片っぽずつ - 2003年01月05日(日) 土曜日の朝、マジェッドに電話する。 ジェニーと、夜出掛けようって決めてたから。 ジェニーは踊りに行きたいって言って、一緒に行くのにジェニーも「マジェッドならいいよ」って言ってた。 「今日の夜、なんか予定あるの?」って聞いたら、カダーと出掛けるってマジェッドが言った。それ聞いてちょっと躊躇ったけど、「ジェニーと踊りに行くんだけどさあ。来ないかなと思って」って言ったら「カダーはキャンセルするか」だって。「キャンセルしちゃえしちゃえ」ってそそのかして、マジェッドは会社の友だち連れてくることにした。「カダー連れてこうか?」って言うから「やだ」って言った。「カダーのことは考えないことにしたって言ったじゃん」。カダーに会いたくないって思ってる自分にちょっとびっくりした。 クラブが開く時間になるまでマジェッドのアパートで、マジェッドが用意してくれたタコとブリトーとケサディラ食べて、ワイン飲んで、3人でおしゃべりする。ケサディラを切り分けるのにマジェッドが「僕は上手く切れないから、誰か切ってくれないかな」って、自分の不自由な右手を指さした。慌ててマジェッドの手からナイフを取ってケサディラ切りながら、ジェニーの前で少し照れながらそう言ってるマジェッドが嬉しかった。ほら MS のことジェニーに言ってよかったでしょ。聞かれたらなんて言おうとか、いつ病気のこと言おうとか、もう心配しなくていいじゃん。 マジェッドは車一台で行こうって必死で止めてたけど、ジェニーは多分自分だけ先に帰るからって、自分の車を運転して行った。マジェッドが連れてってくれたクラブは、まだ引っ越しする前にカダーが何度か連れてってくれたハンバーガーのおいしいレストランの近くだった。「ここ知ってる。カダーが連れてきてくれたとこだ」ってレストラン指さして言ったら、マジェッドが「ブリッジストーン?」って隣りのタイヤやさんのこと言ってまぜっかえした。考えないことにしたって言っときながら、わたしがカダーのことばっか聞いてるから。 クラブで落ち合ったマジェッドの友だちは、おとなしい人なのかなって思ってたら、お酒を何杯か飲んでスイッチ入ったとたんにすっごい踊りまくる。わたしはマジェッドとめちゃくちゃ大ふざけして踊るし、ジェニーが「恥ずかしい」を連発してた。 マジェッドがジェニーとふたりで踊り出してから、わたしはマジェッドの友だちと一緒にいた。マジェッド、ジェニーにワルイコトしないかなって気にしながら。ジェニーは2時半頃に帰っちゃって、そのあとはマジェッドとくっついて踊る。マジェッドの友だちは、すっごい酔っぱらった体格のいい女の子につかまっちゃって、でも結構楽しそうに踊ってた。そしてそのうち見失った。 マジェッドは飲み過ぎて気分が悪くなった。ソファに座ってお水を飲みながら、顔色が悪かった。隣りに座って背中さすってあげてたら、気分悪いのに「I like Jenny」ってつぶやいた。マジェッド、切なすぎ。 わたしがマジェッドの車を運転して、マジェッドのアパートに帰る。 マジェッドの友だちは見失ったまま置いてきちゃった。 カウチに座り込んだとたんわたしに寄っかかって、そのうちずるずる下にずれてって、わたしの膝枕でマジェッドは眠りかける。「ベッドに行きなよ、マッサージしたげるから」って引っ張ってって、うつ伏せになったマジェッドの背中を押す。酔って気持ちが悪くなったとき効くツボ。「きみはまだ眠たくないの?」ってマジェッドが聞いたけど、「平気。マッサージしたげるよ。これ効くんだから」って5分も押さないうちに、マジェッドは赤ちゃんみたいにすうすう寝息を立てて眠った。 キッチンとリビングルームの灯りを消して、ブーツとストッキングを脱いで、わたしもベッドの端っこに潜る。ちょっとだけ寒くて、ふたりでコンフォートの引っ張りっこしながら反対向いて寝てた。 ゆうべはわたしがマジェッドんちに泊まって、今日はわたしがシャワーを浴びてる間にマジェッドがオレンジジュース入れてくれた。 それからわたしはやっぱりカダーのことマジェッドに話してて、マジェッドはわたしにジェニーのことばっか聞いてた。 なんか。手袋片っぽ失くした子どもが、靴下片っぽしか持ってない子どもに、「これ履きなよ」って渡してるみたい。マジェッドとわたしって。 -
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