オミズの花道
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『想い出ばなし』
2002年10月08日(火)



ふと思う。
最近の自分。

昔と同じパターンだ。


学費欲しさに働き初めた18歳の頃。
親が倒れなければ考えもしなかったバイト。
通っていた学校が西梅田だったため、私は迷わず北新地に向かった。
なんにも解らずに。


さて、今はもう無くなっているが北新地の四ツ橋寄りに寺があった。
表からは薄いビルが建っていて外観は表からは見えず、北新地通と言えど知る人は少なかったし、今でもそんな寺があったことを知る人に会う事は少ない、そんな寺だ。

その寺を囲むようにUの字型にビルが建っていて、一坪二坪のスナックやバーがひしめきあう。
お寺の灯篭やちょうちんに浮かび上がるそのビルの様は、都会のど真ん中において全く別の空間。
私はそのぽっかりとした空間が何とも言えず好きだった。

その中の一軒に私は勤める事になる。あの頃で時給は1800円ほどだったろうか。カラオケもなく会話のみ。ママはアルトサックスが得意な変わり者。

・・・・・・いい店だった。
私の会話の基礎は、カラオケの無いあの店で学んだもの。

ママには今でも感謝している。
心から。


だが、そこに居たのは3ヶ月くらいだった。
遊びに来ていたラウンジのお姉さんが私を見初め、引き抜いたのだ。
話としては週3日の時給は3500円。ニュー梅田ビルの『R』と言う店だった。(今は堂島だってね)

そこには半年くらい居ただろうか。そのうちに私を引き抜いたお姉さんがクラブに私ごと移ったのだった。

勿論、ヘルプとして。
私は卒論を控えていたし、週の2日しか余裕がなく、時間的に死にそうだったし、何よりも学費を全納していたので、もうオミズのバイトをする理由なぞ無かったのだ。
だがしかし私を引き抜いたお姉さんは、そこそこ使えるキャラの私を離さなかった。

可愛がり、庇い、叩き上げ、仕込み、導いた。
自分という人間に惚れさせ、山の上の方から私の手を引き上げた。

結局私は学校を卒業しても就職してからも、週末だけそのクラブに在籍した。
その人と居たかったから。会いたかったから。
金ではなく、酒でもなく、気晴らしでもなく。


その間にレギュラーの話も沢山あった。
変な話だがグラつく時期もあったように思う。

だって昼間の一週間の収入を一日、しかも5〜6時間で叩きだせる世界だ。
グラつかない訳が無い。
だが私は決してレギュラーになることはしなかった。

昼間の仕事でそこそこのポジションを築いていたのと、水商売に染まりきりたくなかったからである。


さて現在。ミナミに勤め始めてまだ4ヶ月。
順調に行けば流れとしては上記のような昔のコースに良く似ているように思う。

と、すれば、トシは喰ってはいるがこういうお話を戴けるだけ、私にはまだ何かがあるのだろう。


それが何の華だかは己では計り知れぬが。


『少なくとも「色」じゃあねぇよな。』
・・・・とは、昨日同伴してくれたお客様のコメント。


まあねぇ、何の華だか判断するのはお客様だけど。
あまりと言えばあまりの言葉に何だか虚しくなる。


良いことなのか悪いことなのか。




それもまた己では計り知れず。







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