炎のごとく』とかゴダールの『勝手にしやがれ』のポスターなんかが飾られてる小粋な店。しげが「おしゃれカフェ」と呼ぶ類の店である。
 しげにしてはなかなかセンスがいい。と言ってもファーストフードなんだろうけどね。
 タイトルが原語のままだったので、「このポスター、なんの映画かわかるか?」としげに聞いたら、首を傾げる。
 「どっちも一緒にビデオで見てないか?」
 と聞いたらまた首を傾げる。
 うーん、これもしげの記憶力がヨワイせいか、私が見せてたと思いこんでただけなのか。どっちにしろ、十年近く昔のことだからはっきりと確認はできない。ここ数年、しげと一緒にビデオを見るという機会がほんとに少なくなっている。見せたい映画は腐るほどあるのになあ。


 尿検査だの採血だの、その結果が出るのを待つのにも時間がかかる。
 まあ、待っても結果は見えてるが。
 食堂で糖尿病食の試食のあと、担当医と看護婦さん栄養士さんに検査結果を見せられる。
 しげと二人並んで神妙な顔。
 医「……入院前より悪いですね。血糖値が243もあります」
 私「はあ」
 医「ヘモグロビンA1Cは11.0です。これじゃすぐにでも入院してもらわないと」
 今入院したら、東京にもにも行けないしなあ、とぼんやり考える(仕事のことは考えんのか)。
 医「このままだと確実に10年後には失明します。食事制限は守ってますか?」
 私「……守れてません」
 医「間食してるでしょう」
 私「間食はしてません」
 医「してないんですか? 奥さん」
 しげ「してます」
 私「してないよ、俺」
 しげ「私がお菓子あげたら食べるじゃない」
 医「お菓子あげてるんですか?」
 しげ、しまったという顔をする。
 医「お酒は?」
 私「飲みません」
 医「食事はたくさん食べてませんか? 奥さん」
 しげ「二人前はペロリ」
 私「そんなに食ってないよ」
 しげ「食ってるよ!」
 医「……食べるの止めないんですか? 奥さん」
 しげ、また絶句。
 まあ、食ってるのは私だから悪いことは悪いんだが、しげが全く私のカラダを気遣ってないのも医者にはバレちゃったワケだね。
 確かにこう愛のない家庭だと、ストレス発散は食うほうに行くわな。
 医「……もうしばらく様子を見て、夏には入院を覚悟してください。食事を作る余裕がないなら、配達サービスもありますから」
 配達かあ。外食しまくるよりはそっちの方が楽かな。
 けど入院はもうカンベンしてほしいよ。


 下りのエレベーターに乗って、しげを見るとバツが悪いのかムッツリしている。
 「お前、オレが具合悪いって言っても信用しないけど、仮病じゃないってわかったろ?」
 そう声をかけた途端、しげ、「アンタが正しいよ」とふてくされる。
 「なん? 私が悪いってこと知らせるためにワザとカラダ悪くしたの?」
 ……自分のミスをつつかれたくないという心理はわかるが、このセリフが私との距離をどれだけ広げるかわかって言ってるのかなあ。
 わかっててもやっちゃうんだよな、こいつ。
 ストレスの原因の一つはやっぱりしげにあるのか、と、今更ながら淋しくなる。

 半年来なかっただけで西新もあちこち様子が変わっている。
 一番の変化はドンキホーテが出来たことか。
 帰りに覗くと実に脈絡がなくモノが並んでいる。
 「よく、こんなに雑然としててモノが売れるなあ」
 「深夜5時までやってるからだよ」
 ああ、それで以前チャットで「夜よく妻と買い物に行く」と言ったら「ドンキホーテ?」と聞かれたのか。
 なるほどなるほど。
 せっかく寄ったので、ゴツイ目覚まし時計を一つ買う。
 いつも用心のために二つかけて寝るのだが、それでも体調が悪い日など、二つ鳴ってても起きられないことがあるからだ。
 「ハイパーベル」とか書いてあるがどのへんが「ハイパー」なんだか。カタチを見るとなんだがビーム光線でも出そうな気配なんだけど(出たら死ぬって)。


 博多駅でしげ、バッグを買う。
 東京行きのため、ということだが購入したのを見てみると意外と小さい。持ち歩き用に買ったのかな? でも「ハンドバッグ」の類ではなく、ホントにショルダーバッグって感じなのが、色気のないこと(^_^;)。
 考えて見れば私も予定を立てねばならんのだが、どうもまだなかなか具体的なビジョンが見えて来ない。
 それより東京で過ごす体力を整えないとな。

 本屋を回って、久しぶりに姉の店(床屋)に寄る。
 マジで4ヶ月散髪してないので髪はぼうぼう。
 姉「ようそこまで伸ばしたね」
 私「大学のころ伸ばしたことはあったけどね」
 父「お母さんがお前と気がつかんで通り過ぎたこともあったな」
 私「ヒゲまで伸ばしてたし」
 ともかくいい加減バッサリと切りたかったのでいつもより短く切ってもらうよう頼む。
 父「お前の頭は難しいっちゃんね〜」
 「頭は難しい」って言い方もなんだかなあ。


 帰宅は5時。
 夜のチャットに備えて熟睡することにする。
 できれば12時まで寝ていたかったが、9時に目覚める。
 以前に見たDVD『京極夏彦・怪 隠神だぬき』など見返す。
 これも映画単体だとそう悪くないんだけど、原作読んだあとだと作りがザツに見えてくるな。谷啓の事触れの治平は適役なんだけど。


 BSマンガ夜話・手塚治虫スペシャル、今夜は『W3』。
 今日の内容は手塚治虫の線の変遷など、以前聞いたことのあるものばかりで新味に欠ける。
 夏目さんたちの世代が「『W3』のころの線のザツさ」を指摘する理屈はわかるんだけど、ザツでもなんでも『メトロポリス』のころより『W3』の線の方が「動いて」いることは事実だからなあ。
 『メトロポリス』のころは「マンガ」と言っても『絵本』の流れなんだよね。『アトム』の後半から、手塚マンガは「紙の上のアニメ」になった。そっちのほうが馴染み深く感じるのは、やっぱり私は「アニメ世代」だからだろう。

 1時くらいから某チャットに参加。
 この日記を全部読んで頂いている女性がいらっしゃって、嬉しいやら恥ずかしいやら(* ̄∇ ̄*)。
 ……早く更新しよっと。/

2001年04月02日(月) 桜の森の満開の下/『イギリス人はおかしい』(高尾慶子)ほか


2002年04月01日(月) 心機一転?/映画『ビューティフル・マインド』ほか

 4月1日である。
 連休の間に更新ちゃっちゃか進めたろ〜、と思っていたのに、風邪引いてダウン、気がついたらもう溜まってるの20日分だよ、20日。
 こりゃ、私がいかに精力絶……もとい、気力充実していようと、一日二日で追いつくものではない。
 しかも、年度始めっつーことで、これからどんどこ仕事は忙しくなるのだ(前よりは閑職に回されたからって、仕事がなくなったわけじゃないから)。
 ということで、いったん日記をワープさせて、ちゃんと今日の日記をこれから書く。
 飛んだ分のは追々埋めていくつもりなので、最近ちょっとだけ増えた読者のみなさん、気長に待っててちょ。

 で、この日記も更新遅れたりしてな(^o^)。
 ……シャレにならんか。


 年度始めで会議も目白押し。二つも三つも会議が続けば、クスリの副作用とも相俟って、いとも簡単に落ちる。
 自分じゃ気づかないけどイビキかいてるらしいんだよなあ、そのたびに同僚に起こされるんで、初手から立場のないことったらない。
 こりゃ、聞き手に回ってるから眠っちゃうんだよなあ、と思い、今度はやたら質問や提案をする。
 私は、こんなちゃらんぽらんな日記を書いてはいても、実はキレモノなので、資料のミスなどを見つけるのは抜群にウマイのである。
 ……けど、端から見れば、こういうやつってイヤだよなあ。
 「有久さん! 有久さん!」
 「……あ……、はい」
 「ちゃんと聞いてますか? 大事な会議ですよ!?(`´)」
 「あ、……大丈夫です。起きてます……○Oo。(´_`)」
 「……しっかりしてくださいね!」
 「……で、すみません……」
 「なんですかっ!」
 「ここんとことここんとこの資料にミスがあると思うんですが、こうしたらいいんじゃないスか?」
 「……う(・・;)」
 ああ、ホントにヤなヤツ。
 でもこれくらいヤなヤツにならないと、ゆっくり居眠りさせてももらえないのである。……違うだろ、目的が。


 1日は毎月映画の日で、入場料金は千円均一。
 仕事帰りにしげを誘って、キャナルシティに向かう。
 せっかくのお出かけだというのに、車を運転しているしげ、なにか不満げな顔である。
 「どうしたんだよ、顔が変だよ」
 「……だって、映画に行くなんて聞いてなかったし」
 「行きたくないなら、ムリに行かなくてもいいけど?」
 「そうじゅなくてぇ、予定立ててなかったから、スリッパで来ちゃったんだよう」
 「……べつにいいじゃん、スリッパでも」
 「……ステキじゃないオレでもいい?」
 「オマエはスリッパを靴に履き替えただけでステキになるんかぁ!?」

  昨日読んだばかりの京極夏彦『姑獲鳥の夏』の話、しげとやりとり。
 私が「関口ってオマエそっくりだよな、榎木津や京極堂の苦労がわかるよ」と言うと、しげは「オレ、関口嫌い」と言う。
 「同族嫌悪だろ」と言い返す。
 トリックに関わるので詳しくは言えないが、作中の関口のボケぶりは、まさしくしげと同レベルなのだ。
 あのトリックについてアンフェアだと考える人もいるかもしれないが、私は現実にしげと付き合ってるので、あの話、ムチャクチャリアルだったんである。
 「世の中に不思議なものは何もないが不思議ちゃんはいる」ってか(^_^;)。


 マヌケしげとキャナルに着いたのが6時20分。
 実はどの映画を見るか決めてなかったので、福家書店に置いてあるチラシで時間を確認。
 「あ、『パルムの樹』、一週間で打ち切られてやんの」
 すかさずしげのツッコミ。
 「子供の見ないアニメ映画なんて、オタク以外に誰が見るんだよ」
 ……そこまで言うか。 
 私の映画批評について、過激だという人がいるが、しげの「容赦のなさ」にはとてもかなわないのだ。

 AMCのカード、ハンコがたまるごとにポップコーンやホットドッグと交換してくれるシステムになってたのだが、カードが新しくなってホットドッグがなくなっている。しげがそれをしきりに悔しがっている。
 つまり、ポップコーンみたいな「腹に溜まらないもの」は、しげの心の中では「食いモノ」と認識されてないってことだな。
 飢えたしげが暴れるといけないので、エサとしてケンタッキーフライドチキンを買って与える。


 映画はこないだアカデミー賞取ったばかりの『ビューティフル・マインド』。
 しかしヒデエよな、このタイトル。訳すと「美しき心」だもんね。英語で言ってるから一見カッコよさげだけどさ、感覚的にはこんなの松竹大船調だよ。
 古いっつーか、既に映画自体のダメさ加減を表してるような気もするが、こういう予感はたいてい当たる。
 「ゲーム理論」を確立した天才数学者、ジョン・ナッシュ。
 自らの矜持ゆえに、幻覚に苛まれる彼と、彼を支える妻、アリシアとの愛。
 ナッシュは実在の人物であるし、大筋において物語は確かに「実話」なのだろう。
 けれど、こういう身障者を扱った作品の場合、主人公を傷つけるわけにはいかないから、往々にして「愛と感動を呼ぶ」結末に脚色・収束させちゃうんだよね。
 最後まで幻覚が消えなかった、というのはいいんだけど、「妻の愛を語る」か達で結末をつけるってのは正直言って拍子抜け。……少し前の、幻覚に別れを告げるシーンの方がよっぽどクライマックスになってたりする。
 まあ、ナッシュを演じたラッセル・クロウの熱演は評価していいけど、物語としての濃さを考えると、これが『ロード・オブ・ザ・リング』を上回るものというのはちょっとねえ。
 ま、癒されたいんだね。アメリカ人も。

 あ、でもジェニファー・コネリーは相変わらず美しいっつーか、『ラビリンス』のころから老けてねーみてーだ。あらびっくり。
 「ジェニファー・コネリーって、ショーン……」
 としげが言いかけたので、みなまで言わせず、「そのセリフ、俺がジェニファー・コネリーを話題にするたびに言ってるぞ、おまえ。二度と言うなって言ってんのに、なんでそこまで記憶力悪いんだよ」とダメ出し。
 「だって、そう連想するように頭がなってるんだよう」としげは愚図るが、つまり自分が「アホ」だってことを告白してるようなもんだ。
 ……アホだね〜、ホント。


 コンビニで飲み物など、買い物をして帰る。
 新しい冷蔵庫、以前のものより容量があるので、たくさん買っても余裕がある。
 冷凍室は、水を注入口に注ぎ入れるだけで、氷がアイスボックスに自動的にカラカラと落ちて来て溜まる仕組み。
 しげはこういうのが楽しくて仕方がないのだが、自分だけが楽しんでると思われるのがイヤらしく、私に「楽しい?」と聞いてくる。
 自分の気持ちくらい自分ではっきり言えよ。


 BSマンガ夜話、手塚治虫スペシャル、今日は『メトロポリス』。
 ……と言いながら、話は殆ど「初期手塚治虫論」の様相を呈する。
 大林宣彦と水野英子がゲストだけど、これにいしかわじゅんと夏目房之介が絡めば、もう、手塚治虫大礼賛大会になることは眼に見えてる。
 実際、ここまで静かに進行するマンガ夜話を見たのは初めてだな(^o^)。
 しかも岡田斗司夫さんが殆ど喋らなかった回というのも(^_^;)。
 もっとも、シメは岡田さんが手塚治虫のSF性に触れて、ようやく中味のある話になったけど、考えてみれば『メトロポリス』題材にしてSF話にならないってのも偏ってるよな、このメンツ。
 アニメ『メトロポリス』があんなヒデエ出来になっちゃったのも、りんたろうに大友克洋というSFオンチ二人にやらせちゃったせいだろうなあ。
 SFはジャンルではなく「手法」だってこと、認識してないやつが多すぎるよ、困ったもんだ。

2001年04月01日(日) 四月バカ/『ブンカザツロン』(唐沢俊一・鶴岡法斎)ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)