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熱血青春日記(癒し系)
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2005年12月31日(土)
1秒長く

「私、今日の夜くらいに旅行から帰ってくるから、そのままいつもの所で待ち合わせて、今年も初詣に行こう?」
というメールが彼女から。それまでは、友人のカローラで暴走……もといドライブしようと思っていたんですが、なぜか友人からのメールが妙なタイミングで途絶えてそれきりだったので、彼女に誘われるまま札幌駅に向かうことにしました。

 昨日、飲みに行く途中古本屋で買った「君たちはどう生きるか」というタイトルの本をバスでゆっくり読もうと思って、約束の一時間前にバス停に立っていたんですが、なぜかバスが一向にこない。次のバスが来る時刻になってもこないし、バスどころかタクシーすら来ない。誰もいねえよ。みんな初日の出暴走でもしに行ったのか。仕方が無いので自分の車で最寄の駅まで行きました。そこから地下鉄に乗り換え、待ち合わせの場所へ。

 今年は去年の反省を活かして年内に神宮に到着する。年明けと共に開門するらしいので、開くまで門の前で彼女に文学史の講義をずっとしてました(笑)漱石がいかにすごかったか、という話。その後話題は世界史に移って、何時の間にか年が明ける。おめでとうございます。
 ところで、2005年は1秒長いらしいですな。うるう秒の挿入があるので、11時59分60秒という時間が存在するのだ。でもお得感はゼロでした。知らないうちに明けたから笑


 神宮に入って、5円が無かったので20円を
「くらえ!」
 と神様に向かってブン投げて(駄)、お参りをし、神社の人が
「おめでとうございます」
というので、今年も
「ありがとうございます」
と条件反射で答えてしまった罠にハメられながら必勝祈願と交通安全のお守りを買い、出店で甘酒とドネル・サンドを買って一息つく。あけましておめでとうございますってさ、おかしくない? 俺は何もめでたくないじゃないか。もっとほかの言葉を普及させるべきなんじゃないか。


 神宮を抜けて地下鉄で大通りまで戻ってくる。そのまま帰るのもあっさりしすぎているので、どっか寄っていこうか、という話になって、とりあえず車を取りに行くことにして、自宅の最寄り駅に行く。
 車に乗り込んで
「じゃ、初日の出暴走しに行くか」
 と言うと、きゃーおまわりさーん等と叫ぶので安全運転でとりあえず発進。
 ネットで衝動買いした長谷川都のCDをかけ、これいいよ、と歌いながら運転していると体が全自動で家に帰ってきてしまう。意識してないとインプットされた道しか走れないんだよ。
 とりあえず自室でだらだらしていると時刻は午前3時を過ぎる頃で、
「じゃ、そろそろ寝ようか」と言うノリになり、とりあえず布団しいて、そこらへんに干してあった寝巻きを渡して何か知らないが泊まっていかれました。新年から無計画。



2005年12月30日(金)
BAR

 5日間くらい連続でカロリーメイトブロックしか食べていないので、いいかげん胃腸がやる気をなくしたらしく、どうせ俺は用無しさ的なノリで職務怠慢をするおかげてものすごく胃凭れなゆうさんですこんばんは。

 午後になってから美容室に行き、この5日間の激務の話をすると、
「そんな若さで大変だねぇ。500円でマッサージやってるけど、どう?」
 と八代亜紀似の店長(本人は増田恵子に似てると主張している)に言われ、なんだか思わずお願いしますと言ってしまう僕。商売上手だなあ;
 けどこのマッサージが正解で、もんのすごく凝っていたのが一気にすっきりする。これで500円とは、また頼もうかな。
 帰り際、なぜか店長がオレンジジュースの缶を渡してくれる。嗚呼。


 家に帰って、あーだりーと思っていると電話がかかってくる。友人からで、今から飲みにいくぞ、とのこと。いつもの店かと思ったら、ススキノまで出るらしい。めんどくせえなあと思って、断ろうとしたのに、口が勝手に「行く」って言いました。そう、口が勝手に。


 行った店はナントカというバー。バーなんて初めて入ったよ。この友人の趣味はよく理解できないが、まあいい経験になるだろう。
 バーの酒がやたらに濃くて、自分はあんまり酔わないほうなんですが、それでもちょっと目の前がふらふらする気がする。友人はすっかり酔ってしまい、意味不明なほどテンションがあがってやたらにうるさい。そのうちキスをしてこようとしたので殴りました。
 帰りも大変。ずっとなぞのテンションで一人勝手に盛り上がっている。こんなに酒癖が悪い奴だったのかと思うけど、ちょっとおかしすぎないか。寂しいんだろうなあ。きっと酒の力を借りて抑圧していたものが一気に噴出するんだよ。その証拠に次の日、こいつはきっと記憶がない。忘れるんじゃなくて抑圧するんだ、などと考えていました。

 しかし、そんなことより、胃が痛いのになんで飲みに行ってるんだろう、自分。



2005年12月26日(月)
カロリーメイト

 講習2日目ですでにラリってきた。
 メシ食う暇もないので、自分のデスクに戻ったときにカバンに突っ込んであったカロリーメイトを齧りながらすごい勢いで書類を書いていると、同僚もやっぱりカロリーメイトを大量購入してて、二人でカロリーメイト話にやたらと花が咲く状況。あれってさ、地味にフルーツ味が一番ウマいよね、という話になる。僕はもともとチーズ好きなので、チーズ味をよく買うんだけど、さすがに毎日チーズじゃ飽きるよな、と思って4つの味を満遍なく購入したんだけど、次からはフルーツ味箱買いしてもいいかもしれない。というか、実際味わっている暇なんか無いから何味だってかまわないんだけど。要するに次の授業で倒れないだけの栄養が補給できりゃあなんでもいい。
 一日で口にするのがカロリーメイト2箱。ビタミンだけは所要量を確保しているから死にゃしまいと思うんだけど、さて最終日まで生きてるかどうか。摂取カロリーは一日800kcalだな。はは、一日2500kcal必要なんだけど、バリバリ下回ってるな。まあ、最近太ったし、やせるにはちょうどいいかもね。

 お腹すくかなと思ってたんですが、カロリーメイトってめちゃめちゃ腹持ちいいね。朝昼兼用で4本食べたらもうお腹いっぱいで何も食べられない。腹の中で急速に膨れ上がる仕組みなのか、食欲がなくなったのか。
 毎日体重計に乗って記録でもつけとこうかしら。



2005年12月25日(日)
風まかせ

 今日から地獄の冬期講習が始まりました。今日は3コマのみの授業だから、まあ楽かなと思っておったんですが、なんだか異様に体力を使ってしまった。だいたい頭がまだ治ってないというか、治す気がないというか。来年度の契約更新時に絶対サインしないぞ。

 仕事は18時に終って、それから同僚と吉野家で晩飯。今日カロリー貯めとかないと、明日からは飲まず食わずで13時間労働だぜ。昼も夜もないよ。休憩時間すらもらえないので一日一食、出かける前に栄養だけは補給しようと、ドラッグ・ストアで50円引きだったカロリーメイトを大量に仕入れてきました。僕、年内に死ぬんじゃないかな。
 吉野家から出ると、明日早いからとすぐに帰宅……するつもりだったんですが、このまま帰るのもなァ、と思って適当にドライブをすることに。今日はせっかくクリスマスなんだから、なんかおもしろいことでもしたいと思う。

 無意味に走り続けていると、ちょうど彼女が今、働いているはずの店が近くて、ちょっと悪戯心が働いて、何食わぬ顔で「これお願いします」なんて客に混じって言ってやろうか、と思う。
 彼女は近くのデパートで、ラッピングのアルバイトをやっている。
 174cmなんですけど包めますか、みたいな。

 最初は思いつきにわくわくしてて、カー・ラジオから流れてくるドリカムの「何度でも」を口ずさみながら駐車場に車を入れたんだけど、店内に入って彼女が働いているであろう場所に近づくと、これ、本当にいたらどうしよう、会ったら恥ずかしいな、などと当然のことを考える。後先考えずにとりあえず行動してみるのは僕の悪い癖である。
 たぶん傍目からみたらすごい怪しかっただろう。周囲を警戒しながら、そっとサービスコーナーを覗くと、兄さんが2人くらいいるだけで、彼女の姿はない。店内をぐるりと一回りしましたが、やっぱりいませんでした。しっかし、スタッフの数が多いな。うちの教室なんざたった5人で全学年の面倒みようってんだから、そら9コマも指導来るよな。会社で一番担当生徒も多いよそりゃ。
 企業ってのは人ありき、だよな、と最終的に関係ないことを考えながら、せっかくなのでカフェオレを買って駐車場に戻ってくる。コロッケの移動販売があって、ちょっと買っていこうかなと思ったけど、なんだか店員さんに話し掛けるのが恥ずかしくてやめにした。
 車に乗り込んでエンジンをかける。振り返れば、そういえば初めて来たデパート。何やってるんだろうな、と自分のあほらしさに笑えてくる。

 カフェオレを飲みながら帰る道、ラジオからは長谷川都のアコースティック・ライヴの模様が放送されていました。聴くのはもっぱらアジカンとかラルク、アンダーグラフ、バンプか、聴いてもポルノと男性ばかりで、長谷川都なんか聴かないんだけど、今日に限ってはなんだか長谷川都ってすごいいいな、と柄にも無く、耳を傾けてしまう。家に帰って、早速ネットでCDを買ってしまったくらいだ。自分へのクリスマス・プレゼントとして。
 ライブの中でも「風まかせ」という歌がずいぶん耳に残って離れなかった。忙しい毎日の中でも、難しいことは置いといて、君が横にいる幸せがある、そんな単純な歌。

 “恋をする”ってそんなもんじゃないだろうか?
 いつもそこにいるわけじゃなく、たまには今日みたいにすれ違う日もある。
 ああ、俺って恋をしちゃってるんだな、と訳のわからないことをぼんやり考えながら帰る。一人のクリスマス。楽しいクリスマス。








 今日は美しい日記だ。うん。



2005年12月24日(土)
「えらい」人。

 頭痛くてしょうがない。

 昨日は帰ってきてから寝ようと思ったんですが、なんだか太陽がさんさんと降り注いでいるので眩しくて寝られない。部屋でカーテン締め切って、つまらないテレビでも見てたら途中で寝てしまうだろうと思って適当にテレビつけたんですけど、やってた番組がアキバ特集だかなんだかで、ああ、これなら速攻寝られるなと思っていたんですけれども、内容がなまいきなねーちゃんが社会を知るみたいな感じで、なんだか意外とおもしろくて結局見てしまった。

 メイド喫茶ってものすごく大変な仕事だと思うんですよ。知り合いのキャバ嬢お姉さんやホスト兄さんだって、この仕事って大変なのよって力説してたけれども、それに匹敵するんじゃないかな。キャバクラはお酒が入るからふっきれるっていうか、勢いに乗れるけれども、アレは素面でご主人様とか言わなきゃいけないんだぜ。並大抵の精神力じゃねえなと思って半ば尊敬の眼差しを向けていたんですが、本人たちは意外と楽しそうでした。そういうもんか。

 うちの近くに昔の同級生が働いているローストビーフ専門店があるんだけども、あそこも接客が行き届いている店なのね。クリスマスが近いからサンタの格好をして、「じゃーん! カリカリチキンでーえす」みたいな。20日に彼女とそこ行ったんだけど、おれは同級生を尊敬したな。これ見よがしに何度も僕らのテーブルに来ては何やら水注ぐだのなんだのしてったけど。最初顔隠してわからないようにしてたんだけど、彼女が「もう絶対バレてるからあきらめなさい」って言うんで同級生のがんばりを見守ってたんですけどね。隣の客のパソコンがどうとかいう話にも笑顔で付き合ってあげたり。すげえな。塾講師なんてやっているとサービス精神というものが養われなくていかん。「先生」という肩書きだけで尊敬されてしまう仕事だから、もっと自分を鍛えなければ。社長の言っていた『サービス哲学』というやつだ。


 で、眠れないまま友人の誘いにのって遊びに出かけて、カラオケなんぞ歌っておったら、次の日、つまり今日になってものすごい痛みが。もう安静っていう医者の言葉はどこへやら。録画しておいた「芸能人の寿命宣告スペシャル」とかいうのを見てたらだんだん怖くなってきたよ。本当はアドバイスする側の人間が何をしておるのか。まさしく医者の不養生だ。関係ないけど、あれの精神科の先生の見解は甚だ疑問というか、間違っていると思うんだけどな。まあ、精神分析学には詳しくないからなんともいえないが。


 薬を飲んで一日中寝ていたら結構収まってきたけど、対症療法だから治ったわけじゃないし、大人しくして無きゃなあと思うんだけど、あいにく明日からは5日連続で徹夜の日々だな。よく眠れるようにと知り合いの店で500円引きだったボジョレーヌーヴォなんぞ買ってきて飲んでいたら、また頭が痛み出したし。
 反省して、HPあたりで健康情報をまとめたりしようかしら。その常識間違っていますよ、みたいな。

 健康に生きるためにはまず今の仕事を辞めるべきだと思うよってツッコミが一斉に入ると思うんですが。何でそんなに働いてるのって彼女はいつも怒るんですが、この仕事、楽にやろうと思えばいくらでも楽に出来るんですよ。手を抜きまくれば時給のむちゃくちゃたかい楽な仕事になる。家庭教師にしろ、塾講師にしろ、そんなもんですよ。楽しようと思えばホントに楽。
 でも、きちんとやろうと思えば思うほどものすごくキツく辛くなっていくわけで、たとえば「動詞ってなんですか」状態のやつを第一志望に入れてやろうと思ったら、まず講師が相当な努力をしなければならない。わかりやすい指導法を開発したり、限られた時間をどう使うか、といったことに頭を悩ませて教案を何度も書き直したり、高校や大学の入試傾向を調べ尽くしたり、勉強以外にも年賀状を書いたり、必勝祈願のお参りに行ったりと、指導時間の何十倍もの“残業”がある。

 去年、塾講師とは別に家庭教師もやっていたんですよ。まあ、カテキョならみんな楽だって言うし、塾講師の合間に出来るだろうと思ってね。ところがどっこい、生徒がものすごかった。勉強を15年間まともにしたことが無いという。個人契約の家庭教師だから、正直お母さんには
「はっきり言って札幌市内にこの子が入れる高校はありませんよ」
 と初日に告げたくらい。トライアルテストを受けてもらっても結果は同じ。高卒資格ほしけりゃ大検しかないね、と言っていたんだけれども、第一志望は協議の結果、学区内で中堅校。大人しい性格の子だから、下のレベルの高校を受験すれば、あそこの学校は荒れているっていうからきっとついていけないと思うんですと親も言う。
 レベルを下げて安全圏を受験させるのは楽だし、安心だけど、行きたいところでやりたいことをやらなきゃあ、高校なんて行かないほうがいいんだよ。そこからはもう嵐のような日々。塾にも望みどおりの高校に行かせなきゃならないやつらがいるからそっちもそっちで大変だし、もうそろそろ死ぬかなくらいに働いたもんだ。
 途中からはもう、契約なんて関係ねえ、1コマ90分の約束は止めにして、おれはお前がこの問題を解けるようになるまで帰らねえ、ともう居座り続けてスパルタ教育。
 こんだけやって、家庭教師の方は一ヶ月一万円で引き受けてました。指導時間は「終わるまで」、科目は5教科。途中から、国語は問題ないからとほかの科目の時間に回したけど。本来集団指導の先生を独り占めするというのは、塾だったらものすげー高い金額になるんだけども、一万ってのはもうボランティアだねと同僚には笑われていたけど、“先生”っていうのはものすごい仕事なんだ。だから先生は「えらい」。えらいっていうのは「しんどい」という意味の方言で、いつも「えらい、えらい」と疲れた顔をしているから「えらい人」。えらい人はちゃんとがんばって立派だってんで、それが、今の「えらい人=偉い」という意味に変わったのだ。だから、教師は「先生」と呼ばれる。どこぞの家庭教師の宣伝でやっているけど、「家庭教師は楽」なんて言っているうちは「先生」なんて呼ばれないよね。「先生」=「勉強を教える人」じゃあないんだって。その後の人生に関わることなんだ。「先生」と呼ばれる職業を考えて見るといい。医者、弁護士、作家、政治家、教職。多かれ少なかれ、人の人生に関与する職業だ。家庭教師にしろ塾講師にしろ、サービス精神を持たなけりゃあならない。そんなわけで、「先生」は楽じゃない。


 去年のことがあってから、家庭教師の依頼が結構な数来てるんですけど、もうしんどすぎて全てお断りさせていただいてます。仕事人間って僕みたいなやつのことを言うんだろうなあ。僕はほんとに「えらい」。うん偉い。天才。




 ……生徒もそこんとこ、も少しわかってくれたらなあ。



2005年12月23日(金)
死神さんこんにちは

あのね。昨日の21時から働き初めて、今朝6時半に家に帰ってきたんだ。
過労で脳の血管切れ掛かったんで、医者に絶対安静を命じられたんだけどな。
ねえ、ひとつ訊いてもいいかな。
会社は僕にとどめを刺すつもりなのかな。



2005年12月20日(火)
人生送りバントや

 久しぶりに彼女さんに会いました。昼の12時半くらいに彼女宅近くまで迎えにゆき、適当に車を走らせる。特に目的も無く、札幌内外をぐるぐると走り回り、結局自宅にご案内。
 遅めの昼食をとった後、何をするでもなくごろごろして、夜になって近くのレストランで夕食をとって、彼女宅近くの川まで行き、車の中からぼーっと川を眺めて帰ってくるという、日記に書こうとすると、はて一体何をしたのやらといった具合でしたが、最近はこんなもんです。なんか、ノリ的に結婚後しばらくたって落ち着いた夫婦みたいだ。そろそろ子供ほしくない? ってな会話をどっちかがしそうな感じ。家でごろごろしながら、きっと将来こんな感じなんだろうなあとぼんやり思ってしまった。結婚なんか一ミリも考えたこと無いけど、なんだか妙に実感溢れてしまうなあ。
 大学の友達からはいつ結婚するのかとしつこく訊かれるんだけど、とりあえず今のところの僕の人生設計では大学院の博士課程まで進んで、そのまま研究生として大学に残りつつどこぞの病院で働くから、多分就職は24歳なはずで、1年間がんばって貯金を貯めたらとりあえず質素でもいいから一人暮らしを満喫する予定なのだ。一人暮らしに飽きてきたら結婚してもいいかな、くらい。とにかくおれは自由になるんだ。
 大学の友人からは「一人暮らしなんて1週間で嫌になるよ」と口を揃えて言われるんだけども、確かに一人暮らしは自分の場合長くはもたないと思う。だけど、家にあるものすべてが自分のこだわりをもって選んで買ったもので、言うなれば身の回りすべてが「いわくつき」みたいな。んで、週に一回、二回は友達が家に泊まりに来てパーティをやるんだ。たまには彼女を呼んで、二人でゆっくりするのもいいかもしれない。そんな自分の城が持ちたいんだよ。そして同棲を経て結婚したいんだよ。なぜかというと「おれ同棲してるよ。男(同姓)とじゃなくてね」っていうギャグを知り合い全員に言いたいんだよ。
 と思ったけど、就職してからなんざ、友人みんな忙しくて週二で泊まりなんて無理だし、結局仕事中心の生活で家なんか生きていくのに最低限必要なものしか置かない可能性が大だから、結局あんた早く結婚して人間らしい生活を送りなさいってな具合になるのかもしれない。どんな理想を持っていてもきっと現実は学部卒でどこぞの一般企業に就職して、1〜2年くらい経ったら
「もういちいちデートするの面倒だから結婚しない?」
「あーいんじゃね? じゃ明日市役所いっかー」
「家とか、ゆうのマンションでいいっしょ」
「家具もまんま使えんじゃね」
 みたいなノリなんだよきっと。彼女にそう言ったら絶対そんなロマンのかけらもない感じで結婚するよねって同意してたよ。同棲っていうか「共同生活」ってノリなんだよきっと。学生寮の相部屋みたいな。




 とりあえず結婚しても自分の部屋は確保するぞ。



2005年12月18日(日)
偽装

 何だか知らないが飲まないとやってられない気分なので、社会人連中と飲みに行きました。いっつも行く友人が働いている飲み屋で、いつもの飲み放題コース。ここはカクテルが中々美味なんだな。おもしろいカクテルがある。ガリガリ君。そう、あのアイスのガリガリ君だ。あれがそのままカクテルになった感じ。本家のアイスよりおいしいんだな。もう顔なじみなので、適当に見繕ってメニューにないお酒を造ってくれたりもする。

 普段、飲み会なんざタバコに火をつけたままぼーっとしているだけだから、お酒なんて大して飲まないんだけど、今日は仕事でしゃべりっぱなしな故、非常にのどが渇いていたので、カルーアミルクだの、クラウディースカイリッキー(だったっけ?)だの、なんだかよくわからないが桃っぽいカクテル(笑)だの、やたらに飲みまくる。飲みながら互いの職場の愚痴が出るのに混じって、俺も医者に絶対安静って言われてるのに未だに働き続けてる、と言ったら、社会人から、お前それは真面目に働く先間違ったと思うよ、と諭される。本気で仕事変えようかなあ。

 話は次第に、電気工事関係の仕事をしているやつの話に移ったのですが、話題はやっぱり例の耐震偽装問題について。そういえばうちの親父も建築の仕事だから大変だとかいってたなあ。こっちはこっちで学習塾での殺人事件以来やたらに仕事が増えて大変なんだけど。マスコミ全員くたばればいいと思っt(略)

 耐震偽装までは行かなくても、やっぱり現場に出るとごまかしごまかしやっている部分も多いのだそうで、たとえばこの飲み屋の天井も、エアダクトが出ているが、あのダクト、本来は何だかという支え棒を設置しなきゃいけないと法律で決まっているんだそうだが、見たところ棒らしきものは何もなかったり。お前の会社でも何か偽装してるのかい、と訊くと、傑作だったのは女子トイレの個室に男子トイレの電気のスイッチをつけたことだな、と言って爆笑する。なぜそんなところにスイッチつける気になったのか。

 話題にのぼっている某検査機関の札幌支店っていうのも、報道以上にすごいことやっているみたいで、検査技師だという人間が現場に来るなり
「コレは何?」
「いや、コンセントですけど」
みたいなことがあるんだそうだ。コンセントなんか素人でもみりゃわかるだろ。何を検査しに着たんだという雑っぷりらしい。ほとんど見てないといっても過言じゃないんだな。最近はさすがに少しは厳しくなっているらしいけど。

 働くって言うのは、何かとてつもないことなんだ。
 この間、生徒に公害の話をしたけれど、金儲けのために人を傷つけるようなことを許しちゃあいけない。



2005年12月17日(土)
灯台元は暗けれど

 自分の授業が終わったあとで、例の新人さんの研修。今日は担当が自分なので、英語の研修でした。新人さんは英語があまり得意ではない様子。テストはできるけど説明はできない、何せ暗記で乗り切ってきたから、とは本人の弁。
 とりあえず、その例題だと日本語のほうに目的語がないから生徒が混乱するだの、導入の時は生徒のもともと持っている知識を前提にして、それだけでは解けない問題を出すことで、今自分に何の知識が足りないかを提示するほうがいいだの、黒板はこの線から分割して使うだの、人間の集中力はどれくらい持つと思いますか、ええ、90分ですか。あなたは天才ですね。常人は8秒ですよ、だから50分という講義時間の使い方がいかに大切か、どう時間配分するかが勝負だのと言いました。教案を書くときも、こういう図式があってね、教案は一本の線じゃなくて相互作用なんだよなどと一応講釈たれましたが、そんなん知らなくてもよろしいと小声で(駄)
 思うに、この新人さんは相当の優等生なんだな。頭が良すぎるから生徒の目線に立つのが難しいのだろう。前に、「恋愛は教科書通りに行かないなあ」と言いながら『女の子の口説き方』などという本を読んでおるたわけた東大生がいましたが、頭が並外れて良すぎると、なんでも知識優先になるんだな。知っていることと出来ることは違うのだ。だから、「僕と君」というより「僕たち」と言う方が無意識に好感を伝える方法なんだ、などと訳のわからぬことを言い出し、「我々はー」などと会話の中で連発するようなやつになる。おまえは軍隊かと。知識が100%で、経験からのフィードバックがないのである。

 だから勉強っていう今のシステムがおかしいんだよ。さっきみたいな男を大量生産しているだけなんだ。 特に我々のような学問では、「知っている」=「治療できる」と思いやすい。無知は人を殺すと医療業界では言うけれど、「知」の考え方が根本的に間違っておる。勉強は「目的」ではなく、「手段」だ。
 灯台元暗しと言うけれど、子供のうちは足元なぞ見なくてもよろしい。目標だけ見てりゃあ、勝手にどこまででも飛んでいくのが子供なんだから、足元など気にしている暇があったら一歩でも前進しやがれコノヤロウ、ってなもんである。100点なんか取らなくてもいいんだよ。





 だから、僕はあえて単位を落とすんだよ、教授。



2005年12月16日(金)
先生の先生

 今日はバイトの日だけれども、その前に大学の授業がある。小児科学の補講で、バセドウ病だの橋本病だのといった、甲状腺機能亢進症をやりました。甲状腺って内科でもやったけど、なんだかよく理解できんな。僕が得意なのは神経内科だったし。

 授業が終わってから自分のバイトまで、あまり時間が無かったので、大学にはスーツで行きました。5,6人にしか塾講師をやっていると話したことはないと思うんですが、なぜか大学のほぼ全員が自分の仕事を知っており、会うたび
「生徒刺すなよ」
 と言ってくる。今話題だからなあ。アレのおかげで本部から余計な命令書が回ってきたじゃないか。塾業界の信頼回復がうんぬんとか言って、講師の研修をもっと厳しくせえと書いてありました。あの犯人はぜひとも極刑に処していただきたい。


 今日の仕事は、高校3年生の世界史。世界史なんて高校時代ほとんど勉強してなかったし、もう今更覚えちゃいないので、生徒が来る前までにひっちゃきこいて勉強して、あたかも専門家のように教えるという中々ギリギリなことしてます。おかしいなあ。契約書に世界史って書いた覚えないんだけどなあ。だいたいが英語科だっつの俺は。一応こんなんでも医大生なので、理科も得意なんだけど、ほとんど理科は回ってきたことはないです。家庭教師で教えてたくらいかな、理科は。数学は勘弁してくれっていうのに、しょっちゅう数学教えることはあるんですがね。どうなっているやら。

 うちの事業所は人手が圧倒的に少ない。だから新人を一日も早く鍛え上げて冬期講習は楽しなければ死ぬと思って、今必死に育てています。そろそろやっと教室長のしごきが終わって、自分のとこに回ってきた段階。研修かあ。苦手なんだよなあ。自分自身の研修なんか本社から実践に出るまで1週間もかからず終わっているし、今まで部下育成なんてそんなに本気でやってないし。本気でやろうと思ったら教えることが膨大なんですよ。まずは自分が基礎に立ち帰って思い出さなければならない。自分自身、最近は教育法の研修会ばっかりに行ってたから、礼儀作法なんて覚えてないし。ああ、そういえば職場の基本用語なんてあったなあ。「お疲れ様です」以外使ったことないけど。お辞儀は謝る系が深く、それ以外は45度だったか。
 今回来た新人さんは教育関係の専門でもなければ、塾に本人が行ったこともないし、初めての職場がここだし。スタートラインが結構厳しい。
 教務関係や事務作業、授業のやり方や生徒とのコミュニケーション、学習理論なんかは教えられるんですけど、黒板の書き方と指導案作成が自分は大の苦手。電話応対と面接法も苦手なほうかなあ。敬語めちゃめちゃだから(笑)
 指導案なんざほとんど書いたことがないという怠慢ぶり(駄)そういえば、TIPSなんてのがあったっけなあ、学習者実態と、目標と、学習環境・条件、教授方略、あと何書けばいいんだっけ、状態です。黒板は北海道支社1汚いと思うし(笑)自分、黒板あまり使わないんですよ。答えを書くときか、説明の補足に使うときくらい。後はほとんどレジメを用意するか、テキストの解説ページを見せて、そこに追加するくらいなのでね。だから、全体研修のときはよく大学の講義っぽいという感想はきます。
 でもまあ、仕事なんでやらねばならぬ。とりあえず模擬授業を見せてください、と言ったら科目は中学三年生の数学、相似条件という自分が最も苦手な分野(笑)
 生徒役で見ていたのが、実際解けない問題があって、いつのまにか本当の生徒になってました(駄)なるほどなあ、ああやって解くのか。

 で、授業自体はどうだったかというと、はっきり言って、授業じゃなくて作業ですな。コミュニケーションのコの字も無い。なので、まずはそこから治していこうと思い、とりあえず体の向きを変えることから始める。新人で多いのが、ずーーーっと黒板の方を向いてしゃべり続け、一度も生徒の顔を見ないというパターン。この新人さんも見事にそれでした。とりあえずペンの持ち方が違うので、それを直し、「常に黒板側にある足を半歩前にだせ」と言う。そうすると、嫌でも生徒側に体が向きますな。
 後は発問の仕方。一体、何を答えてほしいのかがわからない。間違った答えが返ってきた応対もまずいな。
「それはそうじゃなくてこうだよ。はい、じゃあ次」
 という感じ。おいおい、と即ツッコミ。わかったかどうか確かめなきゃあ。そのまんまじゃ生徒が質問するタイミングが無い。大体がなぜ間違えたのか、どこで躓いたのかを調べて、その問題に対するアプローチを考えなきゃ、同じ間違いを繰り返すだけだ。

 後は今日の授業でのポイントがわからない、生徒の目線に立っていない、だのなんだのととにかく色々修正すべきことがたくさん。今日だけで終わらないので、明日も一対一で研修をやることになってます。早く育てなきゃあ、僕はきっと死んでしまう。冬の担当講義を見せてもらったら、一日9コマありました。そこに個別指導が何コマか入ります。昼も夜も食事時間すらないですよ。9時間教えっぱなしですか。で、21時から事務作業始めると終わるの次の日ですか。
 明日で絶対研修合格させたる。



2005年12月15日(木)
再試験。

 最近非常に忙しいんですけどね、何が忙しいって再試験が迫っているんですよ。発達心理学の。専門のはずなのに落とすとは。だいたいアレ、採点基準が無意味に厳しいんです。記述が4つもあるから時間まったく足りないし。
 仕方が無いので、今度こそ落としたら終わりや、と思ってもう毎日大学に来て猛勉強しているわけですが、すると暇な男軍団がどやどやとやってきては何やら横から覗きに来る。ボウルビーのアタッチメント理論をノートに必死にまとめているのを見て
「ゆう君まじめだねー。がんばってるから、ういろうをあげよう」
 などと食いかけのういろうをくれるやつがいたり、
「こっから試験に出るらしいよ」
 と、対策プリントをくれる人がいたり
「ゆうちゃん、クリスマスプレゼント」
 と、なぜか錦糸玉子をくれる男がいたりと、なんだかプレゼントの山になる。

 そうして迎えた本日の試験。試験開始直前までぶつぶつノートを読み返して、なんとかいけるだろうといざ本番。
 さすが、あれだけやった勉強の成果か、結構すらすら解けました。今のところ発覚した間違いは「発達の最近接領域」のことを「最“接近”領域」と書いてしまったことと、自閉症を発見した医者の名前を間違えたことです。あと、アタッチメント理論がやっぱり時間なくて、あんまり書けてないなあ。
 ただ、やっぱり採点基準は厳しくて、アスペルガーとサヴァン症候群が書けているのに、さっきの自閉症を発見した医師の名前が書けなかっただけで、完全回答だから残り2つ答えられた意味がないですからね。憤慨した私は、教授をむんずと捕まえて(というか、つかまって)
「先生、完全回答というのは、何かおかしいんじゃないですか」
 と訊きますと
「アレはどれも欠けてはいけない知識だから」
 とかなんとか、立派な髭をさすりながら言っておる。
 自閉症と治療法、という完全回答ならまだ許せるが、どうしてその組み合わせなのかと。確かに高機能自閉症とアスペルガー症候群は非常に似ておるけれども、医者の名前をセットにしなくてもよろしいんじゃないですか、ど忘れってことがあるでしょ、と問い詰めますと
「そんなことは認められない」
 とさらりとかわして帰っていきました。
 まあ、60点は行くと思うからいいんだけど。



2005年12月08日(木)
ラスボス

 今日は実習の日。重症心身障害者施設で一日お手伝いという実習なのだ。
 出発は12時と聞かされていたのが、当日になってなぜか20分の繰り下げ。
 暇つぶしにいつもの通り、学生ホールのソファに埋もれて男軍団とうだうだしていると、先に我々が行く施設の実習を済ませてきたグループの人が来て、1Bクラスにボスがいる、と言う。なんでもその施設の長的存在で、気に入った学生の頭を叩くのだそうだ。
「ゆうちゃんもシャクティパット受けてきな」
 とその男は言うので、俺がその施設のボスになったる、と意気込んで、送迎バスに乗る。

 トイレ行きたい人は先に行ってくださいよ、と教授が言っていたんですが、バス乗る前にちゃんと行って来たから大丈夫だな、と思っていたんですが、隣の男のコカ・コーラを勝手にパクって飲んでいると、急に尿意を催す大惨事(駄)
 けど、施設に行くまで休憩ないしなあ、まあ、施設についたら一目散にトイレに逃げようと思って、めっちゃコーラを振ってから隣の男に返す。「もうお前にやるわそれ」と言われました。

 で、施設到着。着くとすぐにまず全体で概要の解説を受け、自分の担当場所に配置される。何の運命か、自分の配属先は、例のシャクティパットおじさんがいる1Bでした。発表されたとき、一部の男子の忍び笑いが漏れる。運命。

 では今指示された場所に移動してくださーい、と言われ、自分は1Bに連れて行かれる。いやあ、びびった。何がびびったってある意味牢屋みたいなんだもの。鍵が無ければ開かないデカイ扉をくぐりぬけ、中にガチャリと閉じ込められました。トイレいけねえよコレ。施設内にもトイレがあるんですが、利用者用なので、健常者が使うようには作られていないんですな。困った。
 まあ、限界になったら施設の人に言ってトイレいこ、と思って、さっそく施設内に突入。入ったらすぐ、自閉症傾向があるというおじいちゃんが絵本を読んでくれるというので、そのおじいちゃんの所に行きました。ところが、絵本なんざろくに読まずに、「学生さん?」と連発して聞いてくる。何回も「はい、○○医大です」と根気強く答えておったのですが、あまりにも同じ質問を繰り返すので、訊きたいことと違うこと答えてるんじゃねえかと思って、若干回答を変えると、スムーズに話が通る。なあるほど。まあ、ちょっとした行き違いがあって最終的に自分の名前「医大くん」になりましたけど(駄)
 この絵本もってないの、と次に連発して聞いてくるので「持ってないです」ではなく、「お金がないので持ってないです」に変えると、「学生だから金ないのか」と反応が変わる。
「年金出ないんスよ(笑)」
といったら、ずいぶん気に入ったらしく
「医大は金ねえのか」
とやたら連発され、そこまで連発されると何やら腹立たしいなこのやろう、車も持ってるぞ、麻生十番のVIPだぞ(違)と言いたくなりましたが、穏やかなゆうさんは抑えました。

 その後、何やらじいちゃんが全裸で走り回っていたり、どこも痛くないのに痛え痛え連発するじいちゃんがいたり、重度の障害を持ってベッドから起き上がれず、うんうん言っている方に「てめえ根性がたりねえ、根性が」とずっとキレてるじさまがいたり、じじいとは思えない超スピードで施設内を移動するプロがいたりと中々バラエティに富んだ方々がいらっしゃいましたが、シャクティパットおじさんは見つからず。
 車椅子の方の着替えを介助した後は特にやることもなく、じいちゃんに囲まれてソファに座ってサボタージュしておると、さっき絵本を読んでくれた(くれようとした)人が
「花火やるんだ、花火、クリスマス花火」
 と連発して教えてくれる。
「花火? 冬に花火なんてやるんですか」
 と仲間の学生は不思議そうな顔をしていたんですが、別に花火くらいやるんじゃねえのと思っていたら、本当に中庭で花火が上がる。毎年恒例のイベントらしい。銀世界に浮かぶ花火は、なかなかに綺麗でした。花火のあとは木々のイルミネーションが点灯し、クリスマスムードになる。おお、すげえ。

 しばしそのようにソファで実習サボった後は、
「早くカルピス飲ませ」
 とキレるじさまに、カルピスなんてどこにもねえよ、と思っておったら実はポカリスエットのことであったとか、なかなか罠にはめられながら実習は進みます。
 そろそろ限界だからトイレいこ、と思って職員さんを探していると、向こうからじさまが猛然と走ってきて
「ヘイ!」
 と言って抱きついてきました。僕トイレいきたいんだけど、離してくれないかな。もれるんだけど。
 しばらーくなすすべなくそのままにしていると、職員さんが見つけて
「すごい力だべ、このじいちゃん。誰にでもやるんだわ」
 と、そのじさまの手をつかんで、柱のところに持っていく。すると標的は柱に変わりました。モロー反射…? うーん。

 とりあえず悩んでる場合じゃないので鍵を開けてもらい、トイレにダッシュ。
 やっと落ち着いたよ。これで本格的に実習ができるぞ、と思って自分の担当施設に戻ると、職員さんが言いました。
「ゆうちゃん、集合だって先生言ってたよ。お疲れ」
 あふん( ̄Д ̄;;


 実習先からは、
「学生はみんな始めて見る光景にビックリするんだけど、ゆう君はクールに受け入れてましたね」
 と評価を頂く。うん。トイレのことしか頭にないからね。

 そんなわけで、大学に帰って、ラスボス倒した? と訊く仲間に
「ボスは俺の膀胱だった」
 と答えました。



2005年12月05日(月)
冬休まず

 今日で授業が終わって、明日からは冬休みらしい。ただし、暦の上では。ここからどうせしばらくは補講ラッシュなのだ。
 でもなあ、冬休みになったからって特別やることねーしなあ。勉強と仕事しかねえもん。部活も辞めちったし、と学生ホールのソファに埋もれてうだうだ言っておると、友人が
「Kちゃんいるじゃん。年内のご予定は」
と訊いてくる。
なんもねーよぉ。彼女は自動車学校とバイトでまったく暇が無いし。クリスマスなんて見事にお互い仕事しているよ。夜は男だらけのクリスマスパーティだよ。と言うと、「ゆうちゃん、俺はクリスマスに彼女ゲットの予感だよ」とうれしそうに話し掛けてくる。何っ、ついにナンパが成功したのか。
 バカップルはいちゃいちゃしてシネ、玄関開けて2分でシネ、と超マイナーなモノマネをしていると、後ろから何者かがやってきて
「ゆうちゃん、ビッグニュース」
とやたら嬉しそうな顔をしている。
「ゆうちゃん発達の単位落として追試だべ? 発達の追試って持ち込みナシらしいよ」
と、その男は僕に絶望を運んできました。
持ち込み禁止? ハァ?
本試験で持ち込みOKにもかかわらず爽やかに落ちたというのに、持ち込みナシで追試が受かるわけがないと。しかも試験問題は新しく作り直すらしい。ハア?


もう、僕の未来は絶望しかないよ、パトラッシュ……。



2005年12月04日(日)
表彰

 日曜日ですね。12月に入ると札幌駅中心部なんざバカップルで溢れかえっておりまして、ドコモがなぞの携帯電話の宣伝をしておりまして、どこの店も年末商戦でやっきになっておりました。そんな中、札幌駅のいつもの場所でゆうさんは待っていましたが、別にこれからデートなわけじゃありません。スーツにコートを羽織って、今高校時代の友達に会ったら就職したって誤解されるな、なんて思いながら同僚を待っていたのです。実際、就職って言ってもいいかもしれない。見た目完全にリーマンだべや。今日も仕事ですよあたしゃ。

 今日は年に2回ある全体講師研修会の日。北海道支社の職員が一同に会して研修を行うという、なんともまあ面倒くさ……意義のある集会です。
 実はうちの会社も不況の波をモロに食らっておりまして、来年から経営形態が変わるそうで、だからって職員の皆さんは今までと対応が変わるということはなんらなく、これまで通り一職員として自覚を持って業務にあたってくださいと統括の演説を聞いたときはある種の絶望が我々を襲ったわけですが、今まで北海道は分社として独立していたのが、本社の直轄になるわけで、規模がでかくなるんだから給料上げろこのやろうと、職員全員が心の内で思っておったわけですが、まあ社名が変わろうが経営が変わろうが一介の非常勤講師に何も関係はないわけで。ただ、トップが替わるので、今回の研修はどうやらいつもとスタイルが違うらしい。とりあえず、今回は教育研究がないぞ、という話を上司から聞き、少々浮かれておりました。同僚と合流し、一路研修会の会場へ赴く。

 トップが替わると、なるほど企業は変わるもんだ。研修スタイルが一新されて、今回はグループ研修なんてのがプログラムに入っている。まあめんどくさそうなにおいがしますな。
 今回北海道地区本部長に就任した本社の方は以外と若く、いかにもエリートって感じです。話も簡潔でわかりやすい。すばらしい。前の統括なんざ90分も金の話してたもんな。

 で、ビデオを見せられて、本部長の就任挨拶を聞くまでは大体毎回のことですが、ここからが違う。グループに分かれて普段の業務について各自研修せえとの指示。これ見よがしにワークシートまで配られて、俺らは生徒ですか状態。
 仕方なく(笑)、各自研修会が始まったわけですが、なぜかうちの班は自分を除きほとんどの方が新人。自分の隣に座っていらした先生なんか、入社3日目だという。うちの事業所にも一人新人が回ってきたしな。うーむ、冬に向けて戦力の増強を図っているんだかなんだか知らないが、だからといって慌てて研修なぞしていかがなものか。

 高みの見物を決め込もうにも仕方がないので、自分ともう一人ベテランの先生がばしばし意見を出し合って、ゆう先生が独壇場で教育論を教えるのをほかの先生が「へぇー」と聞いている状態。インフォームドコンセントとか、途中医療の話になりましたけど(駄)


 で、研修会が終わり、元の座席に戻ってくる。後は何時間か睡眠タイムやーと思って、爪の横の剥がれかけた皮をいじくっていたら
「それでは、○○校のゆう先生お願いします」
とリーダーにいきなり名指しされる。
 何のこっちゃと思いましたが、全社員が注目しているので誰にも訊けず、きっと話の流れから今のまとめを言えということなのだなと勝手に解釈して、マイクを握り締めて長々と演説する。拍手が起こって、「ありがとうございました」とすんなり次に進んだので、どうやら間違っていないらしい(駄)

 その後休憩タイムに入りました。うちの事業所の職員が集まって、「いやあ、ゆう先生って研修の時は目立たないと気がすまないんですね」「ゆう先生会社からも一目置かれてますね」などと部下にいじられていると、教室長が飛んできて、君は何かやらかさないと気がすまないのだね、と笑われる。俺のせいちゃうがな。


 休憩が終わると、次は営業成績の報告と、何かの表彰があるらしい。さわやかに売上達成目標を下回っている我が事業所には関係ないだろうと、今度こそささくれと格闘していたら、
「○○校のゆう先生、おめでとうございます」
 とまたマイクで名指しされる。
 今度は何、と近くの人に訊いたら、ゆう先生、表彰されるそうですよ、と何かのプリントを渡してくれる。見ると「指導効果の高い優良講師一覧」と書いてあり、そこにでっかく乗ってる僕の名前。うれしいというか、優良講師? なんだそれ? それよりささくれ痛てえよと思いながら、前に出ろというので出る。ほかにも何名か表彰される人がおり、前に横一列に並んで、隣の先生と「担当している生徒の成績上昇率が高いと表彰されるらしいですよ」とひそかに情報交換をしていると
「では、優良講師を代表して、ゆう先生、前へ」
 と言われ、本部長の前にむりやり連れてこられる。赤点の神の異名を持ち、表彰されたことが無い人間としては、『偉い人の前に立つ = めっちゃ怒られる』という方程式が成り立っており、体のいたるところがやべえやべえと警告を発しておりました。挙動不審な講師リーダーを見て爆笑を抑える事業所の面々が見えました。あとでコロす。
 賞状とかどう受け取るんだっけ、卒業式みたいだなとか思いながら賞状を受け取ると「では、何か一言」と本部長がマイクを渡してくる。すごくあせる。人前でしゃべるのは得意だけど、堅苦しいのは大嫌いなのだ。「えと、どんなにやんちゃ坊主でも、どんなに勉強できなくても、絶対こいつの夢叶えたるぞっていう気持ちが生徒を変えると思いますコノヤロー!」と一見あたりさわりのないことを言ってマイクをぶん投げると、本部長が「すばらしい!!」とめっちゃ硬く握手をしてくる。あかん、完全に顔覚えられた。


 最後にもう一度総括でいろんな方が壇上で話をしておる。ささくれ取れたんで、やることねえなあ、同僚に消しゴムのカスぶつけたろかな(駄)とそわそわしていると、
「では、ゆう先生はどうお考えでしょうか」
とまたもや当てられる。なんですか。今日は全社を上げて僕をいじめる日ですか。研修って嘘だべ。どっきりカメラどこよゴルァ
マイクが運ばれてくる間、演題にさっと目を通す。保護者とのコミュニケーション。ふむ。その話をすればいいんだな。
 マイクを握ると無意味に自身ありげに立ち上がり、保護者が求めていることは何かと言いますと、実は生徒の安全なのです。成績が上がるのは二の次。どんな先生に教わっているのか、塾ではうまくやっているのかということが一番の気がかりなわけであって、その不安を解消するには我々が顔を見せて、こんな人間が生徒を教えておるとアピールすることが、教室の信頼を勝ち取る一番の近道でありまして、その後、生徒個別に保護者同意のもと、十分説明責任を果たした上で介入していくと、これを医療ではインフォームドコンセントといいまして、同意なき医療は医療に非ずとうんぬんと講釈を述べ立てる。
 もう腹たったのでマイクのスイッチをわざわざ切るという超地味な反社会的行為をして司会にマイクを返し、はー。なまらしゃべったべやと、自画自賛して座ると、さすがにもう当たることは無く、無事研修会が終了する。

 教室長が飛んできて、ゆう先生、本当におつかれさん。おかげさまで今回も楽しい研修会だったよ、と肩をばしばし叩いてくるんですが、アレか。前の統括から、研修会で困ったらゆうをイジれと引き継いどんのかゴルァと憤慨しておりますと、同僚が資料片手にやってきて、いやいや、さすが、わが社のリーダーですな、とその資料を手渡してくる。何やら、さっきの表彰の細かいデータらしい。自分の名前と、成績向上率だとか何だとかが書いてあります。
「先生、ここ見てくださいよ。すごいよ」
 と同僚が指差すところを見ると、「対象者数」とある。要するに自分が教えている生徒の数ですな。延べ人数なので実際よりは多いんですが、びびった。ほかの表彰された先生方は最高で指導生徒数は15人。一方、僕は112人。生徒数112人て。
「ゆう先生、ぶっちぎりじゃないですか。社内で一人だけ三桁じゃないですか」
と同僚は爆笑する。確かに多いなとは思っていたが、そんなに生徒持ってたのか汗
 そら脳の血管も切れますわ。ねえ、これ厚生労働省あたりに持っていってもいいかな。労災降りないかな。



2005年12月01日(木)
酒蒸し

 大学の授業が遅くに終わったので、知恵熱出るよと学生ホールのソファでぐったりしておると、友人Sがやってきて、家まで送れゴルァとか言ってくる。帰る途中にメシでも行くか、と誘われたのですが、いかんせん1000円で15日まで乗り切らなきゃならないので昼飯さえ外しているから、お前ん家で食わせろと言うと、おお、ええよ、とあっさりOKもらう。
 そんなわけで、大学の目の前にあるスーパーで食材を買い込んで、一路S宅へ。
 学校が運営する寮なんですが、ほとんどマンションといっても過言ではなく、部屋こそ狭いものの、バス・トイレがセパレートで、調理器具つき、さすが北海道、ちゃんと室内に洗濯機まで置ける構造になっている。京都は洗濯機なんぞ置けないのでいちいちコインランドリーだったんですな。住むはずだった我が家では(笑)
 人の家って緊張するのであんまり好きではないんですが、こやつの家はものすごく落ち着く。なんというか、すべてのモノの配置が自分にとってすごくなじむんですよ。もうここ住みたい(笑)自室は無計画に買ったものから順番においていっているのですごく落ち着かない(駄)年末だし、模様替えしようかしら。
 また、窓からの景色がいいんだな。田舎だし、6階だから遠くまでよく見えるし、静かだし。
 そんなふうにわくわくしながらいろんなところを見ていると、料理のしたくができたよ、と男の手料理が出てくる。
 すきやき鍋に水を張り、キャベツを適当に切ったものを敷き、もやしを大量投下、その上に豚肉の薄切りを並べて最後にニラをぶち込めば、あとは日本酒を注いでしばし煮込む。医大寮名物、お好み酒蒸し鍋というらしい。
 京都の料亭で使っている産地直送のお米も炊いて、早速頂いたんですが、この酒蒸しがウマイのなんの。
 友達は慣れてる手つきで次々作っていき、大量の酒蒸しが出来上がる。
 途中からなんだかめんどくさくなって、水を足さずに日本酒ばかりどぼどぼと注いでいたら、あたりまえだけど酔ってきて、鍋を食べ終える頃には二人ともぐでんぐでんになっている。
 車でここまで来たから、酔いを冷ますまでなんとなく部屋でだらだらと過ごしていました。友人の家は医学書の山で、なんかこれぞ医大生の部屋って感じがします。自分の部屋はもはや本棚は小説でいっぱいなので、医学書なんか床に平積みにされてます(駄)いくつか同じ本があって、やっぱりみんなこれを読むのね、と思ったりする。
 しかし、一人暮らしというものも一度はやってみたいですな。本当は大学生になったら札幌でも一人暮らしをする予定だったんですが、お金がまったく足りないので未だに実行してません(笑)
 働いている割に給料少ないんだよなあ。もっと割に合う仕事に変えようかしら。
 そんなことを考えつつ、酔いを冷ましてから友人宅を後にしました。なかなか楽しかった。

※なぜか途中で日記切れてました。これは修正後の版です。m(__)m