詩のような 世界

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2004年05月20日(木) 混濁



行ったことのないところへ行きたいわ

そんなわたしの我侭を
あなたは笑顔で受け入れて
海色の車を走らせた
時速40kmの安全運転で

フロントガラスが
打ちつける雨粒を舐めまわして吸い込む
左右に振れるワイパーに目を奪われていると
軽い眩暈を覚えた

今どこへ向かっているのか
今となりに誰がいるのか

わたしはいつからここにいるのか
それとも本当にここにいるのか

吐き気が呼ぶのか
吐き気が呼ばれたのか

酔った?

手が握られた
手に
声に

睫毛が涙を食べた
おいしそうに
意地悪な笑いの中で

わたしを
知っているのは
わたしを
知る者だけだ

眼前の水流に夢中になる
打たれたい、と願い
止められないことを呪い

ああ
とめどなく落ちる
そこに
わたしを匿ってもらえないだろうか


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