無責任賛歌
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| 2001年08月24日(金) |
祝! 退院!/映画『RED SHADOW 赤影』 |
いよいよ退院の日である。 なんとなくソワソワして、夕べから寝つかれなかった。 朝の散歩も今日が最後かと思うと、ちと寂しいか。いや、散歩自体止めるわけじゃなくて、帰宅しても続けますけどね。
持って帰る荷物を取りまとめて、新聞などはあとで看護婦さんに捨ててもらうように頼む。受付で入院費を計算してもらったところ、予想はしてたがフタケタを越してしまっていた。 保険に入っててなおこの値段だから、マトモに入院費払ってたら、ひと月の給料が全て吹っ飛ぶことになる。 こりゃ保険屋さんに是が非でもオカネ入れてもらわなけりゃなあ、ということで、診断書も出たことであるし、ニッセイに電話連絡を入れる。 午後には病院まで来てくれる由、ありがたい。面倒な用事はパッと片付けちゃわないとな。
朝食はナスの含め煮にゆで卵、味噌汁。卵は好きだけれど、一回くらいは目玉焼きを食べたかったなあ、としみじみ思う。スクランブルエッグやサニーサイドアップは油を使うからダメなんだろうなあ。 食堂から部屋に戻ってくると、職場から電話があったとの連絡。 折り返し電話を職場に入れると、同僚が「今からお見舞いに行きます。何時に退院されるんですか?」とのこと。今までなんの音沙汰もなく、よりにもよって退院ギリギリのこの日に来るってのはさて、どういう意図なんだろうねえ。 こりゃ、ちゃんと今日退院するのかどうか確認しようってんだな、退院した途端に職場に呼び出されでもしたらたまらんなあ、と思い、「6時ごろです。月曜か火曜には職場にちょっと顔出そうと思いますが」と機先を制する。 「ほんじゃ、6時ごろに行きます」 で、電話はガチャッ(←切れた音ね)。 ……しまった、失敗した。ホントに6時に来るんだったら、それまで退院しないで待ってなきゃならないじゃんか。5時には退院するつもりだったのに。私のバカバカバカ。
一昨日、一時帰宅して、薬剤師さんの講義を聞き損なっていたので、午前中はずっと補習。 学生時代も補習なんて受けたことないのに、なんだか新鮮な経験だ。いや、別に成績がよかったってことじゃなくて、単に出席点で赤点を損失補填してただけですけど(^_^;)。 説明によると、新しいクスリ、やたらと副作用があるそうで、それでホントに薬なんかい、とちょっと突っ込みたくなる。 「食欲がない、むかつき、吐く、下痢、消化不良、便秘、お腹が痛い、お腹が張る、全身がだるい、頭痛、眠気、肝機能異常、風邪を引きやすい、出血しやすい、血が止まりにくい」……病気にする薬じゃねーかよ。とゆーか、日頃からこういう症状、しょっちゅう出てるんですけど。 「いえ、こういう症状がひどくなったってときに、医師に相談していただきたいと言うことで」 そりゃ相談するよ。 入院中、この薬剤師さんとは一番気が合ってしまって、気がついたら相手の家族構成だの、私とトシは近いがまだ独身だの、休日はどこで買い物するだの、好きな食べ物は何だの、最近太りぎみで困ってることだの、聞き出してしまっているのである。 私がもう10歳若くて独身だったら、あと住所と電話番号も聞き出していたことであろう。 いやもう、ナンパはしませんよ。私、妻一筋だし。 ホントです、信じてね(誰に向かって言ってんだ)。
6時に来ると言ってた同僚、昼飯の最中に来る(^_^;)。 まあ、居残らずにすんで助かったかな。 同僚たちのお見舞金を持って来て頂いて、それはありがたかったのだが、職場に復帰してからだっていいのになあ、と思う。 やっぱり、こちらの動向を確認するためだろう、と思って、「いやあ、マジメに勤め上げましたよ。間食もしてないし、運動も欠かさずやってましたから」と誘導したら、同僚、つい「上司に伝えときます」だと。 わはは、案の定スパイか。 なんだかなあ、こういう、相手のことを気遣ってるフリしてて実は全くその気がないってのが見えちゃうってのが寂しいんだよなあ、うちの職場。 同僚、ご飯を計量しているのを見て、「大変ですねえ」と言う。 最後の病院食は白すり身の磯辺焼に、ひじきの煮付け、がんもどきにオレンジ三切れ。全部合わせても250グラム程度。 「これでも私、他の患者さんに比べると食べてるほうなんですよ」と言うと同僚に驚かれる。どうせたいした病気じゃあるまい、なんて、内心、鼻で笑ってるから「大変」なんておざなりなセリフが出てくるんだろう、マジで苦しい思いしてるんだからな、こっちはよう。 ああ、いかん。 いきなり気持ちがスサみ出しちまったい。これで通勤拒否のヒキコモリにでもなっちまったらどうしよう。
同僚、5分で見舞いを終えてさっさと帰る。 ムダがなくてよいことである。 私も銀行に行って、早々と入院費の精算を済ます。さあ、これで保険料が出るまで、今月は金欠病だ。
午後2時、しげが迎えに来る。 今朝も自動車学校に行ってて、午前3時からずっと起きてるそうな。「すごく眠い」と言ってるが、いつものことだ。 ちょうど保険屋さんも来るが、用意していた印鑑が違っていた。父から「通帳の印鑑」と聞いて用意していたのだが、「証書の印鑑」だったのだ。またボケが進行しやがったな。 仕方なく保険屋さんには明日自宅のほうにきてもらうよう頼む。 ……親父は自分の知らないところでこんな風にやたらと周囲に迷惑をかけているのだが、そのたびに「そんなの気が付かなかったんだから仕方ないじゃないか」と言って開き直り、怒ってこちらが「少しは謝ったらどうだ」と詰め寄ると「ごめん!」と怒って謝るのである。とことん素直になれないヒネクレモノなのだが、その負けず嫌いな態度が、驚くほどしげに似ているのだ。 別に血がつながってるわけでもないのになあ。 しげも昔はまだ素直で、ヒネクレ出したのは結婚してからだから、義理でも親子って、自然に似ちゃうものだってことなのか?
糖尿病教室が始まるところなので、一緒に聞く。退院後に注意することの説明だが、レジュメを読み上げるだけなので退屈。 しげが「どうして糖尿は足をきれいにしなきゃいけないの?」と聞いてくる。 「神経障害が起こってないか気をつけるためだよ」と説明。 ……さては、水虫が出来やすいんじゃないかとか勘違いしてるな。
続けて栄養士さんの指導を二人で受ける。 「外食だけでカロリーコントロールできますか?」という無理かつ失礼な質問にも懇切丁寧に答えていただく。 丁寧だけれど、答えはもちろん「無理です」。 ……そりゃそうだろう。 でも料理をして食べる時間なんて、平日は全く取れないんだよねえ。また太るかなあ。太りたいわけじゃないんだけどなあ。 退院時の体重、79.5キロ。なんとかこの体重をキープしとかないとなあ。
ナースステーションで看護婦さんたちにお礼を述べて辞去。 時間は午後5時。 次の来院の予約だけしてもらう。本当は半年後が一番いいそうなのだが、もう予定が詰まっていて、4月2日にならないと先生方の体が空かないのだとか。 やれやれ、また仕事を休まにゃならんか。 夕食は西新の最後の思い出に(大仰だなあ)、美味しそうな店を探す。 しげが中華がいい、というので、マップを見て2軒ほど見つける。 小さいがガイドブックに「辛いけど美味しい」と書いてある店と、無印だけどチェーン店らしい大きな店。 しげ、迷うことなくチェーン店の方を選ぶ。 「おまえ、その街の味を探そうって気持ち、まるでないね」 「街の店って不味いところって多いし。だったらファミレス系のほうがいい」 名物に美味いもの無しって言いたいんだろうけれど、超偏食かつ味オンチのしげがなにクソ生意気なこと言ってるんだ、説得力ねえぞ、と思う。 で、そのチェーン店でしげ、中華丼とから揚げを頼む。 一口食べて、「臭い」と言ってしげ、それ以上食べない。味見してみると、別に不味くもなんともない。空腹でしげの舌がバカになってるだけだろう。 私の方は定食を頼もうと思ったら、単品ばかりで一つもない。日本の中華料理屋としてはこれはランク的には下である。仕方なく炒炒麺(味噌そば)を注文。キュウリが付いてる分、他の料理よりはマシかってことで。 あまりカロリーオーバーしてないことを祈るばかりである。
父から突然しげの携帯に電話がかかり、「今から散髪に来んや?」。 「今、退院したばかりだって。メシ食ってたら、店に回るの7時過ぎるよ」 「なんで退院がそんなに遅いとや」 「そりゃ病院の都合やけん」 「じゃあ、散髪してやれんやないか!」 だからそこでなぜ怒る。私のせいではないだろうが。 ……なんかヤクザが「こんなに優しくしてやってるのが分らんのか!」って怒ってるのと同じ理屈じゃん。 この理不尽なワガママ、年々ひどくなってきてるぞ。なんで私の周りにゃこんなワガママなヤツばかりが大挙しているのだ。
帰宅してみると、部屋はしげが言ってたほど片付いてない。 特に風呂は、一昨日、一時帰宅したときに掃除するように言っておいたのに、、床にゴミがこびりついたまま放置されている。で、帰宅して一発目の仕事が風呂場掃除だよ。洗濯物も相変わらず掘ったらかしだし、部屋の中が臭い。 今度、脱臭剤を買っておかないとなあ。 ひと片づけを終えて、改めてしげを映画に誘うが、「疲れてるから」と言ったままダウン。 誰が疲れとるか。働いとるのはワシじゃ! 仕方なく、一人でキャナルシティへ。 途中、知り合いの本屋に寄って、買い損なってたコミックを探す。キャナルの福家書店にも回ったが、あさりよしとおの『なつのロケット』だけがどの店に行っても置いてない。 明日は天神まで回ってみよう。
映画『RED 赤影 SHADOW』(←タイトルにはこう出る)。 つまんない、というよりは見ていて不快になった。 作り手の「手抜き」がモロ見えなのである。……これを手抜きでなく真面目に作ったんだって言うなら脚本家と監督はサルである。 さて、まずはどこから貶したらいいものか(^^)。 原作からキャラクターだけを借りて、後は自由に作る、という姿勢はいい。むしろそうあるべきだ。なのに設定もストーリーもキャラクターも陳腐この上ないのはどういうわけか。おかげでこの作り手たちが作りたかったのが何なのか、まるで見えてこないのである。 冒頭の通りすがりの侍(布袋寅泰)と赤影(安藤政信)の邂逅、これがあとのストーリーに全く効いて来ない。『SFサムライ・フィクション』のキャラクターとリンクさせただけの楽屋オチ。しかもここで主演の安藤、全く殺陣ができないことがバレる(後で更にアクションも出来ないことがバレるが)。だから細かいカットを積み重ねることで誤魔化してるのな。いくらテンポがよくたって、ゴマカシはゴマカシ。映画を見たぞって昂揚感はない。 ブルース・リーやジャッキー・チェンの、体を張ったカンフー映画を見なれてたらさ、テレビの特撮ヒーロー番組レベルのダサイ吹き替えアクションなんて、感動も興奮もしやしないって。 この時点で、「アクション映画」としてこの映画を見ることを断念。 そのあと、青影(村上淳)、飛鳥(麻生久美子)も登場、六角城に忍びこむが、ここをおバカなギャグシーンでつなぐので、おっ、これは「バカ映画」を作るつもりだったのかな、と思って見ていると、話が急に赤影と飛鳥の悲しい恋物語にシフトする。 この展開もなあ、陳腐っていうより馬鹿って言ったほうが当たってるんだよなあ。 白影(竹中直人)から「忍者に情は要らぬ」と釘を刺されて悩む二人。「忍者って恋も出来ないの!?」って、湖のほとりで涙の抱擁。青影は青影で、敵を殺して「オレは人を殺してしまった!」 ……キサマら、今まで“忍者ゴッコ”してただけじゃねーのか? 案の定、飛鳥は根来の頭領、甚斎に殺される。 でもなあ、ここが脚本上の一番の手抜きなんだよねえ。要するに復讐のために赤影が立ち上がるわけだけど、これ、モロ山田風太郎の『伊賀忍法帖』のパクリじゃん? しかもこの後、赤影の心は新登場のヒロイン、琴姫(奥菜恵)に移っちゃうから、あくまでストイックに敵を倒し続けた『伊賀』の笛吹城太郎とは雲泥の差、「キサマ、そんなに簡単に飛鳥のこと忘れていいのかよ!」って石投げつけてやりたくなるのだ。 つまり、ダブルヒロインを上手く並立できないライターが、ええい、面倒臭い、片方殺しちゃえって安易な手に逃げちゃっただけなんだよ。 あのな、どうせ「定番」な展開でやるならな、石川賢のマンガ『虚無戦記MIROKU』で、主人公の弥勒が、敵の毒にやられた夜叉姫を助けるために、解毒の方法を敵から聞き出すために戦ったみたいにさ、「後何日のうちに助けないと愛する者の命がない」って時限つきの展開にしろよ。その方がずっと緊張感が生まれるだろう。脚本の初歩だぞ、こんなの。 ヒロインを二人とも生かしておいて、その間で揺れる赤影と二人の女、それぞれの心を描いた方が、より緊張感が増すってもんだ。 さもなければ、一切そういう恋愛沙汰はカット、アクションとギャグだけで押し進めるべし。中途半端が一番始末に悪い。 もう一つ、ここでの大きな失敗は、隕石から作られた「無敵の鋼」(これも『ルパン三世』五右衛門の刀「流星」のパクリだね。実際の韻鉄は使いものにならんのが殆どだそうな)、これが敵の根来に奪われるんだけど、それを後の展開で全く生かさないんだよなあ。溶かして鋳直して頭領が身に着ける、くらいのことすりゃいいじゃないか。 この根来甚斎も馬鹿でよ、雇い主の竹之内基章(陣内孝則)の「琴姫を殺さば所領を遣わす」とのカラ約束にだまされて、琴姫さらった後であっさり殺されてやんの。……何か策を講じろよ、仮にも忍者だろ? なにがヒドイって、ここで根来が全滅しちゃうんで、赤影たちとの忍者同士のラストバトルが一切描かれないってことなんだよねえ。つまり、「目玉」がないのよ、この映画。 ホントに馬鹿。 また、昔のテレビドラマの設定を中途半端に流用してるところがふざけてるんだよなあ。「赤影参上」「大丈夫」のセリフも使いどころ間違えてるとしか言いようがないし、白影の飛行凧、わずか数カットしか登場しないぞ。 映画の、というよりドラマツルギーの基本ってものをよ、一から勉強しなおせや、このサルどもが。 傲慢なことはあまり言いたかないけどよ、多分この映画見た10人中9人がこう思ったんじゃないか。「オレだってこの十倍は面白い脚本書けるぞ」って。 それにしても、脚本、演出もクソだったけど、特に「役者不在」を感じさせる映画だった。今時のナンパな若い俳優に緊迫感のあるドラマ演技が出来ないのは仕方ないにしてもさ、もう少しマシな配役を考えられなかったのかねえ。 赤影と青影の大バカ二人組が、飛鳥を間に挟んで掛け合い漫才みたいなやりとりをするんだったら、あの二人、爆笑問題をキャスティングしときゃよかったのである。太田光が赤影で、田中裕二が青影。いや、マジだよ、これ。で、愁嘆場は一切カットして全編ギャグだけで突っ走る。それくらいのアイデア出してみろよ。このドシロウトどもが。 まあ、こんなクソ見るくらいなら昔の『赤影』を見ましょう。『大忍術映画ワタリ』でもいいです。部屋で寝転んで山田風太郎読んでた方がなんぼかマシです。
そう言えば『魔界転生』、また映画化計画が持ち上がってるってなあ。だから殺陣が出来る役者が今残ってるかってんだよ。前の映画化だって、若山富三郎の殺陣でなんとか持ってた映画だぞ。
帰宅するとしげはとても言葉には出来ないような恥ずかしい格好で寝ている。 溜まっていたメールの返事などを書いたりしていたらもう午前3時。 久しぶりの夜更かしさんでした。
2000年08月24日(木) たまには一人で映画を見る日もあるさ/映画『怪異談・生きてゐる小平次』ほか
| 2001年08月23日(木) |
What is Okyuto?/『新暗行御史』(尹仁完・梁恵一)ほか |
昨晩、またお隣りさんが煙草を吸い、大イビキをかいてくれたので、またもや睡眠不足。……糖尿治す前に、禁煙したらどうだ。 少しでも煙草が流れて来ないようにと、たいていカーテンを仕切っているのだが、あまり効果はない。 あちらさんはあちらさんで、しょっちゅうカーテン仕切られてるので、日が射さなくって(私の方が窓際なのである)迷惑だと感じているようだが、だったら煙草吸うのをやめてくれりゃあいいのである。 こちらがカーテンの中で寝ていると思ったのか、お隣りさん、看護婦さんに「有久さんは今日退院かね?」なんて聞いてるが、聞いてどうする。厄介ものがいなくなって助かるとでも思っているのか。 ……いかんなあ、煙草吸わされてると、どんどんドス黒い発想ばっかりで頭が占められちゃうぞ。周囲のすべての人間が敵に見えてくるのである。もし私が何か犯罪を犯すとしたら、まず真っ先に手近な喫煙者が犠牲になると思いますのでご注意を。
朝食は豆腐の味噌汁、油揚げとひじきの煮付け、牛乳。 この朝ご飯、入院中、品数が少ないなあと文句ばかりつけていたが、退院すればこうきちんとコントロールしてもらえる食事は望むべくもないのである。 そう考えると感慨もひとしお。 朝の運動も今日、明日。付き添いの看護婦さんとの別れももうすぐだと思うと寂しい限りだ。この付き添い、毎日交替で看護婦さんが来られるのだが、今日の看護婦さんは妊婦さん。 大きなおなかで歩けるのかと思ったら、座って時間を計測するだけだった。このトシになっても女性の扱いは下手なので、ついつい余計な心配をしちゃうのである。もっとも女性の扱いがうまかったらしげにむちゃくちゃ嫉妬されてしまうだろうが。 歩いている最中のセミの声少なし。空気も随分涼しくなった。 森の日陰に隠れて出て来なかった猫たちも、道端のあちこちで見かけるようになった。偶然、右と左から犬を連れて散歩してくる人に挟まれて、首をキョロキョロさせながらどちらに逃げればいいか迷ったりしている。……後ろの森の中に逃げろよ。緊急事態に陥ってパニックを起こし、とっさの判断ができなくなるっての、猫も同じなのね。
昼飯はわかめごはん、豚もものゴマだれ焼き、きぬさや、大根とオクラの煮付け、バナナ。昨日の豚ももの使いまわしだな。 糖尿病教室はビデオを二本。 なんと1本はアニメと実写の合成。 アニメの貝原益軒が突然現代に現れて、糖尿病患者のおじさんを豪華客船に乗せ、「糖尿」の海に乗り出すというムチャクチャな内容。……糖尿の海って、回りみんな「尿」かよ(-_-;)。 その尿の海の中から「高脂血症」「肥満」「動脈硬化」なんて氷山が現れて迫ってくるのである。で、船のへさきで貝原益軒、タイタニックしてやがんの。……ヤなアニメだなあ。制作会社がわかんないけど、益軒の顔、『一休さん』の外鑑和尚に似てたから東映アニメーションかもしれないなあ。 以前に見たことのある糖尿病映画じゃ、塚本信夫が昔の同級生に再会するんだけど、インポになっちゃって、果ては車椅子生活になってその同級生に世話してもらうようになるという救いようのない映画だった。その後塚本さんがホントに死んじゃったこと考えると、ほぼ実録的な映画である。……よく出演したよなあ。 あとの一本は、日常生活の中でいかに楽して運動するかという実に二律背反した内容のもの。「階段を昇り降りするのが辛かったら、降りるときだけでも歩く」とか「信号で立ち止まったら腕を振る」とか、「昼飯どきは遠い店に行く」とか、しょーもないもんばかり。……「きれいなねーちゃんを見かけたらちょっとついて行く」とかいうのが出て来やしないかと思っちゃったよ。 ……病院ってのは、患者を脱力させるのが目的なんかい。
栃木県の秋元美穂ちゃん誘拐事件の犯人として逮捕された藤田竜一容疑者、「女の子に興味があって、可愛かったから誘拐した」と供述し始めているそうである。 美少女アニメのファンで『ミンキーモモ』なんかが好きだった、ということだが、またこれで「アニメ規制」なんてこと言い出すバカがいやしないかと思っていたら、『ザ・ワイド』で市川森一が「今の少女マンガはひどいですよ。規制していくことも考えないと」なんて言い出しやがる。 美少女アニメと少女マンガを混同している無知も甚だしいが、結局この人、何を規制の対象とせよと言っているのか。少女マンガと言ったって、『ちゃお』や『なかよし』を指しているわけじゃないだろうが(それともそうなのか?)、じゃあ『花とゆめ』はダメなのか? あるいは『少女を主人公にした青年向けマンガ』ということなのか、同人誌のエロ描写のことを言いたいのか。結局、何が言いたいのか皆目わからず意味不明なのである。 一般の少女漫画誌に規制されなければならない要素はないし、成年マンガはもともと未成年が読んじゃいけないものである。同人誌のようにマスメディアではないものにまで規制を入れろというのはまさしく暴論。 そもそも性的な表現媒体が即、性犯罪につながるものではないというのはごく常識なのに、何をトチ狂ったのか。だいたい犯人はもう成人じゃないか。「アニメのせいで犯罪に走った」なんて言い訳が通用するトシじゃないのだぞ。 ウルトラシリーズでも底の浅い脚本しか書けなかったやつだからなあ。仮にも作家なら、自分の脚本が規制される可能性も考えて発言をせんかい。
夕食前に運動のための散歩。これが最後の外出になるか。 荷物が増えるというのに、コンビニで『SPA』や『ダ・カーポ』、『クレヨンしんちゃん総集編』などを買う。 近道をしようと道を斜めに突っ切ったら、どこか知らない道に出てしまって、1時間以上、迷う。 思い出というものは最後の最後にできるものである。
夕食はめだいのマヨネーズ焼き、ブロッコリー、山芋和え、おきゅうと。 博多以外の方にはこの「おきゅうと」というのがなんなのか知らない人も多かろう。 「エゴノリ」という海草を乾燥させ、水に戻して煮詰め、金網で裏ごししたあとで薄く小判のような形に引き延ばして、冷やして固めた食ベ物。実際に食べる時には、思い思いの幅に切って、カツオブシやネギなんかを混ぜて、ショウガ醤油や酢醤油で食べる。まあトコロテンみたいなものだけれど、舌に張りつくような触感が微妙に違うのな。あまりたっぷりとは醤油をつけず、ご飯と一緒に食べるのが通常の食べ方。でもスーパーで売ってるのの中には、既に細く切られちゃってるのが多くて今イチ。 私ゃ太幅に切るのが好きなんでねえ。あまり細いと触感がないのよ、これ。 今日のも細く切られてあって、醤油も余計にかかっていたので好みではなかった。先祖代々の博多人としては、おきゅうとの食べ方に関してはちとウルサイのである。「うるさいなあ」と思う人は読まなくてよろしい。
6時から、NHK総合『天才てれびくんワイド/探偵少年カゲマン 総集編』。 原作マンガも読んだことないのだが、結構古いマンガではなかったかなあ。なんで今ごろアニメ化、という気がしないでもないが、『名探偵コナン』に対抗して、小学校低学年に向けた推理クイズアニメを一つ立ちあげようってところなんだろう。 推理ったって、ドアにアリの絵が描いてあって、三つのランプにそれぞれ「あ」「か」「り」と字が書いてあるのだけれど、どれを消したらドアが開くか、なんていう他愛のないもの。でもこれくらい可愛げがあると、『コナン』みたいなただのカッコつけミステリよりずっと好印象。 何より作画が『宇宙海賊ミトの大冒険』の近藤高光さんだよ。昔ながらの漫画映画っぽい絵柄でなつかしいのである。
マンガ、臼井儀人『クレヨンしんちゃん まだまだあるゾ!オラの秘密!?号』(双葉社・380円)。 『ブリブリ王国の秘宝』と『雲黒斎の野望』の映画原作に長編を収録した増刊号。 単行本を全巻買っているわけではなかったので、この二作、今まで読んでいなかったのだが、ようやく読めた。ブリブリ王国、結構原作に忠実に作られてたのだなあ。しんのすけとスンノケシ王子がそっくりという設定が今イチうまく生かせてないなあと思っていたのだが、原作でもそうだった(笑)。 短編は小さなギャグの積み重ねでうまく落とせているけど、長編は臼井さん、苦手だったんだねえ。 『雲黒斎』は設定のみを借りただけで、ほとんど原作無視の映画になっていた のは、あのままじゃ映画として弱い、と監督が考えたせいだろうな。……戦うヒロインがやはりほしいところだしね。 どんでん返しの後のタイムパラドックス、更には巨大ロボット戦などは全部映画だけのオリジナル。ひろしが「SF初段」という設定も(笑)。 原作の弱いところをどう補完してあの傑作に仕立て上げていったか、その過程なんかも本郷みつる監督に聞いてみたいもんだ。
マンガ、酒井直行原作・田巻久雄作画『獣世紀ギルステイン』1巻(小学館・580円)。 『AMON』のデビルマンやデーモンのデザインを行った造型家の韮沢靖がギルステインほかの「躯殻獣」のデザインを担当。でも私はあまり韮沢さんのデザインには魅力を感じてないんだよねえ。マンガのキャラクターには単純な線の持つ魅力ってものがあるのであって、やたら細部に拘ってリアルにしたって、ゴテゴテするばかりで本当の迫力は出ないのである。 ギルステインも「ドタマ禿げててヒビ入ってるよ」としか思えないし。 実際の作画を担当してる田巻さん、山本貴嗣さんのアシストやってた人だよなあ。絵柄がよく似ている。ということはこの人も劇画村塾系かな? よく知らないけど。 北極の永久氷床の中から発見された未知の病原体、カドケウス・ウィルスは、一瞬にして宿主の体格を増大、怪物化させる。しかし、その「ギルステイン症」に感染するのは、15歳の少年少女に限られていた。政府は少年少女たちを施設に隔離し、ウィルスのメカニズムを探るため彼らを殺し合わせる……。 まあ、(『デビルマン』+『バトルロワイヤル』)÷2って感じだねえ。 謎のカギを握るのがウィルスと一緒に何万年も閉じ込められていた少女「サラ」なんだけど、これのクローンを作って……って『エヴァンゲリオン』も入ってるじゃん。 あまり寄せ集めでマンガ作るもんじゃないぞ、という気もするけれど、今のところそうつまらなくはない。掲載誌の『サンデーGX』、ハマって読めるマンガが意外に多いぞ。少なくとも『コミックバンチ』よりはずっと読み応えがあるよ。
マンガ、尹仁完(ユン・インワン)原作・梁恵一(ヤン・ギョンイル)作画『新暗行御史』(小学館・580円)1巻。 オビに井上雅彦絶賛、とあるけれど、なるほどこれは面白い。 韓国のマンガということで取っ付きにくいと感じる人もいるかもしれないが、ちゃんと右開きでフキダシも縦長の楕円、コマ割りも日本のマンガと同じで、読みづらさは全くない。 「暗行御史(あんぎょうおんし)」は「アメンオサ」と読むそうだ。皇帝の勅使のことで、韓国の「水戸黄門」みたいな役目を負っていたとか。それに作者は現代的なアレンジを施し、一種の陰陽師みたいなゴーストバスターに仕立て上げた。 暗行御史の「しるし」である「三馬牌」。それは悪を凝らす「幽幻兵士」を蘇えらせることができる。 この設定だけを聞くと、単純な勧善懲悪物語に見えるけれど、この暗行御史、結構ヒネクレ者で、自分が「正義の味方」みたいに思われるのが大嫌いなのである。虐げられた民衆が「いつか暗行御史が助けに来てくれる」なんて虫のいい希望を持ったりしているのも気に食わない。 で、助ける前に一言いうのだ。 「これから起こることはすべて偶然だ。だから二度とこんなことが起こるなんて思うなよ」 照れてんのか、お前は! ……水戸黄門と言うよりゃ木枯し紋次郎に近いかな。この辺は多分、作者の脚色だろうな。 特に第1話はどんでん返しもうまく効いていて傑作。 第2話から登場するもう一人のヒロイン、成春香(ソン・チュニャン)は18世紀に成立した朝鮮の小説の主人公を借りたもの。身分の違いを越え、領主の虐待にも負けず、暗行御史の恋人、李夢龍(イ・モンニョン)との恋を成就させたハッピーエンドの物語を、なんとアンハッピーエンドに作り変え、春香が「もう一人の暗行御史」となるまでを描く。 韓国は儒教モラルが今でも強く伝統として継承されている国である。しかし、真に「自由とは何か」ということを考えていけば、従来の道徳観に対しても現代に生きる者として批判を加えざるを得ないと作者たちは考えたのではないか。 古典に取材しながら、ラストを全く作り変え、春香を悲劇のヒロインとして描いたのは、「列女は二夫にまみえない」という儒教の倫理観からも春香を「自由」にしてあげたいという思いの表れではないか。原作の春香はただ待つだけの少女だが、この『新暗行御史』の春香は、自ら「山道(サンド)」(護衛)となって戦い、民を救う少女なのである。 ううん、やっぱり宮崎駿あたりの影響もあるのかなあ。 でも原典と何が一番違うっかっていうと、数多く映像化されてきている春香だけれど、ボンデージスタイルの春香は前代未聞ってことだろう。 ……このマンガ、韓国で出版したらかえって大反響になるのではないか。
ちょっと夜更かしして、『ここが変だよ日本人』、霊能力者特集を見ながら寝る。でも、ヤラセがミエミエの展開で興醒め。 ……だからどうして外人の霊が日本語で喋るんだよう。
2000年08月23日(水) 若いって、イタいことなのよん/『エノケンと呼ばれた男』(井崎博之)ほか
| 2001年08月22日(水) |
オタクの花道/同人誌『オトナ帝国の興亡』ほか |
わあ、ようやく体重が80キロを切ったぞ(ひと月ほど前にもそんなこと書いてたような気が……)。 結局、今回のこの入院、増えた体重をなんとか元に戻しただけって感じになりそうだなあ。 朝食はロールパンにコーンポタージュ、ロースハムとカリフラワーのサラダ、牛乳。パンに付いてるジャムまでカロリー控えめ。アンパンとか菓子パンの類は一切出たことがない。糖尿病、栄養士さんも「食べちゃいけないものはありません」と言ってるクセに実際の規制は多いのである。
枕元に置いてある本が30冊を越えていることに気づき、こりゃ一度自宅に持って帰らないと、明後日退院する時に、荷物がムチャクチャ重くなってしまうことに気づく。慌てて担当の先生に外出をもらって、午後から一時帰宅することにする。糖尿病教室もあるし、禁止されるかと思ったらあっさりと許可が出た。今日は薬剤師さんの授業なのだが、別の日に個人授業を受ければよいそうである。 わあい、女医さんと個人授業♪ いや、コトバのヒビキはいいが、別に楽しいことはない。この『個人授業』って単語に反応しちゃうのも映画ファンならではかなあ。あるいはフィンガー5の歌のほうかな。
授業を休むというのに、明後日渡されるはずの教室の修了証、今日のうちに貰ってしまう。……もし明日と明後日も教室休んじゃったらどうなるんだろうね。
しげに連絡を入れるが、留守。多分、自動車学校だろう。 一応、「あとで帰るよ」と伝言だけを吹きこんでおく。 ……どうせ部屋の片付けもしてないだろうから、帰りつくまでに、少しはやっといてくれればなあと期待するんだけど、こういう期待通りにしげが動いたことは一度もない。 ないならなぜ期待するか。 ……ったってねえ、するしかないのが、「ふうふ」というものなのよ。 少しでも持って帰る本を増やそうと、読みかけの本などを慌てて読む。
朝の食前の血糖値が88、昼食前が141。外出すれば運動量は多くなるから、夕方の血糖値は結構平常値に近くなるんじゃないかと期待する。 昼食は、あじの塩焼き、はじかみ、金平ゴボウ、梨。付け合わせの「はじかみ」って何だと思ったら生姜のことだった。 このトシになっても、知らない言葉ってのはあるものなのだよなあ。だから若い人たちのことを「近頃のやつらはコトバを知らない」なんて言っちゃうのは、天に唾する行為であったりもするのだ。
帰宅した途端にしげが風呂場から出て来て「きゃー、えっち」。 んなもん、もう毛穴の奥まで見飽きて見飽きて、鼻毛も立たんわ。帰るなりしょーもないことやってんじゃね〜。b(`m´#) 期待を見事に裏切ってくれて、洗濯は全くしてないし、風呂場は汚れたまま、洗面器はゴミがこびりついててお湯を汲むことすらできない。トイレは言わずもがな。いくらなんでも汚しすぎである。明後日帰るまでに少しは掃除しとけよ、と言うが、聞いたか聞いてないか、ブスッとするばかりで反応しない。こういう時はたいてい聞いてないんだよなあ。 なにやら紙を見せるので何かと思ったら、これがしげの自動車学校の適正検査。 ……なんだ、このCとD判定の群れは(・・;)。 唯一、Aがあったなと思ったら、「自己中心性」。注意力も集中力も記憶力もなく、他人を思いやらずに自分勝手な言動を繰り返す最低最悪の人格、と判定が出てしまったのだ。 「なんだよ、これは大丈夫なのかよ」 「へへへー」 へへへーじゃない! マジで人轢きかねんぞ、おまえ。 この日記のUPも、この間見舞いに来たときには、二、三日うちにやっておくと言ってたくせに、全く手をつけていない。さすがに腹が立って、今すぐやれ、と言うと、「私に寝るなっていうの!?」とまた文句。 こいつが寝てないなんてことあるわけないのだ。と言うか、こいつの口癖は「今日は12時間も起きている」だから、同情なんかしてはいけないのである。しかし、しげは自分が悪いと決まってるときですら、どうして口答えするのだろう。ますます怒られることは解りきってるのにねえ。
ふと、傍らを見ると、なにやら小包が。 こ、これはもしかして。 うわあ、山本弘さんからの『オトナ帝国』同人誌だぁ! 届いた日付を見ると、17日。この間しげが見舞いに来たのは18日……。隠してやがったな、しげのアホウが。みんなに買ってもらったらその代金、しげの小遣いにしてやろうと思ってたけど、もうやめた。 今更また怒る気力もなかったし、ともかく現物を見てみたかったので、早速袋を開けて中を見る。 表紙は防衛隊のコスプレをしたしんちゃんとひまちゃん、そのバックにオトナ帝国を象徴するかのような太陽の塔っぽい影。そして万博の写真のコラージュ。絵は眠田直さん、やっぱりセンスがいいよなあ。
タイトルは『オトナ帝国の興亡』。ページをめくるといきなリあずまきよひこの絵が……って、ああ、こりゃ山本弘さんのパロディマンガだ。……そうかあ、ちよちゃんも『オトナ帝国』見て泣いたのか。って視点が違うな。 目次を見てみると、参加者はみな「オタクアミーゴス/裏モノ会議室」の常連さんばかりだが、意外と数が少ない。唐沢俊一さんが参加表明されていながら寄港されていないのはお父上のご逝去があったとは言え、残念である。 シュミ特(懐かしい響き!)の『オトナ帝国大辞典』、こんなに参加者が少ないんだったら、もっとネタを送っときゃよかったと後悔。どうせ誰かが書くだろうなと思ってたから、書かなかったネタは多いのだ。「ケレル」とか「よしだたくろう」とか、誰も書いてないとは思いもしなかった(ボツになった項目は掲示板のほうに書いてますのでご参照下さい)。こうたろうくんに「銀玉鉄砲のあたりは『ガントレット』だよ」と元ネタ教えてもらってたのもあったのになあ。 「ネギ」のネタも、原作でしんちゃんがシロにネギをやるネタがあって、それを踏まえてのギャグなんだけど、そこまで指摘されていない。どうも参加者のみなさん、原作までフォローしてるわけじゃなさそうなのだ。やっぱり「オトナが見るもんじゃない」と今まで思ってたとしたらもったいない話である。
巻頭の評論はエロの冒険者さん。初めは同人誌に参加されることを躊躇されていたけれど、どうしてどうして、巻頭を飾るに相応しいパロディ評論だった。 前半は子どもの作文調で書かれているのだけれど、そのスタイル自体が、あの映画を楽しむ目がオトナとコドモとでは乖離していることを表している。ああ、この手があったなあ、と思うとちょっと悔しい。オチが困惑した先生の投げ遣りな感想と言うのもうまい。 後半は、熊さんとご隠居の会話風、語り口は面白いのだが、いろんな感想を詰め込みすぎて、やや論点がボケた印象があるのが惜しかった。 と言うか、「チャコが実は不治の病なんじゃないか」とか、「チャコは病気のせいで家族から邪険にされていて家族というものを憎んでいた」って設定、せっかくそういうのを思いついたのなら、それでコントのシナリオを一本書いたほうがずっと面白くなったと思うのだ。 それでも、ほかの参加者の方々には悪いが、エロさんの評論が頭一つ抜き出ていることは事実なのである。ミもフタもないこと言っちゃうと、ほかの方々の評論、結局は「ああ、そう、アナタはそう思うわけね。よかったよかった」で終わっちゃうものなのだ。それはほかの方々の意見がつまらない、ということではなく、「評論」という形式自体、もともと読者に訴えかける力が弱いからにほかならない。 同人誌の大半がつまらないのは、世界が閉じているからである。原典を知らないと分らないのでは読者は退屈するばかりだ。パロディという形式が有効なのは、原典を知らなくても楽しめるからだ。言いかえれば、原典を知らないと楽しめないパロディは、パロディとしては不完全である(もちろん、知っていればもっと楽しめる)。
……なんだかなあ、ネタがかぶる可能性はあるんだから、もう少しバラエティに富んだ語り口で、例えば『オタク学入門』のように、作画的な側面、科学的な側面で図解するものがあったりとか、あってもよかったんじゃないかと思うんだけどねえ。 さすがに山本弘さんは、具体的なセリフとシーンのやりとりの組み合わせを提示して、『オトナ帝国』のホラーな側面を浮きあがらせる評論を書かれている。そう言った「具体性」がないと、読むほうはキツイのだよねえ。 不遜な言い方で申し訳ないが、事実として、みなさん、まだまだ「ウスイ」なあと思ってしまうのである。「他の人がどんなことを書くのか」予測をしてそのウラをかく、くらいの気持ちがあってもよかったんじゃないだろうか。
私なんか、同じネタ思いついたやつが誰かいないかとドキドキものだったのに。同人誌で読む機会のある人も少なかろうからネタバラシしちゃうけど、私の書いた小説、基本的には「オトナ帝国の創始者は岡本太郎だった」「チャコは実はホムンクルスだった」「ケンとチャコは実は昔、ひろしに出会っていた」の三点だけでできあがっているのである。もう、昔の同人誌マンガにはよくあった、その後の『未来中年コナン』とか、『2001年のドラえもん』(来ちゃったけど)とか、その手のノリなわけ。でも、アホな設定ではあるけれど、もっとアホなのを思いつく人がいないともかぎらない。 で、もう一つだけ、これだけはほかの人には書けない、というものをぶちこんだ。 作中のケンとチャコの祭りでの会話、だいぶアレンジしてはいるものの、まんま、私としげの会話なのである(多分しげ本人は忘れてるだろうが)。今まで恥ずかしくて一切書かなかったが、「自分の世界から出ようとしない」チャコの姿、思いきりしげにダブって見えてたし、20世紀博作ってしげを世間から守ってやれるものなら、そうしてやりたい、そう思いながらあの映画を見てたのだ、私は。 でなきゃ泣くか。 以前、よしひとさんから「有久さんの脚本に出てくる女の子、みんなしげさんに見える」と言われたことがあるが当たり前である。私はしげに出会って以来、しげ以外をモデルにして戯曲や小説を書いたリしたことはない。男は全て私であり、女は全てしげだ。それが私の創作スタイルなのである。 ……あまり書くと、しげがヨロコブからこのへんでやめとこう。パロディと言えど、それが自分の作品である以上、自分や身内を出さなくてどうするというのか。吾妻ひでお曰く、「自分の出ないマンガはマンガじゃない」のである。
今度の同人誌で、一番嬉しかったのは、あとがきで山本弘さんに、「設定の穴を想像で埋めるのはファンの特権であり正しいアニメファンの道」と、フォローを入れてもらっていたことだ。 今回、パロディ小説を書きはしたが、ボツられはしないかなあ、と随分不安になっていたのだ。夏コミのカタログに夏目房之介・米沢嘉博両氏の対談が載っているのだが、「著作権のことを、パロディを書く上でも真剣に考えなければならない。原典への『愛』があるから、という言い訳は成り立たない」とあったこと、これをどこまで考慮すればいいか、シロウトの私には見当もつかなかったからだ。 実は私の小説、「万博」「岡本太郎」「ひろし」という単語、一切使っていない。ムードを出すための効果と思う人もいるかもしれないけれど、ただ単に著作権違反が怖かっただけなのです。……評論だと「批評は自由だ」と反論できるかもしれないけれど、小説だとムズカシイかな、と思った結果なのでありました。 でも堂々と万博の写真使ってたし、この同人誌、監督の原恵一さんにも送られるみたいなので、杞憂だったかな、とも思うのだけれど。
あ、書き忘れてたけど、『オトナ帝国』のこぼれ話や、眠田直さんの過去のクレしん映画のレビューもあって、初めての人も安心(笑)な造りになってます。
日記のUPを終えて、しげ、疲れたのか寝る。 「あとで帰るんやろ? 8時になったら電話して」 「どうして?」 「仕事に寝過ごしたらいけないから」 ……今、2時だけど。6時間寝て、目覚ましでも起きられないってか。 ああ、やっぱり性格検査通りのやつだよ、こいつは。
病院に帰って、血糖値の検査をしたら、前回は90まで下がっていたものが今日は100。……ストレスが血糖値を上げるって、本当なんだなあ。 夕食はあなごと夏野菜の和え物、ささみの和風サラダ、メロン。心なしか、一つ一つの味が微妙に苦い。
テレビ、『目撃ドキュン!』、いま日本に急増中とかの「パラサイト夫婦」の特集。要するに両親のもとに同居して働かない夫婦ってことなんだけれど、別に夫婦に関わらず、男も女も、誰かに寄生しようと虎視眈々、狙ってるやつってのはいくらでもいるよなあ。「専業主婦」も「だめんず」も、たいていそんなやつだ。ウチのしげだってほとんどサナダムシだし。 これで私が痩せないというのは理不尽だリムジンだ(c.田中邦衛)。
東京のこうたろうくんに電話、同人誌を入手したことを伝える。 「おまえさんのがなかったら、寂しい同人誌になったと思うよ」なんて言ってくれて、泣けるじゃないか。誤植や言葉の誤用が多くて恥ずかしいんだけど(「コロリと言われて」なんて書いてるけど、「ケロリ」の間違いなんだよね〜。お恥ずかしい)。 「エロさんところにも感想を書き込みしてみたいんだけどねえ、面識ないとやっぱり書き込みにくいよ」 まあ、そうだろうねえ。 この日記にも細々ながら、毎日20人程度の方が来られてるけれど(入院してから数人に減ったさ)、書きこみまではしてくれないものなあ。というか、男で中年でテメエの女房のことばかり書いてるやつの日記の掲示板に、何書けってんだよって思う人が大半だろうけど(^.^;)。 でも、悪口でもいいから、なんかあったら初対面の人も歓迎します。どうぞご遠慮なく「こんにちは〜」だけでも書いてみてくだしゃんせ。
吉岡平『真・無責任艦長タイラー3 邂逅編』(エンターブレイン・ファミ通文庫・670円)。 アニメ版のお色気看護婦さんのハルミもよかったけれど、小説版のクールなアサシン、ハルミもいいよなあ。 今のところ、オリジナル版の1巻を、3巻程度に引き伸ばしている計算になるけれど、ダレた感じがしないのは、小説家としての吉岡さんの腕が上がったってことなんだろう。 でもイラストはキャラの描き分けが今イチで、都筑和彦さんや平田智弘さんのほうがずっとよかったなあ。
マンガ、島本和彦『吼えろペン』2巻(小学館・560円)。 島本さん(あ、いけね、炎尾燃だ)のプロダクション、前の『燃えよペン』のころとスタッフが総替わりしてるみたいだけれど、新スタッフの中で文句なしに面白いのは、「子ども番組からすべてを学ぶ男・大哲」。 「マンガ家をやめて、体を鍛えてヒーローになるか? いや、ヒーローにはいつだってなれる!! 弱くなった肉体を改造して強化すればいいのだから!!」 現実と空想の区別がつかないやつって、やっぱり世の中には必要だと思うぞ。シュリーマンの例もあるし。 ……ニセ炎尾燃ってのは富士原昌幸がモデルだろうか。実際、島本さんより面白いもの描くこともあるけど(笑)。
マンガ、山田風太郎原作・石川賢作画『柳生十兵衛死す』2巻(集英社・530円)。 うわあ、破軍坊(『伊賀忍法帖』のキャラね)、わずか6ページで使い捨てちゃったぞ。もったいないなあ。続々とキャラクターを出してくるのはいいけれど、収拾がつかなくなりゃしないかなあ。前作の『魔界転生』ではムリヤリ自作の『魔獣戦線』にリンクさせちゃったけど、今度も突拍子もないこと考えてそうな気がするなあ。 石川さん、『ゲッターロボ』や『虚空戦記』の描き足ししてたころはちょっとセンに力がなくなってたけど、少し調子が戻ってきている。師匠がまたぞろ『キューティーハニー』描いてハジさらしてる分、石川さんにはがんばってもらいたいよなあ。
2000年08月22日(火) とんこつラーメンは臭い/『ここだけのふたり!!』8巻(森下裕美)
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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