昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2005年05月31日(火) 夕暮れがやってこない

 火曜日。晴れ。日ごとに蒸し暑さが増していくようだ。会社ではIちゃんが早くも夏ばて(いくらなんでも夏ばては早すぎるなあ、初夏ばてか?)でお休みだった。Nさんは二日酔で終日死に体状態だったし、Wさんは相変わらず、どこそこが痛いだの、ダルイだの、辛いだのと言ってるし、みんなそれぞれバテ気味で、どうも景気の悪い一日であった。

 とうとう「鉄塔家族」を読了した。読んでいるあいだ、生活、ということをしみじみと考えた。どこにでもありそうでどこにもない、幸福や不幸という言葉ではとうてい表現しきれない、単純で質実で平凡で淡々とした日々を、ただ重ねていくということ。
 今度、ホントに山歩きをしてみようと思う。緑を見たり土を踏んだり川の水に足をひたしたり、そしてもし運よく鳥の羽を拾うことができたら、家に帰って図書館から借りた鳥類図鑑をひろげて、その羽がどの鳥のものだったのか確かめたりしよう。この本を読むまで、そのようなことはほとんど思いつきもしなかった。めぐり合わせというのは不思議なものだ。

 夜。土曜日に放送があった「米朝よもやま噺」の録音に失敗してたことが判明。途中でブツッと終わってる。MDの残り時間を計算にいれてなかった。今までの著作についての話でおもしろそうだったのに、クヤシー!再放送を乞う。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、梅干、海苔佃煮、じゃこ
 昼食:弁当(豚肉と玉ねぎの炒め物、茹でアスパラガス、卵焼き、ミニトマト)
 夕食:チキンのガーリック焼、レタスサラダ(さっと茹でてレモンをかけチキンと一緒に食べる。レタスはすこしだけ火を通すとかさが低くなり、驚くほどたくさん食べることができる)、冷やっこ、水菜と揚げの煮物、麦酒、ごはん


2005年05月30日(月) モモちゃんとプー

 月曜日。晴れのちくもり。終日、蒸し暑い。太陽がひっこんで、曇り始めた午後からが特にひどかった。モワモワとしたぬるい風がふき、まとわりついてくる感じ。夕方には今にも雨が落ちてきそうな暗い空になったので、念のためにと置き傘を持って帰ったが、結局一滴も降らず。空模様はあまのじゃくだ。

 帰宅して、届いた野菜の整理。注文していたオクラが欠品でかなしい。まだ出始めで、収穫が安定していないらしい。畑にもいろいろ事情がある。オクラは大好き野菜の一種。今年も早く食べたいなあ、来週は届くといいのに。今夜は、冷たいトマトをたくさん食べた。

 本日、もらったもの。
 Tが、松谷みよ子の「ちいさいモモちゃん」の人形つき絵本を買ってきてくれた。私が以前、子供の頃「ちいさいモモちゃん」が大好きだった、というようなことをさかんに言っていたことがあり、それを覚えていて、児童書コーナーで見つけてきてくれた。
 赤い傘をさして散歩にでたモモちゃんが蛙とかたつむりに出会う、という話のちいさい絵本と、少し猫背気味のモモちゃんと猫のプーのビニール人形がついている。モモちゃんは、よく見るとすこしデビュー当時の山口百恵に似ているような気がする。「ちいさいモモちゃん」のことは、「古本道場」の中で角田光代もふれている。
 絵本とともに、モモちゃんと猫のプーを、並べて本棚の前に飾った。

 夜。テレビで野球を見る。楽天と阪神の一試合のみ。どちらが勝ってもいいような気がしてて、けっこうノンビリ見ていたのに、実際にタイガースが勝つとフツフツと嬉しいのだった。
 時々、野球に何の興味もない人がうらやましくなる。なんでこんなことに、嬉しくなったり気落ちしたり、胃が痛くなったりむやみにドキドキしたり、心配したり喜んだり、普段信じてもいない神さまにむかって手をあわせて祈ったりしなければならないんだろう、と思う。他のスポーツに大しては決してそんな気持ちにならないんだけれど、野球にはいつも心が乱される。

 寝る前に、「監督・小津安二郎」を2章ぶんと、「鉄塔家族」をほぼおしまいまで読んでしまう。いろいろと心に留めておきたい部分あり。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、ゆで卵、バナナ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(イタリアンスパゲティ、ミニトマト)
 夕食:豚肉と大根とニラの味噌炒め、冷やっこ、ほうれん草の胡麻からし和え、冷やしトマト、ごはん、麦酒


2005年05月29日(日) I saw these beautiful things

 朝ごはんを作るのと同時に、お弁当用のおにぎりをにぎって、熱いほうじ茶をアラジンの水筒にいれて携え、阪神電車で神戸に行った。
 外出の前に洗濯と風呂掃除、それから回覧版をまわして、市政だよりを町内に配る。ちょうどいま読んでいる「鉄塔家族」の中にも、物語の中心的存在である斎木と菜穂の夫婦が、町内会の班長を務めることになる場面がでてくる。気が進まないながらも、近辺の掃除にかり出されたり、広報誌を配ったりしているうち、さりげない距離を保ちつつも少しづつ近所の人と交流を深めていくところが、いい。自分の生活と読んでいる小説がシンクロしているような気が、時々する。

 兵庫県立美術館に行く。阪神の岩屋駅で降りて、海に向かって歩いていくと美術館に行き当たり、その壁の一番高いところに安井仲治の写真、<流氓ユダヤ『窓』>がデカデカと掲げられている。この写真を見るといつも胸がドキドキする。一度見てしまったらもう一生忘れられないし、この写真が撮られた背景にあるものを知ったら、よりいっそう深く感じられると思う。
 「安井仲治展」は小企画。冬に名古屋で見たものをよりこじんまりさせた感じだったが、いくつか初見の写真があった。特別展を開催していない時期でもあって美術館はちょっとびっくりするくらいにガラガラ。展示室に仲治の写真と私しかいない時間もしばしばで(あ、係員の女性はいたけど)、それだけでもドキドキものだった。
 写真を見終わって、併設されている美術情報センターというところへも行ってみる。ここは美術書、とくに全国各地で開催された展覧会の図録がズラズラと並んでおり、これを片っ端から眺めるのが、なんとも楽しかった。高田博厚、鴨居怜、柳瀬正夢などを熱心に閲覧する。鴨居怜は11月にこの美術館で企画展が行われるとのこと、うれしい!
 お弁当は、写真を観る前に、海の前で船をながめつつ食べた。山に行きたい、と思っていたのに、海になってしまった。まあ、それもまた良し。

 三宮まで歩いて古本でも見歩く予定にしていたが、雨が降ってきたのと、写真展と美術館めぐりが充実したので、この余韻を胸にしたまままっすぐ帰ることにする。梅田では旭屋で、新潮社の「波」をもらう。車谷長吉の連載を読むのが楽しみ。それから坪内祐三の「古本的」をチェックだけして、まあ買うほどのことではないか、と棚に戻してしまう。坪内祐三の本に関してはこんなふうにあきらめてしまうことが、何となく最近多い。

 夜。「新・日曜美術館」をビデオ撮り。特集テーマは「20世紀のメキシコ壁画運動」。最初に紹介されたフリーダ・カーロの旦那、ディエゴ・リベロの壁画は、カエターノのジャケットやライブセットにも使われていて、それを見知ったころからちょっとだけファンなのだった。
 夜中。FM802で放送された、フィッシュマンズのライブ音源ばかりを50分ノンストップで流す番組をMDに録音する。エアチェックはけっして怠らぬ。
 なんだかんだで就寝。午前0時ころでしょうか、詳細は忘れた。

・購入物:なし

・朝食:トマトとレタスをはさんだバターロール、珈琲、バナナ、ヨーグルト
 昼食:弁当(梅、カツオ、昆布のおにぎり、焼き鮭、卵焼き、レタスのおひたし、ほうじ茶)
 夕食:焼そば(ニラ、青・赤・黄のピーマン、ネギ、新玉ねぎをニンニクとしょうがで炒めてそばを投入、塩コショウとめんつゆで味をつけます。野菜を切って炒めるだけなのに、なんとおいしいことでしよう!野菜の力はすばらしい)、麦酒


2005年05月28日(土) こわいものなんかない

 今日は早起きをさぼって、午前7時すぎ起床。「ウィークエンドサンシャイン」を聴くともなく聴きつつ、家事仕事全般、黙々とこなす。
 高山なおみさんのレシピで、初めてスィートチリソースをこしらえてみた。赤唐辛子がなかったので、今回はトウバンジャンで作る。ペロリとなめてみて、しっかりタイ風な味になっていることに感動する。和食ばかり作っていて、西洋のもの、とりわけエスニック料理など私には夢のまた夢よ、という気持ちであったが、けっこうカンタンにできることに妙な自信がわいた。ジャムの空瓶ふたつぶんに密閉して冷蔵庫にしまっておく。テレビでやってたみたいに、今度、タラコにかけて食べてみよう。

 リンゴをかじって、絵本の会へ。今日はIさんがお休みのため、Mさんが張りきっていろいろと仕切る。MさんはIさんが苦手なので普段は大人しくしているが、彼女がいないと水を得た魚のようになる。イキイキとしている。イキイキするのはいいことだ。でもかげでグチグチと人の悪口をたたくのが良くない。そういう行為は暗くて下品だ。だから、今日は一発、おばはんにそう言ってやった。そんなこと言うのは陰気で品がないですよ、と。目を丸くしてビックリしてた。気持ち良かった。
 雲行きがあやしくて洗濯物が心配だったので、会が終わったあとはさっさと家に帰ってきた。洗濯物はパシパシに乾いていた。

 晩ごはんを食べてから、郵便局に行きがてら歩いて近所のレンタル屋(TSUTAYA)に行き、フィッシュマンズの「空中」と「宇宙」を借りてきて、MDにおとしつつ聴いた。よかった。デモとは思えぬ完成度の高さに舌を巻く。ここのところ、頭でヘビーローテーションしている「100ミリちょっとの」が収録されててうれしい。思い返せば最近はホントに、カエターノとフィッシュマンズしか聴いてないような気がする。

 夜、「サルトル」読了。うーん、疲れた。それから「鉄塔家族」を読む。まだ読んでいる。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、アスパラガスのベーコン巻き、目玉焼き、珈琲、バナナ、ヨーグルト
 昼食:りんご半分
 夕食:手巻き寿司(鮪、鯛、イカ、蛸、サーモン、トリガイ、キュウリ、カニカママヨネーズ、ツナマヨネーズ、高野豆腐など)、冷やっこ、しじみみそ汁、焼酎


2005年05月27日(金) ロス・ディスパラーテス

 終日晴れ。昼下がりに通り雨があるだろうとの予報、今日も外れる。湿度がありムシムシして、過ごしにくい一日。
 仕事上でちょっとした問題が持ち上がり、少々鬱屈気味。ひとりきりになると、ついついため息をついてしまう。はあー、と大きくため息をついてみると、胸のところのつかえみたいなものが本当に少しだけ楽になる。

 川田喜久治の写真集、「地図」。アマゾンから、まだ確保できておりません、とか何とか、根性なしのメールがきたので注文をキャンセルして、昼間の外出ついでに心斎橋で購入した。初版1000部、ナンバリングつき。買ったものは「816」だった。
 昼休みに早速開いてみる。圧倒される。しん、と、黙ってしまう。想像力って、こういう写真を見る時使うんだ、と思う。横からIちゃんが本をのぞいて、「きれーい、星空みたい」と言った。Iちゃんが、星空みたいにきれいだ、と評した写真は、原爆ドームの天井にはりついた、シミと剥落なのだった。

 天満橋の松坂屋跡に京阪シティモールが開店したので、帰りにいそいそと行ってみる。4階の「COQULE」で、パキスタン製のミルクボウルを買う。生成のこっくりとした焼き物。コーヒーやミルクだけでなく、トマトやレタスなどサラダを盛ってもいい感じ。
 シティモールは、開店初日だけあって、今日のところは混んでいた。とりあえず、今日のところはね。デリスタでニラ(50円)ピーマンとアスパラガス(ともに100円)を買って、上のジュンク堂でいろいろと立ち読みして、ごはんを食べて家に帰る。

 夜。新書の「サルトル」を1/3くらい、「芸術新潮」を少し、「鉄塔家族」の続きを少し読んで、午前0時前には眠くなった。2階の寝室は、昼間の熱がまだこもっていて暑いので、今年初めて半袖のパジャマを着て寝た。

・購入物:川田喜久治「地図」(月曜社)

・朝食:バターはちみつトースト、ヨーグルト、グレープフルーツ、珈琲
 昼食:弁当(レタスのカツオ和え、ゴボウの甘辛いための卵とじ、茹でアスパラガス、ミニトマト、ごはん、梅干し)
 夕食:とん太にて。シソ巻きカツとチーズ巻きカツ、キャベツ、味噌汁、ごはん


2005年05月26日(木) 夢だったらいいのに

 佐伯一麦の小説を読んで、山歩きがしたくなっている今日この頃。なんとも本に影響されやすい人間であるが、それほど土、川、木、花、鳥、魚、生き物全般の描写がすばらしくいいのだ。私も川のほとりを歩いてクレソン摘みたい、山菜とりたい。山登りまでが食べ物と直結してしまっているところが情けない感じだが、まあとにかく山道をトツトツと歩いてみたいなあ。

 夕方、閉館30分前の図書館にすべりこんで、今度のお話会で読む絵本と紙芝居を選ぶ。閉館の合図の「蛍の光」に急きたてられて、思うように選べず。こんなもんかなあ、というのを3冊ほど借りる。予約してた本が届いていたのでそれも借りる。蓮實重彦「監督小津安二郎・増補決定版」。府立図書館から取り寄せてもらった。この本を読むのは初めて。楽しみ楽しみ。

 図書館から出て、地元の商店街へ買物に行く。たこ焼き屋の前を通ったら、売れ残りのたこ焼きを6個入り100円で売っていた。それが3パック積んである。1パックだけ買うつもりで店のおばちゃんに声をかけたら、「1パックだけでええのん?」と聞かれる。迷っていると、「3パックとも持っていき。おばちゃんな、もうはよ家に帰りたいねん」と言う。一日働いて、すごく疲れた感じだ。頭に巻いたバンダナから白髪がはみ出している。試しに、「3パック100円で売ってくれるの?」とおそるおそるたずねてみる。「…」と、しばしの沈黙のあと、「……ええよ」というお答え。なんか申し訳ない気分になって「120円払おうか?」とさらに言ってみる。「…」、再びしばしの沈黙の後、「…150円やったらどない?」と言われたので、3パック150円で買った。たこ焼きは、売れずに長いこと鉄板の上に転がっていたのか、まわりの皮がパリパリに焼けていた。

 夜。晩ごはんの後、Tが買ってきた「タカダワタル的」のサントラを聴きつつ、アイロンかけをする。その後、前売り券を買った時にもらった「エレニの旅」のポスターを広げてながめて、そのまままた丸めなおす。ダサくて、どこかへ貼ってみようという気になれない。ポスターもチラシもだめだ。考えてみれば、「エレニの旅」という邦題も、もったりしててイマイチだと思う。
 
 午後23時半くらいに就寝。今夜は少し蒸し暑い。

・購入物:なし

・朝食:バターはちみつトースト、トマト、バナナヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(ごはん、ネギ卵焼き、ちりめん山椒、ミニトマト、鶏ササミの酒蒸しと新玉ねぎの梅肉マヨネーズ和え←これ、思いつきで作ってみたらけっこうおいしくてビックリ。思いつきばかりで生きてて、効を奏した意外な例)
 夕食:ゴボウと牛肉の柳川風、冷やっこ、海老ワンタンスープ、男爵いものサラダ、たこ焼き5個〜6個、麦酒、ちょっとだけごはん


2005年05月25日(水) 100ミリちょっとのからっぽ

 午前5時半起床。夜、けっこう遅くに寝ても、苦もなく5時台に起きられるようになってきた。老人に近づいていっているのかもしれない。
 毎朝6時前になると向かいの家のおばちゃんがわけのわからんお経を唱えだすことに、早起きするようになってから気がついた。最初は般若心経かと思っていたけど、どうも違う。なんだか異国の言葉のよう。クライマックスのサビのところ(お経にサビなんてあるのかな)で、木魚を一心不乱にたたきながら、アーアーアーアー、とさかんにアーをくりかえすくだりがあって、けっこう前衛なのだ。お経が始まると、ああそろそろ6時だな、と時計代わりにしている。

 本日もらったもの。
 旭屋で岩波文庫編集部編「読書のすすめ」を。第10集め。毎年、なんとなく楽しみにしているこの冊子、今回は鎌田慧の書いている『大世間師・宮本常一を読む』という文章を真っ先に読んだ。宮本常一の写真集をどこかで手にとって見たいと思っているんだけれども、なかなか果たせていない。
 タワーでバウンスを。毎月25日のタワーは、人でいっぱいだ。バウンスは、だんだんと読みたいページが減ってくるような気がする。
 Nさんから麦焼酎を。あんまり美味しいことないで、とのこと。美味しくないものをもらっても始末に困るが、たぶん全部飲むと思う。
 
 残業ののち、まっすぐ家に帰る。「鉄塔家族」と、焼酎のビンの入ったカバンはおそろしく重かった。帰ったらポストに、「読む人展」の案内はがきと、友人の引越しはがきが届いていた。
 夜。テレビで料理と野球を見る。10時頃からはずっと読書。コンラッドを少しと、「青春と読書」を読む。細く窓を開けて寝る。今日は、蚊は入り込んでこなかった。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、トマトとレタスのサラダ、バナナヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(豚肉と新玉ねぎの炒め物、ゆで卵、ネギと油揚げの辛子和え、ミニトマト、ごはん、梅干)
 夕食:まぐろフライ、新じゃがのフライ、冷やっこ、小松菜と厚揚げの煮物、鶏ササミとレタスの胡麻だれ和え、麦酒、ごはん


2005年05月24日(火) 地に降る涙のように

 くもり、時々晴れ。通り雨があるだろうと天気予報では言ってたが、結局降らず。洗濯物を部屋の中に干してきたので損した気分だ。危機予測した日にかぎって、雨は降らないものなのだ。毎日がギャンブルだ。

 夜。試写会でアンゲロプロスの「エレニの旅」を観た。エレニ、エレニ、と言い続けて、やっと観た。食い入るように観た。思うことがありすぎて今は全然まとまらない。それに、軽く感想を口にしたくない気分。歴史をふまえること、大事にすること、考えることを、私はアンゲロプロスの映画から学んだ。「出会い」というものに感謝したい、とスクリーンを見つめつつ、思う。
 上映中何度か、それも重要なシーンで、画面が上下に揺れたのが気になった。映画館が悪いのか。まあ試写会だから許すとする。前売り券とパンフレットを買った。もう一度は必ず観に来たい。それから、音楽がなりだして、民衆が踊り出すシーンになると、私の隣に座っていたおばさんの手がリズムにあわせてヒラヒラと動いていたのが面白かった。

 昼休み、ジュンク堂で本を買った。コンラッドの「密偵」が重版しててうれしい。コンラッドはたくさん読んでいるというわけではないけど、好きな作家のひとりなので。それから新書を一冊買う。久々に「本の話」をもらう。「本の話」はホントに読むところがない。
 
 22時半ころ帰宅。FM802で、フィッシュマンズ特集をやるというので、FM802はうるさくてキライだけれど聞く。茂木欣一も東京の初日でカエターノを観たそうだ。妙に嬉しい。カエターノも一曲かかる。
 Tが「青春と読書」と「本」をもらってきてくれた。これはいっぱい読むところがある。
 寝る前、布団の中で映画のラストシーンを思い出して、泣いた。

・購入物:ジョゼフ・コンラッド「密偵」(岩波文庫)
     海老坂武「サルトル」(岩波新書)
     「エレニの旅」パンフレット

・朝食:山かけそば(どういうわけか今、蕎麦に凝っている)、ヨーグルト(蕎麦とヨーグルト、という組み合わせが、いいのかどうなのかはわからない)
 昼食:弁当(ハンバーグ(冷凍のやつ。あんまり美味しくない)、ゆで卵、ほうれん草の胡麻和え、ブロッコリーの茹でたの、ごはん)
 夕食:クックハウスで買ったハムレタスサンドイッチ、珈琲(映画が始まる前に食べた)


2005年05月23日(月) コップの中が水なので

 夕方、激しい雨。南と西の空は明るいオレンジ色なのに、東の空は真っ黒で、西日に照らされて雨がザアザア降るさまは、未来都市のようで映画的だった。夜にも、再び雨。雷も二三回、うなった。

 月曜日の風景。

 雨の中、Wさんが会社に来て、ちょこっと打ち合わせ。打ち合わせがすんだ後、髪型の話をする。Wさんは今、髪を伸ばしているところなのだとか。平成の澁澤龍彦を目指しているそうだ。まあな…。目指すのは誰でも目指せるが…。結果がどうでるかはちょっと何とも…。冗談を装っているが本人はけっこう本気なのかもしれない。
 Wさんは私の髪型をかっこいいと言ってくれる。いいじゃないすか、なんかこう、ジプシーみたいですよ、などと言う。ジプシーの髪型ってどんなんなの?
 ほめてるんですけどねえ、とか言ってたが、それはほめてることになってない、残念ながら。
 
 帰り道、自転車を運転しながら携帯電話をジーンズの後ろポケットに入れようとして入れそこなって地面に落とし、それを後ろから歩いてきた背広のオジサンに蹴られてナナメ前方の水たまりにボチャっとはまって、水浸しになる、傷だらけになる、アンテナの先についてるプラスチックのポッチリがとれる、と、なんかもう散々なことになった。この電話はすでに去年、大阪ドームの便器の中に落としていて(あまりに悔しかったから日記にも書かなかったし、誰にも言ってない)、もうたいがいケチがつきまくっているのであった。新しい電話を買いに行こうかと思いつつ、ついつい面倒でそのまま家に帰ってきてしまう。幸い、使用には耐えるようだ。ボロボロだけど。
 宅配野菜の整理。またゴボウが入ってきた。失意。それからほうれん草に青虫がくっついてきた。水で洗ってふるい落とす。虫が死んでしまってもそれほど悲しくないのは名前がないからかなあ、と思う。

 今日から佐伯一麦の「鉄塔家族」を読んでいる。第一章のおしまいまで読む。ああ、日常はドラマだ。

・購入物:なし

・朝食:冷やしそば(ネギ、わさび、海苔、大根おろし、大葉、を薬味に)、デザートに金曜日に買った清見オレンジを。へたの周辺が腐りかけてた。
 昼食:弁当(塩鮭、卵焼き、キンピラゴボウ、ミニトマト、ごはん、梅干)
 夕食:蛸とニラの塩炒め、新玉ねぎのスープ、ほうれん草のごま和え、冷やしトマト、冷やっこ、麦酒、ごはん


2005年05月22日(日) 休日の底

 昨夜、すこし蒸し暑かったので窓を開けて寝ていたら、足周辺を蚊にかまれて夜中に何度か起こされた。もう蚊の季節になっているとは知らず、油断していた。朝、目覚めても寝足りない感じ。一日、頭が重く、だるくて、さえない日曜日だった。

 二日酔も重なって、鬱々として楽しまず。アンニュイな気分にくわえて今日は雨だ。降ったり止んだりしながら、終日降る。
 午前中は台所で冷蔵庫の掃除。余っているキュウリとゴボウで何品か作り、朝と夜に食べた。
 昼からは傘をさして、返却期限のすぎた本を返しに図書館に行った。4冊借りる。 本日借りた本。
 多和田葉子「アルファベットの傷口」。多和田葉子をコツコツと読んでいく。これは「文字移植」とタイトルをかえて河出文庫にはいったもの。昔読んだ事があるような気がするが、思い出せないのでもう一度借りてみた。
 飯沢耕太郎監修「世界写真史」。歴史を勉強する。何事もまず歴史を知らねば。
 森達也「下山事件」。Tが夜中に半分くらいまで読んで、「怖い。読んでいるだけで誰かにつけねらわれているような気になってくる」と言っていた。
 「芸術新潮」2004年12月号。特集は「伊万里のはじまり」。伊万里焼が好きなので。奥が深すぎて私などにはとても手が届かない世界だが、でもいいの遠くからこうして見つめていられるだけで。高山なおみさんが、伊万里の皿に作った料理を盛り付けているページあり。楽しい。

 夜。テレビを観る。
 「新・日曜美術館」のアートシーンのコーナーだけチェックして、引き続き「N響アワー」を見る。ゲストはいつ見ても可憐な香川京子。無垢な少女のようでもある。隣にいるアシスタントをやっている貧相な女優がどんどんかすんでいく。それから「NHKスペシャル」で森光子の『放浪記』について。森光子はさすがに年は隠せず。しかし、私は何十年もかけて自分の『芙美子』を創りあげてきた、いったい私以外に誰がこの『放浪記』の芙美子を演れるというのだ、演れるものなら演ってみればいい、と語っていたところは、さすが迫力があった。
 というわけで今夜はすっかりテレビに釘付け、ラジオの「ワールドミュージックタイム」を聴き逃してしまった。
 午前0時頃就寝。日曜の夜は、特に寝るのがもったいないような気がする。

・購入物:なし

・朝食、昼食:山かけそば、冷やしトマト、キュウリの酢の物、ごぼうのみそ汁
 夕食:餃子、ニラまんじゅう、キンピラゴボウ、サニーレタスの韓国風サラダ、冷やっこ、麦酒、焼酎


2005年05月21日(土) 回転、空転

 今日も早起き。休日だというのに6時30分に起床した。習慣というのはおそろしいものだ。天気は快晴。Tの弁当作りや朝食作り、あとかたづけに、掃除、布団干しに布団カバーの洗濯、本やCDの整理等々、午前中はこまこまと家で立ち働く。家事をしてるとバカみたいに時間が早く過ぎる。

 昼からはノンビリ寝そべって本を読んだりなどし、日が傾くころになると支度をして出かける。東大阪市の友人宅まで片道1時間くらいかけて自転車で行った。行きは快適だったけれど、帰りは喋り疲れていたのと酔っぱらっていたのとでペダルをこぐのが思い切りしんどくて辛かった。
 今夜は、友人であるYちゃんの誕生日を祝いがてらみんなで飲もう、という主旨の会で、共通の知人友人私は初対面の人など取り混ぜて10人くらい集まった。Yちゃんの家はいかにも郊外の、昔ながらの田舎の家という感じでたっぷりとした広さがあるので、大人10人ほどがリビングでうろうろしてても全然窮屈じゃない。Yちゃんのダンナが腕をふるってタイカレーを作り、肉を焼いたりピザをとったりして食べて喋って飲んだ。Yちゃんとそのダンナの、明るく分け隔てのない人柄のせいもあって、賑やかでありながら和やかで落ち着いた、風通しのよい飲み会だった。
 友達が気軽にいつでも遊びに来れるような楽しい家庭をつくりたい、って、Yちゃんが昔から口にしてたことが現実になったなあ、と思う。夢が叶ったんだ、とりあえずここまでは。誕生日だと一声かければ10人程度の友達が軽く集まるYちゃんという人が、なんだかすごい人のように思えてくる。その健康さというか、健全さというのかが、私には時にすこしまぶしすぎるのだが。

 23時頃、頃合を見計らっておいとまする。泊まっていく人もいたようだが、私は自転車を引きずって帰った。家ではTがビデオで「青春の蹉跌」という神代辰巳監督の映画を見ていた。石川達三原作の映画化。これも『妊娠小説』の一種です。若き日のショーケンが、世間と女に蹉跌する大学生を演じている。
 寝る前に「古本道場」読了。角田光代が買っている古本の中で私も欲しいと思ったものは、辰巳浜子「手しおにかけた私の料理」。それにこの本がきっかけとなって永井龍男が再評価されることを切に願う。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、チンゲン菜と卵の炒め物、ウィンナー、梅干カツオ、ワカメのみそ汁
 昼食:モヤシ丼(合びきミンチとモヤシを炒めて酒、醤油、コチジャンで味付けして、水溶き片栗粉でとろみをつけたものをアツアツごはんにかけます。カンタンで旨い)、麦酒
 夕食:友人宅で。タイカレーとか焼肉とかピザとかシーフードサラダとか麦酒とかワインとか焼酎とか。


2005年05月20日(金) 夕方、長い影をふむ

 うすぐもりの金曜日。起きたときはスカッと晴れていたのに、時間が経つにつれて雲がでてきた。晴れていた早朝、二階の部屋(書斎と寝室)の整理整頓をして、畳をさっと拭いた。充実した気分だ。

 午前中は会議など、昼休みはIちゃんと公園でお弁当を食べた。午前中の会議のこと、お料理のこと、梅干しのことなど話す。Iちゃんは梅干しそのものよりも、梅干しの赤い色がついたごはんを食べるのが楽しみだという。私は梅干しの種を口に含みつつ熱い日本茶を飲むのが好きだ。
 ごはんを食べた後、旭屋に本を見に行った。「クウネル」の最新号を立ち読み。例によってお弁当と『ただいま食事中』のページを丹念に見る。それから「草思」の6月号をもらう。
 なんと「草思」は8月号で休刊するのだとか。なんとショック。それ以降はウェブマガジンで、とか書いてあったけれど、私はウェブ上の長文を読むのが苦手なので(目が疲れるから)、それにはつきあえそうもない。残念なり。

 キコキコ自転車をこいで帰る。日暮れ時になって太陽がでてきた。西日がまぶしい。
 久々に、仏壇屋の前で開店している簡易八百屋さんの前を通ったので、清見オレンジを6つ150円で買う。6つ150円はべらぼうに安いと思う。本当はデコポンが欲しかったのだけれど、最後の一袋を先に来ていた金縁メガネのお姉さんに買われてしまった。店のおじさんが手を口元にもってきてひそひそ声で、「ここだけの話やけど、デコポンより清見オレンジのほうが甘いしおいしいで」と言ってくれたけれど、たぶんまあ、嘘だと思う。嘘だと思ったが、夕食後のデザートに食べてみたらホントに甘くておいしかった。

 夜。隣の部屋から寝室にいっぱい本を抱えてこんできて、寝転がって読む。「古本道場」(これは読了)と、池内了編著「これだけは読んでおきたい科学の10冊」(岩波ジュニア新書)を読む。23時半頃就寝。  
  
・購入物:なし

・朝食:バタートースト、珈琲、目玉焼き、バナナヨーグルト
 昼食:弁当(ゴボウと人参の炊き合わせ、ミニトマト、青唐辛子とじゃこの炒め煮、レタス、梅干し、ごはん)
 夕食:豚肉と新玉ねぎとモヤシの中華ふう炒めもの、シュウマイ、冷ややっこ、大根キムチ(鶴橋のお店から出張販売してたのを行きつけのスーパーで買った。味が濃厚で旨かったー。明日白菜キムチも買っちゃおう)、麦酒、ごはん


2005年05月19日(木) キョロキョロよそ見してばかり

 今日も5時半に目覚めた。健やかな朝だ。目覚まし時計に頼らず朝を迎えることがこんなに心地よいものだとは、すっかり忘れていた。小学校の頃に戻ったようだ。
 部屋のあとかたづけを終え、身支度も終えて、出かけるまでの余った時間にほうじ茶を飲みつつ本を読むのが、なんか「余裕のある生活」という気がしてまた良い。
 天気がいいので、今日はゆるゆると自転車で出勤。春のせいか最近、虫がたくさん飛んでいて閉口する。特に木の下あたりがすごくて、木陰を選んで自転車で走っていると、いっぱい顔に当たってくる。時に眼球にもぶち当たってくるので、そのたび自転車を止めて目の掃除をしなければならない。虫は、目の中に入ると少し冷たくて水みたいだ。目からでてきた虫はみな死んでいる。

 今日の寄り道。
 裁判所近くのハヤシライスの専門店で、オムハヤシを食べた。ここはつい最近までランチしかやってなかったのに、夜も営業するようになったらしい。昼は客でいっぱいだが夜は空いている。オムハヤシはボリュームがあってケチャップごはんが懐かしくて美味しかった。
 中崎町まで自転車で走って、雑貨屋と古着屋を見てまわった。若者がウロウロしていた。AIDAでスリッパを買うかどうするか迷って、1900円を惜しんで止めにした。今は履いているギンガムチェックのボロボロスリッパは家の近所の金物屋みたいな店で250円で買ったのだ。なぜ金物屋にスリッパが売っていたのか、いまだにわからない。その金物屋は去年の暮れに廃業しておばちゃん相手の化粧品屋みたいなものになったが、客の入っているのをみたことがない。
 古着屋で、ヨレヨレ感が気に入ってボーダーのTシャツを買った。店の女の子に、OLさんですかー、と聞かれたが、なんとも答えられなかった。私は自分をOLだと思ったことはない。
 天神橋の商店街で青唐辛子を200g、ミニトマトを100g買った。ミニトマトはお弁当の彩りを守る必需品だ。青唐辛子は帰宅後ジャコと炒め煮にした。これも弁当のおかずにするつもり。

 シリーズ、本日買った本。
 天牛書店のワゴンより、50円で「サンドバーグ詩集」というのを買った。アメリカの詩人。読んだことはないが、装丁がシンプルでよかったので。
 それからTがみつけて買ってきてくれたジム・トンプスンの新刊。半額出したので、これも買った本の中に加えとこう。ハヤカワポケットミステリから出た。これを機にまたミステリをしばらく読んでみようかな、とも思うが、すぐ飽きそうな予感もあり。
 
 最近読んでよかったのは絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」。この人の描く男女関係がわりと自分にしっくりくることがわかった。例えばこういうくだりとか。
『庭付き一戸建ての本間が欲しいわけではなかった。眠れるスペースとしての男が欲しいだけだった。私自身も居心地のよい寝床になれればよかった。彼の腕の強さ、温度、かすかな匂いを私は好んだ。だからといって彼の歴史や世間体や精神を引き受けるつもりは毛頭なかった、そんなことを伝える言葉があっただろうか。世の中に愛のことばはいくらでも存在するのに、言いたいことがシンプルになるほど何も言えなくなってしまう。』

・購入物:ジム・トンプスン「鬼警部アイアンサイド」(早川書房) 
     カール・サンドバーグ「サンドバーグ詩集」(新潮文庫)古書

・朝食:バタートースト、トマト、バナナヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(豚肉とチンゲン菜のトウバンジャン炒め、ネギ卵、蒸しジャガイモ、レタス、ごはん)
 夕食:ロイスにて。オムハヤシライス


2005年05月18日(水) 静かに空気をふるわせる

 終日、曇天。昼間だけ少し激しい雨が降った。予報では嵐になるようなことを言っていたから自転車出勤を諦めたのに、雨はすぐに止んで、夕方にはただグズグズしただけの空模様になった。すっきり晴れるとまではいかず。でも甲子園では野球をやってた。

 昼休みが終わってから、夕方まで外出をした。一番雨が強く降っている時間帯で、こういう時に限って外をほっつき歩かねばならないのは一種の悲劇だ。神様のイジメだ。おまけに湿気がひどく、空気がむしむしする。途中、何度か本屋に入ってサボる。「草思」の最新号がもうでているはずなのに、どこに行っても手に入れることができなかった。
 
 本日買った本。いずれも天牛堺書店にて。
 佐伯一麦の新書「読むクラシック」。こんな新書を出していることは、「遠き山に日は落ちて」の解説を読むまで知らなかった。最近、音楽に関する本を入手することが続いている。佐伯一麦の著作では次に「鉄塔家族」を読むつもりでいるが、本がでかくて重いため持ち歩くことができず、まだ果たせていない。
 「日本写真の転換」は1991年の図録。数十人の写真家による1960年代の作品が少しづつ見られる。これを見てもう辛抱たまらず、とうとう川田喜久治の「地図」をほいほいとアマゾンで注文してしまった。12600円。むむむ。

 帰宅したらポストに、「エレニの旅」の試写会当選葉書が届いていた。胸がいっぱい。5月はカエターノのライブと「エレニの旅」で、もうお腹いっぱいになりそう。とにかく鑑賞前日はよく寝て体調を万全にして、隅から隅まで見逃さないよう臨みたいと思う。

 夜は新聞など読みいろんなことに立腹して、23時30分頃寝る。

・購入物:佐伯一麦「読むクラシック・音楽と私の風景」(集英社新書)
     「日本写真の転換 1960年代の表現」(東京都写真美術館・1991年) 古書

・朝食:トースト、バナナ、トマト、ヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(ごはん、煮込みハンバーグ(インスタント)、ゆで卵、チンゲン菜のおひたし、梅干)
 夕食:まぐろの山かけ、きのこ汁、サニーレタスとトマトのサラダ、じゃがいものオリーブオイル焼、麦酒、ごはん


2005年05月17日(火) 時間をつみあげるように

 5時30分、さわやかに目覚める。快調なペースだ。これでどこまでいけるだろう。
 本日も実にいい天気。陽光を背中に浴びながら、自転車で出勤。サクサクと働いて、少々残業ののち退社。今のところは仕事も落ち着いていて、こちらのほうも良いペースだ。この状態がどこまでも続いてほしい。続いてくれ。タノム。
 
 本日購入した本のこと。
 昼休み、ジュンク堂の本店に行って、3階の人文書棚のあたりでいろいろ立ち読みしていた時に、堀切直人の「浅草」の続編を見つけた。栞文庫からでた「浅草」は買ったまままだ拾い読み程度にしか読んでないのだが、続編とあれば放っておけない。これは「江戸明治篇」だが、ついで、「大正篇」、「戦後篇」とどうやら続々と出るらしい。それまでに、買った「浅草」をどちらか一冊は読んでおきたいものだ。
 帰りに、伏見屋書林の店頭ワゴンの中から、岩波写真文庫「やきものの町ー瀬戸」というのを100円で買った。本には撮影した写真家の名前は出てないが、これは東松照明によるものである。「東松照明1950-1961」という写真集にアングル違いの写真が何枚か収録されていたし、岩波写真文庫の中でも異色の構成だった、と紹介されていたので、何となく探していた。埃にまみれていて本を触ると手がずず黒くなったが、ウェットティッシュで拭いてみたらマシになった。キレイになったわけではないが、少なくとも本を持った手は汚れない。

 日が沈んだ直後、まだうっすらと明るさの残る部屋に帰る。薄くても、太陽の名残りがあるうちに家に帰れるのが、ちょっとうれしい。
 せっせとごはん作り。食後は、Tが買ってきた「CABIN」という本に関する小さな雑誌を読む。表紙の絵は北沢街子さんだ。坪内祐三による、冨士正晴についての文章が読める。
 9時から「きょうの料理」をみる。今日は高山なおみのスイートチリソース。今度の休みにでも作ってみよう。すり鉢の使い方など、いろいろと勉強になった。今夜は昨日の同番組でケンタロウが紹介してた重ねステーキを作ったし、なんか教育テレビのまわしものみたいだ。
 そして、日付が変わる前に寝る。
 
・購入物:堀切直人「浅草・江戸明治篇」(右文書院)
     岩波写真文庫「やきものの町ー瀬戸」(岩波書店)これは古書

・朝食:ごはん、メザシ、卵焼き、ちりめん山椒、梅干
 昼食:弁当(牛肉とゴボウのすき焼き風(昨日の残り)、ちくわのピリ辛炒め、ほうれん草のゴマ和え、ミニトマト)
 夕食:重ねステーキ(薄切り牛肉を重ねて焼いてレモン醤油でいただく。テレビではバターニンニク醤油をかけてたけど、レモン醤油もまた美味であった。ケンタロウはなかなかやるな。)、新たまねぎのしゃきしゃきサラダ、小松菜と揚げのさっと煮、冷やっこ、麦酒、ごはん


2005年05月16日(月) そして、今日も「音楽と生活」を

 5時45分起床。このところ、夜は0時までに寝て、5時台に起きるという早寝早起きモードで暮らしていて、身体も楽だし、早く寝ると肌の調子もいいようなのでしばらく続けてみようと思っている。私はファンデーションを塗るのがあまり好きではなく、いつもほとんど素ッピン状態なので、肌が荒れると隠すすべがなくて困るのだ。
 まあそんなことは全くどうでもよくて、今わたくしの頭に浮かぶのは昨夜のライブのことばかり。何をしていても心はうわのそら、という一日だった。目の前で観てしまったからにはCDではもう物足りない感があるがそれでも、今日は朝から寝る前までずっと、カエターノのアルバムを何枚も聴いた。
 
 帰りに、フラフラと天神橋筋商店街へ。豆腐を買うつもりで行ったのだけれど、久しぶりに古本でも物色しようと天牛書店に入ってみたら、新刊書店でずっと探していたのに見つからなくてもう品切れ状態なんだと思っていた、兼常清佐の随筆集が300円で発見して、心で小さくガッツポーズ。
 兼常清佐は音楽美学者。この随筆集はもともと、編者が杉本秀太郎なので注目していたんだけれど、読んでみると兼常清佐の全く気取りのない文章と、飄々とした辛辣ぶりにすっかりファンになってしまった。『お前の音楽をやれ』という章と、チンドン屋さんや演歌師について書かれたくだり、歌舞伎音楽についてのことなどが、特に良い。
 それから、店内に貼ってあるチラシで、安井仲治の写真展が兵庫県立美術館で開かれていることを初めて知った。3月の末から開催しているという。なんという重大なチェック漏れ。おのれのバカさかげんに腹が立つ。早速メモっておく。
 
 帰宅して、宅配野菜を整理。今週もゴボウが送られてきた。これでもう10週くらい連続してゴボウが入ってきている。なんかこう画期的な、ええっゴボウでこんな料理ができるのッ!、てなレシピがないもんだろうか、と考えるが、思いつくのは平凡なものばかり。
 先週から余らせているゴボウを使って、結局ありきたりな煮物をつくる。Tが、これなんて料理?、と聞くから、牛肉とゴボウのすき焼き風、と応えると、「すき焼き風」じゃなくて「すき焼き」が食べたい、と言われた。贅沢だ。

 「きょうの料理」を観て、新聞と本を読んで、顔を洗って、23時半までにはスヤスヤと就寝。よいこの早寝。

・購入物:杉本秀太郎・編「音楽と生活ー兼常清佐随筆集」(岩波文庫)古書

・朝食:ごはん、きゅうりの浅漬け、ちりめん山椒、ワカメのみそ汁、梅干
 昼食:お弁当(ウィンナーのケチャップ炒め、ゆで卵、ミニトマト、ジャンボピーマンのカツオ節和え)
 夕食:牛肉と新玉ねぎとゴボウのすき焼き風煮こみ、冷やっこ、ほうれん草のゴマ和え、トマトサラダ、麦酒、ごはん


2005年05月15日(日) Minha Voz,Minha Vida

 日曜日。晴れたり曇ったり、時々思い出したように雨が降ったり。
 早起きして、朝から掃除と整理整頓など。町会費も今日でほとんど集められた。計算して、あれっ一軒分足らない!、と大騒ぎして電卓とお札を振り回して確かめて15分後くらいに、ウチがまだ払ってないことに気づく。無駄に焦った15分であった。

 昼すぎ、少しお昼寝もし、山下達郎のラジオも聴き、ちょっと気合をいれてオシャレをして、バスででかける。何のためのオシャレかよくわからんが、まあ要するにこっちの気持ちの問題だ。
 ブックファーストで本を一冊買う。プリマー新書を買うのは初めて。立ち読みして、買って読みたい!、と思ったプリマー新書はこれが初めて。藤森さんの「人類と建築の歴史」。それからハイスミスの短編集や「デザイン」など、いろいろと手にとって迷って結局諦める。
 しばし、シアトルでアメリカーナを飲んで時間をやりすごし、フェスティバルホールに行く。

 フェスティバルホールでカエターノ・ヴェローゾのライブを観る。18時から20時すぎまで。はっきり言って、今日という日はこの2時間のためだけにあったと思うので、あとの22時間は別にどうでもいい。
 カエターノは、ブルーグレーのシャツに濃いグレーのパンツ、少し光る黒の編み上げのブーツを履いていて、全体的にとてもシック。高校の、めちゃめちゃ頭のいい倫理の先生みたいな感じ。カエターノの顔で最も美しいと思うのは、耳の下から顎にかけての鋭角なラインだ。それから高音を出す時などに寄る、眉間の皺。それに、ギターを持つ手と細い指。それからもちろん声も。あの声は一体なんだろうなあ、艶々としてるのに、時に子どもみたいに無邪気に変わったりして、一言ではとても捉えられない。
 「a foreign sound」からよりもカエターノ自身の曲をたくさんやってくれたのと、アカペラあり弾き語りあり妙なダンスありで、とにかく盛りだくさんだったのが嬉しい。傍らに水の入ったグラスとその前に本と眼鏡が置いてあったので、何か詩でも朗読してくれるんかしら、と期待してたんだけれど、それはなかったな。ステージの構成もシンプルで上品、それから、チェロのジャキス・モレレンバウムがすごいです。たまらん。
 とにかく、『すぐに終わる幸せ』であってもやっぱり『音楽はマジックを呼ぶ』んだ、ということを体感実感して、頭は酔ったようにボーッとしたままフラフラと帰路についた。セットリストは明日にでも中原仁のホームページで確認するとして、夢見ごこちなままで寝た。
 
・購入物:藤森照信「人類と建築の歴史」(ちくまプリマー新書)
     
・朝食:トマトとバジルのパスタ、ガーリックトースト、グレープフルーツ
 昼食:ごはん、ちりめん山椒、ワカメのみそ汁、梅干、キュウリの浅漬け
 夕食:山かけそば、ポテトフライ、トマト、麦酒


2005年05月14日(土) 音楽はマジックを呼ぶ

 午前7時起床。カーテンを開ける。今日もすばらしく良い天気。雲ひとつない。南の空に飛行機、電線にはにはスズメ、向かいの家の屋根にはためく、しまい忘れた鯉のぼりが青空にまぶしい。
 こんな日に家にこもっているのは全くもったいない、早く家事を片付けてでかけよう、と動き出す。でかけるさきが図書館というのが、ちょっとドンクサイんだけれども。

 図書館で、Iさんたちと打ち合わせ。主にIさんが熱弁をふるうのを聞く。ふんふんなるほどねえ、と感心するふりをしつつ、少しづつ、少しづつ、自分がこの活動に熱意を失いかけていることに気づいている。当初、私はただ単純に、子どもに絵本をたくさん紹介したいなあ、こんなに楽しい本があることを知っておいてほしいなあ、と思って、この活動を始めたんだけれど、実際のとこ、ここはけっこうゴチャゴチャドロドロした、面倒くさーくて鬱陶しーい「大人の世界」だったのだ。それとも「おばちゃんの世界」、というべきか。そんなこともわからなかったなんて、私もけっこう世間知らずであった。
 たぶん、絵本に対する熱意がなくなったのではなくて、この現実を打開していこうという熱意がなくなった、ということかもしれない。提供される場がある限りはやっていくつもりだが、もうすぐそれも奪われていきそうな予感が今日の打ち合わせでひしひしとして、少し落ち込み気味。
 隣の会議室では、小沢健二のお父さんが日本の昔話について講演をしていた。ロビーのモニターで講演の様子を少し見る。Iさんに、ホラこの人オザケンの…、と言ってみたら、オザケンってだあれ?と聞かれたので、それ以上言うのをやめた。

 帰り、地下鉄を西梅田で降りて、ジュンク堂で編集工房ノアの冊子「海鳴り」の最新号をもらう。もうすぐ山田稔の新刊が出るとのこと、楽しみだ。それから旭屋まで歩いて、「未来」の5月号をもらう。「未来」は今月号から表紙のデザインが変わった。
 阪神百貨店でいろいろ買物をして、地下鉄で帰宅。日焼けするのが嫌なので、今日は自転車を止めた。電車の中で「新潮」に掲載されてる保坂和志の「小説をめぐって」を読んでしまう。

 帰宅して、台所で立ち働く。トマトとバジルをガーリックとともにオリーブオイルにつけこんだマリネ、ちりめん山椒、キンピラゴボウ、キュウリの浅漬けなど常備菜をいくつかと、晩ごはんのために天ぷらを作る。
 夜は、偶然つけたFMでやってたカエターノ特集を聴き、もらってきたPR誌と「イッツ・オンリー・トーク」を読む。夜になるとやっぱりすごく寒いので、早めに布団にくるまり、そのままフェイドアウト。今夜は三日月。

・購入物:なし

・朝食:トースト、グレープフルーツ、バナナ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:ぬき。食べる時間とタイミングを逃した。
 夕食:天ぷら(大葉巻きササミ、海苔をまぶしたちくわ、たまねぎ、ししとう、さつまいも)、シューマイ、レタスとスプラウトのサラダ、麦酒、ごはん


2005年05月13日(金) 気分はコーデュロイ

 このところめっきり涼しくなって、というか、寒くなって、ストーブをしまった途端に、ストーブが恋しくなる今日この頃。気候というものは全く複雑だ。

 たいした問題もおこらず、総じて穏やかな一日。お昼休みにはIちゃんとお弁当と水筒をぶら下げてでかけ、近くの公園でごはんを食べ、お茶や珈琲を飲み、今私たちがその美味しさにずっぽりとはまっている、カンロの「ピュレグミ・レモン味」をふたりで1袋食べてしまう。
 Nさんには、借りてた「OUT」を返却した。昨夜読了したので。どうやった?と聞かれたので、仕事仲間の旦那の遺体をバラバラにして捨てるところまではよかったんだが、後半の展開、設定その他に、多少無理があるような気がする、でもすごく面白かったですよ、と答える。面白かった、ってだけじゃないんだけれどなあ。他にも読んで感じたことはいっぱいあるけど、言い出したらキリがないし、うまく伝えられそうにないので、とりあえず言わない。こういう時、「面白かった」、というのは便利な言葉だなと思う。

 昼間はポカポカ陽気でよかったが(といっても日陰はひんやりする)、夜になるとズンズンと寒くなり、パーカーを着こんでフードまでかぶり、毛布にくるまって読書したり、テレビを観たり。
 Tが見ていた「タイガー&ドラゴン」をチラチラと斜め見する。全体的に『落ち着き』というものが全くないドラマ。ガッチャガッチャしている。でも別にそれでもかまわない。『落ち着き』なんてなくてもいい。でも見ててすごく疲れる。しんどい。それにさあ、あまりにもエエ話すぎるやん、とTに言ったら、落語を下敷にしてるからそれは仕方ない、とのこと。ふうん、そうなのか。

 シンシンと冷えて、隙間風が寒いので、早々に布団に入って就寝。0時までには消灯。

・購入物:なし

・朝食:卵とじうどん、ほうじ茶、グレープフルーツ
 昼食:お弁当(塩鮭、卵焼き、サニーレタスのサラダ、ごはん)
 夕食:鶏ナンコツの唐揚げ、ほたてのバター醤油焼、新玉ねぎと油あげのサラダ、冷やっこ、麦酒、ごはん


2005年05月12日(木) 今日の成長記録

 午前7時前に起床。天気はくもり。暑い、というわけではないけれど、ジトッとした湿気があり、あんまり気分はよくない。雨は昼ごろから降るだろうと天気予報では言っていたのに、会社に着いて窓を見たらもう細かい雨粒が落ちはじめていた。

 夕方、雨が上がり夕焼けがのぞいていた。自転車を走らせて、閉館間近の図書館にすべりこみ、予約していた本を3冊借りた。地元の図書館は先日改装して新しい建物の匂いがした。閲覧室が前よりずっと広くなり、テーブルと椅子を置いた読書スペースも多くとられ、以前は扱いがなかったCDもたくさん並んでいて、ずいぶん居心地が良さそうになっていた。平日の夜の図書館が人気がなくて静かで、いくらでも本が読めそうだ。
 本日借りた本。絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」、佐伯一麦「鉄塔家族」、「芸術新潮」2005年3月号。「芸術新潮」はオノデラユキが取り上げられていたので借りてみたが、特集のラ・トゥールの絵があまりに素晴らしく、すっかり感服してしまった。

 家に荷物を置いて、町会費集めに挑戦。4軒まわって、収穫は2軒のみ。そのうち1軒にも、えー来月まで待って、と断られかけたのだけれど、そこを何とかお願いしますよ奥さん〜、と食い下がってなんとか巻き上げてきた。あまりにもアッサリした性格すぎる、と周りに非難を浴びることも多い私であるが、町内の班長をやり始めてからずいぶん粘りというものがついてきた、と思っているんだけどどうかしら。ま、人生之修行、かな。

 夜、晴れてきたので洗濯をする。それからロッテと阪神の試合をテレビ観戦し、井川の長髪がクルクルとカールしているのを見て愕然とする。ありゃなんじゃろう、実に妙なものを見た。
 野球のあとは「芸術新潮」を読みつつ、「源氏パイ」を食べロイヤルミルクティを飲んだ。極楽極楽。
 
・購入物:なし

・朝食:バタートースト、ゆで卵、グレープフルーツ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:お弁当(鮭、枝豆天、キュウリとワカメの酢の物、ニラたま、ごはん)
 夕食:豚肉と新玉ねぎの梅肉和え、冷やっこ、サニーレタスの辛いサラダ、キュウリとワカメの酢の物(お弁当用につくったものの残り)、麦酒、ごはん


2005年05月11日(水) なんだ、そういうことか

 やっと水曜日か。連休明けのせいか知らないが、今週は日が経つのが遅いような。

 今日も晴れ。日傘をさして、午前中いっぱいは外回り。昼ごはんは阪急梅田駅の阪急そばでオッサンにかこまれて280円のうどんを食べた。残業して帰りが遅くなったため、夜も印度屋でオッサンにかこまれてカレーを食べた。カフェや化粧品売り場やレディースデイの映画館など、女の人がいっぱいいるところはどうも妙に落ち着かないのだが、オッサンの類は全く平気だ。かえって心安らぐような感じさえする。こんなことではあかんのではないか。根本的な何かが間違っているように思う。

 帰宅すると、ポストに新潮社よりYonda?の白のブックカバーが届いていた。今回のバージョンは手触りがつるつるしている。次は黒が欲しいけれど、このところ新潮文庫で読みたい本がなかなか出ないので、20枚集められるかどうかわからない。

 夜。こないだ、どういうきっかけか忘れたけれどNさんと桐野夏生の話になって、私が桐野夏生を読んだことがないのを知って、今日「OUT」を持ってきてくれたので、すごく今更な感じもするけど、今晩はとりあえずそれを読んでいる。半分くらいまで読む。うーん。ストーリーに引き込まれてグングン読めるのはいい。いいんだけれど…、なんかそれだけじゃイヤなのだ。なんでイヤなのか。ちょっとそのことについて考えてみよう、と思いつつ寝てしまう。明日は雨らしい。

・購入物:なし

・朝食:バタートースト、目玉焼き、珈琲、ヨーグルト、バナナ
 昼食:阪急そばにて。きつねうどん
 夕食:印度屋にて。ポテトとオニオンのカレー、麦酒


2005年05月10日(火) 知らぬは本人ばかりなり

 今日も五月晴れ。日傘が手放せない今日このごろ。それにともなって、新しい日傘が欲しいのであった。今持っているものは母のおさがりで年季が入っており、折りたためないのでかさが高いのだ。傘だけにかさが高い。駄洒落はキライなはずなのだが。

 こないだ観た「パーマネント・バケーション」の中で主人公が朗読していたロートレアモンの「マルドロールの歌」のことがふいに気になり、まだどこかの文庫で残っているのかどうか確かめに、帰りに旭屋へ寄った。集英社文庫に入っており、無事在庫があったので買ってみる。「マルドロールの歌」は以前、図書館で手に取ったことは覚えているけれど、読んだ覚えはない。たぶん文章が頭に入ってこなかったんだろうと思う。今度は読めるだろうか。
 表紙の北島敬三の写真が美しく、それだけに惹かれて「みすず」の最新号も買う。ジャケ買い。
 旭屋の一階カウンターの前では、西川のりおがサイン会をしていた。表の入り口で吉本の社員がサイン会の呼び込みをしていたところによると、西川のりおは「吉本のロバート・デ・ニーロ」らしい。デ・ニーロ本人が聞いたらさぞビックリするだろう。

 夜。Tが買ってきた岡本太郎の「日本の伝統」(知恵の森文庫)をパラパラと読む。初版本をそのまま復刻した、というのがいい。縄文土器や庭園など、写真がたくさん収録されているのも楽しい。でも岡本太郎の絵とか美術作品は、私には正直よくわからなくて、あんまり好きではないんだけれど。
 その他に「新潮」から村上春樹の「日々移動する腎臓のかたちをした石」という短編も読む。『男が一生に出会う中で、本当に意味をもつ女は三人しかいない』、と父親に言われた小説家が出会う、その二人目の女にまつわる話。先月号に掲載されてた短編の方が個人的には好みだが、女の職業を隠すだけで最後まで引っ張って読ませる力はさすがではある。

 寝る前に、昼間通りかかったテアトルに寄ってもらってきた映画チラシの整理をする。「永遠のハバナ」と「ミリオンダラー・ベイビー」「ライフ・アクアティック」とそれから、ずっと待ちに待っていた「エレニの旅」が公開されるのが、目下の楽しみだ。
 
・購入物:「みすず」5月号(みすず書房)
     ロートレアモン伯爵「マルドロールの歌」(集英社文庫)
    
・朝食:トースト、ブルーベリージャム、いちごジャム、グレープフルーツ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:弁当(ごはん、ちりめん山椒、ゆで卵、新玉ねぎとウィンナーのケチャップ炒め、ピーマンのキンピラ)
 夕食:キノコのトマトソースパスタ、豆腐とサニーレタスとキュウリのサラダ、イカのフライ、ガーリックトースト、麦酒


2005年05月09日(月) 思い当たるふしがあるでしょう?

 昨夜早く寝たせいか、今朝は6時起きに成功。カーテンを開けるとサアッと部屋に風が通る。朝一番の空気はすがすがしい。とうとう連休が終わってしまった。そのことは確かにさみしい気もするが、もういいんだ、あきらめた。心をいれかえる。
 
 仕事場へ。会議やら外出やらでバタバタしているうち、気がついたら夕方だった、という感じの日。時間が過ぎたというだけで特に達成感はなし。
 昼休みにフラフラとジュンク堂に遊びに行ったおり、「ちくま」と「UP」の5月号を無事入手できた。「ちくま」は青山光二の連載が終わったこともあって、私の中での「読みたいPR誌ランキング」の位置づけが少しづつ下がってきたが、表紙の絵がカワイイので、手にするとニンマリと嬉しくなる。
 
 夜。MDに録音しておいた土曜日の「米朝よもやま噺」と日曜の「山下達郎のサンデーソングブック」(番組名うろ覚え。これであってるかな)を聴く。
 「米朝のよもやま噺」は、えー今日は斎藤緑雨の話からしよか、とか言って今週もまたまた古い話。俳句や、桂文楽、志ん生の思い出、息子の小米朝についてのことが中心。
 山下達郎の番組は大貫妙子がゲストだったので録ってみた。シュガーベイブ時代からすると、大貫妙子はずいぶん歌が上手になっているなあ。作品を追ってずっと聴いているというわけではないけれど、大貫妙子の決して何にも媚びないところと、自分にも人にも厳しいところがすごく好きだ。

 佐伯一麦の「遠い山に日は落ちて」を読了。庄野潤三をより内省的にしたような感じ。良かった。この人の作品をもっと読んでみたいと思う。
 午後1時ころ消灯。今夜は曇っていて、星が見えなかった。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、ゴボウそぼろ、ちりめん山椒、梅干し、とろろ昆布のお吸い物
 昼食:弁当(ごはん、卵焼き、ゴボウそぼろ、タケノコの佃煮)
    そろそろタケノコにも飽きた。
 夕食:鶏手羽先と新たまねぎとニラの炒め物、ほうれん草の辛し和え、キムチ冷奴、冷やしトマト、麦酒、ごはん


2005年05月08日(日) ツツジがそぞろ歩き

 雲が多く、日差しがゆるやかな日曜日。木陰にいると涼しくて、風が首筋あたりに少し冷たいくらいに感じる。
 本町で古本を売って、心斎橋で絵を観たあと、消費活動にいそしんだ日。MILLETで14リットル入りのリュックも買った。かわいいリュックが欲しくて前から探していたのだがなかなかなくて、結局MILLETという無難なところに落ち着いてしまった。これが本当に私の求めていたものだったのかしら、と購入したリュックを前に嫁入り前の娘のような気持ちになったりもするが、まあ数のうちだということで。

 本、売却。
 本箱の片隅に眠っていた本をかき集めて紀ノ国屋のバッグ、2つにつめて古本屋に持っていったら5000円と少しになった。駄本ばっかりだったのでビックリした。店と本の趣味が合えばけっこう買取額の高い店で、Tはここでちょこちょこと本や雑誌を売っては小金をつくっていたらしい。このお金でお昼ごはんを食べて、丸福珈琲店でカフェオレを飲んで、晩ごはんの食料を調達して、ボブ・マーリーのCDを買った。

 絵。
 大阪市立近代美術館心斎橋展示室、というところで、「美術館の‘春’コレクション・モディリアーニからマグリットまで」というのを観た。
 コーネルやエルンストなどのコラージュ作品が面白かった。特に「コーネルの箱」は持って帰りたいくらい。展示点数も少ないし、客も少ないので気楽に見られる。

 買ったもの。
 ジュンク堂で、2冊ほど。今月の文芸誌はほとんど気持ちが駆り立てられなかったけれど、保坂和志の連載が読みたいので「新潮」を買った。この数ページのために1000円ほど出してもいいと思った。それから、書棚を見ていて急に気になった澤地久枝さんの布の文庫を。図版が多くて楽しいし、丹念に織られた布の文様を見ていると飽きない。
 タワーでボブ・マーリーのCDを。「ダブコレクション」のほうが緩くて好き。

 夜は、ねちねちと晩ごはんを食べ、酒を飲みすぎて早々に寝る。たぶん23時になっていなかったと思う。

・購入物:「新潮」6月号(新潮社)
     澤地久枝「琉球布紀行」(新潮文庫)
     bob marley&the wailers「シングルコレクション1970-1973」(UICY-1277)
     bob marley&the wailers「ボブ・マーリーダブコレクション」(UICY-1278)

・朝食:はちみつトースト、ヨーグルト、いちごジャム、グレープフルーツ、珈琲
 昼食:はり重にて。トンカツカレーライス
 夕食:トマトとミートソースのパスタ、豆腐とレタスのサラダ(胡麻ドレッシング)、ホタテのバター焼き、蒸かしジャガイモ、麦酒


2005年05月07日(土) スーパークール

 土曜日のこと。うーん、細かい事はほとんど忘れたなあ。でも、ひねり出すように思い出してみる。

 午前中、町会費を集めに近所をまわった。またこの季節がやってきたかと、少々うんざり。集金するって、どうも気が重い。
 4件まわる。91歳のひとり暮らし元気おばあちゃんのところへも行く。あーお金ないわ、と言うので、じゃあ出直します、と帰りかけたら、いやいや小銭がないということやで、と引き止められて、ほうらこれを見てみろ、と奥の部屋から一万円札のつまった財布を持って出てきた。10万円づつ色とりどりのゴムで止めてある。赤やら緑やら黄色やら青やらの輪ゴム。この色分けしてあるの、なんか意味あるんですか、と聞いてみたら、「ない。意味なんかない。」と断言されてけっこう男前だった。そうだね、意味なんかないよねー。
 一万円札を預かってお釣りを渡し、家に大金置いておくの危ないですよ、と言っておく。おばあちゃんは、うん銀行に入れてくる、と神妙な顔つきをしていた。

 午後から、畳に寝そべって、リンゴを食べながらジャームッシュの長篇デビュー作め「パーマネント・バケーション」を観た。
 この映画を観るのは高校生の時以来。モノクロ映画だと思い込んでいたのに、見返してみるとカラーだったのでちょっとビックリした。この映画で、チャーリー・パーカーのことを知り、すごくクールだ、と感激して、河原町の十字屋でCDを一枚買ったことを覚えている。それからロートレアモンのことも知った。世の中にはカッコいいものがたくさんあるんだと思った。
 16歳の青年がニューヨークの裏通りをぶらぶらと徘徊するだけの映画。友達とも母親とも心が通わないが、街にいる「道」をそれた人たち、ジャンキーや旅人やサックス吹き、などには、妙にシンパシーを感じる青年。どんなふうにでも生きられるんだ、例えばこんな風に、という気軽さで、車を盗む。その車を売りとばした金で、青年は船に乗って旅にでる。人生は永い休暇みたいなもんだぜ、パーマネントバケーション。
 高校生の頃の私は、なるほど私もこういう具合に生きたいもんだ、と思ったが、34歳の私は、車を突然盗まれてしまった女の人の気持ち、その来し方行く末を思いやってしまう。これが約20年弱の歳月というものだろうか。

 夜になると、冷え込んできて部屋にいると寒くて、なんとストーブをつけた。ストーブの脇で、ボチボチと本の整理など。0時すぎには眠る。

・購入物:なし

・朝食:トースト、ヨーグルト、バナナ、グレープフルーツ、珈琲
 昼食:リンゴ半分
 夕食:鮭のムニエル、ベーコンをガーリックで炒めたソースをかけた新玉ねぎと新キャベツのサラダ、冷奴、ほうれん草のスープ、麦酒、ちょっとだけごはん


2005年05月06日(金) confusion in the same place

 雨の金曜日。天気予報ではかなりひどい降り方になるようなことを言っていたけれど、わりとひっそりとした雨だった。音をたてずに、黙って降る。夕方には止んだが、夜中に再び静かに降る。

 連休が終わり、仕事へ行く。ヒマ。社内もひっそりとしている。あまりのヒマさに、Nさんは昼過ぎに早退して洋服を買いに行ってしまった。私もあまりのヒマさに、ためていた日記を3日分も書いた。こんなにのんびりできるのは、今日までだなあ、たぶん。
 ああそうだ、朝、給湯室でIちゃんがギャアアア、と奇天烈な声をあげる、というプチ事件があった。でかいゴキブリがいたそうだ。退治してくれ、と部屋に駆け込んで来たので行ってみるが、姿は跡形もなくもうなかった。ゴキブリだってバカじゃないからそうそうジッとしていない。Iちゃんが、誰か男の人を呼んできましょうか、と言って、男なんか頼りになるもんか、とNさんに失笑されていた。心配そうなIちゃんに、また出てきたら私が退治してやるよ、と言っておく。でももう出てこなかった。きっとゴキブリも怖いんだろう。

 帰り、5日の「天声人語」に載っていた「『映画日本国憲法』読本」と言う本がどのようなものなのか、ジュンク堂にチェックしにいく。ジャン・ユンカーマンが「日本国憲法」というドキュメンタリーを撮ったことは何となく知っていたが、本が出ていることは知らなかった。立ち読みしてみて、ソウルフラワーユニオンが音楽を担当していることを知ってビックリした。これはノーマークだった。本を買う。公開を待っていられないので、映画のDVDを買って観てもいいなと思っている。
 バスの待ち時間に寄った地下の古本屋で、鴨居羊子の文庫を500円で買う。猫の写真と絵がふんだんに載っていて、前々から欲しかった本。

 ごはんを食べながら、日本ハムと阪神のゲームを観る。小笠原の守備、素晴らしかった。8回の表、三塁線にタイムリーを打って、セカンドベース上に立っている濱中の姿を見て、泣く。
 夜、グレープフルーツを半分食べる。庄野潤三の「ガンビア滞在記」を読み始める。 

・購入物:「『映画日本国憲法』読本」(FOIL)
     鴨居羊子「のら猫トラトラ」(旺文社文庫) これだけ古書

・朝食:トースト、いちごジャム、ヨーグルト、りんご半分、珈琲
 昼食:お弁当(塩鮭、卵焼き、筍の佃煮、ちりめん山椒、ごはん)
 夕食:筍と牛肉の炊き合わせ、レタスと新玉ねぎのサラダ(胡麻ドレッシング)、冷奴、ちりめん山椒、ごはん、麦酒


2005年05月05日(木) just thing

 お休み3日目。木曜日。ゴミの日だ。これを思い出すのに、起きてしばらくかかった。

 起床して、「おはよう朝日です」を見ながら朝ごはんをいただく。「おはよう朝日です」を見るのは小学校以来かも。懐かしい。このスポーツニュースで阪神が久々に勝ったことを知る。そりゃ、たまには勝たんとな。
 ゴミの日なので午前中に大阪に帰れるよう、早めに出ることにする。お手製のポテトサラダ(Tと私の大好物なので、来るといつも作ってくれる)、鯛と鮭とイカ、ソーセージなど、いろいろと持たせてもらう。
 9時44分の新快速で帰阪。旭屋ですばやく「波」の5月号をもらって(表紙で庄野潤三の筆跡が見られる)、自宅に帰る。ゴミ回収に間に合った。ゴミ出しをしてすぐ洗濯。干したら2時間もしないうちに乾いた。台所でお惣菜作り。ホットカーペットを片付けるべく、干して、夏用のシーツも洗う。昨日、田んぼのわき道を歩いて汚れたスニーカーも洗う。洗った靴を並べて干していると、「パリ、テキサス」のトラヴィスを思い出して、ちょっと寂しくなる。

 昼ごはんを食べて、掃除をした後、1時間ばかり昼寝。起きて、こないだ「コーヒー&シガレッツ」を観に行った時もらったネスカフェのミルクコーヒーを飲みながら、日没寸前までかかって多和田葉子の「球形時間」を読了した。「容疑者の夜行列車」ほどのキレはないけれど、面白かった。多和田葉子は徹底しているな。
 Tが、「ミステリーファンのための古書店ガイド」という本を読んで、新たに発見した千林の古本屋さんに行ってみようというので、自転車で出かけた、が、ゴールデンウィークでお休み。いつも行ってる古本屋さんも休みで、収穫なしのまま角屋でワッフルコーンバニラというのを食べて、ビールを買って帰る。

 晩ごはんに鯛を焼く。シュガーベイブ、セウ・ジョルジ、こないだ買ったショーロのアルバム、カエターノの初期のアルバムを聴きながら、ためこんでいた新聞を読み、料理本その他の読書。今日はいつになく一日が長い。

・購入物:なし

・朝食:豆ごはん、キャベツ、トマト、ハム、ポテトサラダ、珈琲
 昼食:ごはん、タケノコと昆布の佃煮、ちりめん山椒、ポテトサラダ、水菜漬物、ネギのみそ汁
 夕食:鯛の塩焼、ポテトサラダ、ハム、山芋短冊サラダ、麦酒、水菜の漬物、ごはん


2005年05月04日(水) 炎が天から降ってくる

 お休み2日目。水曜日。曜日の感覚がなくなってきた。毎日が土曜日のように感じる。それっていいこと?

 朝はわりと早めに起きて、朝ごはんを食べて支度をして家を出る。今日はTの実家に遊びに行くことになった。これも急に決まったことで、予定外。日帰りにするつもりだったけれど、家を出るのが遅くなったので泊まらせてもらうことにする。電車に乗る前にキャトルセゾンで、母の日のプレゼントを買って行く。鍋つかみとショッピングバッグ。あと、昨日掘り出したてをすぐ茹でたタケノコと、京都の冨士酢(有名な酢らしい。高山なおみさんの本にも載っていた)、なんたらかんたらというメーカーのダシ醤油(昨日伯母が2本くれたうちの1本)もお土産にする。
 大阪駅からJRの快速に乗ってエッチラオッチラ帰る。事故のことを考える。あれから心のどこかでずっと事故のことを考えていて、その茫漠とした無念さはなかなか消えることがない。

 夜は、いろいろと御馳走をいただく。持っていったタケノコはすぐ天ぷらにしてくれた。昨日からなんだか食べ過ぎの感あり。
 食後、近くでおこなわれる春祭りに行った。20時から花火が上がるというので陣取って待っていたんだけれど、神社の神事が延々と続き、待てど暮らせどいっこうに始まらず、結局21時まで待たされた。打ち上げ花火がパコーンパコーンと上がると、その手前を上り下りの新幹線がゴーッと走っていく。新幹線に乗っている人からもこの花火が見えるかな。花火が上がるたび火薬の匂いが立ち込めて、それが草の匂いと混ざって、夏みたいだった。
 懐中電灯で足元を照らして、田んぼの脇をぶらぶら歩いて帰る。懐中電灯のスイッチを切ると、あたりは漆黒の闇で、蛙の声だけがグエログエロと聞こえる。昨日と今日で、蛙の声を久しぶりに聞いた。姿が見えないかと、電灯で田んぼを照らしてみたけれど、丸い灯りが行ったり来たりするだけで、何にもわからなかった。

 菖蒲湯につかったあと、将棋を少しする。私は将棋が皆目わからないので、すぐ眠くなり、ひとり布団をかぶって先に寝た。寝床の中にいても、蛙の声が聞こえた。

・購入物:なし

・朝食:トースト、ブルーベリージャム、いちごジャム、珈琲、ヨーグルト
 昼食:大阪駅前で。きつねうどん
 夕食:豆ごはん、ヒレトンカツ、タケノコの天ぷら、タケノコのお吸い物、鯵のキズシ、イカと数の子の和え物、キャベツサラダ、トマト、麦酒


2005年05月03日(火) まるで溶けそうなトロトロの天気だったよ

 今日から3連休。3日間ともカンカン照りのいい天気でよろしゅうございました。

 お休み一日目、火曜日。
 墓参りのついでに裏の山でタケノコほりをして、夕方からバーベキューしよう、と従兄弟から誘われたので、親戚の家に行った。親戚の家は母の実家で、京都の山奥。一旦実家に帰ってから弟の車でむかう。
 本当なら今日は、シネ・ヌーヴォに「土本典昭フィルモグラフィー」を観に行って、映画1本を観た後、佐藤真と監督のトークショーを聞くつもりでいたのだが、従兄弟と会うのも久しぶりだしせっかくの誘いを断りきれなかった。車に乗っている時は、やっぱり佐藤真の話を聞いておきたかったなあと少し後悔したけれど、過ぎたことはもういい。

 墓のある里山に着いたら、従兄弟は麦わら帽の中からタオルを垂らして、スコップ片手に竹やぶの中で奮闘中で、すでに何本かタケノコを掘り出しているらしかった。墓参りのついでのタケノコ掘りなのか、タケノコ掘りのついでの墓参りなのかわからない状態になっている。スコップを借りて私もエイエイとやってみるが、うまく根っこの部分からほりだせず、私の掘ったたけのこはみな下のところが割れていた。タケノコ堀りに飽きて(すぐ飽きる)、土遊びをする。しっとり濡れた土は触るとひんやり冷たくて気持ちいい。少しいじるとミミズやバッタ(みたいなやつ)、わけのわからん黒い虫が出てきたので、3歳か4歳になるらしい従兄弟の子どもの目の前に吊り下げて見せ、ワンワンと泣かせた。
 掘ったタケノコは車に積んで親戚の家まで持って帰り、母や伯母たちと大鍋で茹でた。台所に糠の匂いが充満して、まるで米屋みたいだった。伯母の本棚を眺めたら料理の本が何冊かあり(伯母はかつて小学校の給食室で働いていて、料理がうまい)、持っていっていいと言うので小林カツ代のものを2冊と、暮しの手帖社から出ているお惣菜の本を1冊もらった。
 従兄弟の子どもたち2人相手に、練習のつもりで「浦島太郎」を語ってみた。年寄りじいさんになってしまった浦島太郎の嘆きを少々大袈裟にやってみる。ふたりとも、おー感動した!、と言ってくれたけれど、嘘かまことかわからない。

 夕方はやくから、庭でバーベキュー、というか、ただの焼肉。今日は車の運転はしなくていいので(弟がする)、たくさんビールを飲む。野菜をつまんでいたら、野菜なんか食べずに肉を食え、と伯父に言われ、枝豆をむしっていたら、そんなもんやめてこの機会にたくさん肉を食べなさい、と伯母にも言われ、普段よっぽど肉を食べてないと思われているようだ。久しぶりにレバーを食べたら動物の味がした。

 日が沈んでから、宇治駅まで弟に送ってもらい、大阪に帰る。帰りの車内では佐伯一麦の「遠き山に日は落ちて」を読む、が、途中でコンコンと寝てしまう。
 寝る前に、車の中でもかけていたフィッシュマンズを引き続き聴く。すばらしくナイスチョイスな瞬間。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、ニラ卵、梅干、ジャコ、ほうじ茶
 昼食:実家で。きつねうどん
 夕食:焼肉(カルビ、ロース、タン塩、レバー、など肉いろいろ。と、カボチャ、玉ねぎ、キャベツ、ピーマン、椎茸、人参、アスパラガスなど野菜いろいろ。)、キムチ、麦酒たくさん、他にも枝豆とかスルメとかアイスクリームとかなんかごちゃごちゃと食べた。お腹いっぱい。


2005年05月02日(月) いい言葉ちょうだい

 午前7時起床。朝のうちは曇りがちであるが、昼からさっぱりと晴れてくる。夜は、冷たい風がふき、かなり涼しくなり、次第に寒くなって、たまらずホットカーペットのスイッチを入れて寝そべった。

 朝いちの直行で神戸に行くはずだったが、先方の都合が悪くなった、と阪急の改札に入る直前にNさんから電話があり、引き返す。今日は神戸での会議のために出てきたみたいなもんだったので、少し拍子ぬけ。会社に戻る。連休を利用して休んでいる人も多いのか、誰も訪ねてこないしどこからもほとんど電話もかかってこない。全体的にのんびりと時間がすぎ、夕方所用で心斎橋にでかけて、そのまま直帰した。

 思い立って、難波のタワーまで行って、人もまばらな6階のワールドミュージックのフロアで、毎月楽しみに愛読しているフリーペーパー「MPB」の4月号で、このたびめでたく復刻したとケペル木村が紹介していたショーロとサンバのCDを買った。今、一番なごむCD屋は、難波タワーの6階だと、思っている。阪神のブリーズ、京都のバージン、と私の好きだったCD屋は次々となくなってしまってさみしかったが、ようやく新たな憩いの場を発見した、という感じだ。どうか撤退しないでくれ、という思いでいっぱいだ。

 梅田まで戻り、自転車で家に帰る。6時半をまわってもまだ日がさしており、一日が長く感じられて得したみたいな気分になる。
 宅配野菜の整理。今回が野菜だけでなく、調味料や油類、ジャムや梅干しなど、たくさん注文したので、それらをしかるべき場所におさめ、コロッケを作るべく、調理に励む。朝のうち、すこし下ごしらえしておいたので楽チンだ。手作りのコロッケは素朴な味がして懐かしい。10個揚げたうち、5つパンクした。中身の具が飛び出て、ザクロとかイチジクみたいなかたちになっている。Tに、これ失敗?、と聞かれたので、わざとやった、と言う。こういう形のコロッケやねん、中身の出たコロッケや、と言っておく。ふうん、そんなんあるんや、とTは言ってパクパク食べていた。そんなんあるねん、世の中にはいろんなコロッケがあるんやで。

 夜、連休中に買った本を次々にひもとく。日焼けしたせいか、唇が荒れるのでリップクリームをたくさんぬる。お風呂に入ったあと、日記を書いて就寝。

・購入物:mane do cavaco「martinho da vila apresenta mane do cavaco」(RCA)
     various choro「serie documento-os choro dos choroes」(RCA)

・朝食:コーンパン、ヨーグルト、珈琲、甘夏ミカン
 昼食:お弁当(焼き鮭、卵焼き、ジャガイモのサラダ、梅干し、ごはん)
 夕食:ポテトコロッケ、シシトウの素揚げ、ほうれん草の胡麻和え、ミニトマト、冷奴、麦酒、ごはん


2005年05月01日(日) チアーズ!

 午前8時に起きて京都へ。朝ごはんは京阪京橋駅構内のうどん屋さんで、きざみうどんを一杯食べる。駅にある立ち食いうどんは、阪急十三駅のが美味しいと評判だけど(私のまわりでは)、京橋のもダシがきいててなかなかイケると、私は思っている。

 昼前に雨の京都に到着。三条から岡崎までテクテクと歩いて、勧業会館の古本市に行く。かなり混み合っている。知らなかったけれど、今日が初日だそうだ。人と人の間からのぞくようにして古本を見る。行き交う人にぶつかって何度も謝った。2時間くらい場内をまわって、すっかり疲れる。古本市で集中力が保てるのは2時間が限度だ。それ以降はもうくたびれて、目が背表紙の上をすべっていくばかり。 

 本日買った本のこと。
 吉田健一「頭の体操」は昭和34年の数ヶ月、熊本日日新聞に連載されていた文章を集めたもの。ソフトカバーで装幀がかわいい。勧業会館の古本市ではほとんど毎年のように吉田健一の本を買っている。300円。
 ホッファーの「波止場日記」は前々からの愛読書のひとつで大好きな本なのだが、1971年発行のソフトカバーのものを発見したのでうれしくて、ダブり承知でつい買ってしまう。要するに、ソフトカバーが好きなのだ。800円。
 大道あやの「たぬきじゃんけん」という絵本は今日初めてみた。わらべうたに絵をつけたものだけれど、まあとにかくすんごい迫力。見開きいっぱいにドバッと広がる、絵の力強さに圧倒される。原色の使い方が斬新だ。ただただ見惚れるばかり。大道あやはすばらしい画家だ。350円。
 あと、1996年に練馬区立美術館で開かれた野見山暁治展の図録を1500円で、「あばらかべっそん」は200円、今橋映子さんの「異都憧憬」は未読だったし、持ち重りのする分厚さにひかれて。700円。
 合計3850円。野見山暁治の図録のおかげで予算オーバーしちまった。文庫にほとんどみるべきものがなかったのが残念であるが、まあこれで良しとする。

 いつもなら鴨川で作ってきたお弁当を広げるのだが、今日は雨なのであきらめる。しかも昼過ぎからは風にあおられるけっこうな降り方で、雨の京都もいいもんだ、などと風情を楽しんでもいられなくなったので、三条寺町の「スマート」に長いこと居座って、本を読んだりバカ話をしたりなどする。そのあと、三月書房とアスタルテ書房に寄って、洋服なども少しみて、夕方には京阪電車で大阪へ帰ってきた。車内では窓にもたれてぐっすりと寝た。

 夜。「ワールドミュージックタイム」を聴いた後(今夜はフェラ・クティの曲がたくさんかかった。アフリカではカラオケでフェラ・クティを歌うのが流行っているんだって。あんな長い曲を歌われたらなかなか順番がまわってこないだろう)、バウンスのフィッシュマンズ特集を読んで聴きたくなって、「Chappie,don't cry」と「king master george」をかける。いきいきとはじけてて、初期のアルバムもいいものだ。『チャンス』を聴いて、いろいろと感慨ふかし。
 『きらいな言葉 言わないから好きさ
  タバコを立ててすわないから好きさ
  いっしょうけんめい話すから好きさ
  わかったような顔しないから好きさ
  自分の言葉で話すから好きさ
  悪口ばかり言ってるから好きさ
  ただ ただ楽しい あなたが好きさ
  暗い僕を盛り上げるからね』 

・購入物:吉田健一「頭の洗濯」(文藝春秋新社)
     エリック・ホッファー「波止場日記」(みすず書房)
     桂文楽「あばらかべっそん」(旺文社文庫)
     今橋映子「異都憧憬 日本人のパリ」(平凡社ライブラリー)
     大道あや「たぬきじゃんけん」(小峰書店)
     図録「野見山暁治展」(練馬区立美術館) すべて古書

・朝食:駅構内の立ち食いそば屋で。きざみうどん
 昼食:スマートにて。珈琲、フレンチトースト
 夕食:鶏のなんこつ唐揚げ、きゅうりとジャガイモのサラダ、キムチ冷奴、ピーナッツ、あぶったイカ、麦酒


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