-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 カナダ人の好み

11月も今日で御終い。人々の次なるイベントは“クリスマス”!?そんな訳で、オンタリオ湖畔で開催されてる“One of a kind show"に行ってきました。

この日記をずっと読んでる人にはお馴染みのカナダ最大のクラフトショウです。年に2回クリスマスと、春休みの時期にトロントで開催されて、その他にもモントリオール、エドモントン、シカゴなどへ巡回していきます。

俺が参加したのは2年前のSpring showでした。それからも度々オファーを頂くものの、イマイチ乗り気になれなくて、以後参加はしてません。ただ、毎回お客さんとしてちゃんと見に行ってる。

今日は友達のMさんと彼氏のJさんと3人。会場が馬鹿デカイので、各々別行動にした。土曜日ということもあって、凄い人混み。

Artのセクションは、毎回出てる顔ぶれプラス、新規がちょこっと。あまり代わり映えしないなぁ。いわゆる「街角アート」が多い。万人に受けるタイプの絵ということ。日本で言うと、ちょっと前のヒロ・ヤマガタさんとか、ラッセンとかね。それはそれで好き。

このショウに来ると、いつも決まって人間ウォッチングをする。着てる服、人が集まるブース、そこで交わされる会話。カナダ人の好みや嗜好がいっぺんで分かる。

諸外国から言わせると、カナダ人は保守的だという。奇抜なもの、新しいものは避け、伝統的な昔からあるような物を好むのは本当。素材で言えば、メタルやコンクリートよりも、木や土が好き、みたいな。

それでいて、色に関しては原色が飛び散るようなカラフルな物を好む傾向がある。黒や白、シックな色にはあまり興味を示さない。そんな統計が、この会場の出店者に見事に当てはまるのが面白い。ちゃんとニーズを分かってるんだな。

毎回、「今回は何か買おう!」と意気込むのだが、今回もやっぱり何も買わなかった。多分、お金に余裕があったとしても同じだったと思う。ただレモネードを2杯も飲んでしまっただけ。

会場を後にして、2人と別れてギャラリーのオープニングへ向かう。まずBroadviewの「Little Art Show」というイベントへ。音楽あり、酒あり、オークションあり。内輪で盛り上がってるようだし、寒いので撤退。

続いてSPINへ。今日はファッション・ショーがある。RSVPという事もあり、一般客はおらず招待客のみ。トロントのデザイナーって、サヴァイブ(Survive)してるなぁ・・・という印象。確かに新進デザイナーにとって発表の場が少なすぎるから、ギャラリーに進出せざるを得ないんだろうな。


2002年11月30日(土)



 サンタに頼もうかな・・・

今日トロントで、Guns N' Rosesのコンサートがあるらしい。夕方近くのカフェで、それに出掛ける直前のHiroとジョヴァンニに会った。何やらガンズは怪しい雰囲気みたい。直前のバンクーバー公演をドタキャンしたらしい。もしキャンセルでも暴動だけは起こすなよ(笑)。

実は俺、ガンズの初来日公演行ってるんだよね。87’、8(?)の武道館。もちろんオリジナル・メンバーでのやつ。その時も直前のNHKホール(?)公演を、途中で投げ出すという暴挙の後だったから、冷や冷やしながら武道館へ行ったのを覚えてる。やっぱ、そういうスリルを味わえるのもガンズならでは!?

午後から日加タイムス社へ。新年号の表紙が仕上がったので原稿を渡す。今回は“赤”を割りと多めに使ったんだけど、新聞紙への印刷を考えると余り鮮やかな赤は使えない。朱色→紅色へ、2段階くらい落として丁度いい感じ。

人物のラインも、きれいなアウトラインを取らず、敢えて手描き風のギザが立ったような線のままでいくことにした。背景には数匹の羊をドローイング仕立てで配置。

この表紙と、先日「秋祭り」でやった似顔絵は時期もテーマも共通するところが多くて、きっと二つ並べると良い感じになるんじゃないかな?この所の俺は、すごく日本を意識してる。

久しぶりにMarvish Villageのアート専門書店へ行った。クリスマス前のセールでエリザベス・ペイトンのレア物とかドクメンタのカタログが50%Offとかであって、凄い欲しかった・・・が、我慢。

今年はずっと節制(今年は、っつかカナダに来てから)してるから、物欲が収まらないぜ。今更ながらサンタに頼むとすれば「デパート一軒」(笑)。子供だな・・・。




2002年11月29日(金)



 動揺

これから暫くの間、スタジオに住む。前々から決まっていた事で、彼女が長期で日本へ帰る間、アパートを一旦引き払う事になっていたから。今日はその引越しの日でした。

プライベートな事を書くのは躊躇ってしまうけど、自分に起こる些細な変化も出来るだけ記録に残しておきたいと思う。

昨夜は、徹夜で荷物のパッキングやベッドの解体をしたりで、このアパートをゆっくり振り返ることが出来なかった。恐らく、今までの人生で最も激動だったこの一年を過ごしたアパート。画家としても、プライベートに於いても、どちらも大きく揺れ動いたのを支えてくれた人、そしてこの部屋。

それだけでも充分に気が滅入る一日だったのに、その彼女から今日届いたメールによって更に滅入ることになった。手伝ってくれた友達とも、ほとんど口を利かず、ただただ一人になりたいと思った。

自分に非がある事には自問自答できるが、手の届かない、自分の範疇から遠く離れたものに一体何ができるだろう?人間はちっぽけだ。

2002年11月28日(木)



 発表会

Artfocusマガジンのショウに行ってきた。毎年恒例なんだけど、2000年にアワードをもらった時よりも随分ちっぽけに見えてしまった。

画家のレベルが悪いとか、会場が展示に相応しくない場所である、というのじゃなく、このショウにどれほどの意味があるんだろう?と考えてしまったから。

俺が出た時は、カナダに来て間もなくという時期もあって、アート雑誌のショウというだけで舞い上がってしまった記憶があるけど、こうやって冷静に見れるようになって初めて”このショウの意義は?”と思ってしまったんだな。

”売りたい!”という人には、オフィス街にひっそりとある会場の場所がネックになるだろうし、”アワード”を獲ったとしても、それに見合うステイタスは無いし、かと言って確固たる選考の基準があるわけでもない。

言うならば、日本の公募美術団体が開催する”発表会”のノリに近い。応募して、とにかく一定の基準に達してれば誰でも展示できるようなもの。

俺はそういう日本の美術界のシステムが大嫌いだった。また、公立美術館のほとんどのスケジュールが、そういった団体に貸し切られてるという日本の美術館の在り方に絶望していた。

趣味であろうが、本業であろうが、アーティストに発表の場があることはありがたい。それを提供してくれる意味では”発表会”も必要なのだと思う。絵は誰にでも描けるし、始めやすい趣味でもあるから、画家人口は年々増え続けている。それに対して発表の場は限られており過密状態だ。下からどんどん突き上げられても、上はどこにも行き場が無かったりするから、結局同じ輪の中でひしめき合うしかない。

その結果、安直に次々と”発表会”が生まれ、水増しされた基準の中で発表の場を得るという悪循環だ。もし、世の中の展覧会の半数以上がこういった”発表会”だとしたら、非常に怖いと思う。

一般の見に来るお客さんは、外観だけ見ても一流の展覧会とそうでないものの区別はつかない。表面がつるつるしてて、大きそうな名前の展覧会だったら、見事に一流っぽく見えてしまうものだ。

そこで気付くのは、我々アーティストの側がもっと賢くならなければいけないという事。どのショウに価値があるのかを見極め、例え名前がある大きな展覧会でも、自分に一致しないものには参加しないという頑固さも必要じゃないだろうか?

このまま食いつぶされてしまうか、それとも”アーティストは馬鹿じゃない”という姿勢を打ち出すか・・・。考えてみるべきだと思う。


2002年11月27日(水)



 「北の国から」

日本のTVドラマ「北の国から」を久々に見た。俺がまだ北海道に住んでいた幼少の頃からずっと見続けていたので、俺もあの黒板家と一緒に成長してきた感覚があるな。

さだまさしさんの、あの”あ〜あ〜あああああ〜あぁ・・・”という調べと共に映し出される北海道の風景は、そのまんま俺の幼少時代の原風景だし、曲を聴くと、鼻の奥になつかしい香りが蘇ってるくんだよな。これって不思議だ。

だから、ただでさえ思い出深いドラマなのに、日本を離れて外国で見ると一層なつかしさが込み上げてくる。単に懐かしいだけじゃなく、この歳になってやっとドラマのメッセージに気付いたりするもんだ。

まずタイトルだよな。「北の国から」っていうシンプルで、それ以上のことは何も語らないタイトルは、そのまんまこのドラマの主題に繋がるんじゃないかな?今時のトレンディドラマだったら、きっと何かメッセージを入れてしまうだろう。例えば「北の国から愛を込めて」だったら、”あぁ、愛がテーマなんだな”と先入観が入ってしまうし、「大自然の小さな家族」とか「黒板家の人々」とかだったら、家族愛がテーマですよって言ってるようなものだし。

「北の国から」これ、ピッタリですよ。あとは受け取る人それぞれに委ねるっていう態度が。さっきのテーマ曲の話もそうで、歌詞が全く無い。他のドラマだと、人気歌手が歌う、ドラマのテーマに沿った歌詞が必ず入ってて、否応なしにドラマの主題とリンクさせられてしまうもんね。

このタイトルもテーマ曲も何も語らない、まして旬な人気俳優が出ているわけでもないドラマが、最終回の視聴率を40%(?)近くも取るなんて、日本も捨てたモンじゃないな、と思う。

多分、視聴者の多くもドラマと一緒に成長し、黒板家をずっと見守ってきたんだろうと思う。これは凄いことだよ。他の映画やドラマには到底マネ出来ない歴史が詰まってるし。だってさ、回想シーンて本物だぜ!?小さい頃の思い出とかを、当時の映像使えるんだから。

他のドラマとかで今いちリアリティを感じない、入り込めないところって、この回想シーンだったりするじゃん?子役に小さい頃の再現させたり、38歳の大人が20歳の頃のシーンを演じたり。

それが、このドラマは本物が使えるんだよね。しかも、リアルタイムで見てた頃の自分の記憶と重なり合ってプレイバックするから、厚みがあるし、自分自身の歴史と繋がって重いんだよな。だから、このドラマを最初から最後まで全部見て欲しいと思う。

ドラマを見終わった後で、「このドラマの主題は・・・」なんて考えなくてもいいし、答えを見つけ出すなんて事も無駄だ。これを手本にする必要もないし、自分の環境に当てはめるのも無理かもしれない。だから、心の奥にそっとしまっておくだけでいいと思う。

世界中には色んな人種がいる。価値観もモラルも全く相容れない文化を持つ人もいる。共通するのは、いつの時代も、どの人間にも欲があって、人と自分を比べて生きていて、自己弁護だけは達者だったりする。またそうしなければ生き残れない現代に不満をぶつけたりしている。

しかし、その世界を見渡しても、吾郎の「つつましく生きろ・・・」という言葉に、涙した人が40%もいる日本という国は素晴らしいと思うのよ。若者もオッサンも皆、厚い仮面を被って生きてるかもしんないけどさ、多分心の底ではこのドラマが伝えたいことをちゃんと受け取れる人種なんだと思う。

少なくとも俺は、そういう国に生まれて良かったと思ってるし、こうやって考える“気付き”を、長年かけて与えてくれた「北の国から」というドラマに感謝している。


2002年11月25日(月)



 システム

今日も寒い・・・。
ギャラリーのオープニングを数件ハシゴした。総体的に”つまんない!”の一言。あんな連中に助成金を出してる政府や財団はアホか!?

最近ストレス溜まってるのかな?あらゆる”システム”に対して腹が立つ。どの業界、分野にもそれなりのシステムがあって、それで世の中が回ってる訳だけど、何なんだ!?このシステムって。

また分かり易く音楽に例えると、ミュージシャンはアルバム作って、シングル切って、プロモーションして、売れたらツアーして、レコード会社移籍する時はベスト・アルバム出して、またレコーディングに入る前に休暇に入って・・・。それの繰り返しみたいな。

アートだって、変わんないよな。産業だよ、アート産業。

いつからギャラリーってそんな偉くなったんだ!?アーティストがペコペコ頭下げて、作品見てもらったり、見せる為に社交してパイプ作りに励んだり、有名なギャラリストに取り入ろうとご機嫌伺ったり、その結果で展覧会やらせてもらったり。

ギャラリストもよ、アーティストを道具として使うなよ。「あたしは、こんな良いアーティストをこれだけ抱えてるわよ」みたいに、将棋の駒じゃねぇか。

俺自身、この”アート産業”に取り入る為に、これまで活動してきた所があるよ。ぶっちゃけね。しかし、それで本当に満足なのか?と問いかける自分も居るわけ。何の為にアートを選んだのか。

こういう風に言えるようになったのって、”Let's Have A Dream"の影響が大きいな。あれはさ、儲けとか損得無しにやるイベントだから、普段の俺の展覧会活動とは正反対なベクトルに向かってるんだよね。

つまり、あのイベントをやるまでは100%アート産業肯定派だったの。成功するためには、のし上がる為には、システムを上手く利用しなきゃダメだぜ。みたいな。リスクを侵してまで理想に走ったら、明日からどうやって飯を食うんだ?という部分で考えてさ。もうサラリーマンと一緒ですよ、本質は。

理想だけでは飯は食えん!!という(笑)それが、”Let's〜”をやったことによって、「50%はアート産業でいいから、残りの50%は純粋なアートをやらせて・・・」という考えに達したんだよな。それで自分の中のバランスを保とうと思って。

その半分半分の自分が、時折ぶつかるわけよ。「もっとアーティスティックに!」とか、「馬鹿、それじゃ飯くえねぇんだよ!」という具合に。今日はその50%が8,90%くらいまでパワーアップしてて、ふざけんな”アート産業システム!”状態なんです。

ある意味で二重人格&分裂症かも(笑)


2002年11月23日(土)



 古い人間?!

皆さんいかがお過ごしですか?
トロントすっごい寒い!このところ毎日曇り→雨→雪の繰り返し。気温は0℃くらいだから、まだまだ序の口だけれども、例年よりも寒さが厳しい感じがする。

その寒い中、隣町のUnited Graphicsまで借金の返済・・・じゃなくて、代金の支払いに行って来た。ここのオーナーの奥さんはGlobeのマーク・パンサーの従兄弟なんで、自然と話題は小室とKeikoの披露宴の話となる(笑)。いまどき凄いねぇ、5億?

「誓いは多くの人の前であればあるほど決意が強い」、と言うが本当かね?でも、人前で宣言することは確かに意味がある事だと思う。まぁ、俺の場合一回失敗してるから偉そうな事言えないけど(笑)。でも地味婚とかで、籍だけ入れるよりは、披露宴とか人前でやっといた方がいいものだと思う。

振り返ると、「結婚式なんて二度とゴメンだ!」という新郎なら誰でも感じるであろう大変さを味わったが、改めて考えるとそれは必要な儀式だったように思う。

今は同棲の延長や子供が出来たりで、ただ何となく入籍してもおかしくない御時世だけれど、それでもやるべき!と感じるのは俺が古い人間だからだろうか?


今日の作業は、日加タイムス紙の表紙用の作業のみ。もう一度原画から興して、再度バランスを調整。カラーは大分固まってきたので、ほとんど微調整するだけになった。

Shiftマガジンの大きなパーティ(年末パーティ?)の招待状が来てたんだけど、寒さと作業時間に押されて断念。ちょっと後悔・・・。

2002年11月22日(金)



 映画の日

今日は、朝から図書館で調べ物をした後、前から気になってた映画「Frida」を見ました。そう、あのメキシコ人女流画家フリーダ・カーロの伝記映画。

色彩がカラフルで、所々にMTV的なお遊びが挿入されてたりして、いわゆる”伝記映画”にありがちな暗さはない。少女時代に起きた大事故によって、死ぬまでに30回を超える手術を受けたという悲劇よりも、あくまでフリーダの”強烈な生き様”に焦点を当てていたのは良かった。

スペイン語だと思ったのに、セリフが全部英語だったので戸惑ったけど、フリーダの入門編としては最適じゃないでしょうか?

その後、一旦スタジオへ行ってから夜7時に再び映画館へ舞い戻る。今度はリバイバルの映画館で、写真家Bruce WeberがJazzトランペッターのチェット・ベーカーを主演に撮った「Beautiful Chet」。これはもう映像で魅せるって感じで、全編モノクロで良かったねぇ。

この日は”映画モード”で、立て続けに2本見てしまったけれど、更に勢いづいてもう一本!Roncesvallesのリバイバル館へはしごして「Godfather」を見てしまった!終わったのが深夜12時過ぎ・・・。まぁ、たまにはいいよね。

今日、水曜日は映画の日で、新作は半額だったし、リバイバルの方は会員証($6で入れる)があれば$3だし、日本だったら一本分の値段だぜ、全部合わせて。

それはさて置き、新作の予告編で大好きな監督Gas Van Santの予告編をやってた。主演はマット・デイモンで、雰囲気的にあの「My Private Idaho」を思わせる映像だった。なんか不安・・。永遠のFavoriteである「My〜」の焼き直しだけはやって欲しくないよな。

Gasと主演のマットは「Good Will Hunting」以来のコンビ。あの映画以降のGasは好きじゃないから余計に不安なんだよね。まぁ、見てから判断しますか。

2002年11月20日(水)



 似顔絵は即興なり

似顔絵、大盛況でした。
結局寝ずに参加した「秋祭り」でしたが、お蔭様で33人もの似顔絵を描くことが出来ました。11時のオープンから昼過ぎくらいまでは全く客が来なくて「ヤバイなぁ・・」と思ってたんだけど、午後に友達が客として来たあたりから忙しくなって、閉館の5時を過ぎても予約の客がいる。という状況になりました(笑)。

遂に時間切れで描ききれなかった方々には、後日スタジオまで来れるなら描きます、という条件でお断りしました。それから撤去も手伝って、ヘロヘロになりながら帰ってきました。

しかし、似顔絵ってシビアだねぇ。下書きナシで10分で描くわけだけど、その十分で特徴を捉え、描き上げるには相当な集中力がいる。普段ってさ、作品を仕上げる場合、その80%が“頭の中で考える”時間じゃない?残りの20%が実際に描いてる時間だとすると。

描いてる時間より、考える時間の方が全然長いわけよ。でも似顔絵の場合、初めて会った人をパッと見て、すぐに特徴を捉えて描き出さなきゃいけない。考える時間が無いって事は、それだけ集中力を高めておかないと失敗するんだよね。

で、周りにはギャラリーがいるから“失敗できない”っていうプレッシャーも物凄いしさ(笑)。だって、輪郭を描いた時点で「あ、似てる!」とか「似てない」とか横で聞こえるし、「うるさーい!」と叫びそうになるよな。まったく。

連続で5人くらいを描いたところで相当疲れて、休憩が欲しくなった。しかしポーカーフェイスで何事もないように描き続けたね。でも、はっきり言って今回出たことは凄いプラスになった。

第一、色んな人達と話せて予想以上に楽しかったし、同時に自分の即興性を試すことが出来たから。俺、もともと音楽畑にいたからさ、どうしても音楽と関連付けて考えてしまうんだけど、即興が出来ないミュージシャンは偽者だと思うのよ。

つまりレコーディングでは一流だけど、実際にアドリブさせると最悪って場合。一流のミュージシャンは即興でも一流なんだよね、絶対。何にも無いところから、ポンとギターを持っただけでブッ飛ぶような演奏をして人々を魅了する。そんなのが本物のミュージシャンだと思ってるから、それをアートに例えるなら、今回が絶好の機会だと思ったんだ。

そういう訳で、似顔絵は日頃の感謝をお客さんにお返しする為に出展したはずなのに、逆に自分自身の絵を磨く場にしてしまいました(笑)ありがとう!

2002年11月17日(日)



 デモに初参加

ただいま。
いや〜、疲れたよ。今は朝の6時。深夜3時過ぎに、明日(っていうか今日)の会場の搬入を終えて帰ってきました。多分、寝たら起きれないので、このまま「秋祭り」に出陣します。

しっかし、トロント大雪で凄いんですよ。客足は大丈夫だろうか?車で送ってもらう時にもスリップして、あわや”tomolennon雪道に散る!”の見出しが出そうになったぞ。

搬入では、机やら椅子やらパテーションやらを、鬼のように運びまくり、半ば意識もうろう状態だった。途中でバブル・ティーのタピオカを盗み食いしたりして何とか回復。とにかく会場が広いんだよね・・・。

会場の日系文化会館はトロント市街から大分離れてるんで、車が無いとキツイ。今日もこれから2時間後には再び出発して会場入り。雪は依然止まず・・・。大丈夫か?

それはそうと、今日の昼は反戦デモに参加しました。もちろんイラクに対するブッシュとブレア連合へのデモです。Queens Parkにおよそ500人くらいの学生を中心とした群集が集まって、約一時間くらいの演説。雪の降る中、凄い熱気に包まれた。

皆、一様に”No More War"や”Stop the Bush's War"のプラカードを掲げていたが、やっぱ俺はお手製の”LET'S HAVE A DREAM !"カードを誇らしげに掲げて参上した。デモ行進は、やがて米大使館の前に到達。ここから本番!という所だが、俺も明日の準備があるから離脱することにした。

色んな奴と話をしたが、極端な話「お前、戦争したいの?したくないの?」と聞きたくなる奴が多かった。紙一重というか、たまたま今は”戦争反対”の立場にいるだけで、ちょっと違えば”戦争だ!”と叫びそうな思想を持った輩が多いということ。やっぱり大事なのはコレだぜ。”LET'S HAVE A DREAM !" ピース。

2002年11月16日(土)



 似顔絵って難しい・・・

やっと明後日の「秋祭り」の準備に入った。そもそも似顔絵ってのがいいね。97年にバンクーバーにいた頃、金に困って路上で絵を売った思い出が蘇る。それを手引きしてくれたのが、中国人の似顔絵師Peterだった。

路上で物を売るには街の許可が必要だったんだけど、彼が「俺の横で売れば問題ないよ!」と言ってくれて、似顔絵を描くPeterの隣にくっついて売ってたんだ。彼の似顔絵はいつも盛況で、日に2−30人くらいの客が来た。横にいる俺はバンクーバーの風景を描いたもので、しかもカラーコピーを$30くらいで売ってたから、日に1人、2人買えばいい方だったのに。

ただそこで、自分の絵を売る喜びを知ったし、直にお客さんの意見を聞けたので凄く貴重な体験だったと思う。それに英語の勉強もか(笑)

今回はその当時を思い出して、アレコレと準備することにした。まずポスターを作って、似顔絵のサンプルを描いた。分かりやすい題材ってことで、ブラッド・ピットとマドンナ。それにやっぱりジョン・レノンの3人を試しに描いた。本番さながらに、さらっと10分くらいで描いたが、「似てねぇ〜!」。思わず凹む。

見慣れた有名人の顔でも特徴を上手く描くのは難しい。ってことは、初対面の人をいきなり描くのはもっと難しいんだろうな・・・。ちょっと後悔してきた。

まぁ、出来はどうあれ、楽しむのが今回の目的。あんまり深く考えないようにしよう(笑)



2002年11月15日(金)



 授与式

いよいよUnited Wayへ寄付金を授与する日。急に決まった日程にも関わらず、副領事の宗像さんと新企会の松本社長が出席してくれた。あとはスタッフのYumiと日加タイムスの平山さん、カメラマンのS君という面々。

United側はJenniferにVice-PresidentのJudithらが、わざわざ駆けつけてくれた。授与式の前に、松本社長らと談笑してたんだけど、思えばトロントに来てから3年、いつも何らかの形でサポートしてもらっていて、感慨深いものがある。

トロントに来て間もない2000年、彼の会社で働いたことが縁となった。その後初めてグループ展に参加した時は、原画を買ってくれたり、ファッション・ショー用のデザインをさせてもらったこともある。会社を辞めた後くらいから、従業員としてではなく一人の画家を目指す若者として接してくれるようになったと思う。

俺は常々、人それぞれに恩返しの方法があると思っている。優秀な従業員だったら、会社の為に一生懸命働くことが恩返しかもしれないが、俺の場合は問題児(笑)だったので、それ以上迷惑を掛けるのを避け、何とか絵で恩返ししたいと思っていた。それにはやっぱり活躍する姿を見てもらうことが一番だと、今日感じたね。何だか親子の関係に似てるな。出来の悪い息子って感じで。

式自体は30分くらいで終了。小切手を拡大した、よくテレビとかで見かけるようなプレートを手渡すところを撮影。よく見る光景だが、まさか自分が渡す側になるとは夢にも思わなかった。

別れ際、Jenniferに来年もイベントをやったら?と聞かれたが、同じ都市で2回やる意味がないし、他にも世界中の都市が目標にあるから、この第一回目という記念すべきスタートをトロントで飾れただけで充分だと思ってる。

次は2年後?3年後?どこの街でやるのだろう。自分の事なのに、ワクワクしてしまう。


2002年11月14日(木)



 何だかなぁ・・・。

何だかエライ忙しくなってきた。”Let's"が終わってからまだ十分休んだ記憶がないんだけどさ。あー嫌だね、貧乏暇なしは(笑)

12時にHere and NowギャラリーのAlyssaと待ち合わせ。来年やる個展の日程を決める為だ。俺が日本へ行くのが3月か4月なので、それから帰ってすぐの5月27日〜6月10日に決定!

早速フロアプランを広げて具体的な案を検討した。今回は彼女がキュレーションするので、俺はただ「ああしたい、こうしたい!」と好きな事が言えるから楽だ。今日はトータル的な部分だけを決めて、後は徐々に詰めていくことにした。

半年も先の事なのだが、Alyssaは早くもNOWマガジンをはじめ、メディアに情報を流したという。やっぱ賞とか取ると対応違うよなぁ・・・。

帰り道、明日のUnited Wayのレセプションの召集を掛けるために歩きながら携帯で話してると、前方に見慣れた後ろ姿を発見。Fiona Smithだ!

壁にペイントをしている!こんな大物とも、街中で偶然出会う確率が高いのはトロントならでは。話したかったが、電話の内容が込み入ってきたので、軽く挨拶程度で過ぎ去ることにした。あぁぁ・・。

スタジオに着いてから、明日のレセプションの書類を作り始める。会計報告書とか諸々、事務的文書。あとスピーチとかあったらどうしよう?何か考えないと頭真っ白になるよな。そういう場違いな所だと。

4時にMihoちゃんが来て、17日の似顔絵の打ち合わせ。まだ何も準備してないので、とりあえず画材屋へ行き、アレコレと紙を選んだ。時間が無いので、適当に思いつきで素材を買い込む。

似顔絵以外にも、せっかくだからポストカードを売ろうと思いつき、DTPでササッと作った。と言いたいところだが、結構時間が掛かって6枚組み、10部限定にした。今までもポストカードの問い合わせは結構あったけど、実は販売用に作るのは初めてなんだよね。パッケージまで即席で作ったので、12時までかかった。

そこから今日買った紙と、ボードをカットし始める。今夜中にやってしまわないと明日は出来ないからな。

日本が昼の時間になったので、北海道の花屋に電話して法事用の花を注文する。本来なら、俺も日本へ行く予定だったのだが、遂にNGで花だけでも届けたいので。

この日記は、暇がある時にチョコチョコ書き足してたので、何だか文脈が意味不明だけど勘弁してください。また明日!





2002年11月13日(水)



 tomolennon、テキ屋になる!?

毎年一回、新企会という日系商工会が主催する「秋祭り」に俺が出店することになった。「秋祭り」というのは余り聞かない言葉だ。”収穫祭”とかなら分かるけど。

新企会の会長とは、カナダに来て以来の長い付き合いで、”Let's〜”にも多額の援助をしてもらったし、以前にも何度も援助して頂いている。いつも俺は世話になるばかりで、どうすれば恩返し出来るものか?そこで今回出店することにした。

「出展」でなくて「出店」である。別名「蚤の市」と呼ばれるこの行事には、様々な日系人が出店する。例えばガレージセールと言って、家庭にある不用品を売ったり、レストランが出店を出したり、美容師が出張出店したり、食器屋がうつわを売ったり、とにかくあらゆる日系の企業、店がお祭り仕立てで出店を出すのだ。

”Let's"が終了した後で、新企会の事務所に挨拶に行った時に、「似顔絵とか描けない?」と聞かれたのが発端となり、一晩考えた。以前の俺だったら「似顔絵なんて、そんなレベルが低いことはイヤ。」と断っていたに違いない。

だが、カナダに来て以来、様々な形で日系のコミュニティーにはお世話になってきたし、特に今年一年は大いに持ち上げてもらった。じゃあ、新企会を通して日系のコミュニティーに恩返し出来る良い機会じゃないか?と思えてきたのだ。

お蔭様でNOWマガジンの受賞もあったし、ある意味で「有名」(!?)にさせてもらった。新聞を通してでしか俺を知らない人も多いから、ここで思い切って外へ出て、直接ありがとうと言うのも悪くない。しかも、似顔絵なんて描くのは最初で最後の機会だろうし、だったら楽しんでやっちゃえ!というのが本心。

そう、一日だけ似顔絵描きに変身する!もちろん、俺が描くのだから普通のそっくりに描く似顔絵では終わらない。俺のスタイルで作品と呼べるものを描くつもり。手抜き無し!

トロント近郊に住んでる人がいたら、絶対に来て欲しい。11月17日(Sun)日系文化会館にて待ってるよ!

2002年11月12日(火)



 寄付について

United WayのJenniferとやっと連絡が取れた。先日の"LET'S HAVE A DREAM”の収益を寄付する日程を決める為だ。これが終わらないと、本当の意味でイベントの終了ではないからね。

正直、イベントの収支は赤字。利益を寄付するどころか、逆に寄付するために借金して工面した。これからそれを背負っていくかと思うと気が滅入るが、そこまでしても寄付はすべきである。これはイベントを興した自分の使命であるし、責任である。

絵の売り上げと、カタログやT-シャツの売り上げの総額が$1,280ドル。たったこれだけかもしれないが、そこには参加したアーティストの善意や願い、そして我々スタッフの汗や努力が詰まっている。

Jenniferとも、そういった部分で話をした。United Wayほどの大団体となると、年間多額の寄付があり、それらに比べると本当に微々たる金額かもしれない。けれども、自己満足かもしれないが、自分の理想とする平和活動を小さくても起こすことが出来た。その事実は大きいと思う。

今この小さな運動は、スタートを切ったばかり。次はもっと大きく、その次は更にもっと大きく成長していけばいいさ。俺は男だから、子供を産む気持ちは分からないけど、このイベントが子供だとしたら、それを産み落とし、今後の成長を楽しみに待つ親の気持ちだ。


2002年11月11日(月)



 アーティスト・ビルディング

ダウンタウンには、幾つかの「アーティスト・ビルディング」がある。元は工場だったり、倉庫だった場所を改装して、アーティストの制作スペースとして貸し出されてるものだ。

その一つが、年に一回のオープン・スタジオとして一般に公開されたので見に行った。LandsdownとDupontの近くにあるそこは、あまり大きくなかったし、少なくとも「ここにスタジオが欲しい」と思えるクオリティではなかった。

それでも映画「ゴースト」で見るような、天上の高いロフトスペースを非常に安い金額で借りれるのは魅力だ。元が工場とかなので、シャワーなどの施設を付けるのは実費。そもそも”住み込み禁止”の所もあるくらいなので、基本的に皆、制作の為だけに使用していた。

絵画から陶芸、ジュエリー工房など、20組ほどのアーティストがこのビルにスタジオを構えていた。中にはアート・フェアなどで見かける有名作家も入ってて、中々の顔ぶれ。こういうビルに入居するには通常、5年とも言われる長いウェイティング・リスト(順番待ち)がある。広くて安いスペースはアーティストにとって憧れ。だから、中々出て行く人も少ないし、空室が出れば、そのリストの上から順番に権利が廻ってくる。

だから俺みたいな、将来何年トロントに居るか分からない者にとっては気休めでしかないね。それでもまぁ、家賃さえ払えれば日本では考えられない広さの物件は沢山あるし、その家賃もニューヨークと比べたら半額に近い値段だし、ここを制作の拠点とするアーティストが多いのも納得だ。

へへへ。実は俺も物色中なんだよね。来年初頭にもっと良いスペースに移れれば良いな、と思って。たまにメールで質問もらうんだけど、今のスタジオってどんな場所なんですか?って。

立地は最高だけどボロイ。この一言だね(笑)場所は、トロントを渋谷に例えると、センター街みたいな所。だから非常にウルサイ。静かな環境を望む人には耐えられないかな(笑)。広さは、この間計ったら約14畳くらいだった(日本式にね)。そこにパソコン2台のワークスペースと、応接セットみたいな場所と、絵を描く専用のスペースがキツキツである。って感じ。

他の入居者は普通に住んでるから、キッチンもバスも共同であります。3階には物置があって、そこに普段使わない大きな資材とか置けるから、それは便利。ともかく、周りにはレストランやカフェが豊富にあるし、画材屋に歩いて行ける立地が何よりも助かる。だから、よほど良い物件じゃないと移れないなぁ・・、と思うよね。




2002年11月10日(日)



 映画

久しぶりに映画を見た。「リング」である。一緒に行ったK君いわく、「日本版とほぼ変わらない」らしい。その日本版の記憶が薄いので、見てて楽しめた。

こっちで劇場で見た映画というと、本当に片手で数えられるくらい。本来は映画大好きで、20歳の頃は早稲田松竹というリバイバル映画館で、朝から晩まで同じ映画を見たものだ。高校の時には、レンタルビデオで年間250本を見るくらいマニアだったのだが、今では時間が無いことを口実に、レンタルビデオの会員ですらない。

基本的にロードムービーとか、インディペンデントと呼ばれる類が好きで、こういうのは一人でしんみり見るのに限る。けど、こっちで俺を映画に誘ってくれる人達は、いわゆる起承転結がはっきりした娯楽作品を好むので、誘われても題名を聞いただけで「やめとく」と答える場合が多い。

でもまぁ、久々に映画館で見るのは良いね。前回見たのが「スパイダーマン」(笑)だったし、今回は「リング」。どちらも記憶には残らない映画だけど、単純に娯楽として見るのは楽しい。周りの観客見てても楽しいし。

日本のようにシーンと静まり返った雰囲気は皆無で、時には「ギャー!」っという悲鳴を上げたり、大声で笑ったり、歌ったり、ポップコーンをバリバリ食いながらだったり、とにかくEnjoyしてるのだ。その中にいるだけで楽しかったりする。

そう思うと、未だにエンターティメントの王様は、やっぱり映画かな?と思ってしまう。悪く言われるハリウッド産でも、結局はエンターテイメントを突き詰めてああなった訳だし、よく見れば、音楽やアート的な部分で細部まで拘ってる作品も沢山あるしね。徹底して人を楽しませる為に最高峰の技術や人材を投入してるし、それを決して表に見せない。映画を見るときに、我々はほんの氷山の一角だけしか目にしてないのだろう。

2002年11月09日(土)



 オープニング巡り2日目

Hypeの時に知り合ったAnoush GalleryのキュレーターRafiとは、アートフェアで偶然会ったり、”Let's"に来て作品を買ってもらったりで、定期的に顔を合わせてた。その彼が今月末に日本へ視察に行くというので、情報が欲しいと電話をもらった。

たまたま近くのKensingtonで期間限定のショウをオーガナイズしてるとの事だったので、そこまで足を伸ばす事にした。日本へ行く目的は作家の発掘と会場やパイプの下見。具体的なプランはまだ固まってないが、一年後くらいにカナダと日本の双方で巡回展をやりたいらしい。

夏にやったHYPE TOKYOを含めて、俺の手腕を高く買ってくれてて、もしプロジェクトに参加してくれれば可能性が更に広がると言ってくれた。ただ、面白いけど実現に不向きな企画というのもあるので、ここは慎重に彼の意見を聞くに留めた。

日本のアート界は”特種”である、という実情を説明するのは難しい。欧米のやりかたがそのまま通用する国ではないから。良い例がプロレスだ。アメリカでは完全な”ショー”として絶大な人気を誇るWWEを頂点としたプロレスも、日本では”真剣勝負をベースとした”プロレスこそが受け入れられている。だから、外国人レスラーも日本へ行くときには”真剣勝負”風なスタイルを身に付けて乗り込むわけだ。

そこの国民が何を好み、受け入れるのかは、やはりそこで育った者にしか微妙な感覚が分からない。だから国と国を股にかけたようなプロジェクトの場合、そこの出身者が加わるか否かによって、手触りが格段に変わってくる。まぁ、あくまで「いかに受けるか?」を考えた場合だけどね。

夜7時。SPINギャラリーでMihoちゃんと待ち合わせ、昨日に引き続きオープニング巡りに繰り出す。ビールを飲みつつStuとJunoに挨拶。「ベスト・アーティストおめでとう!」とStuがカラかってきたので、「そちらこそ、ベスト・コマーシャル・ギャラリーおめでとう!」と言ってやった。アート界で言えば、ワン・ツー・フィニッシュを決めたようなものなので、とりあえず目出度いことだ。

早めにSPINを後にして、Katherine Mulherin Galleryへ。ここは一度やってみたいギャラリー。小さな空間が心地よい。一階のメインスペースに展示されてるアーティストはそれほどでもなかったけど、2階で展示してたアーティストは良かった!小さなミニチュアをアレンジしたシュールな作品。思わず爆笑してしまった。アーティストに声を掛け、一緒に写真撮ってもらった(笑)こういうのって珍しい。

そっから帰り際にStarbucksでコーヒーを飲みながら、Mihoちゃんとアート談義になった。自分の意見を押し付けてしまったかな?と少し反省。


2002年11月08日(金)



 行動的な日でした。

今日は朝から活動的だ。溜まっていた洗濯物をランドリーにかけ、朝食まで自分で作って食べた。昨日の無気力さを力ずくで取り返そうと思う。

今や日課となっている徒歩でスタジオへ向かう。途中のカフェでNOWマガジンをピックアップして、歩きながら読む。今日は木曜日なので、複数のギャラリーがオープニング・パーティをするはずだ。特に”Let's〜”に参加してくれたSteve Sechiも今日がオープニングなので出掛ける予定。

スタジオに着いて、まず昨日制作途中だった日加タイムス用のデータを修正して、プリントアウトする。それを持って新聞社へ。1時間ほど打ち合わせをして、基本的に俺の案でGOサインが出た。

またまた徒歩でスタジオへ戻る。今日は風が強い。着替えてからSteveのオープニングへ向かう。ちょっと早く着いたので、近くのStarbucksでコーヒーを飲みつつ、人物をスケッチ。何だか久しぶりにスケッチするなぁ。

Steveのショウは、3人のグループ展となっており、Mafu Jangという以前One of a kind showで一緒にやったアーティストも入ってる事に気づいた。彼の作品はとにかく”売れる”。良くも悪くも”売れる”作品だ。マーケットのニーズを把握した彼の作品を嫉妬まじりに見たよ(笑)

Steveは次から次へと挨拶に忙しそう。シャイだなぁと思ってたのに、やるときゃやるね!軽くワインを飲みながら談笑。彼の人間性も好きだ。

長居せずに、次のオープニングへ移動する。その途中、車椅子のおじいさんに声掛けられて、2ブロックくらい車椅子を押してあげた。おじいさん曰く「最近の若者は、押してくれと頼んでも知らん顔だ」とか。これからギャラリーへ絵を見に行くんだ。と言うと、「俺も昔は絵を描いた。でも盗作ばっかりだった(笑)」。本当か嘘が分からないけど、とにかく話し相手が欲しいといった様子。

Queen WestのBus Galleryから2−3軒をはしごした。どこも中々の客足。途中で、「パパ」と勝手に呼んでいるコレクターのおじさんと遭遇。HYPEの時に初めて会ってから、オープニングにはどこでも出没する名物おじさん(失礼)だと知ったのだが、多分どこかの大企業の社長だろうね。見た目は単なるおじさんなんだけど、着てる服は一流だし、万年筆とか時計とか相当いいもの持ってるし。

ゲイなのか、アジア人好きなのかは分からんが、何故か俺には愛想がいい。結局それからギャラリーを一緒にはしごした。その後、丁寧に別れて(笑)友達のKくんのコンドミニアムへ。

久々にボン・カレーをご馳走になって、超ご機嫌になった。ビデオで、9・11のWTC内で撮影されたという衝撃映像の番組を見た。人がビルから飛び降りて、地面に叩きつけられる音がそのまま収録されててショックだった。しばらく耳から離れそうも無い・・・。



2002年11月07日(木)



 無気力な日でした・・・

色々と済ませないといけない用事があるにも関わらず、何もする気になれない日だった。昼にスタジオへ来たは良いけど、結局一歩も外出せずにソファに座ってはタバコをふかしてた。

夕方になるにつれ、多少明日の事を考えはじめて、日加タイムスに依頼されてる新年号の表紙から取り掛かる事にした。あ〜、ダメな一日だ。

新年号の表紙を描いて欲しいと依頼されてから、随分頭の中で考えていた。モチーフは?色のイメージは?コンセプトは?次第にそれが具体的に見えてくるようになった。

編集長と話し合う前に、それらを自分なりにドラフト・デザインに仕上げておこう。いくら新年号と言えども、干支の動物が前面に来るようなOld Styleは避けたかったので、それをどう組み入れるかが鍵だった。日加タイムスは歴史のある新聞だし、読者層も幅広い。万人受けとまではいかないが、ある程度の最大公約数を考慮するべきだ。

そこで固まってきたのが”女性”というテーマ。「来年は優しい年になればいいな・・・」という想いがある。去年、今年と荒々しい、殺伐とした事件ばかりで、非常に男性的というか、男が世界をダメにしてるんじゃないか?と思える事が多かった。数十年も前からウーマン・リブという女性運動があるが、未だに世界は男性主導という観は否めない。

もしこれらの問題が女性主導の下で取り組んだとすれば、随分と違った解決策が出たのではないか?とも思えるのだ。だから来年こそは、もっと女性が発言をし、願わくば思い切り世の中に台頭してきて欲しいものだ。そう、世の中は女性に象徴される「優しさ」と「強さ」を求めている。

丁度、干支である羊も、優しい女性的な動物だ。これが辰とか虎だったら来年も男性的な荒々しいイメージがあるが、女性らしさを上手く羊とコラボレーション出来ればコンセプトは固まるだろう。

紙に何枚も女性の顔を描く。思い描いてる表情に近づくまで何枚も描く。ポイントはどれだけ人を惹きつけるような瞳が描けるか?という部分に絞っていき、夜中の12時を過ぎたころ、やっと一枚が完成した。それをスキャンしてPhotoshopで加工していく。

手描きのペイントだと、印刷したときにインクの色や紙質に左右されて納得いくような色調が得られない気がしたので、今回はあえてDTPで仕上げようと思う。時間を忘れて没頭して朝の4時にひとまず完成。プリントアウトして作業を終える。明日見てみて、多少手直しをしよう。おやすみ・・・。


2002年11月06日(水)



 ベスト・アーティスト

久々に昼過ぎまでぐっすりと眠ったよ。鏡で自分の顔を見ると、なるほど病人に見える。どうせ今日は誰にも会わないと思って、髭もそらずにシャワーだけ浴びてスタジオへ。

スタジオの中は、昨夜降ろした荷物でパンパンだ。とりあえず座る場所を見つけて腰を下ろした。届いてた手紙を開けていくうちに、NOWマガジンからの手紙が混ざってるのに気付いた。開けると「Congratulation!」とある。

「You have been selected as "Best Local Visual Artist"」の文字が飛び込んでくる。そうだった、数週間前にもらった電話を思い出した。

NOWマガジンとは、トロントで発行されているエンターテイメント・ペーパーで、日本で言うところの「ぴあ」とか「東京ウォーカー」みたいなものかな?その週に開催されるコンサートやイベント、映画、ダンス、アート・・・とあらゆる情報が満載されている。毎週木曜日に無料で街のいたるところで入手できるから、市民はそれを読んで今週何が起こるかを知ることができる。

その雑誌が毎年一回、”Best of Toronto"と題して読者投票をするんだね。ベスト・レストランからベスト・タクシードライバーまで、ありとあらゆるジャンルごとに今年のベストを決める。俺も一読者として毎年これを楽しみにしていた。ある意味、自分には関係ないものとして・・・。実際に去年はノミネートさえされなかったし、ベスト・アーティストを獲ったのは憧れのFiona Smithだったから、すごい遠い存在に感じてた。

それが今年、「tomolennonさん、ベスト・アーティストにノミネートされてます。」という電話を受けてビックリした。「まぁ、何票か入ったんだろう」くらいにその時は思ったんだけどね。

それが本当に1位になったのを知って、未だに信じられない気分だ。あのFionaを2位に抑えてのものだったし。しかし、留守電に入ってたNOWからの「おめでとう!」のメッセージや、インターネットでホームページを見てから、じわじわと実感が沸いてきた。外へ出て、今日発行されたばかりのNOWをめくると、確かに俺の名前がある。

棚から牡丹餅というか、とにかくラッキーだな、という気持ちが強い。確かに今年だけで10数回の展覧会をやってるから、多分トロント中のアーティストと比べても突出してるとは思うけど、とりわけ話題になったり、目立ったという自覚がない。

思い当たるとすれば、夏のHYPE TOKYOか、今回のLet's Have A Dreamくらいだ。その他の展覧会は、地元のレストランやカフェを地味〜に廻るもので、全く宣伝活動をしていないものだ。そのレストランなどで、偶然絵を見た人達がそれぞれに投票してくれてたとしたら、これは画家冥利に尽きる。

単にアート好きだけが投票してくれたものより、こういった一般の人々が認めてくれて初めて”トロントの画家”としてやっていけるのだから何より嬉しい。そして、Let'sが終わった次の日というタイミングも何だか粋じゃないか。

ありがとうみんな!

2002年11月02日(土)



 Warm heart in the calm night

昨夜は会場の撤去の後、スタッフ達とSushi Placeに食事に出掛けた。MihoちゃんとEriちゃんがウェイトレスとして働いてる店で、しかも昨日のレセプションのケータリングもしてもらったので打ち上げに適した場所だね。

イベントの反省点が頭を過りつつも、今夜だけは楽しく過ごそうと思った。最後に久々にビールをイッキさせられ、早めにお開きにした。そこから歩いて数分でスタジオだ。皆と別れてから一人で車から荷物を降ろす。

誰かに手伝ってもらおうかな?と思ったけど、何故だか一人になりたくて黙ってたんだ。深夜2時、全部降ろし終えてから、風船に使ったガスボンベを返却にDundasへ寄ってからガソリンスタンドへ。

レジで支払いを済ませる時に、店員のニイちゃんが「顔色わるいぜ」と声を掛けてきて、「今、展覧会が終わってホッとしてるんだけど」と答えると、「コーヒー飲めよ、丁度入れ換える時だから余ってるんだ」と言って一杯くれた。

車に戻って、その一杯を飲んだ時に、やっと今日一日が終わった気がしたね。しばらく発車せずにコーヒーを味わった。香りのトンだ、味の薄いコーヒーだったが今夜ばかりは格別だった。

レンタカーをBloorに返却して、夜の街を歩いてアパートへ戻る。天気予報では昨日は雪の予報だったが、見事にハズレ。今夜も降らずに朝を迎えそうだ。

2002年11月01日(金)
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