時間がとくとくと過ぎて行くのを、ただただ、やり過ごして、
その濁流に全て流してしまっている途中で、自分の犯した事柄が 何度もフラッシュバックする。
けれど、それは、回想するたびに違う影像で、だんだんと 過去なのか幻想なのか解らなくなってくる。
実際にそこに在った事実は、少しずつ変化して、私に都合よく消化され、 繰り返し繰り返し頭の中を流される。少しずつ変わりながら。
そして、
時間が経って少しだけ冷えた私の頭は、あることに気付いたのです。
それは、あの人の乾いた鋭さ。…私が泥臭く、重いのに対して、 あの人は本当に鋭い。柔らかく薄張りの風船の中に、幾万もの鋭利な針が 刃を剥くような。…触れもしなかったから、気付かなかったのだけれど、
私は、少し離れた所でそれを見つけて、全身に寒気が走ったのです。 そして、とても、恐ろしいと思うと同時に、やはり、その恐怖から 目をそむける事ができずに、そしてやはり魅了されてしまうのです。
もしかしたら、マゾヒストかも知れない。それとも、そうやってギリギリを 体感する事で、自分を試しているのかしら?生きている事を?
それとも、死んでいる事を。
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