☆パワーの源☆
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「アンコール!アンコール!」 背中に歓声を浴びながら5人が舞台の裏にすべり込んだ。
「あちぃ〜」慎吾がペットボトルの水をグビグビと飲み干す。 「あーもうダメだ、一歩も動けねぇ」中居がパイプ椅子にへたりこむ。 「ちょっとブローしてきていい?」吾郎がタオルで額の汗を拭きながら誰となく尋ねる。 「いま何時?・・・えー、まだこんな時間かよ、もう一回出なくちゃだめじゃん」木村が肩にかけたバスタオルをブンと振り回した。 「・・・今日の“お客さん”すごくない?」剛がポツリと言うとあとの4人が一斉に剛を見た。
最初に口火をきったのは慎吾だった。 「すっごいよね、トロッコ乗ってるときすごい形相で走ってくるんだもん」 手足をバタバタとさせて走る様子を真似する。 「“なかいくぅ〜ん”“つよぽぉ〜ん”」 それをみて中居がカカカと笑った。 「小さい子抱えて走ってくる人もいるもんね」吾郎が眉間にシワを寄せて言った。 「あいつら他人のこと考えてねーぜ」木村がウンザリといったかんじに大げさに肩をすくめて 「赤信号、みんなで渡れば怖くないってか。いい大人がさ。」と続けた。 「それでいて慎吾の歌んときは“思いやりの花を咲かせよう”なんて平気で歌うんだもん。ひどいよね。」 剛が慎吾に同意を求めるように言った。 慎吾は「あぁ」と同意して、ため息をつきながら言った。 「伝わってねぇよなぁ・・・俺らの気持ちなんてさ」
一瞬空気が止まった。
アンコールの声はまだ響いている。 「・・・しゃーねーよ。どんな奴でも客は客だ。」中居がゆっくり立ち上がりながら言った。 「おっしゃ、愛想笑いもあと少し!」4人に向かって笑いながらステージに戻る。 4人は頼りなく笑って中居の後に続いた。
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こんなことになっていませんように。
いかがでしたか? お気に召したら・・・
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