Stars in heaven

2002年05月23日(木) 空を切る手

先週行けなくて気になってた。 
今日 ようやく父の顔を見て来れた。

今日は入れ歯が入ってたので、面やつれして見えなくてホッとした。

髪が伸びて、禿げ上がった額が益々広くなってた。
髭と鼻毛も伸びてたので 石鹸を泡立てて安全カミソリで剃ってやったら
少しは男前の顔が戻って来た。

さすがに髪の毛は切ってやれないので
院内の床屋に号室を告げて散髪して貰う事にした。

髭を剃り終わり、熱めのタオルで顔を拭きながら
『さっぱりしたね 気持ち良いかい?』と話し掛けると 
小声で何か呟きながら私の手を掴もうとしたので手を握ったら
思った以上の力で掴んで離そうとしなかった。

その手は冷たくて 痩せ細ってて。

パジャマの中の肌着が捲れ上がってたので直した時の身体は 
日に焼けた感じの肌の色は変わってなかったけれど
寝たきりになってからの時間が長くなったので筋肉が落ちてしまった事もあり
手と同様、骨と皮になってた。

家から持って来たタオル類を棚に収めて
洗濯物を袋に詰めて、身の回りの事をしてる間に父は 
何処を見るでなく 手を伸ばして懸命に動かし続けてた。

何か掴もうとしてるのか 何かしようとしてるのか。

その動作は 寂しそうで 悲しそうで 辛そうで 
居たたまれなくて帰って来てしまったのでした。






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