堕天使のつぶやき
堕天使でも人生楽しめる

1990年09月09日(日) 棚卸し−菩提樹−

母は、喫茶店で働いていた。
私が保育園に通っていた頃、時々、その母の勤める喫茶店に連れて行ってもらった。
私は、いつも決まってクリームソーダを飲む。
あの綺麗なグリーンのソーダ水が、妙に大人の飲み物のように見えていた。
 
その喫茶店に連れて行かれると、いつもソコには男の人がいた。
母は、私にその男の人を「菩提樹(ぼだいじゅ)のおっちゃんよ。」と教え、私も、母の勤める“菩提樹”という喫茶店の人だと信じていた。
そして、菩提樹のおっちゃんのことは誰にも言ってはいけないと・・・
なぜ秘密なのか。
少し疑問に思ったが、クリームソーダの魅力が、そんな疑問なんて吹き飛ばした。
 
菩提樹のおっちゃんは、時々私を遊びにも連れて行ってくれて、キャンディーキャンディーのヘアピンや鏡の入ったおしゃれポーチを買ってくれる。
とても優しいおじさんだ。
でも、これはすべて秘密。
信じていた。
秘密も守った。
 
そして、ある日、母は突然姿を消した。
私が小学校に入学して間もない頃の出来事だった。


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