詩のような 世界

目次


2002年04月28日(日) go home


電車の窓から
流れる景色を眺める
懐かしい風が僕をさらっていく
穏やかな左胸の鼓動

どこからか聞こえる
金属バットがボールを捉える音
絶えず空に響き渡る
かつて僕も土を駆けていた

忘れかけていた素直さや
良い意味での幼さを
不鮮明なものにしないように
僕はぎゅっとこぶしを握り締めた
痛いほどぎゅっと

汗まみれのあいつの笑顔
まだはっきり覚えてる
セーラー服姿のあの子の応援歌
今も耳に残ってる
大切なものはいつまでたっても大切だから
きっとずっと忘れない

電車が揺れる
澄んだ空気が眠気を誘い
木と水の粒子がきらきらと香る






2002年04月27日(土) 召還



寒くて
暑くて
凍えそうで
汗ばむ


従順に回らない
決められたサイクルを
呪うのはとても簡単


機能しないこの命を
お与えになった神の意思を知りたい
胸の上で手を組む


うまく十字架をきれたら
僕を呼んでくださるの?










2002年04月17日(水) 飛ぶ鳥は今も



これで見納め
そう言って君は八重歯を見せた


偶像だろうが何だろうが
君が鳥になって飛んでいったことは
否定できないような気がしてる


今ごろ君は遠いお空で
ずるい笑顔を振り撒きながら
煙草の煙を吐き出してるはず


そんな君を思い舌打ちしながら
空を見上げ鳥を追いかけてる私って
そこそこ馬鹿なのではないでしょうか







2002年04月16日(火) 愛しく不確実な位置



青緑の海
木々の光
可愛い貴方

それさえ揃っていれば
生きていけると確信していた
何があってもそれさえあれば
肝心な部分は失わずにいられる

強い思いはその強さゆえに
打ち砕かれれば弱いもので
空洞となった清い位置には
代わりに当てはまるものもない

3つのうち1つが不確実で
形のないやわなものだった

壊れやすいものほど愛しいなんて
解っていたはずだったのに?





2002年04月15日(月) chance



真っ白な声

取り入れろ
取り入れろ

僅かな隙間をアイツは狙うから


上昇気流に乗れたらラッキー
瞬きした瞬間に追いてかれる
急げ
走れ
乾いても
いずれ涙が潤してくれるから


アイツが呼んでる
耳を鉄の両手で塞がなきゃ
底を覗けば大きな牙が
僕を食いちぎろうと待っている


天の声
絶えず聞け
取り入れろ
取り入れろ
黒い唸りはどこまでも響くけど


風は竜巻となって僕を見捨てないから
僕が僕である限り


きっと幸運はこの手に






2002年04月14日(日) ゆめ



遠い場所で君と会ったよ

よかった
君はまだ生き続けている
僕の心の片隅に


現れてくれて有難う
君の笑顔は変わらないね
触れることはできなくても
変わらない笑顔を見れた
それだけで…


過去は嘘じゃなかったと
教えてくれた
優しいね
僕の色を失った目に
君が気づくことはないけど


好きだったよ
嫌いにはなれなかったから
やっぱり好きだったよ
本当は触れたかったんだ
君に







2002年04月11日(木) 透明の檻


上手く笑おうとして口元が歪んだ

相手は思った通りの苦笑い


コントロール不能者たちは

別に助けを求めてなんかいない

妙な価値観を押し付けられやしないから


この巨大な動物園の中で

檻に入れられているのは誰か?

僕なのか君なのかあの子なのかアイツなのか


自分のいる場所が檻の中だと気づいていたら

きっとまだ大丈夫






2002年04月10日(水) 「2つ」




ねぇ

何が欲しいか解らないの
自分のことなのに解らないなんて笑われるよね

解らないのなら何も要らないってことじゃないの?

でも満たされない
何を見ても
何を感じても
物足りなくて不安で息が苦しい


確実な平穏が欲しい
そうなんだ
今が宙ぶらりんだからいけないんだ
でもそれだけ?
違う…


男が欲しいわけでも
女が欲しいわけでも
決まった誰かにそばにいて欲しいわけでも
ない


刺激が足りない?
そうかも
人は平和ボケするから
でも待ってよ
さっき平穏が欲しいと言ったじゃない


ああそうか
平穏と平和は微妙に違っているんだ


幸せが約束された平穏と
死ぬほどじゃない刺激

解った
この2つを求めていたのか


だからどうする?って話なんだけど、さ







2002年04月09日(火) 癒える傷



君も去って
僕も去って
1つの季節が終わった

あっけないものだ

それでも理由を探していた
僕が飽きっぽかったのか
君がそっけなかったのか

考えること自体馬鹿げてる

今となっては君を思い出しても
胸が重くなったり
甘い余韻に浸ったり
そんなことはなくなった

いい傾向だね
次に進むためには
これでいいんだよね?




2002年04月08日(月) day by day




赤い空き缶を蹴ったら

間抜けな音とともにそれは飛んでいった



灰色の空を見上げても

雨の降る気配は全くない

曖昧なことが嫌いなんだよ

曖昧なことに助けられてるけどね



歩いていると視力が徐々に低下して

道が凹んで見えるのはどういうことか

解りたくないような

落ちてみたいような



使わないかもしれない傘を持った人たちが

硬い表情ですれ違っていく

自己嫌悪に陥ってる最中だったりして



10メートル先にさっき飛ばした空き缶が転がっている

すぐそこには空き缶用ゴミ入れ



もちろん僕はそのまま通り過ぎた







2002年04月07日(日) 本質



不器用なものね

するりするりと問題をかわして

用意された幸せに辿り着けばいいのに



お互いを欲しているのに

なぜその手を離すのだろうか

誤解や嫉妬やすれ違いのなせる技か



不器用なものね

でもそれが人間という生き物




2002年04月04日(木) WINNER



炎の中で戦い抜いたら

目の前には楽園が広がっているはず



頬に染みついた涙は

流れる熱風に乾かされるはず



焼け焦げてボロボロになった服は

勝利の勲章となって永遠に残るはず







2002年04月02日(火)




僕は何もできないから

フローリングの床に座り込んで

狭い宙を眺めていた


身体は石のように重く動かなくて

空しい静寂だけが増すばかり

狭い宙は更にどんどん狭くなっていく


なぜ何も聞こえないのだろう

窓の外は昼間なのに真っ暗で

人々はどうやって歩いているのか解らなかった


手のひらが乾き始めて

耳たぶがじんじん痛み

ここに僕はいるのかと疑問に思う


外の闇が部屋の中に入り込んできた

天井は徐々に低くなってくる

僕はこのまま飲み込まれるだろう


誰にも知られることなく

誰の呼び声も耳に入ることなく


僕はこのまま宙に取り込まれるだろう







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