亡国のイージス

ハードカバーで挫折した「亡国のイージス」を文庫本で買いなおして読了。なかなかに骨太な冒険小説であった。映画化が進んでいるのだが,出演を決めた韓国の女優が「日本の再軍備を促す映画に出た」ということで大変だとか。そんな小説ではないことは読めばわかる。これは日本という国を考え直そうという小説である。自分の国を守ることを真剣に考えなかった国が,どのような災厄に巻き込まれることになるのか。
自衛隊のイージス艦「いそかぜ」が,北朝鮮のテロリストと結託して叛乱を起こす。しかし,その情報をいちはやくキャッチした自衛隊の情報局が,工作員を艦内に送り込んでいた。しかし,工作員はたった一人。「いそかぜ」をそして日本を救うのは誰か。「女王陛下のユリシーズ号」なんかを思い出しますね。こっちのほうがウエットだけど。
2004年08月28日(土)

揺籃の星(上/下)

J.P.ホーガンの新作「揺籃の星」を読了。いやあ,久々にホーガンの面白い小説を読んだよ。面白いぐらい出てくるキャラに個性がないホーガンですが,この小説では個人間の争いとともに組織間の争いが描かれていて,されがオモロイ。ホーガンはこういうのが向いていたのかも。
土星に移住した人々が,そこに(ホーガン的)理想郷を作り上げる。ある日彼らが地球の危機を知らせてくる。既成の理論に合わない事実を受け入れない地球側科学者は,土星人(じゃないけど)と激しく対立して,結局はその指摘を全て無視/放棄してしまう。ところが,突然土星から巨大彗星アテナが飛び出し,地球に接近。地球にはアテナの影響で大災害が訪れる。土星人(じゃないけど)のいう通りだったのだ..
そして何より素晴らしいのは金子隆一によるあとがきでしょう。ホーガンがこの小説のベースとしたヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」論と,それをめぐる問題点を分かりやすく解説して「揺籃の星」のたつポジションを浮き彫りにしています。
あとがきまで読まないと,読んだことにならない本ですね。
2004年08月18日(水)

斬魔大聖デモンベイン 機神胎動

「斬魔大聖デモンベイン 機神胎動」を読んだ。古橋秀之の新刊。「デモンベイン」は,元々PCのゲームで,それのノヴェライズとして小説が三冊出ている。本作は外伝という位置づけ。
クトゥルーの邪神と戦う巨大ロボというのが基本設定で,ここに燃えられないとこの本は読めませんな。「デモンベイン」は,古橋秀之の「ブラックロッド」シリーズスに影響を受けているらしいから先祖返りなのだろうか。ブラックロッドほどには魔術趣味が濃くないけれど,魔術書の写本として,パンチカードを使った「機械語写本」とか出てきて古橋流ガジェットは健在。相変わらず一日で読めてしまう。
2004年08月09日(月)

ま2の本日記 / ま2