西日が差したら枇杷の実を食べよう
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2007年07月14日(土) よくも悪くもデカかった。『日本沈没』

具が大きいカレーのような映画だった。

物語は、いろいろなエピソードを大胆になぎ倒しながら、わりと大雑把に進行していく。そんなダイナミックな作風の中、草なぎ剛くんの存在が、オアシスのごとく繊細さを添えていた。彼って、キャラクターの細胞ひとつひとつに、丁寧に水を染み込ませていくような、きめ細かな演技をする人だ。柴咲コウちゃんも、美人なのにブス顔が似合う、デリケートとガサツの間を綱渡りしているような演技がかわいい。この二人の芝居って、好きだ。

彼らのほかにも、豊川悦司(われを忘れて「様」と呼びたい唯一の俳優)、及川光博(冷徹でいじわるな高級官僚役かと思いきや、意外にもヒューマンな優しいパパ役)、ピエール瀧(多分、仕事熱心で真面目な人という設定だろうけど、画面に出てくるだけでうさんくささが漂う自衛官役)、遠藤憲一(大地真央と同じシーンで登場することが多かったせいか、妙にアンドロイドっぽかった防衛庁の人役)と、私の好きな俳優がいっぱい出ていた。

この他、個性派舞台俳優が集まった、吉田日出子率いる「チームひよっとこ」(=下町でいつも酒飲んで騒いでいると思ったら、いつのまにか山中で大パニックという災難に見舞われる善良な人々)、山田辰夫(顔ははっきり映っていないが、声だけで「あ、山田辰夫だ」とすぐわかる医者役)、木村多江(同じく顔がはっきり映っていないが、独特の不幸せオーラが、震災で娘を残し先立つ母親役にぴったり)等など。この荒唐無稽なストーリーに、リアリティーを持たせていたのは、キャスト陣のがんばりが大きかったように思う。

が、やっぱり私には具が大き過ぎたかな。


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