Onry Me
DiaryINDEXpastwill


2003年08月04日(月) リアル

今日の夜、仕事を終え、駅から家路へと向かう道すがら
徐に道路に花束が供えられておりました。

目の前の飲食店の従業員が立ち話をしていたので話を聞いた所
どうやら若い女性がビルの屋上から飛び降り自殺をしたとのことでした。

私自身、実際にその女性が飛び降りる瞬間を見たわけではないし
遺体を見たわけでもないのですが、うっすらと路上に残る血痕と、
警察が現場検証をした後であろう、チョークで描かれた不自然に
折れ曲がった人の形らしきものを見た瞬間、数時間前に、そこで
いかに凄惨な飛び降り自殺があったのかが、リアルな現実として
想像できました。

しばし呆然と、その自殺現場を眺めていた私でしたが
その脇で高校生位の3人の少年が、その自殺現場を指差し大笑いしていました。
「マジで死んだのかな?」「痛そう〜」「お前も飛び降りてみれば?」
「気持ちわり〜」等と言い、挙句の果てに、そのうちの1人がチョークで
書かれた遺体の形を指差して「変な形に曲がってない?」などと
言いながら隣でその姿を真似るような仕草をして大笑いしていました。

彼らは一体、死という現実を、どれ程のリアリティを
持って捉えているのであろう?
凄惨な自殺現場を目の前にして、大笑いしている
若者達の神経が不思議でなりませんでした。

生きてる事の意味、死ぬ事の意味・・・。

もしかしたら今の若者達は、その辺のリアリティ
がないというか、そういった感覚が欠落して
いるのかもしれません。

よく火事の現場や事件現場で携帯片手にピースサインをしてる
若者を見かけるけど、あれも私は理解出来ません。

2年前に新宿歌舞伎町の雑居ビルで火災が発生し
多数の死傷者を出した凄惨な事件があったけど、
実は私はその時の火事の悲惨な映像よりも、
笑顔でテレビにピースサインをしてる若者の
方が記憶に残っていたりします。
テレビに映ってるという、ただそれだけの理由で
TVカメラに向かって無邪気にピースサインをして
友達に携帯で電話をする無節操な若者達。

そこで人が死んだという事実。
苦しみや悲しみや恐怖、無念な気持ちや
辛い思いを残して亡くなった人がいるという事実。
残された遺族の気持ち。

そういった想いが渦巻く場所で、どうして
無邪気に笑っていられるのかが私にはわからない。

所詮、他人だから。

そう言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど、
人間として誰かを思いやる気持ちが少しでもあるならば
悲惨な事件や事故の現場を前にして笑うことなんて
できないんじゃないのかな?って私は思います。


広島で千羽鶴を燃やした大学生もそうだし、
渋谷で無差別に人を刺しまわった男もそうだけど、
皆、何か現実を生きる上でのリアリティが
欠けてるような気がしてならない。





パンチョ |MAIL

My追加