昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2003年11月30日(日) 古本屋めぐり

 昨夜は、さまざまな本を枕元にならべ片っ端から拾い読みなどしながら結局朝方まで起きていて、今朝目を覚ましたら12時をとっくにまわっていた。こんなことではせっかくの休日が、あっというまに終わってしまうではないかいな、とため息ひとつ。外は曇り空。

 週末に映画のチケットをもらっていたので、天六までチャン・イーモウの「英雄」を観にでかける。上映時間ギリギリに到着したが、天六のホクテンザはいかにも場末の映画館という感じで、いつもがら空きなので安心していたら、世の中どうなっているのか今日にかぎって満員御礼で、空いている席がない。立ち見だとわかったら急にどうでもよくなって、冒頭の、馬がパカパカ走っているところだけ観て映画館を出た。受付のおばちゃんに「あら、もうお帰り?」と驚かれる。ああ帰るともさ、立ってまで観たい映画じゃないもんね。

 映画に夢破れたため、天神橋商店街周辺の古本屋めぐりをした。和田芳恵の「暗い流れ」の集英社文庫版が100円だったのと、河盛好蔵が監訳している「フランス革命下の一市民の日記」を発見できたのが本日の大きな収穫であった。
 天満橋まで歩いて、ジュンク堂で金井美恵子の新刊エッセイ集を買った。装丁から造本まで、相変わらず凝っている。内容は、「鴛鴦歌合戦」とか「ルノワール」とか「フローベール」とか「蓮実」とか「島田雅彦」とか、まあいつも「おんなし」ような固有名詞があちこちに散らばっているんだけども、やっぱり読み出したらおもしろくてやめられないなあ。

 カレーを食べて、家に帰りついてから選挙へ。投票所はガラガラ。私とTのほかは、おじいちゃんがお一人いただけだった。センキョンの栞をもらって帰る。
 夜は日曜美術館を見ながら、ビールと焼酎で酒盛り。それから本を読む、読む、読む。

・購入物:和田芳恵「暗い流れ」(集英社文庫)
     伊藤整「鳴海仙吉」(新潮文庫)
     藤沼貴・小野理子・安岡治子「ロシア文学案内」(岩波文庫)
     C・ギタール「フランス革命下の一市民の日記」(中公文庫)以上古書
     金井美恵子「「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ」(講談社)

・朝、昼食:トースト、ツナサラダ、りんごジャム、珈琲、みかん
 夕食:外食、印度屋にて(ポテトオニオンとビーフのカレー)


2003年11月29日(土) 桃色

 一日中、雨。ジャカスカジャカスカ、まあよく降ること。
 雨が降ると、この間地下鉄に忘れた傘のことが思い出され、かえすがえすも無念なり。仕方がないので、全く似合っていないらしい、ピンクに花柄模様の二谷友里恵デザインの傘をさして出かける。うーむ、確かに似合ってないなあ、と、鏡に映った自分の姿を見て思う。私は世界一「ピンク」の似合わない奴かもしれない。

 ピンクの傘をさしてどこへ行ったかというと、歩いて20分くらいかかるスーパーへ行った。雨の中20分歩くのは億劫だったが、そこしか低温殺菌の牛乳が売っていないのだ。低温殺菌の牛乳を飲み始めたら、もう他の牛乳は不味くて不味くて飲めない。
 その後、スーパーの前の通りを渡ったところにある書店で、本を3冊購入し、岩波の「図書」をもらう。

 午後から家の掃除。みかんの皮をぐつぐつ煮てできた「みかん水」で、フローリングの床を拭く。拭いた後しばらくはみかんの匂いがするけれど、びっくりするくらいピカピカになる。それから本とCDの整理。

 夜はバレーボールのイタリア戦を少し観たが、あんまりイタリアの選手が映らないのでつまらなくて消した。録画の深夜放送でいいから、ブラジル対イタリア、とか、ブラジル対セルビア・モンテネグロ、とかの試合が見たい。世界のトップレベルは本当にすごいんだけどなあ。

 夜は「植草甚一コラージュ日記」のニューヨーク編を読む。あー、古本屋さんに行きたくなってきた。

・購入物:瀬戸俊一編「植草甚一コラージュ日記2」(平凡社)
     嵐山光三郎「口笛の歌が聴こえる」(新風舎文庫)
     天野祐吉「私説広告五千年史」(新潮選書)

・朝、昼食:白菜うどん(本日考案したうどん。美味!)
 夕食:鯖の煮付け、リーフレタスのゴマサラダ、人参入り山芋汁(これも本日考案。はっきり言って失敗作)、ジャガイモの煮ころがし、麦酒、ご飯


2003年11月28日(金) 散財

 やってしまった、大散財。認めたくないけどちょっと後悔している。

 帰りに器屋へ行って、昨日から目をつけていた信楽焼の飯腕を買った。私の買い物にしてはちょいと高くついたが、それはまあいい。
 次にプレバーゲンの葉書が来ていた洋服屋さんへうっかり足を踏み入れ、今年は買うつもりのなかったコートなどを約一着購入してしまった。だってかわいかったんだもん。この計画性のなさ、なんとかならないのだろうか。やっぱり『家庭画報』など見なければよかった。
 
 晩ご飯を食べた後、現実を忘れるためにヴァン・モリソンとニール・ヤングを聴きながら、読書。深沢七郎の「みちのくの人形たち」を読んで、コワーイ気分になっていたところ、年下の友人より電話。結婚することになったので、2次会へ出席してほしい、とのこと。結婚式の2次会は、私の「なるべく参加したくない世の中の行事」の上位にランクされているが、断る理由も思いつかず、ずるずると承諾してしまう。まあ、いいけどな。
 彼女の結婚相手は私の友達でもあって、優しくて面白くてまあまあ男前でいい奴だと私も思う、ただ女癖がとても悪い。彼女は、結婚したら落ち着いてくれるでしょう、と笑っていたが、それは甘い。あの底なしの女好きが「結婚」くらいのことで悔い改めるとはどうしても思えないなあ、雀百まで踊り忘れず、だ。
 まあ、今日のところはそんなことは言わず、おめでとう、とへらへら笑っておいた。

・購入物:信楽焼の飯腕 
     ベージュのハーフコート

・朝食:昨夜のクリームシチュー
 昼食:お弁当(ピーマンとコンニャクのきんぴら風、海苔、かぶら、ご飯)
 夕食:豚肉とチンゲンサイと長芋の炒め物、ジャガイモの煮ころがし、玉ねぎの味噌汁、ご飯


2003年11月27日(木) 家庭画報

 曇天。気をきかして持って出た傘を、地下鉄に忘れた。ああ。

 仕事の資料集めと称して、『家庭画報』を何冊かペラペラ眺める。『家庭画報』をちゃんと読むのは生まれて初めてかも。いい紙を使っているからか何か知らないが、重い重い、手がすべって足の上に落としたりしたら怪我するんじゃないだろうか。危険な雑誌だ。
 ここでは私の知らない世界が展開されている。世界はやっぱり広く、おもしろい。例えばファッションページ。ユニクロに毛がはえたようなジャケットが50万円、「特別な日に着る淑女のコート」は73万円だ。こんなコートを着るような「特別な日」ってどんな日?淑女ってどんな人のことをいうんだろう。73万のコートなんか着たら、体中に悪いデキモノが出来そう。

 総体的に『家庭画報』は、私にとってはどうでもいい雑誌であったが、器のページだけは楽しかった。粉引の器や染め付けのお皿が欲しくなって、帰りに器屋さんを覗いてみる。今日はお金の持ち合わせがなくて購入はできなかったが、見れば見るほど欲しくなってきて、いてもたってもいられない。『家庭画報』など読まなければよかった。

 夜は「白い巨塔」を見る。曾我廼家文童の喋り方は浄瑠璃の語りのようだ。この人好き。

・購入物:なし

・朝食:たぬきそば
 昼食:チーズとソーセージのパン、珈琲
 夕食:かぶと人参のクリームシチュー、ブロッコリーとゆで卵のサラダ、ガーリックトースト


2003年11月26日(水) ちょっとましな人

 友人が会社に電話をかけてきて、近くに来ているのでちょっと出てきて、と強く所望するので、昼休みに会うことにした。今日はお弁当持ちなので、近所の公園で一緒にご飯を食べる。
 普段はおしゃれな友人が、テカテカ光るオレンジのジャンパーを着て現れたのでびっくりした。仕事上あるイベントに参加することになって、無理矢理着せられたのだ、と言う。こんな趣味の悪いオレンジ色、巨人ファンでも着ないよ、といたくご立腹。イベント会場にいる人がどうもいけ好かない奴ばかりなので、昼ご飯くらいは「ちょっとましな人」と食べようと思い私を呼びだした、ということらしい。私は「ちょっとましな人」。

 タワーレコードのダブルポイントの日。この機会に欲しいCDを買ってしまおう思い、いろいろ迷って5枚選んだ。気になっていた高田漣は、新譜はひとまず見送ってファーストを買ってみたら、これが素晴らしくよかった。和む。マリア・ヒタもミルトン・ナシメントが入れ込むだけあって、たいへんよろしい。高田漣といい、マリア・ヒタといい、やっぱり才能は遺伝するのかな。

 古山高麗雄の「風景のない旅」はとても面白かった。どこを旅していても、名所旧跡を見て歩いても、ちっとも楽しくなさそうな古山高麗雄がとてもいい。どうでもいいんだ僕そんなこと…、って感じが文章にあらわれていて、なんだかかわいい。でも決して何にも感じていないわけじゃなくて、どうでもいいんだ…、の背後にはきっぱりとした自己主張があり、意見があって、読み進むにつれそれがビシビシ伝わってくる。こういう人はきっといい人だと思う。

・購入物:高田漣「LULLABY」
     MARIA RITA「MARIA RITA」
     VAN MORRISON 「whats wrong with this picture?」
     NEIL YOUNG 「on the beach」
     サントラ「the soul of man」

・朝食:チキンサンド、オムレツ、珈琲
 昼食:お弁当(ネギ入り卵焼き、かぶらのサラダ、海苔、みかん)
 夕食:野菜焼きそば、レタスとトマトのサラダ

 
 
 


2003年11月25日(火) 古山高麗雄

 今朝は少しまだ雨が残っていたけど、お昼までにはすっかり止んだ。
 なんとなく思い立って、久々にヒールのある靴を履いた。そんな日にかぎって、御堂筋を梅田から心斎橋近くまで歩いて往復するような事態に立ち至り、ものすごくくたびれた。慣れないことをしなければよかった。

 ここ数日、まともな本屋さんへ行ってなかったので、帰りに嬉々として堂島のジュンク堂に行った。今日はあんまり買う本はなかったけれども、夜の店内はわりと空いていて、静かな場所で本に囲まれているだけで、とても落ち着く。
 文楽の本をいろいろ立ち読みしてから、地下の喫茶店で本を読む。
 昨夜から古山高麗雄の「風景のない旅」(中公文庫)を読んでいる。なんで家にこの本があったのかわからないが、昨日本棚の奥からひょっこりと出てきたのだ。多分、ロシアをはじめヨーロッパ各地を訪れた旅日記、という裏表紙の文章に惹かれて、どこかの古本屋さんで買っておいたのだろう。よくやった、と自分をほめてあげたいくらい、とても面白い。これでまた、古本屋さんで古山高麗雄を探す、という新たな人生の目標ができた。

 鍋をつつきながら、ニュースステーションを観る。大江健三郎が出ていた。大江健三郎は、「じゃりんこチエ」のテツの先生(名前忘れた、花井先生だったかなあ)に似ている。

・購入物:堀江敏幸「魔法の石板」(青土社)
     人間講座テキスト 森まゆみ「こんにちは一葉さん」

・朝食:ご飯、野菜豚汁、里芋の煮物、のり
 昼食:ピロシキ、メロンパン、野菜ジュース
 夕食:寄せ鍋、麦酒


2003年11月24日(月) 読書三昧

 午前9時頃に目は覚ましたものの、ヌクヌクの布団の中から出られなくて、リモコンでデッキを遠隔操作して音楽を聞きまくる。CDを入れ替える以外は微動だにせず、ジッと聴いているうちにまた寝てしまい、次に起きた時はもう11時だった。

 大根、人参、ゴボウ、エリンギ、コンニャク、里芋、豚肉、豆腐、ネギ、などを入れた「野菜豚汁」を作る。これからの季節は、この汁と、あとは魚でもペッと焼いて、炊き立てのご飯があれば、他には何もいらないなあ。あ、何もいらないいうのはウソだ、他にもいろいろ食べたいけど、この献立はそう思えるくらいおいしいということだ、などとくどくど考えながらちまちまお惣菜を作る。
 そんなことをしてたら雨がザーザー降ってきた。

 寝そべって読書。
 全集を買ってすっかり安心し、本棚におさめたままになっていた島村利正の短編を何編か読んで、深いため息をつく。このため息は感嘆のため息だ、もちろん。端正だなあ、実に端正な文章だ、と思う。
 あと、牧野信一の短編もいくつか読む。何が何だかようわからんものもあるが、時折、へえっ、とびっくりするくらい面白いというか変わっているというか、斬新な表現や展開があって、読み出したらなかなか止められない。
 それから、スムース文庫の「借家と古本」を読んでいたら古山高麗雄が急に気になって本棚を探索、3冊ほど探しあて、ペラペラめくっていたらもう面白くて面白くて、夢中になってしまった。
 そんなことをしてたらあっという間に一日が終わった。楽しい時間のたつのは早いもんだなあ。

・購入物:なし

・朝食:目玉焼きトースト、ハムとチーズ、珈琲
 昼食:りんご
 夕食:鯛の刺身、野菜豚汁、里芋と小松菜の煮物、ニラのピリ辛ゴマ和え、ご飯


2003年11月23日(日) 文楽鑑賞

 8時起床。寒い。
 朝食に、金曜日に作ったカレーを食べる。小沢昭一が、朝からカレーライスを食べられるような人は旅人になれる、というようなことを書いていたなあ、とぼんやり考える。朝にカレーを食べるのはどっちかというと好きだが、こう毎日続くとちょっと飽きてきた。

 ご飯の後、意気揚々と文楽劇場に出かける。朝から晩までびっちり文楽漬けの日。幸せ。
 ユネスコの無形文化財に選ばれたことが関係しているのかどうかはわからないが、今日はいつになく観客が多かった。隣の席に座った女性は、はるばる東京から観に来た、と言っていた。東京ではなかなかチケットが取れないそうだ。
 今回は近松名作集。近松門左衛門の浄瑠璃の多くが暗く哀しいものばかりだが、大衆は他人の悲劇が大好きである、ということにしっかり気づいていた近松はやっぱりすごいと思う。それもこれもあの姦通罪という、バカみたいな法律がなかったらほとんど成立しなかったのだと思うと、なんだか複雑な気分になる。
 どれもこれも良かったが、特に「大経師昔暦」の竹本住太夫さんの語りと桐竹勘十郎さんの茂兵衛に、聴き惚れ、見とれて、身も心もヘロヘロになってしまった。

 それから、文楽を観ていると決まって織田作のことを考える。私は相変わらず、暇があったら織田作のことを考えている。人間というものは、死んでしまった後でもこんなに人の心を動かすことができるのだ、すごいなあ。

・購入物:文楽プログラム
     テレビサライ(BSでの小津映画の放送日をチェックするために買ったのだが、それ以外は見事に読むところがなかったので、今少々ショックを受けている)

・朝食:カレーライス
 昼食:柿
 夕食:外食、蓬莱にて(麻婆茄子、バンバンジー、スープ、ご飯) 


2003年11月22日(土) 文学開眼

 久しぶりに実家へ帰る。
 京都行きの電車はとても混んでいる。ガイドブックを持っている人も多い。今日の天気は晴れたり曇ったり雨が降ったりとバリエーション豊かで、紅葉を見るにはイマイチだろうな。

 母親に頼まれていた夏目漱石の本、「彼岸過迄」と「草枕」と「明暗」を持って帰る。母は、今読んでいる本を読み終わったら早速読むわ、と言って喜び、今読んでいるのはこれ、と志賀直哉の「暗夜行路」を見せた。急に文学開眼したなあ、この人。

 コタツに入って母といろいろ話す。先日の選挙のこと、昨日のナイトスクープについて、高橋尚子の「失速」のことについて、バレーボールのことについて、など。バレーボールは、わけのわからんタレントを出すのは百歩譲って許すとしても、放送の残り時間で後の展開がわかってしまうのが致命的だねえ、と母は怒っていた。それから、梅宮アンナの子どもはかわいいなあ、と言い出したのでびっくりした。大抵の話題にはついていけるつもりだが、梅宮アンナの子どものことについては全く語れない。

 行き帰りの電車の中で「家族会議」を読了した。とうとう最後まで面白くなかった。主人公の心の動きがどうにもこうにも理解できない。それと、「女」を「家」と結びつけて考えているのが気に入らない。ケチくさい奴だ。

・購入物:なし

・朝、昼食:カレースパゲティ、ブロッコリーのサラダ、珈琲
 夕食:実家にて、ハモと鱈の寄せ鍋、ベビーリーフのサラダ、麦酒 


2003年11月21日(金) 食べる歓び

 寝坊した。出かけなければならない時間の、20分前に飛び起き、シャワーを浴びて、化粧もせずに出かける。こういう場合に、人は電車で化粧するのだろうか。自転車通勤者にはそのような芸当はできないので、会社に着いてから仕事そっちのけで化粧をし、朝ご飯を食べる。

 帰りにまたタワーレコードに寄り、昨日から気になっていたジャンゴ・ラインハルトのCDを買う。ステファン・グラッペリとの共演で、3枚組で1380円。安い。なんでこんなに安いんだろ。
 ジュンク堂で小林カツ代の新書を買い、喫茶店で一休みしてから自転車に乗って帰り、地元のスーパーへ行く。
 
 スーパーに入ってすぐのみかん売場の前に、派手なジャンバーを着たおばちゃんがいる。おばちゃんはおもむろに手を出し、みかんをひとつ掴んで皮を剥き、食べ始めた。おいおい、何すんの。同じように、おいおい何すんの、と思ったのであろう品出し中のアルバイト店員がおばちゃんに近づき、あのう、と声をかけた。おばちゃんは一言、「ええねん、ええねん、味見してんねん」。さらに食べ続け、傍らにいる私に向かって、「ちょっと水くさいけどな、まあまあおいしいで」と言う。食べ終わったみかんの皮を自分のレジカゴに放り込み、「レジで一個分の代金払うからな」とアルバイト店員に言い捨て、去って行った。かっこいい。
 しかし、放っておいたら何をするかわからんので、おばちゃんには充分気をつけねばならない。

 「家族会議」にどうものれないので、小林カツ代の本を読む。料理の基本的なことばかりだが、食べることの歓びがあふれている。料理の写真はないのに想像力がかき立てられるから、お腹が空いている時に読むとけっこうキツイ。
 ものをおいしく食べることのできる人は幸せだ。その幸せをみんなもっと大切にした方がいい。感謝しなければならないと思う。生きているうちにあと何回食事できるか誰にもわからないんだから、一食たりとも無駄にしないぞと、かたく誓う。

 夜、「探偵ナイトスクープ」を観て号泣。おじいちゃんと阪神を結びつけられては、もうたまりません。降参。

・購入物:小林カツ代「実践 料理のヘソ!」(文春新書)
     DJANGO REINHARDT with STEPHANE GRAPPELLI「Swingin with Django」

・朝食:チーズとハムのパン、野菜ジュース
 昼食:サツマイモとりんごのパン、珈琲
 夕食:チキンと野菜のカレー、キノコスープ

 

 

 


2003年11月20日(木) 「家族会議」

 2日続けて、しょぼついた雨降り。今日は母からの借り物である、二谷友里恵デザインの傘をさす。会社のIちゃんに、「その傘、似合ってませんね〜、全然似合ってませんね〜」と、似合ってない、を連発された。やかましい、雨にぬれなきゃいいんです。

 会社の阪神百貨店から優待ハガキが届いていたので、帰りに行ってみた。いろいろ見て試着などしているうちに、自分が何を欲しているのかわからなくなってきて、結局、阪神では何も買わず、隣のイーマで、ひとめぼれした茶色のバッグを買った。
 それからタワーレコードでハナレグミのCDを購入。

 「大阪自叙伝」で藤沢桓夫が、素晴らしい小説家だ、と絶賛していた横光利一を読む。とりあえず本棚にあった「家族会議」を。半分くらい読んだが、何だかあんまり面白くない。
 一人の男を何人かの女が取り巻いていて彼が結婚するのは果たして誰か、というのと、その男が関わる株式世界の駆け引きが小説の中心なのだが、結婚と株、なんていうのは私が最も関心の低いテーマである上に、登場人物がどいつもこいつもイマイチ嫌な奴ばかりで、全く物語に気持ちがのらない。横光利一は短編のほうがいいのかも。

 帰って「白い巨塔」を見る。中村玉緒がやってた役は、今回はどうやらかたせ梨乃のようだ。かたせ梨乃とはまた、中途半端だなあ。

・購入物:ハナレグミ「さらら」
     茶色のバッグ

・朝食:クロワッサン、珈琲、ジャガバター
 昼食:温玉ぶっかけうどん
 夕食:豚肉とターサイの炒め物、小松菜と大根の味噌汁、ほうれん草のゴマ和え、ご飯


2003年11月19日(水) 疲労困憊

 雨。今日も仕事が比較的ヒマなので、会社でしか読めない読売新聞などのんびりと読み、Nさんと渡辺淳一の連載小説について語る。この小説ほど、何が言いたいのかわからん話も珍しい。読むたび、だから一体どやっちゅうねん、と思う。うだうだ文句を言いながらもけっこう楽しんでるんだけど。

 そのNさんと、得意先の人を交えて飲みにいくことになり、会社近くの居酒屋へ。これはアレだ、世間でいうところの、接待というやつだ、まあレベルは低いけど。いつも以上によそゆきの顔をしなければならず、疲労困憊。こんなことをするくらいなら、仕事をしていたほうがましだ。
 
 午前1時頃、タクシーで帰宅。タクシーの運転手さんと、ムーアが解雇されたことについて話す。運転手さんは、あいつ多分巨人に行きよるで、と言っていたけれど、そうなんだろうか。

 帰ったら、コタツの上に渡辺兼人が写真をつけた金井美恵子の「既視の街」があって、びっくり。アスタルテに6000円か7000円で売っていた本だ。Tが心斎橋の古本屋さんで800円で見つけたらしい。古書の価値って不思議。
 渡辺兼人の写真はどこまでもどこまでもたまらなくさみしくて、とてもいい。

・購入物:なし

・朝食:ご飯、鮭、のり、ちくわ
 昼食:メロンパン、ベーコンとチーズのパン、野菜ジュース 
 夕食:居酒屋で、お惣菜いろいろ、おでん、麦酒(何杯飲んだか忘れたが、たくさん)


2003年11月18日(火) 目の保養

 だんだん仕事が暇になってきた。これは悲しむべきことか、喜ぶべきことか。とりあえず今は嬉しいが、この反動が怖い、というところかな。
 片づけてさっさと帰る。今日中にしなくちゃいけない仕事でもないのに、だらだら残業している人がたまにいるが、あれはバカのすることだ。明日できることは明日すればいい。私は仕事が終わったら、一刻も早く帰りたい。

 会社を出てどこへ行くかというと、本屋さんへ行く。ジュンク堂でジャン=ピエール・メルヴィルの本を買う。この監督は、ストーリーに直接関係のない、ディテイルがいっぱいつまった映画を撮る人で、私はそういう映画が大好きなのだ。
 この「サムライ」という本、とても面白そうなんだけど、もう少しざらついたカバーのほうがよかったのになあ、その方が晶文社っぽいと思うんだが。
 その他には、この間買いそびれた文庫本を2冊、買って帰る。

 今夜の晩ご飯は野菜だらけのキムチ鍋。野菜を切り刻みながら、バレーボールを観る。田中幹保が監督をしているとは、月日は流れ流れたもんだなあ。
 高校生の頃、私はバレーボール観戦がすごく好きだった。学校をさぼって、一人で代々木体育館へ観に行ったくらい好きだった。誰のファンだったかは、恥ずかしいので言わないけど。
 カナダにかっこいい選手が約1名いた。名前はわからなかったが、ひさびさに目の保養ができたような気がする。これからのフランスやイタリア戦が楽しみだ。見逃さないようにしないとな。

・購入物:ルイ・ノゲイラ「サムライ ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生」(晶文社)
     近藤信行・編「山の旅 大正・昭和篇」(岩波文庫)
     岸田麗子「父 岸田劉生」(中公文庫)

・朝食:焼きそばパン、カフェオレ
 昼食:お弁当(カボチャの煮付け、白菜のおひたし、ご飯、ミカン)
 夕食:キムチ鍋(中華そば入り)、麦酒 


2003年11月17日(月) 「闘病日記」

 今日も晴れ。あまりにもいいお天気なので、昼ご飯は会社近くの公園で、サンドイッチを食べる。風は少し冷たいけれども、日なたはポカポカ暖かかくて、気持ちいい。
 
 食後は高見順の「闘病日記」を読む。何でこの本を読んでいるのか自分でもよくわからん。朝出かける時、読む本を選ぶ時間がなくて、パッとつかんだのがこれだった。闘病の記録でありながら淡々としていて、読んでいるほうはそれがかえってこたえる。だんだん胸がつまってくる。でもその合間にちらっ、ちらっと辛辣な批評があったりして、やっぱりただの「闘病」日記ではない。

 午後から外出。京橋駅で「ビッグイシュー」を売っている人がいたので、創刊号ありませんか、と聞いたら運良く持っておられた。よかった、よかった。欲しいものは必ず手に入れるよ。
 1ページだけだが、中川敬のインタビューが載っている。本の紹介ページは底が浅いように思うが、読者層からしてもこれ以上はつっこめないのかな、という気もする。

 夜、「みりん」を探してスーパーを何軒かはしごした。店員にみりんないですか、と聞いたら「ほんてり」を持ってきた。それは「みりん風調味料」であって「みりん」ではないの。結局、酒屋で購入。ついでにビールと焼酎も買ってしまった。酒屋に行くとろくなことがない。

・購入物:「ビッグイシュー創刊号」

・朝食:トースト、珈琲、蒸しジャガイモのサラダ
 昼食:ミックスサンドイッチ、牛乳
 夕食:鶏とチンゲンサイのしょうが焼き、かぼちゃの煮つけ、ジャガイモの味噌汁、サニーレタスとベビーリーフのサラダ、ご飯

 


2003年11月16日(日) 山荘美術館

 晴れ。ふと思い立って、大山崎山荘美術館に行く。特に理由はない、ただ行ってみたくなっただけ。
 大山崎や水無瀬は大阪と京都に挟まれた田舎で、阪急電車は普通しか止まらなくて不便だけど、ひっそりしていて私は好きだ。その昔予備校で友達になった裕ちゃんが大山崎に住んでいて、いいところだとか静かでいいとか皆言うけど武士の幽霊がそこら辺をうろうろしてるから住民はタイヘンなのだ、などとよく言っていた。古戦場だから、幽霊の一人や二人はいるのだろう。裕ちゃんは予備校を出た後、どこに進学したかもわからず消息不明になったが、まだ大山崎にいるのだろうか。

 美術館ではバーナード・リーチと濱田庄司の企画展をやっていて、お皿や鉢や壺など陶芸作品を眺める。民芸好きの私にはうれしい企画。おおこの水瓶はいかにも「サクリファイス」に出てきそう、などとまた勝手にタルコフスキーに結びつけて喜ぶ。この山荘そのものが「美術品」みたいなものだから、陶芸に興味のない人でも楽しめると思う。
 居心地が良くて、テラスでアサヒビールを飲み、周辺の庭や寺を散策してすっかり長居してしまった。久しぶりに土や木や緑の匂いをかいだような気がする。
 夕方近くになって山を降りて帰る。幽霊には出会わなかった。

 梅田に戻って夕食を食べ、大阪駅前で初めて「ビッグイシュー・日本版」を買った。第2号だった。アンジェリーナ・ジョリーや中島らもの特集があったりして、なかなか読み応えがある。創刊号にはソウルフラワーユニオンの記事もあったようだ。やっぱりなあ、登場してると思ったよ。創刊号はもう手には入らないのかしら、今度聞いてみよ。

・購入物:「The big issue JAPAN 第2号」

・朝食:ガーリックチャーハン
 昼食:マーガリンサンドパン、珈琲
 夕食:外食、牛鍋定食


2003年11月15日(土) お買い物

 午前10時起床。朝のうちは晴れていたので、洗濯物を干そうとベランダに出たら黒猫がいた。いつも近所をうろうろしている猫で、天気のいい日はウチのベランダで日向ぼっこをすることに決めているらしく、時々見かける。しばし猫をおちょくって、というかおちょくられて、遊ぶ。

 午後から外出。まず日本橋へ行き、文楽劇場で予約しておいたチケットを買う。めちゃめちゃ楽しみにしている文楽鑑賞が、いよいよ来週にせまってきた。でも、早く観たい、と心待ちにしているこの時が一番楽しい時間かも。
 千日前通から脇道をクネクネ抜けて歩く。この辺りは織田作之助の「世相」などにも出てきた道だ、きっとオダサク自身も何度も何度も歩いたはず、その道を私も今歩いているのだ、なんかしみじみ嬉しい、などと考えながら難波のジュンク堂へ行く。
 岩波文庫の棚を見ていたら99年に復刊された近松秋江の「別れたる妻に送る手紙」がまだ残っていた。3編収録中2編が既読にもかかわらず思わず買ってしまった。他には牧野信一など、文庫本ばかり3冊買う。
 その後高島屋でタートルネックのセーターを、無印良品でコーデュロイのパンツと靴下を購入。パンツの裾あげを待つ間、タワーレコードでマリア・ヒタの新譜を試聴し、ラティーナのジョアン・ジルベルトライブレポートを立ち読み。古本屋へも行って、和田芳恵と日野啓三をそれぞれ100円で買い、何となく探していた海野弘の「都市風景の発見」も発見、入手した。めでたい。
 よくもまあこれだけ、立ち寄る店にことごとく欲しいものがあるもんだ。

 夜、買ってきた本をペラペラめくる、至福のひととき。近松秋江の「別れたる妻に送る手紙」を読む。何回読んでも、この主人公はヘンな奴だ。

・購入物:海野弘「都市風景の発見」(求龍堂)
     日野啓三「きょうも夢みる者たちは…」(新潮社)
     和田芳恵「雀いろの空」(中央公論社)  以上古書
     牧野信一「ゼーロン・淡雪」(岩波文庫)
     近松秋江「別れたる妻に送る手紙 他二編」(岩波文庫)
     中野淳「青い絵の具の匂い 松本竣介と私」(中公文庫)
     セーター、コーデュロイパンツ、靴下など

・朝、昼食:目玉焼きトースト、珈琲、柿
 夕食:水餃子鍋


2003年11月14日(金) パセリ

 友人と飲む。私がまだ新しい携帯電話を買っていないので、事前にきっちり待ち合わせ場所と時間を決めておく。不便だ、不便だ、と友人はこぼすけれど、「待ち合わせ」というのは本来そういうものだ。
 
 あまりにも人生ままならないのでくさくさして、先日合コンをしたのだが、案の定最悪な結果に終わり酒だけガバガバ飲んで帰ってきた、というような話を聞く。
 やっぱり男っていうのは、自分の話を、うんうんへえそうなんだあ、と聞いてくれるような女がいいのだ、と友人は感慨深げに語る。間違っても楯突くようなことを言ってはならない、そんなことをやってるうちは、「私らずっとパセリやで」、だって。パセリねえ。永遠の付け合わせ。食べられず、捨てられる。
 でもパセリは栄養たっぷりなんだけどなあ。大抵の男はそのことに気がつかないのだ、情けないことに。

 なんだかんだと0時すぎまで喋り、お互いいろいろあるけどまあぼちぼちやっていこうなあ、と励まし合って、友人は終電で帰り、私は自転車で帰った。

 寝る前に織田作之助の「可能性の文学」を何ページか読む。わおーん、かっこいい、かっこよすぎる。こうして、まだまだ続くオダサク熱。

・購入物:なし

・朝食:焼きそばパン
 昼食:お弁当(昨日の夕食の残り)
 夕食:焼鳥屋で(枝豆、各種焼き鳥、サラダ、生麦酒5、6杯)

 


2003年11月13日(木) ジャガイモ

 北海道からジャガイモが届いた。本当は10月中に届くはずだったのだが、天候不順で遅れたらしい。ダンボールいっぱい、大きいジャガイモがごろごろ入っている。これから春まで、とにかくジャガイモ料理にいそしもう。肉じゃが、カレー、ポテトサラダ、肉じゃが、カレー、ポテトサラダ。この順番だな。

 夜、母親から電話。実家の私の本棚にあった夏目漱石の「行人」を読んでたいへん感銘を受けたので、今度帰ってくる時漱石の本をまとめて持って来てほしい、と言う。「行人」なんか読んで頭がグラングランしなかった?と聞いたら、「したした、血圧上がったかも」と笑っていた。母親は夏目漱石を読むような人じゃなかったんだけどなあ、人の読書傾向というのは変わるもんなんだな。では今度私の大好きな「彼岸過迄」を持って帰ろうと思う。

 夜は「白い巨塔」を見る。初回におそろしく下手くそな関西弁を喋っていた佃医局長は、いつの間にか標準語にかわっていた。最初からそうしておけばいいのだ、無駄な努力は休むに似たり。

・購入物:なし

・朝食:トースト、珈琲、柿
 昼食:カレーパン、珈琲
 夕食:キャベツとネギの蒸し焼き、ジャガイモの醤油煮、大根の味噌汁、ご飯
 


2003年11月12日(水) デート

 夜の帰り道、自転車をかっ飛ばしていたら、すみません、と男の子に呼び止められた。とある書店へ行きたいのだが道がわからなくなった、と言う。本屋大好き人間である私にたずねるとは、なかなか人を見る目があるじゃないか。
 男の子は多分、北と南を間違えて歩いて来たのだろう。私達が今いる場所から書店は少々離れているので、連れて行ってあげるから自転車の後ろに乗って、と促すと素直に乗ってきた。私の自転車には荷台がないので、立ち乗りで悪いね、と言うと、平気ですホントにいろいろありがとうございます、とお礼を言う。礼儀正しい。
 てっきり小学生だと思っていたら中学1年だとわかり驚いた。書店には家庭教師がすすめた問題集を買いに行くのだと言う。家庭教師なんかつけてるのか。勉強できるでしょ、と聞いたら否定しなかったのできっとできるんだろう。クラブはコンピュータクラブに入っているという。コンピュータクラブってどんなクラブやねん暗いなあ、と思ったがそれは言わなかった。女の子にモテそうにないクラブやな、と言ってみたら、はあーと笑ったのであれは多分モテてない。でも人生これからだもんね。
 書店の前で男の子をおろす。短いデートであった。

 夕食は味噌鍋。今日はどの野菜からも虫はでてこなかった。

 夜はちくま文庫のオダサク短編集を何編か読み、藤沢桓夫の「大阪自叙伝」の織田作之助についての章を読む。うーん、やっぱり好きだなあ。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、たまごサラダ、珈琲、みかん
 昼食:お弁当(ピーマンとコンニャクの炒め物、カツオ、ご飯、みかん)
 夕食:味噌鍋(うどん入り)、麦酒


2003年11月11日(火)

 今日も雨降り。寒いので、少し厚めのコートを引っぱり出して着る。もうすぐ冬だなあ。

 雨の中、外回り。移動の車中などで「織田作之助作品集1」をほぼ読んでしまう。主に初期の短編が収録されている。
 とにかくテンポが速くて、最初にぐっと腕をつかまれて、そのままだーっと物語の中を走ってつれて行かれ、一気に結末へ到着する、という作品が多い。走り終わった後、どやオモシロかったやろ、というオダサクの声が聞こえるような気がするが、アナタの小説は面白いというよりも哀しい、とても。織田作之助は断じて軽兆浮薄な作家なんかじゃないと思う。

 帰りにジュンク堂に寄って、本を何冊か買う。
 文芸文庫の岩野泡鳴は、迷った末結局買わなかった。この人の小説を読んだ後って、何か知らんけど無性に疲れるのよね。買った4冊を眺めたら、オッサンの書いたものばっかりだった、これはまあいつものことだ。

 家で料理。
 大根の葉っぱの中から、ちりめんじゃこくらいの大きさの虫がウニョウニョと10〜15匹出てきた。ミミズの子どもか?野菜から出てくる虫については大抵もう慣れたけれど、これはさすがに気持ち悪い。熱湯をかけたらクルクルと縮まって、全身やけどで亡くなった。
 大根の葉っぱはカブと一緒に煮て食べた。美味しかった。虫のことは全部食べ終わってからTに報告した。Tの顔は引きつっていたけれど、もう食べちゃったんだからしょうがないよね。

・購入物:斉藤緑雨「緑雨警語」(冨山房百科文庫)
     山本伊吾「夏彦の影法師 手帳50冊の置土産」(新潮社)
     志ん朝の落語3「遊び色々」(ちくま文庫)
     東海林さだお「なんたってショージ君」(文春文庫)

・朝食:チキンサンド、珈琲
 昼食:お弁当(小松菜のゴマ和え、ゆで卵、白菜の漬け物、柿)
 夕食:キャベツとソーセージのスープ煮、カブとヒジキ入りがんもどきの煮物、ブロッコリーのサラダ、ご飯

 


2003年11月10日(月) 念仏

 寒い一日。雨も降ったり止んだりして、パッとしないお天気。
 織田作之助は雨が好きだったそうだから、こういう日もまた良しとするか。毎日毎日オダサクオダサクと念仏のように書いているんだけど、ここしばらくはこんな日が続くでしょう。だって好きなんだもん。

 昨日作ったキャラメルを何人かに分け与える。私の手作りだ、と言っているのに「またまたウソでしょ〜どこで買ったんですか、ソニプラ?」などと、どいつもこいつも全然信じない。ソニープラザにこんな素朴な味のキャラメルが売ってるもんか、女は27歳あたりを越えると途端に疑い深くなるんだから、やあねえ。

 帰りにロフトへ寄って、スコッチブライトの布巾などを買う。
 その後、禁断のかっぱ横町古本屋街へ足を踏み入れ、寿岳文章の「書物とともに」を発見、ニンマリ。寿岳文章の文章を読むと、その書物への愛の深さにあてられて、いつもクラクラしてしまう。

・購入物:寿岳文章・著、布川角左衛門・編「書物とともに」(冨山房百科文庫) 古書
     
・朝食:トースト、オムレツ、珈琲
 昼食:お弁当(ひじきの煮付け、卯の花、ご飯、海苔)
 夕食:ニラとチンゲンサイと豚肉の炒め物、冬瓜とネギのスープ、小松菜のゴマ和え、ご飯      


2003年11月09日(日) キャラメル

 朝7時頃、雨音で目が覚めた。寒い。ここのところ暖かだったので、余計そう思う。珈琲を飲みながら、ボーッと織田作之助のことを考える。
 
 着替えて、近くの小学校まで選挙の投票をしに行く。
 朝早いから空いているだろうと思っていたが、案外多くの人がいた。大半がお年寄りだったけど。投票の後、とんがり帽子をかぶった「センキョン」の栞をもらった。「センキョン」は大阪市の選挙のマスコットガール、らしい。

 それからぶらぶら傘を振り回しながら歩いて、スーパーへ行き食料を調達。どうしてそんなことを考えついたのか自分でもよくわからぬが、水あめとコンデンスミルクを買い、家に帰ってキャラメル作りをはじめた。昨日立ち読みした「きょうの料理」のテキストに作り方が載っていて、印象に残っていたからかもしれない。
 砂糖と水あめとバターとコンデンスミルクを鍋の中でネリネリネリネリしながら、または常温で固まったキャラメルをエイッエイッと包丁で切りながら、なんとなく織田作之助のことを考える。
 キャラメルは、甘さがかなり控えめではあるが、まあまあうまく出来た。

 夜は、おうどんを食べながら、選挙番組を見る。「ちちんぷいぷい」出演メンバーが出ていた毎日放送が一番よかったように思う。選挙速報番組でありながらここまでほのぼの感が出せるとは、やっぱり角淳一は只者ではない。

 テレビを消して、「青春の賭け」をパラパラ読み返す。ずっと前に死んじゃった、会ったことも喋ったこともない人のことが何故ここまで気になるのかわからないが、今日はほとんど一日中、織田作之助のことを考えていた。夢でもいいから会いたいなあ。

・購入物:なし

・朝食:コンソメスープ、オクラ、白菜の漬物、かぶらの漬物、ご飯
 昼食:たこ焼き8個
 夕食:きつねうどん、白菜の漬物、ご飯

 

 
 
 


2003年11月08日(土) 織田作之助

 いい天気だったので、念入りに部屋の掃除と洗濯をする。ポラリスを聴きながら、セーターをせっせと手洗いする。
 あんまり一生懸命やっていたせいか、ジュンク堂での内田樹のトークショーに行くのを、すっかり忘れてた。かなり早い番号の整理券を持っていたというのに、バカみたい。
 ポラリスの新しいアルバムはなんかじわじわ効いてくる。今は5曲目の「御空」という曲が一番好きかなあ、やさしい唄なんだけどさみしくて、雨の日より晴れた日のほうが哀しい、って気分に似ている。

 青山光二の「青春の賭け・小説織田作之助」を手に入ったうれしさで勢いづいて、一気に読了した。これまた、たいへんなもの読んじゃったなあ。
 ただただ、織田作之助のかっこよさにもう参った。私がもう少し早く生まれてたら、3号でも4号でもいいから絶対愛人にしてもらう。こういう生命力の強い人、もう大好き。
 度重なる大量喀血で、もうすぐそこに「死」が見えてるというのに、これほど死ぬ気のない人もめずらしい。織田作は結局死ななかったんじゃないかと思えてくる。今でも大阪のどこかで書いてるんじゃないか、と。
 生死の境をさまよいながら「俺はこれから地獄極楽の小説かくよ」と言った、織田作の真骨頂はこれからだったのになあ。

 広津和郎と宇野浩二や、芥川と宇野浩二の友情物語もよかったが、織田作之助と青山光二の関係も尊敬と信頼と愛があってとてもいい、うらやましい。

・購入物:なし

・朝食:チーズのパン、ゆで卵、珈琲
 昼食:バナナ、柿
 夕食:手巻き寿司、おすまし、オクラ、麦酒
 


2003年11月07日(金) 迂回

 やっと金曜日までこぎつけた。たどり着いた、という感じ。道のりは長かったけれど、何とかヤマは越えたような。
 昨夜見たテレビ番組の中で、池乃めだかが「壁は乗り越えるもんやない、迂回するもんや」と言っていて、ホントだその通りだ、私も迂回に迂回を重ね、あっちこっちの路地に迷いこんで、人生とことん遠回りしようと思った。まあ、既に充分遠回りしてるけど。

 通りかかったので第3ビルの古本屋さんで、青山光二の「青春の賭け・小説織田作之助」を見つけた。ギャーッ、う、う、嬉しい、読みたかったのよ。古本屋さんの棚で、探し求めていた本を見つけた時の息を呑むような出会いの瞬間は、もうたまりませんね。何回くり返してもいつも新鮮だ。

 夜、携帯電話がつながらないから、と言って自宅に友人より電話。壊れたことを説明したら、不便だから新しいの買ってよ、と言われた。
 電話の用件が来週飲みに行こうという誘いだったのはまあいいとして、それ以外にくどくどと彼氏の愚痴を聞かされたのには閉口した。いい奴なんだけど、すぐ悲劇のヒロインぶるところが鬱陶しい。妻も子もいるような男のことで、ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ悩むなよ。また報告するね、と言って電話を切られたが、別に報告なんかしてくれなくていいんだけどなあ、とほほ。

・購入物:青山光二「青春の賭け・小説織田作之助」(中公文庫)
     大岡昇平「わが文学生活」(中公文庫)

・朝食:焼き魚、ちくわ、冬瓜の味噌汁、ご飯
 昼食:レーズンパン、メロンパン、バナナ豆乳(はっきり言って不味い)
 夕食:鯖のきずし、大根と油揚げの味噌汁、サニーレタスのゴマサラダ、ご飯
 
 


2003年11月06日(木) 電話が壊れた

 携帯電話がイカレポンチになった。どこをどのように触っても押しても、なあんにも反応しない。ご臨終ということか。これにて本日より、どうしても必要に迫られるまでは、私は電話を携帯しない。楽チン。

 帰りのバスで本を読んでいたら、気分が悪くなった。我慢できなくなって、ひとつ手前の停留所で降り、吐き気がおさまるまでベンチで休む。酒にはなかなか酔わないのに、乗り物にはわりと簡単に酔う。駐車している車のミラーに映った自分の顔が、半紙みたいに真っ白けだったのでびっくりした。

 バスの中で読んでいた本は保坂和志の「書きあぐねている人のための小説入門」。寝る前に全部読んでしまった。
 この中で、例えばサッカー選手や音楽家等になるには技術が必要だけれど、役者と小説家には技術がなくてもなれる、と書いてあったが、技術が通用しないというか、技術でごまかせないことほど難しいものはない。
 小説を書くには、驚異的な粘りや辛抱強さと異常なしつこさでそれについて考え続けることが必要で、それは小説だけはなくて何にもないところから何かを創りあげる時に最も肝心なことだと思った。
 この本は小説を書きたい人が読むのかな。私は小説を書いたことも書こうと思ったこともなく、素晴らしい小説を読みたいと願うただの一読者であるけれども、なかなか面白かった。いい小説を読みたいと思うなら、読み手も成熟しなくちゃね。

 2週間ぶりに「白い巨塔」を見る。大河内教授が出てきた。これは前回、加藤嘉が演っていた。私は加藤嘉の物真似がけっこう上手いのだ、まあどうでもいいことだけど。

・購入物:なし

・朝食:トースト、たまごサラダ、珈琲
 昼食:きのこおにぎり
 夕食:豚肉と玉ねぎの炒め物、冬瓜の味噌汁、小芋の煮付け、海苔、ご飯

 


2003年11月05日(水) ポラリス

 冴えない気分。物事というのは自分が、こう!、と志向している方へはなかなか進まないようにできてるんだなあ。それを楽しめる時もあるんだけど、今はそういう精神状態じゃないようだ。まあ人にはいろんな精神状態があるからな。
 私は働くことが基本的に好きだし、そのことで誰かの役に立つのは大きな歓びではあるけれども、何だかしんどくなる時もある。

 帰りにタワーレコードに寄って、ポラリスのアルバムを買う。しんどい気分の時にポラリスの新譜が発売されるというのは、天の恵みというべきではないかしら。

 家の近くの果物屋さんで、甘いでめちゃめちゃ甘いで置いといたら蟻が寄よってくるぐらい甘いで、と店のおじさんご推薦のみかんを買う。おじさんは、はいありがとう一盛り五百万円ね、と古典的ギャグを言って、バナナ一本おまけにくれた。

 夜、ポラリスを聴く。ポラリスはじっと聴くより、料理をしながら、とか、シャツにアイロンをあてながら、とか、顔を洗いながら、とか何かしながら聴くと、よりしみこんでくるような気がする。
 「深呼吸」は、シングルよりこのアルバムバージョンのほうがずっとずっと良かった。
 『まわり続ける日々ありがとう 向日葵はゆれている』

・購入物:ポラリス「family」

・朝食:カレーライス
 昼食:くるみパン、野菜ジュース
 夕食:鶏のなんこつ唐揚げ、豆とおからのサラダ、きんぴらゴボウ、ご飯、麦酒

 


2003年11月04日(火) ジャンクフード

 残業していたらたいへんお腹が空いてきて、何か食べ物ないですか、とNさんにすがったら、「おっとっと」の焼き鮭味というのをくれた。普段スナック菓子類はほとんど食べないけれどここは背に腹は替えられぬ、ありがたく戴く。久しぶりに口に入れる、このジャンクな味覚。ところでこのお菓子、焼き鮭味っていうけど、どこが鮭なのさ、ただの塩味のように思うけど。

 仕事終了後、ジュンク堂に寄り道、アンドレ・バザンの「残酷の映画の源流」という、どうもしっくりこない題名の本を買う。それから、スーパーで寄せ鍋の材料を買って帰る。

 鍋をぐつぐつ煮ながら、題名は覚えていないけれど、戸田菜穂が泣き叫んでいたドラマをぼんやり見る。これはツインピークスの影響を受けているんだろうか。町が舞台になっているところや、家やホテルの感じなんかが似ているなあ。
 またツインピークスが観たくなってしまった。あのドラマを観ると、無性に珈琲とドーナツとチェリーパイが食べたくなって、夜中にミスタードーナツまで買いに走ったりしたもんだ。ダイエット中の人は観てはいけない。

・購入物:アンドレ・バザン「残酷の映画の源流」(新樹社)

・朝食:カレースパゲティ
 昼食:ポテトサラダのサンドイッチ、牛乳
 夕食:寄せ鍋(うどん入り)、麦酒


2003年11月03日(月) 休日

 優勝パレードに行きたい、星野さんのユニフォーム姿を拝みたい、と母親にせがまれてはいたもののあんまり気が進まず、うーん、と生返事をしていたのだが、雨だからテレビで見ておくと、今朝早く電話がかかり、母親の根性のなさに助けられた。こんな雨の中御堂筋に突っ立っていたら、せっかく治った風邪がぶり返しちゃうよ。

 雨は一日中降り続いた。私はじっと部屋に引きこもり、部屋の掃除もそこそこに、本を読んだり、映画を観たり。
 LDで「パルプ・フィクション」の続きを観てから、ビデオで成瀬巳喜男の「めし」を観た。
 自己中心的でわがまま勝手で、べたべたと「女」を押し付けてくる原節子の姪役にムカムカきていたら、一本気な小林桂樹がぴしゃっとやり込めてくれたので、少し溜飲が下がった。こんな女が側にいたら、もう毎日喧嘩だわ。
 この映画自体はあんまり好きではないけれども、昔の日本映画を観ていると、なんかホッとするところがある。それからぐちゃぐちゃ文句ばっかり言ってないでせっせと働こう、そして丁寧に生活しようと思う。原節子の立ち居振舞いを見ていると、ふつふつとそんな気持ちが湧いてくる。

 晩ご飯にカレーを作る。宅配で送られてくる野菜の中で、どうしてもサツマイモ系統が余ってくるので、ジャガイモのかわりにカレーに投入してやった。イモは甘いがカレーは辛くて、わけがわからん。不味くはないけど、やっぱりカレーにはジャガイモが合うと思った。

・購入物:なし

・朝食:蜂蜜トースト、ゆで卵、珈琲、みかん
 昼食:巻き寿司(近所のスーパーで買った)
 夕食:チキンカレー、コスレタスのサラダ

 

 


2003年11月02日(日) 古本と戯れる

 どんより曇り、時々雨。朝、雨が降っていると知らずに洗濯してしまった。部屋の中に干す。それから余っていたゴボウでキンピラを作った。

 お昼前になって空が明るくなってきたので、おでかけ。「劉生と京都展」を観に行くつもりだったのだが、百万遍で古本市をやっていることを突如思い出し、行き先変更、出町柳まで行く。
 まず出町柳の駅前のパン屋さん「柳月堂」でぶどうパンを買う。昔京都で働いている時、週に2、3回はここのパンを食べていた。何てことのない素朴なパンだけど、かめばかむほど味がしみでてくるようで、とてもおいしい。それから百万遍の知恩寺まで歩く。
 せっかく思い立ってやって来たけれど、相性が悪かったのかここでは一冊も欲しい本に出会えなかった。Tが古本と格闘している間、私は石段に腰掛けて、売店で買った昔懐かしいラムネを飲む。お寺から聞こえてくる読経をBGMにラムネを飲む、というのは妙にノスタルジックでなかなか良かった。
 結局古本市では何も買わず、知恩寺の隣の古本屋さんで、柳宗悦の文庫本を一冊買った。

 それから東大路通を北上し、住宅街をクネクネ抜けて恵文社まで歩く。恵文社は随分久しぶり、一年ぶりくらいかな。相変わらず客が多い。
 ここで和田芳恵の最後の随筆集「順番が来るまで」を見つけた。「文士の生きかた」を読んでから、私の中で和田芳恵ブームが起こりつつあるところだし、しかも装画と帯の言葉が岡鹿之助だ。この店に少しだけ置いてある古本は、いつもびっくりするくらい値が高いけど、これは700円とお手頃だったのでもちろん購入。はるばる歩いてきたかいがあった。

 まあ全体的には満足したのだけれども、帰りの特急の中で、「劉生と京都展」の図録を持っている人を見かけ、やっぱり岸田劉生の絵もじっくり見たかったなあと、ちと残念な気も。
 家に帰って、日曜美術館を見ながら朝作ったキンピラゴボウを食べる。正倉院展の様子を見ていたら、奈良にも行きたくなった。行ったり、見たりしたいものがありすぎて、体とお金がいくらあっても足らないなあ。

・購入物:柳宗悦「蒐集物語」(中公文庫)
     和田芳恵「順番が来るまで」(北洋社)  以上古書
     大谷晃一・編「織田作之助作品集1」(沖積舎)

・朝食:ねぎチャーハン、白菜とベーコンのスープ
 昼食:ぶどうパン、珈琲
 夕食:豚肉と玉ねぎの炒め物、キンピラゴボウ、白菜とベーコンのスープ、野沢菜、ご飯


2003年11月01日(土) 疲労

 子どもに本を読んであげる会に参加するため、午後から図書館へ。
 終了後、誰にもつかまらないようにさっさと抜け出す。こういう会の後では、みんなでお茶でも行きましょう、とか何とか必ず誰かが言い出すのだ。面倒くさい、みんなでお茶なんか飲みたくないよ、団体行動は苦手なの。

 せっかく図書館へ来たので、びっくりするほど面白かった「文壇うたかた物語」の続きを借りようと思ったら、貸し出し中だった。残念。気分がそがれて、結局一冊も借りずに帰る。

 なんだか疲れて、バレーボールと野球を交互に見ながら、9時にもならないうちに寝てしまった。野球は面白くない試合だった。長島ジャパンか何か知らないけど、全然打てないじゃないか。笛吹けど踊らず、というところかな。

・購入物:なし

・朝食:サツマイモのパン、キノコスープ、珈琲
 昼食:おにぎり
 夕食:外食(ハンバーグ、サラダ、ご飯)


フクダ |MAIL

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