カフェの住人...

 

 

第二十二話 〜パッションとシンパシーの人〜 - 2004年05月31日(月)





パッション

まさにこの言葉が似合う人だ。

そう、いつも思う。



シンパシー

こんなに感じてくれる人は他にはいない。

本当にそう、思う。





彼女には一体、どれだけの顔があるのだろう。

妻であり、母であり

セラピストであり、シンガーであり・・・

そして女なのである。

あの見事なまでの美への追求は

つくづく感心してしまうほどだ。





彼女は全てにおいて重みを置き、決してどれかを御座なりにはしない。

けれど、そのどれにも

重みを感じさせない。





彼女はまるで蝶。

ひらりひらりと美しい羽で飛ぶ姿は、妖艶そのものだ。



しかし、蝶とはいっても

お高い感じな訳でもなく

気取らず、この住家ではくったくのない会話をする。

時には強がりな悪ざれすらつく事もある。



「まったく、しょうがないなぁ」



そんな風に私が言うと



笑みをふくませながら舌を出している。



なんとも、困った人なのだ。



そんなだから

彼女に憧れている住人も多い。

そんなだから

舞い散る鱗粉に目を霞める者もいる。





けれど、彼女は言う。



「私だって、さなぎだったのよ」



決して本人は今、蝶だと認めている訳でもないけれど

もう、あの頃とは違うということは

知っている。

そして、これからもまだ変わっていくものだというのも

知っている。







時折、ここへ来ては

さなぎだった自分の話を聞かせてくれる。

未来から見れば

まだ今もさなぎであるかもしれないであろう、自分の話もしていく。







一度こんな話をしていった。



「私ね、生まれ変わったみたいだったんだ」



それは、セラピストになるためのスクールへ行き、出合った

尊敬してやまない師匠

今でこそ親友となった友との出会い。



これが、大きく彼女を変えたという。



見方、感じ方が変わり

世界が変わった。



だから、今彼女は蝶となったのだ。



それまでもがき苦しんでいた人生。

どうしてこんな思いをしなくてはいけないの?



そう叫んでいたあの頃・・・







シンパシー

彼女はセラピーに来る人々の苦しみとリンクする。

供に悲しみ、うろたえ、怒り、泣き、叫ぶ。



『どうして?』 と。





そして今度は

ゆっくりゆっくり、涙を拭ってあげると

ゆっくりゆっくり、手を差し伸べる。

立ち上がった、かつて悲しみの人々は

そんな手に見送られながら、蝶となって羽ばたいてゆく。



「みんな同じよ」



そう言いながら、今日もさなぎだった自分を振り返っている。











スポットライトを浴び、キラキラと舞う蝶。

刹那さと、喜びを身体中で伝えたくてステージに立つ。



パッション

ほとばしる思いは、彼女が集めた蜜で皆を甘く溶かす。



 供に叫び、供に歌おう。



 きっと何かが待っているから。







そう伝えている様にに見えるのだった。













今日は愛らしい小さな娘と一緒だ。

「私のかわいい子、愛してるよ」

そう言いながら

いつものやたら大きな笑い声を響かせいる。



そしていつもの、ほろり甘いコーヒーを頼む。

それから、メンソールのタバコに火を付けた。







今日も蝶は艶やかだ。











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