詩のような 世界

目次


2001年07月29日(日) +花束+




砂浜で彼女は砂を蹴っていた

白い砂が舞い上がり彼女の足にかかる



下に散らばっていた花々を彼女は拾う

白く大きすぎる花びらが一枚

風に飛んで消えた



「私は平気だから」

真っ赤な唇から落ちた言葉

高波が彼女を威嚇しても

人形のように細い足は動じない



誰にも居てほしくなんかない

私を気にしてくれなくていい

薄笑いをうかべながら叫んだ

目の奥は暗い光で満ちている



彼女は顔が隠れるほどの大きな花束を作ると

その真っ白な物体を思いっきり海に投げた

すぐに波打ち際に戻ってきてしまう

「遠くに行って・・・」

聞き取れないようなかぼそい声



過去という名の花束を

広大な海に沈めようとした彼女は

水を含んで重たくなったその過去を

これからどうするつもりだろう・・・

















2001年07月28日(土) ○綺麗なモノ



白い肌

大きな目

外国人みたいな顔

綺麗。



美しさは一種の能力

周りの者を一瞬でも心地よくさせるんだから

だけど手に入れたとたん

傷がついてしまう場合もある



輝くものはあこがれのまま

触れずに小さな箱にしまっておくべきだった

フタをしてリボンできつすぎるほど固く結び

一生封印しておかなければいけない



ルールを破ったわたしは

あれにヒビを入れ

自分の内部にどす黒い鉛を埋め込んでしまった

自業自得だ





自業自得だ

全部、わたしが悪かったのね。







2001年07月27日(金) 天気雨


澄んだ水色の空から大粒の雨が降る

太陽はかまわずギラギラと主張しつづける

異様な光景だと私は呆れたフリをしたが

本当はその華やかさに魅了されていた 



雨の中に立ち空を見上げる

水はこの身体を濡らし尽くす



降ってくる雨粒と逆流して空へ・・・



そう祈って太陽に右手をかざしたけれど

私の意思に反して人は次々に傘をたたんでいく

腕から滑り落ちた雫は地面に転がり吸収され

2度と空には戻れないことを私は知っていた






















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