天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

週末はペンシルバニア - 2003年09月26日(金)

お寿司を食べに行った。イーストビレッジにはたくさんお寿司やさんがあるけど、アパーウェストにちゃんとしたお寿司やさんが進出したのは最近らしい。「ちゃんとした」っていっても日本人の経営じゃなかったけど。でもおいしかった。「Good? OK? Bad?」ってわたしに評価を求めるデイビッドに「Good マイナスかな」って答える。デイビッドはお寿司が大好きで、今週は3日もお昼ごはんにお寿司を食べたって言ってた。

いつものように7時に目覚ましを合わせてもらって、ひとりで起きて用意して、ほっぺにバイのキスをして帰って来た。朝番のドアマンのおにいさんが、いつものようにおはようって言いながらヒヒヒヒヒって笑う。少し曇り空。なぜかいつもより車が混んでた。


今日の夜から教会のリトリート。ペンシルバニアに行く。
2週間ぶりにジェニーに会えるのが嬉しい。

デイビッドはジューイッシュの大きなホリデーで、家族でマサチューセッツのおにいさんのところに集まる。わたしは昨日仕事の帰りにジャックんちに寄って、お庭のしそを摘んでデイビッドに持ってった。ロードアイランドのおうちからハーブを摘んで持って帰らせてくれたお母さんに、お返しに。ジャックんちには、ジャックのヴィエトナミーズの友だちのヘンリーが育ててる日本のしそがある。「ジャパニーズ・バジルだよ。いい匂いじゃない?」って渡したら、デイビッドはその匂いをあんまり好きじゃないって言ったけど、お母さんにあげたいのって言ったら喜んでくれた。


週末、お天気がよくなればいい。
わたしのリトリートのためにも、デイビッドのホリデーのためにも。

これからシャワーを浴びて、支度。

行ってくるね。


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おやすみ、Sweetie - 2003年09月24日(水)

先週、サルサのクラスでリズム感がいいって褒められた。
誰がパートナーでも、パートナーがちょっとでもリズム崩したら一緒に踊ってるわたしが即座にリズムを戻してあげるんだって。「魔法みたいに」って言われちゃった。セカンドビートで入る方が大好きで、ブレイク・オン・2がすっごく体に馴染んでるだけだと思う。でも嬉しかった。「魔法みたいに」が嬉しかった。

それでちょっと自信ついちゃって、今日は最初の30分のソロの練習もなんかすごく上手く出来たような気がする。もっともっともっと上手くなりたい。

サルサの先生もアニーとおなじに、わたしの名前を上手く言えない。それでいつもわたしを Sweetie って呼ぶ。「No, no, Sweetie。ひじは肩の高さ以上に上げない、Sweetie」って。わたしは Sweetie って呼ばれるのが好き。エレベーターの中で誰かに会って「Hi, Sweetie」って言われるのも、年上の女の人から Sweetie って呼ばれるのも。

今朝は癌の患者さんのサポートグループのセッションがあった。ドクターとナースとソーシャルワーカーとファーマシストとわたしで、B5の癌患者さんを集めてお話するクラス。なのに。遅刻した。着いたらもう終わってた。バカ。慌てて参加した患者さんの病室を回って、ひとりひとりとお話する。毎月キモセラピーに来る韓国人のキムさんは日本に住んでたことがあって、会うたびに「こんにちは」って日本語で言ってくれる。離婚したあと毎日毎日苦しかったけど、今はアメリカ人のフィアンセと幸せに暮らしてる、って前に言ってた。退院するときに必ず迎えに来るフィアンセの彼はとても優しい人で、羨ましいなっていつも思う。

「この国じゃすべてがマテリアリズムなんだよ。恋愛だってさ。それを受け入れられないのがきみの問題なんだ」って、このあいだデイビッドのことを話したときにカダーはわたしにそう言ったけど、そんなことないと思う。愛し合うこと。思い遣りあうこと。いたわり合うこと。支え合うこと。理解し合うこと。尊重し合うこと。掛け値なしのそんな恋愛だって存在しなきゃウソだ。

お昼休みにはジャックとロジャーを乗っけてもうひとつの病院に車で走る。ペンションを申し込むために。毎回お給料から90ドル引かれるってわかって、もう手続き済ませてからなんか落ち込んじゃった。先のことより今のお金のほうがわたしには大事なのに。「貯金だから」ってみんな言うけど、また恐くなる。でもお天気がよくてあったかくて、車の中でぎゃあぎゃあはしゃいで騒いでおしゃべりして楽しかった。

そんな一日。


今日は母に電話しなかった。妹とも話さなかった。昨日は父にも電話したけど、何も言えなかった。メールアドレスが無くなっちゃったからメールして、ってだけ言った。大丈夫。大丈夫、大丈夫。そう信じたい。

夜、デイビッドに電話する。

電話の最後にデイビッドが言った。「おやすみ、Sweetie」。
わたしの一番好きな呼ばれ方。


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方程式じゃ解けない - 2003年09月22日(月)

ハリケーン・イザベルの影響で、土曜日のビーチは波がざぶんざぶんと高かった。
洗濯機の中みたいに真っ白になる波打ち際に寝転んで、白いアワアワにまみれる。立ち上がると向こうからやってくる大波にバシーッとノックダウンされるから。「乗り切れない大波はざぶんと波の下に潜り込むんだよ、やってごらん」って、デイビッドは少し沖にわたしを促すけどわたしは恐くて行けない。ナターシャでさえ、ざぶーんと打ち上げる高波に上手く潜っては波の向こうに顔を出して泳いでるのに。

日曜日は穏やかな波に戻った。だけど水は、胡椒を入れ過ぎたわかめスープみたいに砂と海藻がうようよで重たかった。デイビッドとナターシャはふたりでどんどん先に泳いでく。やっと追いついたころにはくたびれてくたびれて、足の届くところまでデイビッドに何度も背中を押してもらってビーチに戻った。ナターシャとデイビッドは、わたしが歩くビーチと平行にいつまでもふたりで泳いでる。わたしってほんとに体力なし。あんなふうに泳げるようになりたい。

水はあったかかった。太陽も眩しかった。土曜日も日曜日も一日中ビーチで過ごした。サンスクリーンを塗らなかったから、何時間も寝そべって CD を聴きながら本を読んでるあいだに背中と足が真っ黒に焼けた。

日曜日の晩ごはんはパスタにした。前に行ったときわたしが作ったなすのトマトソースをデイビッドはとても気に入ってくれてて、おんなじのが食べたいってデイビッドが言ったから。作ってる間に、わたしにお庭のハーブを摘んで持って帰るようにって言うお母さんからの留守電のメッセージをデイビッドが伝えてくれた。デイビッドはメスクランとグレープトマトのサラダとブルーチーズのドレッシングを作ってくれた。

どこにでもある物語と同じに、2回目のロードアイランドは2回目ほどにだけ素敵だった。それでもとても楽しかった。またケンカもしたけど。日曜日の明け方にわたしの携帯が鳴り続けて、ぐっすり眠りこけてたわたしはその大きな音さえ気がつかなかった。起こされたデイビッドはそれから眠れなくなって文句を言った。ID が unavalable になってたから日本からだってわかった。あの人かもしれなかったけど、母に違いないと思った。デイビッドはサマーハウスの電話から母に電話するように言った。また明け方に母から電話があって起こされたらたまらないからって。わたしは恐くて自分から電話が出来なかった。恐くて出来ない理由を聞かれた。

わたしの家族のこと。母と妹に起こってること。起ころうとしてること。わたしはデイビッドに促されながら全部話した。こんな普通じゃない家族のことをデイビッドに話すのはいやだった。デイビッドは幸せな家庭に生まれて育って、両親とも兄弟とも仲がいい。話すのはいやだったけど、話したらほっとした。だけど少し距離を感じた。「きみはひとりでアメリカにいることにギルティを感じてるんだね」「帰らなきゃいいよ、帰りたくなければ」。そう言ってくれるデイビッドはあったかかったけど。



金曜日の夜、出掛ける前にデイビッドはパメラとクリストフを誘おうかって言った。ex-ex-ex-ex-ex-ガールフレンドとそのだんなさん。わたしが返事をする前に、デイビッドは電話をかける。「その人たちが来るならわたしは行かない。3人で楽しんで来て」。「なんで?」「疎外感を感じるのが目に見えてるもの。わたし楽しめないよ」。デイビッドはちょっとアップセットしてたけど、選ぶのはデイビッド。ロードアイランドに行けないならわたしは土曜日のサルサ・パーティに行けるからいいやって思ってた。結局最初の予定どおりにふたりで行くことになった。

なんで ex-ex-ex-ex-ex ガールフレンドのパメラと ex- ガールフレンドだけ、いつまでもそんなふうにつき合える「友だち」なんだろ。帰りの車の中で聞いたら、「ふたりはただのガールフレンドじゃなくて、ガールフレンド以上に友だちだったから」ってデイビッドは答えた。

「友だち>ガールフレンド、when 友だち+ガールフレンド=1」?

わかんない。

じゃあわたしは一体デイビッドのどこにいて、なんでわたしはそんなことにこだわるんだろ。ジェニーもフランチェスカも「こだわるのが普通じゃん」って言ってくれるけど、こだわる必要ないのにこだわってるような気がする。





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行きたくない。行きたい。 - 2003年09月19日(金)

ハリケーンの名前はイザベルっていった。イザベルは去った。
「ハリケーン・イザベル」「ハリケーン・イザベル」ってテレビのニュースで繰り返すから、「イザベルって名前の女の人たちカワイソウ。当分『ハリケーン』って呼ばれるよ」って真面目に言ったらデイビッドは肩すくめてた。

イザベルが去って、デイビッドとわたしはこの週末、またロードアイランドで過ごすことになった。先々週「行こうか」って言ったのはデイビッドなのに、昨日はすっかり忘れてて、「行こうってあなたが言ったんじゃん」って今朝仕事に出掛けるときにまだ眠ってるデイビッドをゆすって拗ねた。

お昼休みにオフィスの引き出しに押し込んだパースの中から携帯が鳴るのが聞こえる。

もう諦めかけてたのに、「今夜から行くよ」って。

イザベルは去って、週末はとてもいいお天気になるらしい。
あの一ヶ月前みたいに素敵になればいい。



だけどなんか胸騒ぎする。
とても悪いことが起こりそうな。

なのに行く。
今夜からまたロードアイランド。

胸に重たーいもの抱えて
大丈夫かな大丈夫かな平気かな。

デイビッドのことかもしれないけど
それよりうちのことだ。

わたし、もしかしたら少しのあいだ日本に行かなきゃなんないかもしれない。

行きたくない。
行きたくない。


わかんないけど、今ロードアイランドに行ったらわたしの人生がそっから先ボロボロボロボロ崩れて行きそうで、「ああ、あの日が始まりだったんだ」っていつか今日のことをそんなふうに思い起こすんじゃないかって恐い。

それはどこで?
日本に行きたくない。行きたくない。


それでも今ロードアイランドに行きたい。


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How deep is your love? - 2003年09月17日(水)

一ヶ月経っちゃった。
コンピューターが壊れて直そうとしたけど直らなくて、修理代に500ドルかかるって言われたから諦めて泣く泣く新しいのを買って、一からセットアップしたけど日本語使えなくて。やっと日本語は使えるようになったけど、まだ前のバージョンのようにはいろんなこと完璧に使いたいように使い切れない。


一ヶ月経った。
ロードアイランドは楽しかった。
デイビッドは翌日の夕方のソフトボールの試合をパスしてわたしもベリーダンスのクラスをスキップして、一晩だけ泊る予定だったのが5日間一緒に過ごした。

毎日ビーチに行った。朝はふたりで、夕方はナターシャを連れて。
朝ごはんもお昼ごはんも一緒に作って、ビーチの帰りに買い物に行って晩ごはんもふたりで作って。ワンデイ・クルーズにも行った。タイヤを交換しなくちゃいけなくなって寄ったナントカって町も楽しかった。レイクにも泳ぎに行った。最後の日には、予定より早くサマーハウスにやって来たデイビッドの両親に突然会っちゃった。

帰り際、デイビッドのお母さんはミートローフのサンドイッチをふたりに作って持たせてくれて、お庭のバジルとチャイブとパセリを摘んでビニールの袋に入れてわたしにくれた。

思いっきりケンカもした。だけどみんな楽しかった。

写真をたくさん撮って、やっと新しいコンピューターからデイビッドに送ったら「Thank you, thank you, thank you, thank you」って、すっごく喜んですぐに電話をくれて、「僕たちはほんとに素敵な休暇を過ごしたよね」って言ってくれた。

新しいコンピューターにスライドショウ作って「How deep is your love」の BGM つけて、わたしったらバカみたいに毎日観てる。


「How deep is your love」なんて、ほんとはそんなじゃない。

日記書けないあいだにいろんなことがあって、
それは殆どわたしの中だけでのことなんだけど
だからなんにもなかったも同じなんだけど、

あんなにあんなにあんなに素敵な休暇を過ごせたのに
やっぱりインセキュアなまんまで
また一からかな、って今は少し淋しい。

でも多分わたしは幸せ。
半分くらい幸せ。大丈夫。

日記が書けなくなったのは神さまの計らいかなって思う。
日記に書いてるとね、楽しいことが楽し過ぎるみたいに、悲しいことが悲し過ぎるみたいに考えてしまうからね。考えすぎないようにって神さまの計らいかなと思う。


あの人はちゃんと電話をくれる。
相変わらず忙しくて忙しくて、体調崩したりまた歯痛くなったりそんなんばっかだけど、
声を聞くたびからだごとじわっと微笑みになって
どっか痛いっての聞いてはいちいちあの娘のこと心配したときみたいに心配して

知ってる? 天使。How deep my love is。

明日は木曜日だからデイビッドに会いに行くけどね。


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