詩のような 世界
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2007年02月28日(水) |
It is love |
あの頃
君と僕は探し続けていたね
車に乗って、電車に揺られて
気分転換に、と理由をつけて
歩き回った
前後左右、瞬きするのも忘れて
きっとあるはずだ
出会えるはずだ、と
そんな歌を聴くことはとっくにやめていた
ねえ
見つけなければいけない、と焦ってしまうよね
少し欠けているくらいがちょうどいいんだよ
口では簡単に言えても
鼻で笑っている黒い影を無視できない
切なくも
たとえそいつを追放できたと錯覚しても
僕は少し経てば
また、暗い夜空にぽつんと取り残されるだろう
あれから、君と僕は別の道を選んだ
君はもう宝物にたどり着いたかな
僕を忘れて生きていく君を知ったら
少しは涙ぐんだりするかもしれないけれど
僕はずっと覚えている
覚えているよ
いつまでも残るようなものを探す旅に
終止符は打てない
君とのすてきな時間を感じてしまったから
とても疲れて
寝たふりをしていたよ
優しく頭を撫でられる
夢を見たくて
クッションを顔に押しつけた
息ができない
何も戸惑う必要などないのよ、と
ドレッサーに座るフランス人形が微笑んだ
ように思おうとした
「ここ」にいるから
僕は「あっち」にいない
それだけのこと
穏やかに流れていきたいと願っているのに
矛盾しているんだ
居場所なんて見つけるものじゃない
鏡の中に、僕がいる
ただ、ただね
美しい巻き毛の人形は
近くにいても
一緒に寝てはくれない
凍りついたような笑顔で
そこにいるだけで
2007年02月22日(木) |
Flower Garden |
花柄の靴がほしかったけれど
ポケットのお金が足りなかったから
黒い靴しか買えなかった
何度か履いていると
ちょっとお気に入りになった
お花畑まで歩いていった
黒い靴はその中で
すごく目立った
闇の帝王のように
私は赤白黄色畑の上を走り回った
踏み潰された花たちは
朽ちるときも「クシャ」と
かわいらしかった
黒い靴は土にまみれ、泣きながら
裏に花びらの残骸を
べっとり貼りつけていった
花柄になるまで帰らない
見下ろし微笑む私
叫びながら懇願する靴
汚れきっているのはどっち?
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