ある音楽馬鹿の徒然カキコ♪...みゅう太

 

 

そういや〜 - 2005年07月28日(木)




気が付けばもう8月も間近。


上半期なんてとっくにすぎて
今年も半分以上過ぎてるんですね〜。


しかし、考えてみると
行ったコンサート、少なかったな。

少ないなりに色々厳選して
それぞれ日記には書きましたけど
いかんせんこの薄給じゃ。


「今」輝いてる、伸びつつある、旬の、
また話題になっているアーティスト、
いくつも聴き逃した。

まあ忙しいせいもあるけどね、
チェロのヴィスペルウェイ、
ケント・ナガノ指揮のベルリン・ドイツ交響楽団、
ソプラノのアンナ・ネトレプコ、
ピアノのミハイル・プレトニョフ、
ソプラノのフリットリとテノールのサバティーニが共演した
サンカルロ・オペラ等々・・・


いっぱい行けなかった。


CDだって、メジャーレーベルの新盤なんて高くて
おいそれと買えないし。


この世界で仕事をしている人間としては
ちと焦る。

何の世界でもそうでしょうけど
移り変わりが早いですからね。

気が付いたら「あれ?なにそれ?どうなったの?」
なんてことはよくあることだし。


まあ、それでも出来る限り
許容範囲の財政で(とほほ)コンサートに足を運び
本を読んだり、人の話を聞いたり
ネットでの皆さんの対話をみたりして
頑張ります。



もっとも日頃の普通の生活で
柔軟な気持ちを持って
何にでも心を動かして
想像力が乏しい人間にならないことが
結局は音楽に対して一番大事だと思ったりもするのですけどね。











...

台風一過 - 2005年07月27日(水)



台風が過ぎ去った後は
大体いつも同じような現象が起きるけど
今日は暑すぎだろ〜!!(><)


都心36度。うへ〜。


そういうとんでもないことになったりもしますが
台風って空気中のチリや余計な水蒸気を吹っ飛ばしてくれるせいで
朝起きた時の外の景色のきれいなこと!

電車の中からは富士山がクッキリ。


そんで夕方からはカラッとした北風が吹いて
快適そのもの。


あ〜、アイス・コーヒーでも飲みながら今は極楽です。


でも明日もまたクソ暑いんだってね。
あ〜あ。







...

遅ればせながら・・・ - 2005年07月26日(火)




こないだの地震、結構怖かった。


「スターウォーズ」から帰って
エネルギー使い果たして昼寝してる時でした。


揺れましたね〜、小物が色々落ちました。
テレビの上の飾りものとか、卓上カレンダーとか。

寝ながら見て「おおー!」と思ったのは
柳のように揺れるCDラック。

これは天井に突っ張りクン(?)でつけるハズのものが
天井が低すぎて突っ張りクンが入らなく
ボール紙を挟んでいるだけの状態だったので
ヒヤヒヤ。


部屋の壁伝いに作ったCD棚(その上に3段ものCDが積んである)もあるのですが
そこからもラックからも不思議とCDは落ちなかった。


マイハニーはしょっちゅう「私、地震の時CDに埋もれて死ぬのヤだからね」と
言っていますが、
私はそれもいいかな?巨匠達に囲まれて。
(よくないよくない)


そして今度は台風通過中さ(><)


でも血沸き踊るようなことは全然なく(毎度不謹慎ですみません)
静かなもの。

それたらしい。



でもやっぱ災害セット買わなきゃな。



...

ようやく・・・ - 2005年07月24日(日)




「スターウォーズ エピソード3」観てきました!


ついに終わったんですねぇ。。。

小学校高学年の時観た「エピソード4」から
実に27年。


夢中になった時間ももう終わり。
明日から何を支えに生きていきゃいいんでしょうね。(←おいおい)


しかし「エピソード3」、
ネタバレしちゃいけないので詳しい感想は追って、として
最初の5分くらい観て、エピソード1と2は何だったんだ!?
もう密度が雲泥、月とスッポン、
シリーズNo.1と謳われた「エピソード5 帝国の逆襲」と肩を並べるか、
それを超える手応え。


でも「スターウォーズ」は私にとっては
アタマの中スッカラカンにして観る映画だったのに
今回は自分をとりまく小さな世界から大きな世界まで
色んなこと考えちゃって
すごくエネルギー使いました。








...

何も聴かない耳 - 2005年07月21日(木)




この間の連休に「ワンピース」を読んでいた時のこと、

アラバスタ編で(何の話をしているのかわからない方、ゴメンなさい。。。)
剣士ロロノア・ゾロが、全身刃物というMr.1と対決、窮地に陥った時
かつて少年時代、剣の師匠から
「何も斬らない剣。そういう剣が一番強く、鉄でも斬れる。」という
そのまま聞いただけではワケがわからない話を思い出すところがある。


ゾロはいよいよ絶対の危機に追い詰められ、
そこでふいにとても静かな空間、
他に何も聞こえず、自分の心臓の鼓動ばかりがやたらバカでかく聞こえ、
そして相手の、周囲の呼吸がはっきりとわかる、という状態にたどりつく。
「これか!」と。

そして斬れなかったハズのMr.1が斬れたのである。


いわゆる無我の境地?というやつか。



しかしその感じ、なんとなくわかる。

あくまでもなんとなく、だけど。



私なんかもコンサートで、
それにもっともこれは、とてもとても優れたアーティストの演奏に限られるのだが
聴いているうちに舞台で演奏しているアーティストの周囲がだんだん静かになり、
…というよりその演奏だけ、「音楽」だけが耳に入るようになり
そしてどんどん視野が狭くなり、アーティストだけが目に映り、周りは暗く何も見えない、といった状態に陥ることがある。

つまり自分の集中力がどんどん増しているのだ。


その演奏されている音楽の呼吸と自分が完全に同調し、
とっても自由に、深く広い海の中でゆったりと自由にいられる状態のような、

そんな静寂の中で曲の声、演奏者の想いがはっきりと聴こえ始める。


これは「そんな感じがする」「・・・のような」とかいうような漠然としたものではなく、
言葉でない「何か」がそこにある、見える。



不思議な時間。空間。



「何も聴かない耳」で聴く、という感じだろうか?




なかなかないですけどね、そういうコンサート。


でもそういう境地を与えてくれる音楽の達人、というのは
確実に何人かいる。




...

このままじゃ終われない - 2005年07月18日(月)




↑さっき見てたドラマ「がんばっていきまっしょい」で
主人公はじめボート部のみんなが思っただろうこと。


胸が熱くなって、
目頭も熱くなってきてしまった。



考えてみると今までの私を支えてきたのも
このことだ。


何をやっても上手くいくことなんかなかった。
いっつもこの思いの繰り返し。

後悔なんかしたくない、
いいや、振り返れば私の人生、後悔だらけ。

後悔で終わらせたものもあるけど
いくつかはそれで終わらせたくなかった。


それが今の自分。


誰だって多かれ少なかれそうだと思うけどね。






...

三連休も終わり - 2005年07月17日(日)



あ〜あ、ブルーな夜です。


と言いつつ結構充実した連休でした。



近くの市民プールで泳いだり、
初めて、あの寅さんの葛飾は柴又にも行きました。

柴又、いいですね〜。

東京とは思えない、
こじんまりとしたところにひなびた情緒。

江戸川の渡し舟なんかに乗ったり、
街を歩いてるだけでのんびり気分になって
すっかりリフレッシュ。

あと帝釈天の本堂、門、あらゆる木造建築に施されていた
彫刻が素晴らしくて
マイハニーともども目を瞠りました。



そんな中、実家に行った晩のこと。


何かのはずみにお酒の話になり、
母が何を思ったか

「ハニーちゃんは(もちろんこんな風には呼ばないよ)スパーリング・ワインが好きなんだよね。」


私「おいおい、武闘派のワインかよ。」
マイハニー「激しいワインね。」
弟「やっぱり天然親父の妻だな。いよいよ伝染したか。」

母「あ、スパークリング・ワインだっけ」


一同「わはははは」



そしたらかの天然親父。

「ははは、で、どっちがあってんの?



一同「・・・・(ガビーン)」




奥深い天然だ・・・。





...

商売道具が! - 2005年07月15日(金)




今朝起きたら、
あれ?
なんかヘン。


耳の中がぼわ〜〜んとして
ちょうどプールから上がった時の、耳に水が残ってる感じ。

自分の声がよく聞こえない。


うわ〜、ヤバイ。
なんだなんだ。

ダイバーがやる耳ヌキを試みても
口を大きくあけても直らない。


一応音楽やってる人間としては、
たとえプロの演奏家じゃなくても
少なくとも音楽の仕事もしてるワケだし
こういう時はホント焦ります。
(もちろんそうでない人だってアセるだろうけど)


耳が聴こえなくなったらどうしよう、
ベートーヴェンみたいだな、
なんて洒落にもならない。
自分から耳をとったら何も残らないよ〜
などとだんだん妙な自意識過剰となっていきましたが
耳鼻科に行ったら単なるカゼでした。


ノドが腫れてて
(私、カゼでノドが真っ赤っかに腫れてもナゼか声がでなくなるということがない。だからカゼひいてるのを気づかないことが多いのです)
その炎症が耳まで広がって耳管?を圧迫して一時的にそうなったらしい。

薬飲んでノドの腫れがおさまれば自然に元に戻るよ、
との医者の説明に一安心。



いや〜、まじアセリました。


でもね、もしホントに何も聴こえなくなったらどうなるだろう?私。







...

結構・・・ - 2005年07月14日(木)



面白いっすね「電車男」。


話題に便乗して視聴率稼ぎか、
なんて思ってたところを
弟に「ダマされたと思って見てみろ」と言われ
見てみました。


もう第2話。
1話見逃したのは尚更見たくないんだけど。


なんだやっぱり気持ち悪りぃ〜な、と思いながら見ているうちに
あれ?面白いぞ。


そのうち思わず、
「あ〜、オレも昔、女の子に電話する時死ぬほど緊張してナカナカかけられなかったな〜」(←今も基本、変わりないけど)
なんて口にしたら

「ふん、誰のこと思いだしてんだか。」と
隣からキツイ一言。



ははは。








...

アーノンクールのブルックナー「第5交響曲」 - 2005年07月12日(火)




話題になっていたこのCD↑を今頃聴きました。


なんといってもウィーン・フィルが素晴らしい!


比類のない、この名門オーケストラをこんなにまで感嘆したのは久しぶり。

いや、久しぶりではなかった。
一ヶ月ほど前に、カール・ベームが指揮した
1975年の東京公演のライヴ、ブラームスの「交響曲第1番」を聴いて
ものすごく感動してた。

ウィーン・フィルってこんなにまで素晴らしいオーケストラだったんだ!
って涙がでた。

そういうことを思う分、近頃のこのオーケストラには心を動かされなくなってんだな、ってことを逆に思わされました。

でも何で?



ま、そのことはともかく、
アーノンクールの指揮したこのブルックナー、
色々な批評を読むと、一様に絶賛はされているのだけど
平均して「アーノンクールらしい、デフォルメの多い一風変わった演奏」という意見が大部分。


でも、私はむしろ、こんな自然なブルックナーらしいブルックナーは久しぶり、と思った。
(私にとっての、ってことですけどね)

そしてウィーン・フィルがこんなに腹の底から分厚い響きを、
艶々した、しなやかで官能的な響きを、
全員が火の玉のように、我を忘れたように全身全霊でブルックナーにのめり込んでるのが
眼前に浮かんでくる。

こんなCDを聴くのは本当に久しぶりだった。

どこをとっても立派!な演奏。


安易な物言いだけど
やっぱり作曲家、指揮者、オケが全てオーストリアという
同国人の血が成せる業ってこともあるんじゃないでしょうかね。



やっぱりウィーン・フィルは凄い!
アーノンクールも凄い!と鳥肌を立てながら感動したひと時でありました。








...

妙な日 - 2005年07月11日(月)




昨日今日と梅雨の谷間。

晴れた。


その代りムシ暑い〜(><)


昨日の朝、教会に行こうと早起きして家を出ると
団地の周りの草や木々がすごく元気そう。

連日の雨でたっぷり水を吸った後の久々の日光、
「さあ、今日は思う存分光合成するぞーー!!」
という様子?


帰宅するころには彼ら、随分清々しく、つやつやした緑を見せていた。



昨日といえば、とてもヘンな日。


教会の帰り、2ヶ月ぶりに髪を切ろうとある町に行き
(高校時代からずっと世話になってる美容師がいる。私の髪はクセがひどくて一筋縄ではいかないのでどこででも、というワケにはいかないのだ)
そこで、昔同僚だった、その町に住む女の子のことを思い出した。

「どうしてるかな?」と思ったら
目の前にその子が歩いてた。


ええーーっ。

驚きつつ、声をかけたら向こうも驚いていたが
元気そうで、近況など楽しく立ち話をした。


「元気でね」とそこから離れ、1時間ほど後、
その子と昔、「エヴァンゲリオン」のことで盛り上がってたことを思い出した。

流行りだしてから結構時をおいてこの傑作を知ったので、
共同出資でビデオをレンタルして見てたのだ。


そんなことを懐かしがりながら歩いていたら。

ええーーーーっ!!!


私の前をヒゲ面の庵野秀明さん(←「エヴァンゲリオン」の監督です。最近じゃ実写版「キューティーハニー」で有名か)
がTシャツ短パン、自転車でスィ〜ッと通っていった。



この日は一体…。

ちょっと自分が怖い日曜日でした。


ホントの話ですよ。







...

七夕の晩 - 2005年07月08日(金)




・・・というワケで、今日(もう昨日か)はプロポーズ記念日。


どんなプロポーズをしたのかはまた別の機会に書くとして(←書くのかよ!)
ホントお金がないのでプレゼントだとかお祝いどころではなく、

でもケーキくらい買ってサプライズにしようかな?
と思ったらケーキ屋しまってやんの(><)


なんだかな。


そして夕食後ひとしきり夫婦の会話をした後、
私は先日録画した「スター・ウォーズ クローン大戦」
(エピソード2ともうすぐ!公開のエピソード3をつなぐストーリーのアニメ版。これがよくできてるのにビックリ。ストーリー的にもできれば3を見る前にこれを見ることをオススメ。DVDででてます。)
を見ていたら、マイハニー、もう寝ている。

まだ10時。


「え?なんでもう寝てるの?」


「私さあ、大きな間違いしてるのよね。」

「ん?どんな?」


「1時間時計を見まちがえて、もう布団に入っちゃった(><)」



おいおい。まだ夜はこれからなのに。




・・・で、この話はここまで。
恥ずかしながら、ついさっきイギリスでの同時多発テロのニュースを知った。

なんということだ。
帰ってから全然ニュース見てなかった。

こんなロマンティック話を日記に書いてる場合じゃない。

いや、そういう時代だから大事にすべきなのか・・・?







...

ロマンチックなハズなのに - 2005年07月06日(水)




もうすぐ7月7日。


そう七夕っす。



でも私たち夫婦には別の記念日があるんです〜えへへ〜。



そう、ピロポ・・・じゃなくプロポーズ記念日。

別に七夕を狙ったわけじゃないんだけど、結果的にそうなってた。




なのに、なのに、


今月は金欠すぎてこのままじゃ記念日が祝えない(><)



短冊に「どうかいっぱいおかねがたまりますように」って書いてつるそうか・・・
ってさっき話してたトコ(哀)






...

リターン・マッチ - 2005年07月05日(火)




先日書いたとおり、
フレイレのリターン・マッチ(?)で、
N響の定期公演に行ってきました。


今度は良かったですね。素晴らしかった。

マイハニーが「100%でないような気もするけど…」
と鋭いことを言っていたけど、
(それに先日の出来から、私も気持ちが身構えてしまったせいか若干そんな気もしたが)
でも今度こそは巨匠のピアノを聴けた。

大家の風格。

ブラームスの協奏曲があんなたっぷりとした音量で、
しかもあんな美しい透明な音色とニュアンスで弾ききれるピアニストはそうはいない。


大体はブラームス流の厚いオーケストレーションの前に
ソロの音が埋まってしまう。
(「女性蔑視」と言われるかもしれないが、私はブラームスのピアノ協奏曲は「第1」「第2」とも男性じゃなきゃ、本当の意味で弾けないと思う。)


しかし、そういや最近N響定期では、
ブラームスのピアノ協奏曲、結構頻繁にとりあげられるな。


こないだピーター・ゼルキンの名演(準メルクルの指揮)を経験した気がするし、
ラルス・フォークト(マルク・アルブレヒト指揮)、
ブルーノ・レオナルド・ゲルバー(デュトワ指揮)、
ラドゥ・ルプー(サヴァリッシュ指揮)もそんな前じゃないんじゃないか?


私の大好きな曲だからいいけどさ。
一緒に心中してもいいな!(おいおい)と思わせるくらい好きで
胸の熱くなる曲。



そうそう、ピアノ協奏曲といえば、
先日アルミンク指揮の新日本フィルの演奏会に、マーラー「大地の歌」を聴きに行ったら
(藤村美穂子さんのメゾ・ソプラノが相変わらず抜群の良さだった。世界第一級の声!)
前半のプログラム、モーツァルトのニ短調のピアノ協奏曲を弾くソリストが
ウィーンの若手ティル・フェルナーから
なんと!私が大好きな、やはりウィーンの代表格シュテファン・ヴラダーに変更になっていた。

フェルナーは病気だということで、
全然知らなくてビックリしました。

嬉しい驚き。


久しぶりに聴いたヴラダーは一段と鮮やかで
生きたモーツァルトを弾いてましたね。
しかしモーツァルトのニ短調の協奏曲、しかもアルミンク指揮新日本フィル、といえば
そう、何ヶ月か前にアルゲリッチが「グルダを楽しく想い出す会」で超ド級の演奏をしたばかり。

でも彼のモーツァルト(カデンツァは自分で作ったらしい)、
アルゲリッチとはまた違う、
ウィーンに育まれたスタイル、香り、
それをもっと近代的にシャープに押し進めた、覇気満々の見事なモーツァルト。


考えてみれば彼ももう若手ではなく、
充実期に入っていく歳なのだな、と頼もしく思えました。




...

誤算 - 2005年07月01日(金)




コンサートは人間がやる限りいつもナマモノなのだけど
本当に何が起こるかわからないもの。


昨日は楽しみにしていた、現代ピアノ界きっての名手ネルソン・フレイレのリサイタルだったのだけど、
彼、とっても不調だったようだ。


私が好きな現役ピアニストの筆頭は、前にも書いたようにマウリツィオ・ポリーニで、
以下、マルタ・アルゲリッチやアンドラーシュ・シフ、クリスティアン・ツィメルマンやエフゲニー・キーシンといった感じだけど、
生理的に「ああ、この人のピアノがナマで聴きたい!」と時折思うのが
ポリーニとともにこのフレイレ。


だってCD聴いてもわかるけど、素晴らしい音。
透明で柔らかくて(優しいといった方がいいかも)、
どんな複雑なパッセージも虹のように鮮やかに弾いてのけ、
唸りをあげる重低音から夢のようにキラキラ輝く高音まで思いのままの音を出す
ピアニスト・オブ・ピアニストと呼びたくなるような人。


ああ、それなのに。

どうしてああだったんだろう?
オール・ショパンのプログラムだったのだけど
最初の「幻想曲」から、オクターヴで駆け上がる難しい箇所は全滅に近く、
「黒鍵」のエチュードは途中でこんがらがって止めちゃうし
「英雄ポロネーズ」もなんだか早く終わりたい、みたいな突っ走り方で
音ハズシまくりで終いにはピアノの弦まで切れてしまった。
(ピアノの弦はどんなに力を入れて弾いても、きちんとしたタッチである限り切れるなんてことはない。切れるのは不自然なタッチで弾いたり、突然変なタイミングで鍵盤を押したりする時くらい)


まさかフレイレが、
この巨匠中の巨匠から、
しかも他のピアニストから羨望の眼差しで見られるような最高級の音とテクニックを持った彼から、こんな状態のピアノを聴くハメになろうとは予想もしてませんでした。


病気でもしてるのかな?とも思ったけど
いつものように静かに穏やかにニコヤカにお辞儀をしている様子をみていると
全然そんな風ではない。


それにフレイレに促されて慌てて舞台に飛び出した調律師が
7〜8分くらいで新しい弦に張替え
(私も長くコンサート関係の仕事をしてるけど、こういうシーンを実際に見たのは初めて)
その後弾いたアンコールは素晴らしかった。

曲はバッハの前奏曲、グルックの「精霊の踊り」、あと彼の故国ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスやモンポウの作品。

これは絶品だった。
赤ちゃんの産毛のような優しくて柔らかくて微妙な音色。
ここでやっと私の知っているフレイレに会えた。



もちろん演奏家は人間で、こんなこともあるんだろうけど
(繰り返すけど)フレイレほどの大家から、
世界中の一流の舞台に何十年立ってきて、名声をほしいままにしている巨匠からこんな姿を見せられるとはなあ。

正直ビックリ。


彼は週末にN響定期公演でブラームスの協奏曲を弾くというので
それを聴きに行って耳直しだ!


あとこの日の前半、
私は久しぶりだったのだけど、演奏中、会場内で補聴器や録音機器を作動させた時に
特有の、微妙なピーピー音が鳴ってしまい、お客さんの一部が騒いでいた。


私にとってもこれは相当に耳障りでツラかったが、
主催者も対応にツラかっただろうな〜、と。


いやいや、他人事ではないっす。






...




My追加

 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail Home