詩のような 世界

目次


2007年08月26日(日) Boy's Tears


壁掛け時計の長針と短針がぐにゃりと曲がり

スピードを上げて左に回り始めた



窓の外からあたたかい風

時の流れの匂いがして

きみにおしえようとしたけれど

僕の腕の中で永遠を手にしたかのように

きみは安らかな顔で目を閉じていたから

僕はさらりと落ちるその髪を撫でながら

また独りになった

独りになるのは慣れている



きみはかわいい子猫のようだった

僕は冷え性の猫が哀れで愛しく

僕を見上げて涙を流す君は幸せそうだと

思った

痛々しく、欲しかった


どこへ行ってしまったのかな

きみが見つけた大きな木は

あんなにもすぐに枯れてしまったのか

今となってはわからない

あの時気づいていれば

僕は朽ちなかったのだろう

きみの小さな手のひらの中で


どこか遠いところで

ちゃんと泣けているかな

迷い猫のようにさまよわず

ちゃんと泣けているかな



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