♀つきなみ♀日記
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2001年07月04日(水) AIヒット記念@スティーブン・スピルバーグ監督を少しだけ好きなあなたへ

最初にちょっと言い訳をすれば、私には映画を語れるだけの蓄積はない。好きではあるけど、見ている本数もたいした事はないし、どうも好みの傾向も鑑賞して残る様々な物も、どうやら片寄っているらしい。なので、スピルバーグ監督のファンの方からは、爆笑されるかも知れないなぁなんて思いながら今日の日記を書いている。

最初に見た作品はつきなみに「ET」なんだけど、その次には映写会で「世にも不思議なアメージングストーリー」を見た。この作品で私は、クリストファー・ロイドに出会い、ケビン・コスナーの異なった魅力に出遭い、そして「トワイライト・ゾーン/超次元の体験」を経てビデオで「激突!」を見て、「こりゃなんだか凄いんじゃないかい」なんて思ったりした。そして次に借りたビデオが「続・激突!カージャック」で、忘れもしないんだけど、帯には「続・激突/ハイウェイに激突する青春と銃撃戦」と書いてあった。

「うにゅ?なんで”激突”の続編が、青春で銃撃戦なんやねん?」と思いつつも借りてかえったパッケージには「撃たれてもいい!明日に向って突っ走れ!テキサス=シュガーランドまで800キロ!」と書いてある。「なんじゃこりゃ?」私はいっそ返却しようとも思わないでもないほど、脱力した。いくら劇場映画デビュー作とは言え、なんちゅうB級感漂うパッケージなんじゃろかい。

ブラジャーも外して、パンツ一丁でケツをボリボリ掻きながらビール風飲料(当時未成年のため@一応の粉飾)を片手に見始めた映画は、B級なんてもんではなくて私の好きな映画ベスト10に入る作品となる。

確かに銃撃戦はあった。激突する車もあった。主人公は夫婦ではあったけど、青春でもあった。でもそこに現れる人々は、良くも悪しくも人間的で魅力に、そして悪意に、はたまた日常のちょっとした分岐点に満ち満ちている。

主役のコールディー・ホーンはデビュー2作目の「サボテンの花/1969年」でヒッピー世代の代表のような娘を演じる。そしてこの作品では、向こう見ずでタイミングに恵まれなくて、しかも社会的には落ちこぼれで、でも愛情に溢れる母親の役を演じる。余りにも魅力的に。

汚れきった顔で銃を構える彼女の前髪は、可愛いリボンのついたピンで止めてある。それは母にしては幼く、女にしてはチープで、少女にしては実用的すぎる。そんなキャラクターを作り上げたのは、やはりスピルバーグ監督で、評価の別れる映画の中でも、私はその繊細にして細かく構築され、しかもあざとくはないエッセンスを捜してしまう。

古い映画雑誌を読めば、この映画に対する封切り当時の日本の評論家からの評価は歴然としている。そして、後日書かれた評価は、手のひらを返したものが多くて、苦笑を誘うのだけれど、邦題は今でも「続・激突!カージャック」のままだ。きっとアクション映画を期待してレンタルした人は拍子抜けし、ヒューマンドラマを好む人は、偶然この作品を見つけても、題名を見てから手に取る事は希だと思う。

この作品の原題は「シュガーランド・エキスプレス」という。もういちどこんな映画を撮って欲しいという願いは、絶対叶いそうにはないんだけど。



長谷川先生のお互い更新日記 でご紹介いただいたバス車内の風景@「卒業」そして「真夜中のカウボーイ」はこちらです


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2001年07月03日(火) バス車内の風景@「卒業」そして「真夜中のカウボーイ」

今まさに、誓いの言葉を述べようとする花嫁を、教会からさらって逃げる名家育ちのボンボンの瞳には、明日の暮らしは写ってはいない。バスの最後部の席に座る二人に浮かぶ笑顔は、いわれなく教会に取り残された新郎になるはずだった、ほとんどプロフィールさえ明らかでない男や、経緯をまったく知らずに祝福するために集まっていた、友人や近しい人々の痛みには無縁だ。例えそこに一抹の不安を暗示する影があったとしても、二人の背負う明日を暗示するほどではない。

「恋愛」

その不確かな存在に与えられる免罪符に人々は憧れる。しかし信頼や慈しむ心と、「恋愛」には遥かな距離がある。

勿論、信頼に裏打ちされた揺るぎ無い愛はあるし、揺らぎつつも手放せぬ絆もある。それは確かにあるとは思う。

私は「ダスティンホフマン」を「真夜中のカーボーイ」で知った。ラッツォと呼ばれるその男は、夢にまで見たフロリダへ向う、明るい陽射しを切り裂いて走るバスの中で、不幸せなエンディングを迎える。

この映画で相棒を努めるジョン・ボイドは「コンラック先生」で知った。サウスカロライナの孤島で、読み書きもままなならい子供達に、教育ではなくいっしょに体当たりで学んでゆく姿は、映画としての評価は別にして、未だに私の思考に影響を残している作品だ。

俳優は勿論、作品ごとに別の人物を演じる。しかし、私の中では、同じバスの車中という空間で、異なったエンディングを迎えるダスティンホフマンを、何故か同一視してしまう。そしてこれこそ関連はまったくないのだが、思いやる心の欠けた権力の理不尽さと戦い、そして「ここではないどこか」を夢見て都会を目指したジョンボイドを、繋がりをもって認識してしまった。

私の中での「卒業」は、決して嫌いな映画ではないのだが、青春の彷徨としての作品として残念ながら未だに認識する事は出来ない。約束も無ければ、恋愛も無く、信頼の形も見えはしないのだが、ジョン・バックとラッツォに心惹かれる。

今日の帰り、空に浮かぶ夏雲を夕陽が染めている。作り物の椰子の木が置かれたアーリーアメリカンデコレートのオープンカフェでは、何故だかピートシーガーのランブリング・ボーイが流れている。

>あいつは男。一緒に苦しみ、一緒にさまよった、あいつは流れ者。
>今祈る、流れ者、あいつに、幸あれと、今祈る流れ者 あいつに幸あれと。

>一人残され、この世の旅の終りに、あいつにあったなら、また2人して旅に出よう
>今祈る、流れ者、あいつに、幸あれと、今祈る流れ者、あいつに幸あれと。
(訳詞 つきなみ♀)

この歌を聞いて、そんな映画を思い出した日だった。

って事でまたね!


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2001年07月02日(月) 国家予算82兆vsサラ金貸出し残高12兆ってええんかい?

ひゃぁ、暑いですね、懐は寒いけど@深刻

それはともかく、日銀短観そして月例経済報告が発表されているんだけど、私の懐具合とどっこいなぐらい、深刻だよね。それともう一つ見落としがちな数値がある。

事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)は今年に入っての調査でさえ上期115.10、下期113.08(対ドル/円)に設定されている。こりゃ昔みたいな付加価値加工貿易立国時代なら、輸出促進になるかも知れないけど、そうはいかないよね。今は。

今日現在の為替相場は124円前半で推移しているんだけど、全体の流れは円安容認で流れている。では貿易収支はどうなってるかと言えば、これも着々と黒字幅が減少しているだけではなくて、収縮傾向にある。(日本貿易会の資料)

不景気だと言われ続けた2000年のデータと比較すると判りやすいんだけど、この年は拡大均衡で推移し、特に対米国の黒字幅は7.6兆円へ拡大した。そして忘れちゃいけないのは、輸入拡大の大きな要素となっているのは、日本企業の生産拠点の海外シフトによる製品及び部品輸入なんだよね。特にIT関連。今年は国内投資も設備費に関しては予定激減で、工業生産高が急速に回復する要因はちょっと見当たらない。って言うか、農業を含む生産業の空洞化が加速しているんだよね。

この日の日記にも書いたんだけど、雇用は構造的に悪化する傾向にある。骨太の方針を読む限り、改善される要素は少ない気がする。

過去2番目の失業者数を数える雇用情勢についての認識の中で、求人対象者と求職者のアンマッチであるという事は第一の誤認だと思われる。そんな段階じゃないんだよね。職種を選ばなければ、仕事はあるなんていうのは詭弁で、今や過去の人間関係や縁故・姻戚関係を辿って、やっともらって来る僅かな仕事を目当てに雇用を行う企業や、各種の失業対策給付金目当ての雇用や、どう考えても実践で役に立たないけど、政府が補助金を支出している「自己啓発講座」がらみの、詐欺紙一重教育ビジネスなんかが、ギリギリ雇用を下支えしていたりする。

そして、ご存知FC本部以外、延命にはなるかも知れないけど絶対に将来性は無い各種「独立自営」ビジネスが、膨大な失業者予備軍とフリーターを抱え、不動産需要と広告業界への寄与と若干の生産&消費の蜃気楼を形成しているんだよね。ってこれはある意味消費するだけで、価値を生み出さない産業だ。

そしてその食い潰されてゆく資金は、不良債権として処理される可能性の強いリストラ退職金と、同様な境遇にある破産するかも知れない連帯保証人と、結局は税金で補填される信用保証協会と政府系金融機関のお金が充てられているんだよね。

ここらへんに頬被りしたまま、雇用に配慮しようが、雇用を創造しようがそれは机上の空論でしかなくて、あるいは限られたパイを薄くして、発展無き刈り取り場的市場を増やすだけなんだよね、まったく。

うーーん、明日もコッペパンでも食って仕事するかなぁ。って国家予算82兆に対して消費者金融@サラ金貸出し残高12兆円ってのどう思ってんだろ、小泉さんは?それでも、不良債権処理すれば経済は上向くって、ほんとに思っているんならそれはそれでおっかない気がするんだけどなぁ。竹中の平ちゃんも。

って事でまたね!


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