無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2000年08月31日(木) 耳掻きしてたら血が出た……/『心理試験』(江戸川乱歩)ほか

 朝、職場の上司から電話。
 明日休みを取ったのだが、何とか出て来れないかとのこと。
 来たな、とは思ったが、これはもう、拝み倒すしかない。女房を病院に連れて行かなければならないことを説明して何とか了承してもらう。
 女房、気の毒がって仕事に行くように言うが、それなら初めから入院してくれていたほうが助かる。
 職場の上司に睨まれるのは今に始まったこっちゃないので、別にいいのだ。いかに出世せず、責任取らずにすむ立場に安住するかってのが私のモットーだし。
 え? もともと出世するはずない? ……こりゃまた失礼(m(__)m)。

 飯は専らほか弁。
 女房が超偏食なので、私のレパートリーではカレーとスパゲティー以外受けつけない。
 昨日も八宝菜を作ってやったら、肉だけ食って野菜を全部残しやがった。
 好き嫌い、というより、子供の頃からの偏食のせいで、肉の味以外が分らなくなっているのだ。
 嘘でもなんでもなく、女房には「辛い」と「酸っぱい」の区別もつかない。
 このままだと年とってから、絶対カラダ壊すぞ。
 ……誰か女房の偏食を治す方法があったら教えてくれ(T_T)。

 江戸川乱歩『心理試験』(初版本)再読。
 さすがに乱歩は現代でも面白さが色褪せていない。
 痛切に感じるのは、乱歩は旧活字で読むに限るということ。
 『二錢銅貨』の中に「団」という字を「円」と読み間違える、というくだりがあるが、これなど新字体だと何のことか分らない。旧字体だとこれが「團」と「圓」なので、一瞬読み間違えるのも納得できるのだ。
 旧字体を見た途端「むずかし〜い」と放り出してしまう今どきの若い子はつくづく可哀相だ。

 DVD『悪魔の手毬唄』全6話一気に見る。
 デビュー直後の初々しい夏目雅子がヒロインだったり、見所は多いのだが、やはり市川崑監督の映画版に比べると昼メロ風のテレビドラマになっていて興冷め。
 『メイキング・オブ・サイコ』、モデルになった実在の犯罪者、エド・ゲイン、以前読んだ『オリジナル・サイコ』でも発音が違う、と書いてあったが、正確な発音がエド・ジーンであったことが分る。こういう発音の間違いが定着した例、多いよなあ。
 ロナルド・リーガンは本人がレーガンだと言ってすぐ改まったのに、スタンリー・キューブリックが未だにクーブリックにならないのはなぜだ。映画人はやっぱり馬鹿にされてる?


2000年08月30日(水) ○○につける薬がほしい……/映画『蝶々失踪事件』ほか

 書類仕事を終え、帰宅。
 農協から電話、事故の加害者の保険の件。
 「奥さん、仕事はされてますか?」の質問に、女房、
 「主婦です」と返事する。
 首を傾げる。仕事をしていることを隠す理由はないはずだが。
 問い詰めるとやっぱり今月初めに仕事をやめていたことを白状する。私に叱られると思って内緒にしていたのだ。
 しかし、毎日朝早く、仕事があるように振舞って外に出ていくのはしんどかったろうに。藤子不二雄Aの短編にそんなのがあったな。精神年齢いくつだ。
 いつも反発する女房も今日は泣きべそ。きつく叱るが、どうせ一日すればケロリとしてんだ、こいつは(-_-メ)。
 少しは周囲が心配しているのを感じ取るだけのデリカシーを持て。
 次の仕事探すにしても、足が治らないと話にならないぞ……というか、早く治せよう(T_T)。

 半日、女房を叱っていたので、本もあまり読めなかった。
 マンガ、永井豪『デビルマンレディー』17巻(最終巻)。
 近来まれに見る最低最悪な最終回として轟々の批判にあっている本作だが、この人はデビュー五年で燃え尽きちゃった人だから今更いくら最低な作品を書こうがもうどうでもいい。

 ビデオ『蝶々失踪事件』、横溝正史ミステリの最高傑作であるにもかかわらず、探偵が金田一耕助でなく、由利麟太郎であるために評価されることの少ない不遇の作品。
 字幕を見て驚いた。構成協力が江戸川乱歩!
 いや、派手なところこそないが、原作をほぼ忠実に、あくまで「本格ミステリ」として映画化しているという点では稀有の作品なのだ。
 主役の岡譲二、他の映画で金田一耕助、等々力警部、明智小五郎も演じている。見ると分るが、風貌がシドニー・バジット描くシャーロック・ホームズそっくり。探偵といえば岡、というイメージが当時は出来あがっていたのだろう。
 今で言えば、金田一耕助、由利麟太郎、ドルリー・レーン、エルキュール・ポアロを演じた石坂浩二がそのイメージに近いか。……だからといって水戸黄門までやるなよ石坂。

 ドラマ『百年の物語』最終回、現代に近づくほど脚本の出来がよくなる。特にラストまで前二作をほぼ無視したドラマ展開なのが立派。脚本家も橋田壽賀子を嫌っているのだ。
 女房、渡部篤郎が出ているので、寝床から這ってきて食い入るように見ている。んなことしてるから足が治らんのだ。あほ。


2000年08月29日(火) 後始末は大変そうだな/『ルパン三世総集編』第6集ほか

 月1回の通院の日。
 検査の結果は相変わらず悪い。血糖値が急上昇している。
 さすがに今日はうなぎを食うのを控える。
 薬、ちゃんと飲んでるんだがなあ。やっぱりストレスがたまってるのか?(食い過ぎといわないところがお茶目)

 女房の診断書を持って博多警察署へ。
 いつの間にか博多署の建物が10階建てくらいのビルになっている。警察署というより銀行の本店。東京の都庁ほどではあるまいが好き勝手に税金使ってやがるぜ。
 隣を見ると旧舎もまだ残っている。業務はまだそこでやっているのだ。

 交通課のAさんに診断書を渡そうとポケットをまさぐるが無い。
 てっきり落としたと思いこんで、病院まで戻るが見つからない。もう一度再発行してもらわなければいけないのか、と焦ったが、ふとバッグの中を捜してみると封筒が1通。
 落としてはいけないとしまいこんでいたのだ。
 用心深いなあ、俺……って、そのこと忘れてちゃ意味ないんだが。
 もう一度Aさんのところへ行って、話を聞く。
 診断書だけでは調書は作れず、女房から直接話を聞かなきゃならないらしい。
 「でも、今殆ど動けないんですけど」
 「いや、私のほうから病院のほうに伺っても……」
 「あ、女房、今、家から通院してるんですけど」
 「……入院してない?!」
 Aさんが驚くのも無理はない。
 診断書を見る限り、女房は全治4週間の大ケガなのだ。それを女房は「ウチに帰るぅ」と駄々をこねて、入院せずにすましたのだ。こりゃ誰だってあきれるわな。
 ともかく、日曜日に女房ともども伺うことにする。

 ウチに帰ると女房が「新発見をした」と喜んでいる。
 松葉杖で移動するのはつらいので、部屋の中ではハイハイすることにしたとか。
 けれど、やはり部屋のあちこちに体をぶつけて泣き出している。
 ……意味ない(-_-;)。
 いくら「静かに休んでいろ」と叱っても、すぐこちらの目を盗んでパソコンに向かい、足が鬱血して「イタいイタい」とまた泣き出す。
 髪も体も私が洗ってやるしかない。本当に赤ん坊を育てているようなもんだ。
 育児休暇がほしい(T_T)。

 マンガ、山上正月『ルパン三世総集編6』、伊藤伸平『アップル・シンデレラ』読む。ドラマとしての密度はモンキー氏自身が書くものよりハイレベルになっている。そろそろ山上原作のルパンの新シリーズが作られてもいいのではないか。


2000年08月28日(月) 完治には1週間以上かかりそうです/ドラマ『百年の物語』ほか

 朝から病院、仕事はサボリ。
 いや、ちゃんと許可は取りましたよ。電話で、女房の付き添いだって言って。
 やっぱ、「ちょっと車にハネられちゃって……」と言うと、みんな驚くなあ。

 レントゲンに40分もかかる。どこ撮影してんだ○○病院。
 患部をあっちこっちいじくられて、相当痛かったらしく、左足にギプスを嵌めて診察室から出て来た女房は、半分、涙目である。

 帰宅後、すぐに横になる女房。ほっかほっか亭でうな重とチキン南蛮弁当を買ってきて食わせる。ギプスが重い上に、ちょっとした振動でも痛みが走るようで、食事するのも苦しげ。
 しかも精神的に退行している。私がほんの少し、パソコンしようと側を離れただけで、泣き出すのだ。
 昨日、私がタクシーすっ飛ばして事故現場に駆けつけてくるとはまさか思っていなかったらしく、思いがけない「幸福」を味わってしまって、女房の心は「さぴしんぼう」になってしまったのだ。
 ……大林宣彦か、お前は。

 この二日で読んだ本。柳田理科雄『空想科学読本3』、藤臣柊子『みんな元気に病んでいる』『先生だって悩んでる』。
 藤臣さん自身、鬱病を現在も治療中。精神病は決して迫害されるものではない、という作者の視点には賛成だが、昨今の少年犯罪を思うにつけ、社会が精神病に背を向けてきた悪影響を感じないではいられない。放置か隔離かって、対処が両極端なのだものな。

 雑誌、『アサヒグラフ』『ダ・ヴィンチ』のここ二ヶ月のバックナンバーを一気に読む。
 深田恭子について、「自分の中にあるキャラクターを表に出すのがうまい。だが『恐怖』を演じるのには苦労していた」と、誉めてるようで役者としての中味が薄いことを証明するような記事。記者も記事を書くのに苦労したのだろうな。

 DVD『うる星やつら4』、『エクセル▽サーガ』7巻、『地球防衛企業ダイ・ガード』8巻、『ブギーポップは笑わない』6巻、『フリクリ』3巻。
 ブギーポップはこれで完結。物語としてのカタルシスをあえて外した展開は実験的ではあるが、原作を読んでいない者にとってはとっつきにくかろう。原作の忠実な映像化作品も見てみたいが、無理かなあ。

 夜、ドラマ『百年の物語』見る。
 ありきたりで底の浅いキャラクターばかりで最低の出来。橋田壽賀子がここまで重宝されるテレビ界というのはやはり病んでいる。
 タメイキ(´。`;)。


2000年08月27日(日) 自動車とはケンカしないように

 朝、女房、喜び勇んで練習に出かける。
 午後から映画に行く約束をしているので、「4時に待ち合わせねぇ」と、女房の声も軽やか。
 5分ほどして、電話のベル。女房からだが、なんだか息遣いが荒い。
 「どうした?」
 「……車に、轢かれた……」

 「なにいいい?!」

 日頃からマヌケな冗談を飛ばしている女房だが、それは天然。ツクリの冗談を言う奴ではない。
 「ケガは?!」
 「骨は折れてない。けど足ひねって動けん。で、頼みがある……」
 「なんだ?!」
 「……練習場のドア開けといて」

 自分の心配をせんかあああ!

 間違いなく事故は本物だ。こんなときにボケかますのは女房以外にありえない。

 今日集まる予定のメンバーに連絡を入れたあと、慌てて現場に飛んでいくと、確かに自動車のそばの地べたに女房が座りこんでいて、警察も来ている。
 どうやら横合いから出て来た車に追突されたらしい。
 「救急車は?」
 「警察の取調べがあるからって、まだ呼んでない」
 先に医者だろう、とは思ったものの、警察とケンカしても仕方ないので、病院への連絡を頼む。
 「後5分だけ待ってください、お父さん」

 誰がお父さんじゃああああ!

 女房の見た目が若く、私が老けてるので、確かによく親子に間違えられる。しかし、そんなことで警察とケンカしても仕方がないので、ともかく救急車を呼んでもらう。

 診断の結果、骨折はなかった。もっとも足首を強くひねって歩行は困難なので、松葉杖を借りる。薬をもらって、さっさと帰ろうとするが、女房はまだ何か心残りな様子。
 「……どうした?」
 「……映画は?」
 「行けるか、馬鹿あ!」

 それでもたっての頼みで、練習場に顔を出すことに。
 「どうしても塩浦さんに、今日のうちに話しておかないといけないことが……」
 松葉杖でやってきた女房に、塩浦、桜雅両嬢も驚く。
 「これを……、これを塩浦さんに渡したくて……」
 ……ガソリンスタンドの利用券。

 ああ、ここまで阿呆……(T_T)。

 疲れた。
 今日はとことん疲れた。
 塩浦嬢のダーリンに車で送ってもらって帰宅。
 ホームページの連載も今日は中止。
 女房は寝転がって『ケイゾク』『サウスパーク』のDVDを見ているうちにイビキを掻き出す。
 多分、我が家では何が起きようと、女房だけは平和である。


2000年08月26日(土) 森の木陰でドンジャラ補遺/『金髪の草原』(大島弓子)

 一昨日、映画を見た帰りに(午後11時ごろ)火事に出くわしたのを書くのを忘れていた。
 普通、そういう「事件」があれば、まっ先に日記に書きそうなものだが、飛行機の墜落とか、よっぽどの事故でないと、私の中での重要度は読書や映画より落ちるのである。
 ……でも、何年か前、ガルーダ機が落ちたときも「ヘリコプターがうるさいな」と思っただけで現場に行こうともしなかったな。野次馬はキライだし。
 とはいえさすがに今回は、火事が自宅のマンションのすぐハス向かいなので、無視して通り過ぎるわけにはいかなかった。
 道路には消防車やパトカーがごたごた並び、野次馬はゴマンと集まって、自転車を駐車場に入れるのもままならない。
 野次馬の何人かに状況を聞く。天麩羅油が燃えあがったとか。
 もう鎮火して、こちらに被害がなさそうなのを確かめて、さっさと部屋に帰る。
 すると女房がホッとした顔をしている。
 「どうしたん?」
 「あんたが事故にあったかと思って」
 ああ、そうか。女房は以前私が救急車で運ばれたことがあるので、サイレンの音に過剰反応したのだ。
 「……だったらなんで外に出ない?」
 「来たのが消防車だったから安心した」
 ……確かに私が事故にあったわけではないが、火事は怖くなかったのか。
 やっぱ、肝心なとこが抜けてるぞ。

 昨日読んだ本も一冊書き忘れてた。
 大島弓子の『金髪の草原』。
 新刊だが、映画化を機に旧作を集めた傑作選だった。
 しまった、全話読んでたぞ。『十三の魔王』といい、散財が重なってるなあ。
 でも、一度読んだ話なのに読み出すと涙が出て止まらない。
 大島マンガの主人公は、みながみな、心のどこかが欠けていて、それを埋めるために虚構や妄想にすがっている人たちばかりだからだ。
 世の中を要領よく、上手に生きることができない不器用な人たち。でも彼らは懸命に生きている。その姿は、清々しく、切ない。
 とんかつ屋で飯を食いながら読んでいたので、泣きながらタコの唐揚げを食ってる私の姿は、店の人からは相当変に見えただろうな。
 通報されなくてよかった。ほっ(´。`;)。

 で、やっと今日の日記。
 仕事から帰ると、女房は寝ていて起きてこない。
 その間に本やDVDを見まくる。字数が足りないのでその詳細は明日の日記に書こう。こうして日記の中味がずれこんでいくのだな。
 やれやれ。


2000年08月25日(金) 唐沢本の感想書けなかったけど面白いぞ/『垂里冴子のお見合いと推理』(山口雅也)ほか

 天神、アニマップで山本正之のCD『十三の魔王』購入。
 このCD、既に別の店で買ってたが、9月2日に来福する本人のサイン会券GETのためにもう一枚買ったのだ。う〜む、散財。
 しかし、福岡のアニマップってめちゃ狭い店だけど、ホントにサイン会なんてやれるのか?
 女房は欣喜雀躍、でも握手会も同時にあると聞いてうろたえる。「絶対手に汗掻いちゃう!」だと。こんなときだけ「女の子」するなって。

 ベスト電機でDVDを買いこむ。今後の発売予定表を見ると、大島渚監督作品集ほか、ほしいのが目白押し。
 『うる星やつら』全話DVD、24万円?! 買えるか! 今見ると結構イタい回もあるぞ、ってなことを「オタアミ」の会議室にも書きこんだっけ。
 ああ、でも高畑勲監督の『セロ弾きのゴーシュ』はどうしよう(T_T)。インタビューが80分(本編より長いじゃん)もついてら。原作を相当改変してるので賢治ファンには評判悪いが、高畑勲最高傑作であることには間違いないのだ。
 「バカボンパパ」雨森雅司氏のほぼ最後の出演作品でもあるのよ、これ。

 夜、9時から11時にかけ、ヨシヒト、桜雅、両嬢来る。
 夜明けの撮影のためにこんな夜中に集まることになったとか。撮影ミスが続出して予定が相当後ろにズレこんでるようだが大丈夫かな?
 でも、妥協しない姿勢は作者としても嬉しい。脚本も演出上自由に変更して構わない。演劇とはそういうものだから。
 ヨシヒト嬢、コミケ用の原稿を持ち込んで仕上げているが、画力が着実に上達している(誉めると照れる)。でも『ワンピース』の影響大きいぞ(^_^;)。『鴉』のマンガも描いてるそうで、このHPに載る日を今から期待。
 ヨシヒト嬢に『ゲイリー爺さんのチェス』を見せると大いに感銘してくれる。映画の趣味もいい女性なのだ。テレビで押井守の『紅い眼鏡』を見ながら、「三部作セットでDVDにならないかねえ」などと四方山話。

 唐沢俊一『トンデモ1行知識の逆襲』、山口雅也『垂里冴子のお見合いと推理』読む。どっちも楽しい。
 垂里冴子は『らんま1/2』のカスミ姉さんみたいなおっとりしたキャラ。ほや〜っとしてて人間観察が鋭いってのはいい設定。でもこういう女性ほど嫁に行き遅れるというのは現実に……。
 あ、その、特に○○さんのことを言いたいのでは……地雷ふんだ?(-_-;)。


2000年08月24日(木) たまには一人で映画を見る日もあるさ/映画『怪異談・生きてゐる小平次』ほか

 昨日からLDで映画『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』を見返している。実に緻密な構成の脚本で、伏線が全て生きているのが素晴らしい。何度見ても飽きが来ない。
 何より「創造=夢を作ること」というモノ作りの真実が一発で理解できる映画なのだ。
 もし劇団メンバーでまだこの映画を見たことがない、という人がいたら、女房を質に入れてでも(いなくても)絶対に見てください。創作に携わるものにとっては必見なのですから。
 ……で、今回見返して思ったこと。
 この設定、このまま『サザエさん』に持ちこんだらスゴイものができるんじゃないか? 不可能じゃないはず。「変化のない世界」って点では全く同じなんだし。
 サザエ=ラム、マスオ=あたる、タラ=テン、カツオ=面堂、ワカメ=しのぶ、ナミヘイ=錯乱坊(声も同じだ)、フネ=サクラという置き換えはどうか?
 あ、無邪鬼がいないな。よし、ここは一つ伊佐坂先生に出てもらって……。

 予定になかった会議は入ってくるし、明日は休みの予定だったのに急な仕事を依頼されるし(午前中だけだけど)、ウチの職場はとことん要領が悪い。
 しかしおかげで、こちらも他人に迷惑をかけても心が痛まずにすむ(←イヤなやつ)。無能な私には居心地がいい。
 よく社長とか専務とかのカタガキの人が威張って、「ウチは実力主義で有能な人材を取る!」てなこと言ったりしてるが、そんな他力本願な根性の会社には、無能なやつしか入ってこないように世の中はなっているのだ。
 とりあえず集まった連中でどれだけのことが出来るかを考えていったほうが世の中スムーズに動くと思うんだがな。

 女房と映画に行く予定が、女房の「眠い」の一言で、一人で行く羽目に。
 前売券を買っているので中止にはできないのだ。
 シネリーブル博多駅で『怪異談・生きてゐる小平次』。幽霊ものかと思ったら違っていた。むちゃくちゃ面白い上に、多分女房好みの映画。
 見に来ればよかったのにねえ。
 レストランで食った「牛タンととろろ定食」もヘルシーかつ美味。女房の悔しがる顔が目に見えるようだ……って、その女房は今、私がゲーセンで当ててきた「たれぱんだのエアーマット」に空気を一生懸命入れながら、なかなか膨らまなくてため息を漏らしている。
 「俺の人生、空気入れで終わるのか?」だって。
 終われ。


2000年08月23日(水) 若いって、イタいことなのよん/『エノケンと呼ばれた男』(井崎博之)ほか

 一日遅れで書くのが定着しつつあるな。
 いかんいかん(笠智衆風)。

 書類仕事を家に持ちかえったのでどうも気分が優れない。
 普段は仕事は仕事、家庭は家庭と切り換えた生活をしているのだが、たまにそれが崩れる。
 そうなると私の神経は弱いもので、どんなに昂揚した気分のときでも、途端に劣等感に苛まれて落ち込んでしまう。
 ……たかだか原稿用紙一、ニ枚程度の仕事でもそれだ。
 なぜかってぇと、オノレのドへたくそな字を見るのがとことんイヤなのだ(私の字は「裏」のマンガ『環の事件簿』を参照のこと)。
 日記も昔から何度もつけては頓挫していたが、理由は同じ。
 この日記が続いているのは自筆でないおかげである。
 科学の進歩に感謝(はあと)。

 井崎博之『エノケンと呼ばれた男』読む。
 エノケンが戦後すぐ、笠置シヅ子と競演した舞台に『舞台は廻る』というのがあるが、先日見た久生十蘭原作の映画の題名が同題なのはここからパクったもののよう。舞台版の作者は菊田一夫。よく問題にならなかったなあ。
 更にモトネタは『オペラは踊る』か。

 マンガ田辺節雄『続戦国自衛隊』1巻。まさかと思ったが、本当にあの半村良の『戦国自衛隊』の続編。このマンガのために新しく原案を提供したらしい。意外に脚本がしっかりしていて楽しめる。
 特に大谷刑部が登場するのがいい。
 この人物、ハンセン氏病だったというだけで、数年前までは殆どの時代小説、ドラマの中で「なかったもの」にされることが多かったのだ。存在を消去されるほうがよっぽど差別だろうに。

 今日もまた晩飯はリンガー。注文したのも同じ皿うどん。麺がこげて香ばしくなっているのが好きなのである。
 女房が私の二十歳のころのアルバムをメンバーのみんなに見せた話をする。
 昔の彼女の写真を貼って、いちいちキャプションをつけているのだが、これがもう『クレヨンしんちゃん』の「ミッチーとよしりん」そのまんまの超ラブラブビーム発射しまくりのバカ丸出しものなのだ。
 細部は忘れたが、「キミの微笑みがまぶしすぎて」とかなんとか書いてたような気がする。
 もちろん、後で読み返して笑うためにやっていたのだ。
 さすがは20歳の私、恥も外聞もない(^_^;)。
 女房の話によると、男性諸君は読んだあと、エラくイタい表情で返したそうだが、何か身につまされでもしたのか?


2000年08月22日(火) とんこつラーメンは臭い/『ここだけのふたり!!』8巻(森下裕美)

 森下裕美のマンガ『ここだけのふたり!!』に「たきえ」という少しイっちゃってる性格の主婦が登場する。
 最新8巻で、たきえが「ホームページって自分の日々感じてるくだらないたわごとや赤ちゃんとかペットの成長記録や写真を世界中にたれ流すの!?」と叫んで、自分でも早速ホームページを作り始めるが(迷惑なやつ(-_-;))、そのコーナーが「かわり者はどこに?!」「町で見た変」「呪いのスポット」。
 いいなあ(笑)。
 ウチのページにもこんな企画モノを作ったらどうか?
 例えば、いかにも霊の出そうなスポットを探して、メンバーの誰かに一晩を過ごしてもらい、レポートを書かせる。
 10:00 寒い。特に何もおこらない。
 11:00 寒い。変化なし。
 12:00 寒い。何もない。
 1:00 警察に職質される。事情を話して納得してもらう。恥ずかしい。
 2:00 なんか白いものが向こうに見える。一瞬ハッとしたが犬だった。
 3:00 寒い。
 4:00 寒い。
 5:00 寒い。
 6:00 風邪を引いた。
 ……あんまりか?
 でも、こういうのが日常のエンゲキという感じがしていいが。

 夕方より福岡シンフォニック合唱団のUさん来る。
 11月18日にコンサートがあるとのこと。
 前回の公演には夫婦で出かけ、心地よい歌声にまどろんだものであった(おいおい)。今回もチケットをいただく約束。
 お貸ししていた横溝や清張のDVDを返してもらって、代わりに乱歩のビデオをお貸しする。ゆくゆくはミステリオタクにしてやろうという算段だ。
 女房は女房でUさんを劇団のアシに使おうと画策中。
 夫婦揃って「わるいやつら」だ。

 近所に長崎ちゃんぽんリンガーハットが出来たので女房に誘われて行く。
 「お前、リンガー嫌いっていってたじゃん」
 「○○ラーメンに比べればうまいから」
 ○○は近所のとんこつラーメン屋。ここが実に不味い。
 博多っ子がとんこつラーメン好きというのはデマである。
 元来あれは、戦後すぐ、材料不足のためともかく味の出そうなとんこつをぶちこんだのが発祥。味が濃いから細麺でなければしつこくてとても食えない。それが博多の名物だなんて……。ううう(T_T)。
 今や純粋にとんこつ味のラーメンというのは姿を消し、とんこつベースにみそやしょうゆを混ぜた「混ぜもの」が博多ラーメンの主流。
 ○○もはやくしょうゆ混ぜろ。


2000年08月21日(月) 一日経つと記憶が消える。……年か?/ドラマ『柳橋慕情』ほか

 サーバーの不調のせいかまる一日日記が開かなかった。女房の話ではこの日記を借りてるとこは軒並みそうらしい。原因は何だ。定期的に回線を閉じて検閲でもしてるのか(←陰謀史観)。

 てなわけで、21日(月)の日記。

 仕事場の広報誌に書いた雑文(書評のようなもの)が、いつのまにか掲示されている。
 「このままでは誌面に穴が空いちゃうんですよぉ」という担当女性の哀願にほだされて、急遽30分で書いたものだが、そんなもん載せていいのか?
 ふと思い返してみると、この数ヶ月で随分原稿を頼まれ、いくつかは引きうけ、いくつかは断ったが、引きうけたのはすべて女性からの依頼のものだ。男からのは全て断っている。
 偶然とは怖いな。
 いや、ホントに偶然なんだってば。
 信じて奥さん。

 今月の雑誌、『キネマ旬報』『国文学』『言語』『テアトロ』、一通り読む。
 『国文学』は三島由紀夫特集。ちゃんと映画『からっ風野郎』にまで触れているのが嬉しい。三島は俳優になることを小説を書く行為とは全く正反対の行為をしたかったと答えているが、要するに貧弱な体を鍛えたのを人に見てもらいたかっただけじゃないのか。『憂国』はまだ未見だが見てみたいなあ。
 そう言えばウチには日本未公開のポール・シュレイダー監督・緒形拳主演の仏映画『MISHIMA』のビデオがある。画像は汚いが、劇団の連中集めて上映会開いてみないか。
 『キネ旬』の記事で『ウォレスとグロウミット』のニック・パーク監督のクレイアニメの新作が大ヒットの記事。めでたいめでたい。アニメはセルやCGだけじゃないことが一発で分るアニメだ。日本に入って来たらみんなぜひ見よう。

 夕方、NHKで山本周五郎原作の『柳橋慕情』第一回。
 テレビはどうしても台詞過多になるが、それを除けば、じっくり造りこんであっていい出来。
 心配していた吉田栄作、意外にヅラが合っていて江戸弁も悪くない。
 滝田栄の松村信兵衛は、往年の『ぶらり信新兵衛道場破り』を知っている者には軽みに欠けていて違和感があろう。
 主演の若村麻由美、まだちょっと華に欠ける。全十六回、この調子で持つだろうか。

 録画していた映画『舞台は廻る』(原作は久生十蘭の『キャラコさん』)見る。
 笠置シヅ子や淡谷のり子の歌が聞けるのも楽しみだが、拾いものは益田喜頓のピアノ。『ライムライト』のバスター・キートンそっくり!


2000年08月20日(日) 眠い日/『大江戸化物図譜』(アダム・カバット)ほか

 朝、目がさめたら午後3時。
 ……朝とちゃうがな。
 途中、一回トイレに起きたような気もするが(それもうろ覚え)、正味15時間は寝ている。
 しかもそれでもまだ眠い。
 何があった? 俺。

 女房はとうに練習に出かけているので、仕方なくご飯に卵をかけて食う。
 昔、お袋が「子供の頃は卵を二つかけて食べるのが夢だったのよ」と言っていたが、二つかけたいところを我慢して一個ですます。
 丁度そこに女房から電話。
 雨に降られて買い物ができないので、ピザを注文しておいてほしいとのこと。
 「傘かカッパは持っていかなかったのか?」
 「朝、晴れてたもん」
 「天気予報は見てなかったのか?」
 「うん」
 「他のみんなはどうしたんだよ?」
 「だぁれも傘持ってきてない」
 「みんな濡れ鼠か!」
 ……ウチのメンバーだけで「まぬけの会」(c.シティボーイズ)を結成してもいいじゃん。

 録画しておいたドラマ、天知茂の明智小五郎シリーズ第2作『浴室の美女』を見る。
 二十年以上前のドラマだが、今見返してみると若干変更はあるものの、意外なほどに原作に忠実なのに驚く。
 実は、乱歩作品が忠実に映像化されることは案外少ない。原作の『魔術師』は特にケレン味たっぷりの作品だから、監督は映像向きだと判断したのだろう。監督の井上梅次は映画でも乱歩の『黒蜥蜴』を撮っていて、ケバケバしさを前面に押し出した演出をしていた。根っからエンタテインメントの人なのだ。
 刑事役で宮口二郎が出演している。兄弟競演ってあまり記憶になかったが。目をつぶって聞くと、確かに天知茂との区別がつかない。
 浪越警部役の荒井注も、佐野周二・西村晃もみな鬼籍。ああ……(T_T)。

 アダム・カバットの『大江戸化物図譜』を読む。
 豆腐小僧や大頭などの滑稽な妖怪ばかりを集めたものだが、圧巻は「大尻」。
 一人の遊女のことで揉めている二人の男。遊女が呪文を唱えると突然現れた大尻。「この尻の穴を覗いて見なさい。これは江戸っ子の尻だからとても広い(度胸があるの意)」。
 ……いや、そんな尻の化物を使って説教するような女とはさっさと別れたほうがいいと思うが。
 それはそれとして、「ケツの穴の狭いやつ」の語源はこれだったか。でも、現代「キミは尻の穴が広いねえ」と言っても誉め言葉には聞こえないよな。
 こういう話、塩浦嬢あたり好きそうだな。


2000年08月19日(土) 今日、彼氏彼女は相々傘であった/『占い師はお昼寝中』(倉知淳)ほか

 朝、気がついたら腹を壊している。
 ……カレーのたたり?
 腹を暖めるため風呂に入りながら、倉知淳『占い師はお昼寝中』読了。
 ぐーたらなインチキ宗教家が、悩みを持ちこんで来た客にいい加減なご託宣をするが、なぜか客は幸せになるという話。
 しまったなあ。こういう設定、自分でも考えついてたんだが先を越された。ネタを練り直そう。
 ……と考えていたら湯あたり。あほだな。

 昨日録画した『ウルトラシオシオハイミナール』を見る。
 シティボーイズ、シュールなギャグをベタなギャグで繋ぐタイミングが相変わらずうまい。
 新参加の野宮真貴嬢、芝居は素人なのに透明な存在感があり(見りゃわかる!)不思議な魅力。でも、こういう女性を好きになるタイプはどこか70年代を引きずっていて暗そうだ。……って俺か。
 細かい台詞やギャグを確認するため、三度見返しているうちに夕方。

 鴻上尚史の『トランス』を見に行くため、メルパルクホールまで自転車で。ちょっとした距離(20キロ程度まで)なら我々はいつもツーリング。車もないし金もないのでしようがない。おかげで女房も私も脚力だけはある。持続力はないが。
 道を忘れているので女房に先導してもらう。なのにやたら遅れる女房。とろい。
 行きがけ、食事をどうするのか女房に聞くと、
 「素敵なお店で食べる!」
 で、入った店が「Royal Host」。
 ……ファミレスのどこが「素敵」だ?

 「ロイヤルホストを短縮してなんて言う?」と女房。
 「まあ、『ローホ』か『ロイホ』?」と私。
 「私は『ロワイヤルホルスト』」
 「……長くなっとるやんか!」

 芝居が終わったあと、雨が降っていたので、塩浦夫妻、桜雅嬢と喫茶店に入ろうと相談。どこがいいかと見まわしていると女房が「あそこ!」と指差す。
 ……「Royal Host」。何故そこまで執着するか?(-_-;)

 塩浦夫妻、女房から伝え聞いた話では新婚でラブラブファイヤー燃えまくりということだったが、それほどでもない。
 ラブラブストームくらい。
 ……二人でケーキを分け合って食べてるのに「ラブラブじゃないっスよぉ」とはいい度胸だ。
 対抗しようにも私が注文したのはパーコー麺、ムードの出しようがない。女房は女房で分けてやった肉を照れもせんで食いやがる。
 まあ、「素敵なお肉▽」なんてはにかまれても困るが。
 ……若いっていいなあ。


2000年08月18日(金) 気が滅入る話/『明日があるさ』(林原めぐみ)ほか

 女房の作ったカレーがうまい。玉葱とコーンをペーストにして隠し味に使ったのだとか。そんな手間のかかること今までしたことなかったのに。
 ……奇跡?

 久しぶりに仕事。
 職場にツアコンのねーちゃんが来ていて、話を伺う。
 韓国旅行に行った時、むこうのガイドの人が、
「謝ってほしいなんて言いません。歴史の真実を知ってほしいのです」と訴えたが、日本人の観光客は無反応だったとか。

 アジア人相手には尊大、欧米人には卑屈な態度を取るのは日本人の特徴。
 だから、日本人に差別意識があることは間違いない事実。
 なのに多くの日本人が「差別意識なんかない」と言い張るのは、先の戦争について「充分謝ってる」、つまり差別する原因はもうない、という意識があるからだ。
 でも韓国人は「日本人は未だに謝っていない」と思っている。
 この事実認識の差があるからお互いに歩み寄れない。

 初対面の日本人と韓国人に会話させると、日本人はイエスかノーで答えられる質問をし、韓国人は「どうして?」「なぜ?」とイエスノーでは答えられない質問をする。しかも質問数は韓国人の方が多い。
 日本人は相手の懐にいきなり入り込んでいくのは失礼だと思っているが、韓国人は相手に入り込んでいかない方が失礼だと考えている。
 発想が全く逆なのだ。
 だから日本人には韓国人が失礼な人間に映るし、韓国人はその逆。

 日本人が謝れば謝るほど誠意がないように見えるのはそういうわけだが、この五十年、両国はそれを理解しようという意識を決定的に欠かしたまま不毛な論争を続けてきた。
 日本人も韓国人も大バカ。

 解決方法はひとつ。結局、相手のスタイルを許すしかないが、それができればとうの昔にやってんだよな。バカにつける薬はない。

 林原めぐみ『明日があるさ』再読。
 なんでと言われてもなぜか読んでいた。一歩間違えばこの人アチラの世界に行きかねないほどのめりこむタイプの人だ。
 『西部劇』という映画の解説本。作者が外国人で『七人の侍』は保安官が農民と村を守る話の翻案、とデタラメが書いてある。あれは戦国時代の実話がもとなのに。

 英和辞典で“Buena Vista”の意味調べ。米メキシコ戦争の戦場地の名前で、「よい眺め」という意味だとか。
 じゃ、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』って「絶景社交会」?
 ……なんじゃそりゃ。


2000年08月17日(木) 明日から仕事/『夜刀の神つかい』(奥瀬サキ・志水アキ)ほか

 今は21:30、日記を書くには少し早いが、明日から仕事だ。早寝をするため仕方がない。

 昨晩、昔馴染みの本屋に『藤子・F・不二雄SF短編 PERFECT版』全8巻(小学館)を注文したが、発売日を聞きそこなった。とりあえずもう第1巻は出てるんだが。
 以前中央公論社からも全集が出たことがあったが、今回はそのとき未収録だったものもすべて集めての刊行である。
 特に『カイケツ小池さん』などは名作『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』の前編。これが何故今まで未収録だったかが不思議なくらいだ。
 全巻購入者には『ミノタウロスの皿』『カンビュセスの籤』の特製コインも貰えるぞ! 藤子ファン、SFファンは本屋に走れ!

 マンガ、奥瀬サキ・志水アキ『夜刀の神つかい』1・2巻、高岩ヨシヒロ『松田優作物語』3巻、冬目景『僕らの変拍子』読む。
 奥瀬さんはなぜか最近自分でマンガを描かない。『低俗霊 DAY DREAM』も他人に描かせてるし。なにか編集部とケンカでもしたのか?
 しかし最近のコミックバーズは『夜刀』や『羊のうた』や『退魔針』など吸血鬼ものばかりだなあ。どれも面白いからいいけど、雑誌の傾向が固まるのは今一つよろしくない。つぶれなきやいいがなあ。

 やっとホースを買ってきたので、洗濯機に設置して残り湯を引きこむ。調子よくあっという間に溜まる。これでどれくらい水の節約になるかはわからんが、日頃から無駄を省くようにはしないとなあ。最近はパソコン三昧で電気代・電話代もバカにならんのだ。

 友人にメールを送り、その中に演劇論的なことを書く。そのあと鴻上尚史の『ドン・キホーテのペディキュア』を読むと、自分が今書いたばかりの内容と同じことを作者が書いている。こういうシンクロニシティはなんだか恥ずかしい。

 父に貰ったみかんの缶詰を一人で食べたと言うので女房が怒る。いつもは果物食いたがらんくせに、俺が食うと怒るとは理不尽。
 「缶詰より先になんで葡萄を食べないの!」
 「剥くのが面倒臭いんだよ!」
 我ながら情けない反論だが、女房、ムキになったのか、冷蔵庫内のありったけの葡萄を全部剥いてボール山盛りに入れて出してくる。
 「ホラ、剥いたから食え!」
 ……あ、あのなあ……(-_-;)。


2000年08月16日(水) 橘外男&中川信夫ワンダーランド/映画『女吸血鬼』ほか

 朝から倉知淳『占い師はお昼寝中』読み始める。自分の感性にあった小説でスラスラ読めるが、それだけに一気に読み終えてしまうのが惜しい。今日は2話だけ読む。

 突然、女房が悲鳴。
 「ひいいいいいいいいい!」
 まるで楳図かずおの『ママが怖い』。
 「な、なんだ?!」と血相変えて女房を見ると、きょとんとして、
 「……あくびしただけだけど?」
 ……どこがじゃあ! 俺、確実に寿命縮められとるな(T_T)。

 NHKで『ふしぎの海のナディア』映画版見る。
 公開当時、テレビシリーズに比べそのクオリティが各段にダウンしていたので激怒したが、さもありなん、制作がGAINAXからグループ・タックに移り、しかも外注出しまくりだったのである。
 しかし今見てもナディアのキャラクター造形って嫉妬深い馬鹿女の典型。こんな女、現実にいくらでもいたぞ。そんな女に限ってナディア嫌いだったりするが、これって、近親憎悪じゃねえのか?
 伊藤つかさがヒロインの声やってるが、結構艶っぽい。ああ、あの『少女人形』の可憐な少女も今はおばさん……なんてことを書くからロリコンなんて言われんだな。

 映画三昧だったので今日は一休みしたかったが、結局女房に連れ出される。
 シネリーブル博多駅で『女吸血鬼』。どうせキワモノ、と思って見たら堂々たる正統派吸血鬼モノで驚き。原作が……橘外男?! 戦前から戦後にかけて活躍した怪奇・幻想小説の第一人者じゃないの! 映画化作品があることを知らなかったとは不覚。
 監督の中川信夫には更に橘作品として『亡霊怪猫屋敷』がある。もしかしてこの組み合わせ、黒澤明+山本周五郎なみの名コンビかも?

 映画帰りにゲーセンで、ミニ扇風機、たれぱんだのソーメンセット、おじゃる丸のミニバッグ、アルプスの少女ハイジのオルゴールをゲット。千円ちょっとしかかからなかったから、結構お得か。
 女房、欲しいものが手に入って嬉しいのか、帰宅するなり早速扇風機に乾電池を入れ、回して喜ぶ。でもミニの癖に音がうるさい。

 二見文庫『仮面ライダー大研究』読む。全百話の裏話を一話ずつ解説という馬鹿丁寧なモノ。藤岡弘が出ない回が何回かあったが、ケガの他に失踪もあったのか、と初めて知ったこともあり楽しい。
 ゾル大佐役の宮口二郎は今日見た映画で吸血鬼を演じた天知茂の弟。二人とも今は故人だ。寂しいなあ……。 


2000年08月15日(火) 盆休みも終わり……なのに毎日暑いな/映画『シャンハイ・ヌーン』ほか

 しまった、またホース買い忘れた(-_-;)。

 朝から『爆笑問題 死のサイズ』、京極夏彦『怪』読む。この手の本はさっさと読めてしまうなあ。『爆笑』は有名人の死亡記事が新聞でどれくらいの大きさで扱われていたかを調べたもの。爆笑問題のコメントは記憶違いや認識の甘さも目立つが、企画自体は面白い。手塚治虫や藤子・F・不二雄はやっぱり小さすぎるよなあ。
 マンガ、石川賢『羅生門』、加藤元浩『Q.E.D.』7巻、聖悠紀『超人ロック Special vol.01 カデット編』。『Q.E.D』は『金田一少年』や『コナン』よりミステリーとしてのレベルは高い。でも残念なことに絵に魅力がないんだよな。女房も言ってたが、ミステリマンガで犯人の姿を黒塗りするの、アザトイからいい加減やめたらどうだ。

 夕方から父のマンションで送り火を焚く。雨が心配だったが、丁度夕方には晴れた。蝋燭の火を消すまいとヨチヨチ歩いてくる女房の様子を見ていると昔の「底抜け脱線ゲーム」を見ているようだ。古いな。
 昔は茄子の馬を一緒に置いてたような気もするが、省略。お経もテープ。簡略化したもんだとは思うが、儀式は基本的にキライなのでこの程度でいい。火もあっという間に消える。お袋、またな。
 父と女房と「ジョイフル」で食事。スパゲティーとピラフ。ジョイフルは数あるファミレスの中でも1、2を争うマズさだが、値段が安いのでまあ我慢ができる。
 マズさのせいで腹が立ってもいるのか、父の口、いつもより軽い。食事中ずっと親戚の悪口言いっぱなし。だったら縁切りゃよさそうなもんだが、それができないのがしがらみか。
 大体、一番文句を言いたいのは俺に対してだろうに、それは言わないのだ。余所余所しいったらないが、まあ、こっちも何も言わないからおあいこか。
 そのうち家族で温泉に行こうと約束。

 夜、AMCで映画『シャンハイ・ヌーン』。……って、ちょっと待て、映画のどこに上海が出て来た? 中国のシーンは紫禁城しかなかったぞ?
 女房に聞いたら「私は紫禁城がどこにあるかも知らないよ」っておいおい。
 ヒロインの皇女はカンフー使いまくりだし、相変わらずジャッキーの映画はデタラメで楽しい。


2000年08月14日(月) せっかくいい気分だったのに……/映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』ほか

 塩浦さん依頼の小説、中編を書いて送る。ショートショートよりは長いが短編よりは短い、という程度の量になりそう。

 昨日女房が干した洗濯物がやはり乾いていない。重ねて干すからだ。何度も注意しているのに、なぜかまた重ねる。
 理由を本人に説明させるが返事は「さあ?」。要するに叱られるたびに脳内のスイッチが働いて失敗した記憶をデリートしているらしい。
 ……頼むからその五秒で失う記憶を何とかしてくれ(T_T)。

 ホースを買うのを今日も忘れる。
 風呂の残り水を洗濯機に引き込むポンプを買ったのだが、肝心のホースがない。いや、一応ベランダ掃除用のホースがあるのだが、長さが10メートル。風呂から洗濯機までは3メートルだ。
 試しに着けてみたが、床にホースが蛇のようにのたくっている。出てくる水はチョロチョロと、ガキのションベン。いつまで経っても溜まる気配もなく、見ていて気分まで萎える。
 こうして日記に書いて置けばきっと明日は買い忘れない……といいな(^_^;)。女房の記憶をどうのこうの言えた義理じゃないな。

 そろそろ休みも終わり。まだ見ていなかった映画(まだあるのか(-_-;)をハシゴ。
 『さくや妖怪伝』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』、いずれも佳作。
 三本ハシゴなんて学生のとき以来。しかも映画館を移動しているからメチャしんどい。なんとか体が持ったのは映画そのものがオモシロかったから。
 『ブエナ』なんて音楽聞いただけで泣ける。
 思わずサントラを買う(C−1くん、聞きにおいでね。心が震えて和むよ)。
 日本のコムロ系のヤワな音楽しか聞いたことのない連中は少しは「魂の音楽」って言葉の意味を噛み締めてもらいたい(ここぞという盛り上げどころで見事に萎えさせてくれる曲ばかりなのに、なぜ人気がある?)。
 「キューバの音楽は急場しのぎじゃない」というギャグを思いついたが、多分誰に言っても受けないのでここに書く。誰が文句言おうとこういうのは書いたもん勝ちである。

 気分よく帰ってきて、新聞を見ると大分で高一が一家惨殺。
 いい傾向である。
 これで夏休みが終わるまでに後、二、三件事件が連続してくれれば確実に少年法は改正されるぞ。全国の犯罪者予備群の少年たち、法改正に反対する人権派の連中の家族を狙うというのはどうだ。


2000年08月13日(日) 盆がはよ来りゃはよ戻る/『明治快女伝』(森まゆみ)

 「てめこの馬鹿野郎! 出ていけ!」
 「オウ、出て行ってやらア、ド畜生!」
 という、ほのぼのとした会話の末に昨晩出て行ったはずの女房が、朝になってみるとちゃんと家にいる。
 ……一晩くらい外泊して亭主を心配させるくらいのワザは使えんのか。

 女房が練習に行っている間にビデオでシティボーイズライブを見返す。
 台詞が臭いにもかかわらず笑って見られるのはネタの面白さもさることながら、間がいいからだろう。
 森まゆみ『明治快女伝』読む。一つ一つの記事が短くて物足りないが、入門書という意味あいの本だからか。写真を見て笑えるのは、女性が美女か醜女のどちらかにハッキリ分類されること。「女傑」と言われるだけの人物揃い、やはり個性も両極端。
 相馬黒光の顔などモロ私好み。こんな清楚な顔のウラに熱い情熱が、と思うと、もうムラムラ(あほか)文春文庫の新刊なので本屋で探してみよう!

 盆なので夕方から父親のマンションで迎え火。
 三日間しか帰って来ないとはお袋もケチ臭い。でも、どうせ父のところに行きっぱなしで私の夢枕にゃあ出て来ないんだろうから、関係ないか。
 父がこの日のためにわざわざ北海道から取り寄せたという「ラベンダーの香りの蝋燭」。そんなもんまで通販があるのか。誰が使うんだ……って使ってるよ、親父。でも香りは余りしなかった。
 部屋を見渡すと、以前プレゼントしたDVD『マルタの鷹』が開封されている。ちゃんと見てくれてるんだなあ、と嬉しくなる。

 その後、父と姉(父の弟子だが感覚的に姉である)と女房とで「ウエスタン」で食事。サーロイン4オンスを食う(食いすぎ? でもこれがこの店の最小量)。
 肉はうまいんだがねえ、このチェーン店の店長、店ごとにいちいち「ジョー」だの「ケーシー」だの、アメリカンネームを名乗ってるのよ。
 ……恥ずかしくないのか?

 帰り道、女房が言う。
 「父ちゃん、ディズニーランド土産の帽子被ってたねえ、嬉しい?」
 もちろん嬉しいが、そういうのは口に出さないのが粋ってもんだ。
 いらんことを喋っていたせいか、女房、道を間違う。
 「なぜ元の道に出るの? ちゃんと曲がったのに!」
 ……そりゃ、道ってのは、必ずしも直角には交わってないからだよ(-_-;)。
 私には今まで何十回も同じ道を通っているのに、また道を間違える女房の頭脳のほうがよっぽど不思議だ。 


2000年08月12日(土) 地雷炸裂/『スヌーピー26 ぼくはどこへも行かない夜』(チャールズ・シュルツ)ほか

 コメディ・フォーラムの「オタク・アミーゴス」会議室に「コスプレ否定」的な意見を書き込む。内容は要するに「オイ、そこのデ○(僭称語)、それでラムちゃん(古い)か妲妃にでもなったつもりか?」
 だが、ふと気づいたのだが、ウチの劇団のメンバーは殆ど全員コスプレイヤー。
 ……もしかして私は地雷を踏んでしまったかもしれない。
 あ、もちろん私は○○さんのコスプレも○○さんのも、とってもウツクしくってステキだと思ってますよ!
 もう、コミケじゃまぶしくって光っちゃっててタマんないっスよ!

 塩浦嬢からホームページ用に小説を依頼されていたので、コメディっぽいホラーを前編だけ書いてメールで送る。その際、主人公の名前を塩浦嬢の本名にしておいたら、早速メールで文句が来た。
 どうもこういう悪ふざけが好きなタチでしようがない。実は塩浦嬢のご主人も作中に出そうかと考えていたのである。
 ……すみません、この場を借りて謝ります。

 書き込みばかりしているので、女房がヤキモチを焼いて絡んでくる。
 「私が嫌いになったの?」
 「そんなことないよ」
 「じゃあ愛してる?」
 「愛してる愛してる」
 「ホントに?」
 「ホントだよう(T_T)」
 「うれしい!」
 ……以前はこういうドリフのコントで返していたもんだったが、最近は気力が衰えているので無視である。
 「ワリいが眠いんで昼寝するぞ」
 「え〜?!」
 冷たい亭主だ。
 でも夕方、飯どきになるとやっぱり腹が減るので絡んでくる女房。鬱陶しいので一緒に映画に行く計画は中止。こうして私と女房のバトルは続く。
 
 ……といってもこれを読んでる人、あまり心配しないように。我々夫婦は昨日のことを翌日には忘れているので(いやマジで)、バトルが続くのも寝るまでである。

 浅田次郎原作・ながやす巧『鉄道員(ぽっぽや)』、チャールズ・シュルツ『スヌーピー26・ぼくはどこへも行かないよ』(最終巻)。
 こんな「泣かせ」本を二冊も連続して読むものではない。目が腫れるぞ。
 スヌーピー、最後のモノローグ。「突然、犬は気づく。パパが一度も雪合戦のやり方を教えてくれなかったことに……」
 こ、こんな寂しい終わり方をするなあああ!
 トイレに行くたびに鼻をかんでいたら、トイレットペーパーを一日で1ロール使い果たしていた。大丈夫か俺。
 勢いでDVD『スヌーピー』も見る。


2000年08月11日(金) 小心者は女房に内緒で寿司が食えるか?/『冥王と獣のダンス』(上遠野浩平)ほか

 朝から劇団のメンバーが来宅するという話だったが、10時を回っても来ない。
 女房が連絡を取ると、C−1(藤田真也)君、寝過ごしたとのこと。自動車持ちの彼が移動のアシになることが多いので、彼がコケるとみなコケる。まさに親亀こけたら状態。
 こういう事態はしょっちゅうで、練習の後で、女房に「今日どんな面白いことがあった?」と聞くと、大抵彼の話題。本人は失敗を気にしてシオシオのパーとなってるらしいんだが、なあに、そんなに気に病むこたあない。完璧な人間なんていやあしないのだ。

 12時近く、ようやく鴉丸嬢、其の他君(この芸名、何とかならんか)、C‐1君来訪。
 脚本を上げた以上、演出に口出しすることはないので、別室でDVD『スヌーピー』『アイアンジャイアント』を見る。
 『アイアン』、問題点はあると思うが、やはり空を飛ぶシーンで泣けてしまう。そうだなあ、人間の演出が薄っぺらで全く感情移入ができないのが難点なのだなあ。鉄人の動きや表情ももっとセーブすれば数倍よくなったろうに。
 帰り際に、鴉丸嬢、京極夏彦『魍魎の匣』、三遊亭円朝『牡丹燈篭』、日渡早紀『記憶鮮明』を借りていく。
 京極は塩浦嬢の勧めか? 相変わらず本の趣味がいい。

 メンバーがロケハンに行ったので、その間に外出、「えぞっ子」でみそラーメン。女房がみそ嫌いなので、一緒にいるときは全く食べられない。嬉々として「特製」を注文する(具と麺の量が多い)。これが「鬼のいぬ間の」というやつか。
 ……でも、だったら寿司かステーキくらい食ったらどうだ。

 上遠野浩平『冥王と獣のダンス』読む。主人公たちの恋心が読んでいて気恥ずかしくなるほどピュアだが、戦場の恋は純愛であるべき、という作者の創作姿勢なのだろう、それはそれで好ましい。
 椎名高志『ジパング』1巻、藤田和日郎『からくりサーカス』14巻、高橋留美子『犬夜叉』17巻。『犬夜叉』はアニメ化だそうだが製作は『ガンダム』のサンライズ。畑違いだが得てしてそういう時に傑作が生まれる。期待したい。

 夜、久しぶりに「オタクアミーゴス」に書き込み。『ジュブナイル』を軽く誉める。あまり話題にならんような気もするが俺が好きだからいいんだい。


2000年08月10日(木) トマトの罠/『太陽がいっぱい(リプリー)』(パトリシア・ハイスミス)ほか

 朝、寝床でウダウダと『アニメージュ』『ニュータイプ』を斜め読み。
 石森章太郎『人造人間キカイダー』、手塚治虫『メトロポリス』アニメ化のニュースに狂喜。
 『キカイダー』はこれまでの石森アニメの中で最も原作の絵柄に近い。過去の特撮は参考にせず、あくまで原作をベースにするもののよう。となるとアレが出るな? 幻のキカイダー、00(ダブルオー)・レイが!
 『メトロ』は脚本が大友克洋、作画監督が名倉靖博、監督がりんたろうという超強力メンバー。昨日天神東宝で見た予告編もほんの少しだがまた新たなアニメの革新を予感させるもの。ミッチィがあのレトロな絵柄を進化させたキャラデザインで登場! 背景CGもまるでデジタル臭くない!
 も、燃えるぜい!

 『リプリー』のパンフレットを見ていると、「原作でもリプリーはホモ」と書いてあり、自分の記憶と食い違っていたので、慌てて原作を猟る。
 よく読むと、リプリーは最初、「若い男に優しいおじさん」に養われていたりする。また、ディッキーの留守に部屋に入りこんでディッキーの服を「靴下まで」身につけたりしている。
 原作を読んだのは14才の頃。これらの描写の意味を理解するにはちょっと微妙な年齢。リプリーの「ボクはフェアリー(同性愛の俗語)じゃない」という台詞をそのまま受け取っていたのだなあ。純情かもしれんがバカだな。
 ああ、それで今までリプリーを演じた役者も、アラン・ドロンにデニス・ホッパーと……いや、考え過ぎか。

 昼、女房にスパゲッティーを作る。
 ミックスベジタブルを買い忘れていたので、トマトをみじん切りにして入れる。 すると女房が、
 「スパゲッティーにトマトって合うの?」
 ……ちょっと脱力するが、気を取り直して、
 「なんでスパゲッティーが赤いのか知ってるか?」
 更に女房、
 「ケチャップ!」
 ……怒りを抑えて、
 「そのケチャップは何でできてる?」
 女房、気色満面で、
 「トマト!」

 わかっとんなら聞くなあああ!

 夜、シネリーブル博多駅で『東海道四谷怪談』。
 映画終了後、人一倍怖がりの女房は「トイレについて来て」と頼む。
 もちろん断る。けっ。


2000年08月09日(水) 姓は愚奈印、名は南公/映画『ジュブナイル』ほか

 ……って、誰も知らんか。
 で、軟膏の話である。足に皮膚炎を患っているので、軟膏を塗っているが、これがなかなか治らない。
 今日、ふとその軟膏のラベルを見てみたら……

 痔軟膏だった。

 朝から風呂場掃除の続き。
 やっと終わって、湯を張り、試供品で貰った入浴剤「はまなすの湯」を入れる。これが半端じゃなく、血の色のように赤い。
 これは多分、突然×が××しても××ないように赤いのだろう、などとバカなことを考える。バカと言えば子供の頃、「はまなす」って、浜辺で栽培する茄子のことだと信じてたなあ、と、思い出に浸る。

 父親の店(実家は床屋)に行き、昨日買った手紙文例集を渡す。
 更に、辞書のいいのはないか、と頼まれる。お袋の遺品の中に辞書の類は腐るほどあるんだが(それこそ戦前の辞書まである)。家捜しさせるのも何だし、そのうち、と言い置いて辞去。

 その足で天神東宝で映画『ジュブナイル』。
 あと十日ほどで上映終了なのに、客が多い。映画フォーラムでも絶賛の嵐なので、口コミで人気が広まっているのかも。
 待ちの行列で、後ろに並んでいた中坊らしいカップル、彼氏は無理矢理彼女に連れて来られたらしく、見る前から「つまんねえよ、『上海ヌーン』の方がいいよ」とうるさい。近頃の中坊は女あしらいが下手だなあ、と嘆く……って、当たり前だ。でも多分この男、早晩フラれるな、と勝手に想像してほくそ笑む。
 嫌な中年。

 『ジュブナイル』はよかった。
 もちろん帰り際は滂沱の涙なのだが、女房には気取られないようにこっそりトイレに行ってグスグス泣く。これでももうすぐ四十郎。

 スーパーで買い物して帰宅。
 帰った途端、読売新聞が契約の更新に来る。以前はサービスに電子レンジだの自転車だの、結構高価なものをくれたものだが、最近それが禁止されたとかで、くれるものもゴミ袋に洗剤とセコくなった。
 でもこっちのほうが何となく嬉しいのは、「消えもの」だからだ。製品は却って邪魔になったり、あっても自分で選んだものではないので、使い勝手が悪いことが多い。これで二ヶ月は洗剤に不自由しないぞ。

 マンガ、奥瀬サキ『コックリさんが通る』3巻、阿萬和俊『ガダラの豚』1巻、藤原カムイ『西遊記』3巻、石川賢『宇宙長屋』読む。
 『宇宙〜』に出てくる大家さんのモデル、今見て気づいたが古今亭志ん生。……って、誰も知らんか。


2000年08月08日(火) ボケ老人の夕べ/『カランコロン漂流記』(水木しげる)ほか

 朝から女房と部屋の掃除、ゴミ出し。
 たまった段ボールをバラして市の指定袋に詰め込むのだが、十箱ほども溜め込んでいたので、破っても破っても終わらない。
 段々、自分の人生そのものが段ボール破りで終わってしまうんじゃないかという気になってくる。
 風呂場の掃除も、タワシでこすってもこすってもカビが落ちない。カビを落としている背後でカビが生えてきているのではないかという錯覚を起こす。
 トイレットペーパーその他を買いにホームセンターに行くが、店を出た途端に買い忘れたものを思い出して、再び三度、店内に戻る。永遠にこの店から出られないのではないかという妄想に囚われる。
 ……疲れてるのか? 俺。

 気分を変えてマンガを読む。
 こやま基夫『パクリコン』2・3巻、『ヒカルの碁』8巻など。
 大分、気分が落ち着いてきたところ、いきなり父親から電話。
 今度知人の法事に行くので、お悔やみの手紙を添えたいとのこと。ついては文例集のようなものを貸して欲しいと言われる。
 以前もそんなことを頼まれて、本を貸したのだが、忘れているのだ。
 かと言って「前に貸したよ」とも言えず、明日までに用意することを約束する。
 トシがトシだから仕方がないとは言え、親がボケていくのを確認するのはちとつらい。
 再び気疲れ。

 ……と思っていたところ、丁度買ったばかりの水木しげる『カランコロン漂流記』を読んでいたら、解説で京極夏彦が水木氏の「天然ボケ」を礼賛していた。
 実際、本文も意味が通らない文章が多々ある。
 水木氏は、既に七十の坂を越えているのだから当然といえば当然。でも、読んでいて暗い印象が少しもない。
 いや、戦争で片腕を無くしているくらいだから、根は暗い人なのだが、それを超越して「まあ、いいや」の心境に達しているのである。ボケる前からボケていた人であったのだ。つまり今の水木氏のボケはボケの二乗。これって、本人にとっては結構楽しい状況なのかもしれない。
 親父もそんな感じなら気分も悪いわけじゃなかろうと思い、少し気が晴れる。

 夜、キャナルシティ「梅の花」で豆腐料理。茶碗蒸にモチが入っていて。これが美味。その後AMCで『リプリー』見る。原作の設定を相当改変し、ラストはちょっと切なかった。


2000年08月07日(月) 胃袋には限界があるのだ/『江戸幻想文学史』(高田衛)

 朝、妙な夢を見る。

 髪が異常に長く伸び、しかも脂っこい。慌てて床屋で切ってもらうが、すると、頭に大きな活断層と、ハゲが随所にあることがわかる。
 仕方なく映画を見に行くが(なぜ?)日本映画なのにワーナーのマークが映し出され、バッグス・バニーが出てくる。こいつ、目が空ろで体が異様にだぶだぶ、しかもダフィー・ダックの声で喋る。実はバッグスがダフィーを食っていたのであった。
 ……何じゃこりゃ?
 女房に話し、どんな意味があるのかな、と聞く。
 女房曰く「つまんない。もっと面白い話、聞かせて」
 ……いや、俺は夢の話をしているのであって、「たのしいおはなし」をしたいわけではないが。

 高田衛の『江戸幻想文学史』を読んでいると、丁度滝沢馬琴の夢の話が紹介されていた。地獄の存在を疑っていた馬琴が、三月十八日(観音の御縁日)、死んだ友人に地獄を案内される夢を見て、初めて信じるようになったと言う(夢に見たことは全て実在、という発想はF・ブラウンの『発狂した宇宙』にもあったな)。
 楽しい考え方ではあるが、実際に夢が全て現実化したら、『うる星やつら4』のように、世の中全ては発狂し、戦争でも起こさねば収拾がつかなくなるだろう。
 冗談めかして書いているが、戦争が集団の幻想によって生み出されることは先の戦争が証明して見せた通り(大東亜共栄圏ね)。
 馬琴もやはりどこか狂っていた人なのだな。

 昼から外出、ローソンで塩浦夫妻のために舞台『トランス』のチケットを購入。少し後ろだが概ね真中の席。それほど叱られずにすむであろう。

 「カルビ大魔王」で昼食。
 私はロースは殆ど食わんが、女房はロース一筋である。追加を注文したところ、信じられないくらいの山盛り肉が運ばれてきた。
 昨日、ホークスが五点差以上で勝ったサービスとやらで、料金半額、食い放題だとか。でも、山盛りで持ってこられてもなあ。
 この店の親父、相当嬉しかったのだろう。
 女房「食い切れん」と悲鳴を上げるが、結局全部平らげる。自分で食っておいて「腹が痛い」と呻く。なら食うなよ。

 夜、『やかまし村の春夏秋冬』『ギルバート・グレイプ』の二本、シネリーブル博多駅で。脚本も演出も、どこか甘い。

 マンガ『ヒカルの碁』8巻を購入。ジャンプマンガの中で、唯一ハマッているマンガ。今日はこれを読みながら寝る。


2000年08月06日(日) まぬけ三態/『テレビ消灯時間2』(ナンシー関)

 <その壱>
何だか寝つけなくて、夜中に起きる。
 何となく演技がしてみたくなって、イヨネスコの『授業』を音読。
 突然、寝ていた女房が飛び起きて、「何?! どうしたの?!」
 ……どうやら私が狂ったと思ったらしい。……いや、すまんねえ。

<その弐>
 昼、劇団の練習の最後にちょっとだけ顔を出す。
 メンバーを引き連れて吉塚のパピヨンプラザ内のロイヤルホストへ。
 ビシソワーズとビビンバを注文。健康にいいんだか悪いんだかよく分らない取り合わせだ。
 演出の鴉丸嬢、「コップを持つとき、小指が立つの」と発言。
 「あ,俺も∇」と言うと、烏丸嬢、なぜかショックを受けたような顔。何と小指が立つのは私と烏丸嬢だけであった(このせいで私はよくオカマと間違えられる)。
 フォローのつもりで、烏丸嬢のしていた帽子とサングラスを誉めようと,「ブルース・ウィリスそっくり(『ハドソン・ホーク』で彼が似たような格好をしていた)」と言ったら,更にショックを受けていた。
 どうやら「顔」のことを言われたと思ったらしい……。

 <その参>
 女房に帰り道で,腹の調子を聞かれる。
 少し眠くなっていた私は,「まだ(便が)やわらかめかな」と言うつもりでうっかり言い間違えてしまった。

 「ミディアムかな」

 「……何それ」
 ハッとして,言い損なったことを釈明する。英語では本当は何と言うのだろう,と私が疑問を述べると,女房曰く、

 「ネオソフト?」

 ……よかった。俺よりまぬけがここにいた。ホッ(´。`;)。

 
 なんしー関『テレビ消灯時間2』を読んでいると,長野五輪の閉会式のとき,トイレ対策として、選手,テレビクルー他全員,紙オムツを着けていた,とあるのを読む。
 ……とすると,北国なら例の男用ナプキン,本当に売れるんじゃないか?

 ……しまった。「まぬけ四態」だ。


2000年08月05日(土) しまった、翌日になっちゃった/『人喰いの滝』(有栖川有栖・麻々原絵里依)ほか

 ということで、日付は6日だけど、これは5日の日記である。

 朝、惰眠を貪っていると口の中に異物感。
 ハッと気付くと女房がうな丼を私の口の中に押しこんでいる。

 休日の朝といえば、こうあってほしいという理想形を男は追い求めるものだ。
 まどろみの中、ぷん、と漂う味噌汁の香り、トントントン、と軽やかな包丁の音。やがて妻がエプロンを外しながら夫を起こしに寝室へ。「あなた、もう起きて。ご飯、できたわよ」。
 まあ、一般的にここまでステロタイプな朝を送ってる家庭があるたァ、私だって思わんが。でも寝惚けてる亭主の口に、女房がいきなりメシをグイグイ詰め込んでる風景って……はたから見りゃあ相当怖いぞ。どういうわけか、女房は時々こういう妙なことをする。
 なのに、ああ、ほや〜んとしながらもうなぎの味をかみ締める自分がそこにいるのが情けない。
 ……ハッ。腹の調子が悪いってのに朝っぱらからうなぎを食わされてる俺って、もしかしてイジメられてる?

 でも、女房から分けてもらった胃腸薬のおかげで、今日はずっと便秘。女房も同様で、腹の中はグルグル鳴ってるのに、フタをされてる状態でいっこうに通じがない。まあ、いつ爆発するか分らないので、今日は外出を控えて、もっぱらパソコンに読書。
 高橋しん『最終兵器彼女』2巻、1巻目も相当無茶苦茶な展開だったが、2巻も相当キテル感じ。……だからなんでドジでノロマな女子高生を戦闘兵器に改造しちゃうんだよう。でもちさちゃん萌え萌え〜ってヤツも世の中には腐るほどいるんだろうな。
 麻々原絵里依『人喰いの滝』、有栖川有栖原作の漫画化。ミステリの漫画化としては結構上質の部類に入らないだろうか。会話の連続をテンポのよいコマ割りで見せていく技術に長けている。
 西萩弓絵『ケイゾク/シーズン壱』、金曜ドラマの小説化。ノベライズされてもテレビシリーズでのトリックの矛盾は改められていない。それにしても「犯人は○○さん、あなたですよね」「……本当にそんな言い方するんですね」「決まりものですから」というような楽屋オチまで小説に書いたって面白くもなんともね〜ぞ。シナリオライターの小説は向田邦子を除いて概してつまらんが、この作者も例外ではない。
 今日は昼寝もしたのでこれくらいしか本を読めず。

 晩飯、ガストでオムシチュー。女房に唐揚げを二つ分けてもらった。ヽ(^o^)丿わーい。


2000年08月04日(金) 特許成金、夢じゃない?/『20世紀モノがたり』(紀田順一郎)ほか

 今日も女房は風邪でダウン。
 おかげで洗濯ができて助かる。何しろ女房に家事を任せていると、一日で乾くはずの洗濯物が二日経っても乾かず、食事はカレーライスが1週間続く羽目になるのである。
 今日から二週間、仕事が休みなので(別にリストラされたわけではない)、ようやく部屋の片付けもできようというもの。

 なのに、気がついたら便が水である。
 ああ、さては女房の風邪が移ったか、と顔面蒼白。なんとなれば今日は部屋の片付けの後、映画に行くつもりであったからだ。
 しかし実のところ、このような事態には慣れている(つまりそれだけしょっちゅう腹下してるわけだな)。
 昔、入院していた時には、大人用のオシメをしていたものだが、あれは一つ千円はする。そうそう使用して外出するわけにはいかない(それ以前に普通、オシメをしてまで外出しようなんてヤツぁいないか)。
 というわけで、シリにトイレットペーパーを挟んで出かけたわけだが(そこのキミ、笑わんように)、やはりゴワゴワして落ちつかない。
 で、ふと思ったのだが、男用のナプキンを作って売り出したら、案外売れるのではなかろうか?「誰がンナもん着けるかぁ!」とツッコミが入りそうだが、慣れると気持ちよいモノかもしれんぞ。少なくとも、藪医者の手術の失敗で前後門ともに括約筋のユルイ私なんかは重宝するんだが。
 多分、こんな発想は誰も考えついたことはなかろうから、特許は確実に取れるぞ。アイデア代は要らんから、誰か発明してくれんかなぁ。少なくとも、「アホ」な発明家としてドクター中松並には有名になれると思うが。

 シネ・リーブル博多駅で、『マッチ工場の少女』、『やかまし村の子供たち』、二本立て続けに見る。前者は今まで見逃していたのが恥ずかしくなるほど傑作であった。フィンランド映画、恐るべし! 詳しい感想はそのうち「ひろば」に書きこもう。劇団の諸君も映画やドラマを見た後は感想をどんどん「ひろば」に書きこんでほしいな。

 帰宅して『広辞苑は正しいか?』『二十世紀モノがたり』読む。運動会は初期の頃、女子が未来のお婿さんを物色する品評会のようなモノであったとか。してみると、カメラ小僧がダンスするレオタード姿の女子高生を盗撮するのも古式ゆかしい伝統に則ったものかも……んなわけないな。


2000年08月03日(木) 巻頭言&近頃の若いやつぁよぉ……/『ジェームズ・ボンドへの招待』(ジェームズ・チャップマン)ほか


 まずは私の日記をこの第1回から読み始めようとしていらっしゃる、奇特なあなたに、若干の注釈を付けねばならない。
 と下記の書き出しと全く同じ文で始めてみたが、これは2001年2月11日から現在、2003年4月5日に至るまで、私が使用し続けてきた「有久幸次郎」のHNを廃棄し、本来使っていた「藤原敬之」に戻すことになった事情を新たに書き記したものである。
 もともといくつものHNを使い分けるのは私の本意とするところではなかったが、下記のような事情で、二つ(あるいはそれ以上の)HNを使い分けざるをえなくなっていた。しかし、時を経て、私のことを「国賊」と罵った上司も、わが社において乱暴狼藉を働いたあげくに左遷され(ともかく社員の誰一人としてよく言う者のいない上司であった)、また当時の事情を知るものも殆ど退職転職(~_~;)配置替えとなった。
 もはや「藤原敬之」の名前で私の日記を検索し、職場に「へっへっへ、あんたんとこの社員が職場の悪口陰口書きまくってますぜ」とチクる人間はいないのである。第一、何度も書いていることだが、私は自分の会社の名前を日記内で明かしたことは一度もない。関係者の実名だって一度も書いてはいない。個人の尊厳を傷つけ、社の営業を阻害するような誹謗中傷に当たることは全くしていないのである。そのことは私の知り合いの弁護士さんにも確認してもらっている。
 私の発言に関して人によっては怒りを覚える方もおられることだろう。しかし、それに対する批判ならばいくらでも受けるし、私自身、誤りだと思えば謝罪し訂正することも躊躇はしないが、初めから発言の自由を奪うような行為に対しては、断固として戦う。
 ……と言いながらまたなんかあったら別ハンドルになっちゃうこともあるかもしれないけれど、そんときゃそんときでまたよろしくお願いします。
 ああ、無責任(^_^;)。

                2003年4月5日 午前1時50分 記之
                    藤原敬之(ふじわら・けいし)





 さて、私の日記をこの第1回から読み始めようとしていらっしゃる、奇特なあなたに、若干の注釈を付けねばならない。
 もともとこの日記は、私が所属している「演劇集団 P.P.Produce」のホームページの日記コーナーに、他のメンバーと共に「藤原敬之」名義で毎日書きこんでいたものであった。
 その期間は2000年8月3日から、2001年1月26日までのほぼ半年。もちろんその後も継続して日記は書き続けるつもりであった。
 しかるに、職場の上司より、突然この日記に対して文句を付けられた。職場の悪口を書いていることが職場の何人かに知られている、即刻中止せよ、とのお達しである。
 確かにこの日記は一般に公開されてはいるが、私の職場を貶めるために書かれたものではない。固有名詞は一切出していないし、職場ないしはそこに所属する私人の人権やプライバシーを侵すような表現は一切ない。愚痴や悪態をついてはいるが、それは普通の会社員が誰でも感覚的に持っている程度のモノであって、これで腹を立てるとはケツの穴が狭いとしか言いようがない。第一、私のこの日記を読んで、私がどのような職業についているか断定できる人間がいるとでも言うのだろうか? 要するに私の身近の人間が私を貶めるために上司にチクり、上司もアタマが悪いので私の文意を読み取ることもなく高圧的な態度に出た、というだけのことである(「国賊」とまで言われたぞ。狂ってるな)。
 大体、上司自身、他組織のホームページに対して改竄を命令することが立派な法律違反であるということに気づいていないのだ。こちらもこんなバカバカしいことで喧嘩したところで益がない(というか、ことが荒だったら職場だって困る)ので、日記そのものはホームページから引き上げることにした。
 しかしその際、「日記の内容に関して文句をつけるつもりはない」という言質を上司から引き出している。アドレスを職場の者に知られたのがよくないということなのだ。従って、ここのアドレスはもう職場の関係者には絶対に教えない。どこかから嗅ぎ付けて更に文句をつけてきたら、それはそいつの悪意による行為であって、今度こそ立派な犯罪である。

 このような事情なので、この日記だけを読んでいる人には、演劇集団 P.P.Produceとは何なのか、日記中に散見するほかのメンバーとのやりとりはどのようなものなのか、見当がつかないと思う。しかしそこまで注をつけることは大変労力を要することなので、興味を示された方は、面倒でも演劇集団 P.P.ProduceのURLを開いて確認していただきたい。

 http://members2.jcom.home.ne.jp/p-p-p/

 この日記ともども、面白がっていただければ幸いである。


       2001年2月11日 午前4時10分 記之
                         有久幸次郎

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 実は私は、若い女の子に囲まれてお仕事をしている。
 かと言って、ウレシイことは何にもないので、うらやましがらないよ〜に。

 で、今日もある女の子(A子)と世間話などしていたと思いたまい。

 A子「すっごく日焼けしてますねェ。どこ行ったんですかぁ?」
 私「ああ、東京行って、皇居を一周してきたよ」
 A子「コーキョ……って何ですかぁ?」
 (間)
 私「……昔の江戸城」
 A子「大きいんですかぁ?」
 (間)
 私「……一周、一時間半はかかるからな」
 A子「すっごぉい。なんでそんなとこ行ったんですかぁ?」
 (間)
 私「……観光だよ、やっぱし」
 A子「何か面白いんですかぁ?」
 (間)
 私「……散歩が好きなんだよ、俺」
 A子「ヘエエ。変わってますねェ」

 変わっとるのはオドレじゃあああっ!!

 ……ま、九州の福岡くんだりに住んでて、新聞も読まない、テレビも見ない(じゃあ何してんだ?)って生活してりゃあ、皇居が何かも知らねえだろうが、それにしても……なあ。
 ああ、でもこんなヤツらが世間の主流派になった日にゃあ、俺たち年寄りのほうが迫害されるようになるんだ。
 こりゃもう、若い連中にはどんどん犯罪を犯してもらって、とっとと世間と隔絶したトコロに行っちゃってもらわねば。
 
 お仕事の合間に『ジェームズ・ボンドへの招待』を読む(こらこら)。やっぱり最高のボンド役者はジョージ・レイゼンビーであろう(賛同者求む)。

 仕事から帰って、博多駅の紀伊國屋で本を物色。
 ミステリ数冊と竹熊健太郎『私とハルマゲドン』。
 『ザ・めしや』でうな丼食いながら読むが、同世代なので共感できる部分はあるが、どうもこの人、他人の情念に流され過ぎとるな。オウム真理教を「自分とは異質な人間とは思えない」と言っとるが、他人の異質さを分析できねば自分が誰かってことだって自覚できんだろう。
 結局誰ぞに洗脳されてしもうとるがな、この人。
 ……それにしても、今はどこもかしこもうなぎフェアで安い。ドンブリ一杯480円。これで三日続けてうなぎを食ってるが、そのうち夢にうなぎが化けて出るぞ。でも「化けうなぎ」ってちっとも怖そうじゃないが。

 さて、劇団の諸君。とりあえず年長者なので皮切りに書きこんでみたが、私にばかり書かせないように頼んまっせ。
 ラブラブ日記でもいいからさ。



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藤原敬之(ふじわら・けいし)