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2002年01月27日(日) 六法代わりのPDA

昨年末にPDAを購入した。ソニーのクリエT-600Cである。
同期の弁護士が使用しているのを見て、購入を決めた。

年明けからのスケジュール管理はすべてこれを用いて行うことに決めている。
忙しいときは、スケジュールを書き込むのも大変ではあるが、毎朝事務所に向かう電車の中で必ずチェックし、To Doリストとスケジュールを更新することにしてから、相当楽になった。

最大の利点は、よく使う条文を収めることができる点であろうか。
商法、民法、証取法、同法施行令、その他の証取法関連法令、外証法、銀行法、同法施行令、同法規則、投資信託及び投資法人に関する法律、同法施行令、同法規則等々、これだけで分厚い六法ができてしまうような条文をすべてコンパクトに収めることができる。

ジョグダイヤルも、長い条文を検索・参照する際に役に立つ。
外出の際など、六法を持たなくてよくなったのはありがたい。

問題は、会議の際にクリエを持ち出して条文を参照しだすと、クライアントの眼がそこに集中してしまうことだろうか。






2002年01月23日(水) 渉外法律事務所のリクルート風景


早いもので、もう弁護士登録してからこの4月で満3年となる。すでに56期の修習予定者のリクルートが始まっているので、彼らとは5期の差があることになる。もはや若手とはいえないということか。そういえば、芥川賞を取った長嶋有が29歳で若手と称されていないことを思い出した。

ところで、修習予定者の方がこのページに来られることも多くなってきているように思うので、興味のありそうなことを書いてみようと思う。

それは、修習予定者、司法修習生の就職活動についてである。

リクルート活動の一環として修習に入る前から事務所説明会を行ったり事務所訪問を受け付けるようになったのは、昨年あたりからである。ある渉外事務所で取りたがるような良い人材は、他の事務所でも欲しがるような状況で、一部の修習生にオファーが殺到する事態がすでにここ何年かで起きている(らしい)。渉外事務所と呼ばれる法律事務所の中でも、弁護士数が50名を超えるような事務所は、事務所の順調な規模拡大のためにもリクルートが極めて重要であるとはいえ、ここまでの過熱ぶりは常軌を逸した感がある。しかも、売り手市場ではなく、買い手市場での過熱である。

修習前に事務所訪問を行う方は、多くの場合、東京の大学に通う東京在住の方で、その意味でも地方在住の渉外希望の方はすでに出遅れているのかもしれない、とあせるかもしれないが、徒に焦燥感を抱く必要はないと思う。実際、修習生の大半は研修所に入ってから事務所訪問を始めるのであるし、リクルート活動自体は修習開始前に締め切られることはおそらくないはずである(ここでおそらくと書いたのは、ウチはそうだが、他は良くわからないからである。)

だが、何より大切なのは、本当に自分がやりたいことと渉外系の法律事務所の弁護士がやっていることが同じなのかどうか見極めてから初回の事務所訪問を行うことではないだろうか。何も考えずに事務所を訪問したとしても、得るものは非常に少ない。予め得られる情報は得ておいて、その上で、問題意識を持って訪問した方が実り多い対話ができると思われる。今は、かなりの事務所がWebSiteを持っており、そこで情報を発信しているので、ある程度の予備知識は得られる。

しかし、このような修習開始前の就職活動に近いもの(オファーは出さないので就職活動ではないという解釈らしい。)を多数行うと、良くも悪くも先入観が植えつけられてしまう危険があるような気がする。その意味では、我々の時代より、修習生の将来像に対する自覚が早期の段階から求められているのだろう。個人的には、他の法曹の職業的魅力についても見聞きし、実際に間近に触れてからでなければ決められないとおもうのだが、流れには逆らえないということなのかもしれない。






2002年01月05日(土) 平日の街を歩く

振り返って考えてみても、金曜日に街に出かけることは、ここ数年なかったような気がする。ということは、学生時代には当然であった街歩きの習慣が、休日限定であることを意味する。休日の街しか、私は見ていないのだ。

事務所は7日に仕事始めなので、思い立って金曜日の青山・表参道に出かける。

目的といえば、建築物を見に行くことくらいしか思いつかない。とりあえずの目標はフロムファースト。できればフィガロで軽食でも、と思って夕刻の街に降り立つ。縦横に歩き回る。自覚していることだが、表通りではなく、極力裏通りを歩きたがる傾向がある。ラ・ボエームのあたりからYahoo! Café近辺を巡り、その後、道の反対側の裏通りを歩く。神楽坂にもあるカフェ・クレープリーのLe Bretagneがあることを発見する。再び街路樹のある参道へ。無秩序に歩く人々(ほとんどは若い人ばかりである)の歩みに阻まれて、思うとおりの歩き方ができない。少なくとも、ここでの時間の流れは、私の街歩きの速度とは違っている。自分向きの街ではないことを再度確認する。いや、いままで何度確認したことか。

疲れてきた頃合いを見計らってフロムファーストに行くが、フィガロは閉まっている。空に紅色が差してくる。何事もなかったように踵を返す。

青山通りをそぞろ歩き。UN Cafeの入っている建物の書店に立ち寄る。必要があって建築家の生活を綴った書籍を探す。ニーズに完全に合うものは見つからず。安藤忠雄「連戦連敗」などを購入。UN Caféも閉まっている。渋谷にさしかかる坂のあたりを目指して青山通りを歩く。前にも立ち寄ったことのある古家具屋へ向かい、椅子を物色。結局何も買わずに店を出る。店を出るころには、既に街の底に夕闇の空気が沈殿している。不意に、理由もなく(いや、理由は判っている)、明日があることを前提としてその日を生きられることを感謝すべきなのかもしれない、という思いにとらわれる。その思いは紀伊国屋の前を歩く私を沈んだ気持ちにさせる。しかし、誰がそんなことを実感しながらこの街を彷徨するというのか。私は夕陽の沈む方向に沿って、しばらく歩き続けることに決める。







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