無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2000年09月04日(月) また一つ悪いウワサが……?/『マンガ夜話vol.9 陰陽師・ガラスの仮面』

 今日の仕事は日向ぼっこである。
 別に窓際になったわけではない。同僚もみんな日向ぼっこだ。
 居眠りしてても、上司は全く叱らない。
 ……こんな仕事してるから、女房から「あんたの仕事、楽ねえ」と言われるのだ。不況に喘ぐ世間のみなさん、ごめんなさい。
 でも、おかげで次の芝居、小説、マンガのネタ、次々に浮ぶ。読みたい本や見たい映画も腐るほどあるし、一応仕事もせにゃならんし(こらこら)、あとはいつ時間をとって書くかだなあ。

 女房、ようやく立てるようになる。腫れがひいたわけではないので歩くことはまだ無理だが、少しずつ回復はしている様子。この分だと『PUPS』の前売券、ムダにならずにすむかも。

 久しぶりに博多駅の紀伊國屋に本を買いに行く。
 先に馴染みの本屋に寄るが、目当ての本が一冊も無かったので、仕方なく相田みつを『にんげんだもの』(文庫版)買う。よりによってなんでまたと言われそうだが、魔が差したのだと思ってもらいたい。
 マンガ、今市子『あしながおじさん達の行方』2巻を探すが、見つからない。
 仕方なく店員の女性に聞くが、本棚のメモだけ渡して案内しようともしない。何かこちらに関わりたくないようなそぶりすら……?
 おかしいなあ、いつもならその場所まで案内してくれるのになあ、と思いながら、その場所まで行くと、棚の上に「ボーイズコミック」……。
 そこに並んでいる本は全てあの、いわゆる……。
 ああっ! そう言えぱこれ、ホ○本だった!
 さてはあの店員、私のことを○モだと……?
 しかもその時の私のスタイルは、黒いキャップ、黒のTシャツ、黒のジャージのカラダぴったりフィットの黒づくめ……(何でそんな格好してんだ)。
 ち、違うんだ店員さん! 私はノーマルなんだよぅよぅよぅよぅ……。

 ……いいんだもう、俺なんて(T_T)。

 帰り道、中比恵公園でどこかの劇団が練習をしている。
 いきなり「人殺しぃ! 何するのぉ!」といかにもな芝居台詞。
 襲われてる女がそんな悠長な台詞言うか。脚本書いたの誰だ。
 言われた相手も戸惑うぞ。
 「まあ、人殺しですから、あなたを殺しちゃおうかな〜って……グサ」

 キネ旬ムック『マンガ夜話vol.9/陰陽師・ガラスの仮面』読む。
 え〜っと、詳しいワケは言えないけれど、劇団のみんな、買ってね▽
 37ページんとこ、立ち読みするだけでもいいよん。


2000年09月03日(日) 警察も役所/『ら抜きの殺意』(永井愛)ほか

 朝、女房連れて博多署。
 アポとっておいたのに担当のAさんおらず、代理の人が調書を取る。朝っぱらから事故があって出張ったらしい。
 掲示板に今年8月までの管内の交通事故件数と死亡者数が出ている。
 約2500件で9人の死亡。
 一日に10件事故が発生し、ひと月に一人が死亡している計算。
 なのに女房、「なんだ、月に一人しか死んでないんだ」と恐ろしい発言。感覚が麻痺してるぞ。
 調書は殆ど係官が誘導して作る。
 「車の動きを読めばよかったね」と言うので、女房が「はい……」と答えると、調書は「車の動きを読めなかった私も不注意でした」と自責の文章に仕立てられてしまう。
 よく自白調書が「警察官の誘導で作られたもので」と、裁判で証拠能力を疑問視されるのは、こういうところに問題点があるのではないか。
 ともあれ、警察での手続きはこれで終わり。
 あとは女房に、治療に専念してもらうだけだ。

 なのに結局、劇団の練習に今日も出かける女房。
 雨降りなので滑って転ぶと危ない……と思っていたら、実際に滑って足をつき、声にならない声(どんなだ)をあげる。
 練習場には桜雅、塩浦両嬢のみ。ヨシヒト嬢は給料日前で交通費がなく、鴉丸嬢は雨だと自転車なので外出できないとか。……なめくじ長屋か。
 練習に口を出す気はないので本を読んでいたら、台本のことで質問される。
 「『嗚咽』ってなんですか?」
 桜雅嬢、吐くことだと勘違いしたらしい。
 「咽び泣きだよ」と説明したら、また「咽ぶ」が分らない。おいおい(-_-;)。
 しょうがないから「うえっ、うえっ」と泣いて見せる。
 わしゃ蛙か。
 帰りは、今日も塩浦嬢のダーリンに車で送ってもらう。いつもいつもすみません。

 永井愛『ら抜きの殺意』、嵐山光三郎『文人悪食』、加地伸行『日本は「神の国」ではないのですか』(ねえよ)読む。
 『ら抜き』、ラストで失速するが、途中まではサスペンスフルで面白い。言葉を守ろうとするものと壊そうとするものの対立は最も日常的な葛藤でまさにドラマチック。そこに着眼したアイデアは素晴らしい。
 来年九州でも公演があるそうで、となるとテアトル・エコーが来るのか?
 ……ヨシヒトさん、あなたのお好きな安原義人氏、来福するかもよ(はあと)。
 『文人』、泉鏡花の潔癖症ぶりが楽しい。「チョコレートは蛇の味がする」というが、食ったのか、お前。


2000年09月02日(土) 山本正之・あ・ごーごー

 仕事を休んでいる間、同僚が代行してくれたのは大助かりだったが、こちらのミスを思いっきり発見してくれて、今日は朝から吊るし上げを食らう。
 もちろん、平身低頭、謝ったのだが、実はあまり反省していない。
 この仕事について十数年、一生懸命真面目に働いても足を引っ張られるだけということは身に染みて知っている。「使えねえやつ」という印象を持たれていたほうが楽だ。
 ……って、自分が本当に使えない奴だってことを言い訳してるな(-_-;)。

 帰宅後、メールを書いているうちに睡魔に襲われ椅子に座ったまま眠る。
 ここ何ヶ月かそうだが、ほんの一瞬うとうとした途端、眠りこけているということがよくある。
 女房からも「なんでそんなに寝てるの?」と驚かれる。夜、充分に寝た次の日でも、どうかすると居眠りしている。
 なにかの病気か? とも思うが、こんなの何科にかかればいいのだ。やっぱり精神科か?
 でも「眠れなくて」という相談はよく聞くが、「眠くて眠くて」というのは相談になるのか? といいつつ今も眠いぞ。何とかしてくれ。

 夕方、タクシーを呼び、ケガ人の女房を連れて山本正之さんのサイン会へ。
 赤坂のアニマップ、狭い店内に山本ファンがひしめき合っている。
 山本さん、どこから来るのだろうと思ったら、玄関からファンの波を掻き分け急ごしらえの壇上へ。サイン会の前にトークショーとは嬉しい。
 新譜の『十三の魔王』の「13」という数字、山本さんにとってはラッキーナンバーだとか。題名はやっぱり多羅尾伴内シリーズからの借用。
 質疑応答があったので「きらめきマンの続きはあるんですか?」と聞いたら、即座に「あるわけないだろ」(会場爆笑、及び「え〜っ?」という嘆息)。三悪が正義の味方になるアイデア、山本さんも反対してたそうな。今月で打ち切りだそうでラスト二回には山本さんもゲキガスキーのような役で出演するとか。これは録画せねば!(この辺、『タイムボカン』を知らない人には何のことやら分らんな)
 旧CDを集めたボックスが11月に出るそうだが、殆ど持ってるし買おうか買うまいか……って、どうせ女房が「買え」と言うんだろうな。
 山本さんにサインをしてもらい、更に「ケガ、早く治してね」と声をかけられ、女房ポーっとなる。場内が混雑しているので、外に出るが、女房、帰ろうとしない。「帰るとこまで見送る」だと。やれやれ。


2000年09月01日(金) 食って寝るだけの毎日も今日まで/ドラマ『横溝正史シリーズ・本陣殺人事件』ほか

 女房を病院に連れていく。
 通院は1週間ごとにすればよいらしい。とりあえず順調に回復しているのか? ……次は土曜日に行こうな。

 何度も買い出しに行くのは面倒なので、食料を三、四日分買いこんでくる。
 私の留守中でも、「腹が減ったら何か食え」(c.シティボーイズ)ということで、ソーセージも買ってくる。
 ……でも、もしかしたら女房の奴、明日くらいまでに食い尽くすかもしれん。

 マンガ、矢野健太郎『ネコじゃないモン! ミレニアム版』1〜4巻、一気読み。……初めは買うつもりなかったんだよなあ。初版で持ってるし。
 でも本屋でずっと売れ残ってる様子を見てるとつい手が……。
 いや、中味は実に恥ずかしい。今、見ると中学生の恋愛だな、これ。でもハタチ前後のころ、こんなのにハマって読んでいたのだ。「自分はあのコにとって相応しい男なのかどうか」……なんて思いながらな。ああ恥ずかしい(-_-;)。
 『藤子・F・不二雄SF短編 PERFECT版』2巻。
 自分の発想のルーツは「敗戦」だと語っていた藤子さんだが、直接的にあの戦争を語るマンガを描いたことは少ない。『ドラえもん』の中の『象とおじさん』、そして本巻収録の『ノスタル爺』くらいか。
 「戦争によって失われるもの」、親や学校の教師が百万言費やして語るより、この一編を読ませた方がずっと伝わるものがあると思う。

 神坂一『スレイヤーズすぺしゃる��エイプリルの事件簿』読む。
 本編シリーズは完結したが、こっちの番外編のほうが百万倍面白い。ミステリーのパロディはそれ自体ミステリーになっていなければならない、と言っていたのは小林信彦だが、その点、本作は及第点。
 登場人物が冒頭に紹介されていて、そこに「ロバート……犯人」とあったのには笑った。結構ミステリー読みこんでるよ、この作者。

 DVD『本陣殺人事件』、昨日見た『手毬唄』よりはいい出来。
 でも女優の描き方が今一つ。
 殺される克子役が先日亡くなったばかりの真木洋子。デビュー作の『藍より青く』ばかり名前を挙げられて、他に代表作がない。バイプレーヤーとして舞台やドラマで出演するばかりで、華が咲きそこなった、という感じがする人だった。
 鈴子役は西崎みどり。……この人も脱いじゃったなあ。当時は可憐な少女役ばかりやってたのに。
 映画版の『本陣』(金田一耕助が中尾彬!)もDVDにならないかな。


2000年08月31日(木) 耳掻きしてたら血が出た……/『心理試験』(江戸川乱歩)ほか

 朝、職場の上司から電話。
 明日休みを取ったのだが、何とか出て来れないかとのこと。
 来たな、とは思ったが、これはもう、拝み倒すしかない。女房を病院に連れて行かなければならないことを説明して何とか了承してもらう。
 女房、気の毒がって仕事に行くように言うが、それなら初めから入院してくれていたほうが助かる。
 職場の上司に睨まれるのは今に始まったこっちゃないので、別にいいのだ。いかに出世せず、責任取らずにすむ立場に安住するかってのが私のモットーだし。
 え? もともと出世するはずない? ……こりゃまた失礼(m(__)m)。

 飯は専らほか弁。
 女房が超偏食なので、私のレパートリーではカレーとスパゲティー以外受けつけない。
 昨日も八宝菜を作ってやったら、肉だけ食って野菜を全部残しやがった。
 好き嫌い、というより、子供の頃からの偏食のせいで、肉の味以外が分らなくなっているのだ。
 嘘でもなんでもなく、女房には「辛い」と「酸っぱい」の区別もつかない。
 このままだと年とってから、絶対カラダ壊すぞ。
 ……誰か女房の偏食を治す方法があったら教えてくれ(T_T)。

 江戸川乱歩『心理試験』(初版本)再読。
 さすがに乱歩は現代でも面白さが色褪せていない。
 痛切に感じるのは、乱歩は旧活字で読むに限るということ。
 『二錢銅貨』の中に「団」という字を「円」と読み間違える、というくだりがあるが、これなど新字体だと何のことか分らない。旧字体だとこれが「團」と「圓」なので、一瞬読み間違えるのも納得できるのだ。
 旧字体を見た途端「むずかし〜い」と放り出してしまう今どきの若い子はつくづく可哀相だ。

 DVD『悪魔の手毬唄』全6話一気に見る。
 デビュー直後の初々しい夏目雅子がヒロインだったり、見所は多いのだが、やはり市川崑監督の映画版に比べると昼メロ風のテレビドラマになっていて興冷め。
 『メイキング・オブ・サイコ』、モデルになった実在の犯罪者、エド・ゲイン、以前読んだ『オリジナル・サイコ』でも発音が違う、と書いてあったが、正確な発音がエド・ジーンであったことが分る。こういう発音の間違いが定着した例、多いよなあ。
 ロナルド・リーガンは本人がレーガンだと言ってすぐ改まったのに、スタンリー・キューブリックが未だにクーブリックにならないのはなぜだ。映画人はやっぱり馬鹿にされてる?



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藤原敬之(ふじわら・けいし)