西日が差したら枇杷の実を食べよう
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| 2001年04月28日(土) |
ノリエガという媚薬、『オープンユアアイズ』という白日夢。 |
ブセミ、デル・トロ、ギャラガーについて書いた後は、 やはり、この人を出さないわけには…の、 エドゥアルド・ノリエガ、fro 〜 m スペインである。 (※なんだか、ここ、私の「好き好き男優手帖」みたいになってきたな)
エドゥ君こと、ノリエガ。 才人、アメナバル監督の作品とともに、 映画界に、突如、キラキラリ〜ンと現れたスペインの星。 好き嫌いはあるだろうが、いわゆる正統派のハンサムちゃんである。
えーと、どのくらいハンサムちゃんかというと、 「金持ち、美形、若いと三拍子!?揃ったモテモテ男が、 フった女の運転する車で、無理矢理、心中未遂されて顔面、破壊。 さぁて、この先、どうなる??」という、 彼の出世作『オープンユアアイズ』の主人公の設定に、 無理なく、すんなりハマっている、ってくらいのハンサムさである。
くっきり、パッチリの瞳。バサバサのまつげ。 口角がクルンと上がった大きめの唇とビーバー系の前歯は、 見ようによっては、ちょっとピーター・ギャラガーに似ていなくもない。
似ていなくもない…、が、ノンノン、ご心配なく。 ギャラガーがカルピスの原液だとしたら、 ノリエガは、カルピスウォーター。甘さスッキリ、爽やかティスト。 (でもウーロン茶じゃないんで、ある程度、濃いことは濃いのよね)
しかし、もちろん、ただの爽やか系いい男なら、 私の「好き好き男優手帖」にエントリーさせるわけにはいかない。 (↑アンタ、何様?)
これは、もう、私のカンというか、何の根拠もない思い込みなのだが、 このノリエガという男優、 いわゆる美形アクターというだけではない「何か」が、 その甘いルックスの背後からジワ〜っと滲み出ているような気がするのだ。
ブラッド・ピットやトム・クルーズが、 「ただの二枚目俳優になりたくない」と肩肘はって、必死に 手に入れようとしている「何か」を、その恵まれた容姿と共に、 すでに、すんなりと手にしているような。
その「何か」を、まだ具体的に言葉で表現できない 自分の不甲斐なさが口惜しいのだが、 去年の暮れ、東京国際映画祭で来日した時の、生ノリエガを見て、 その「何か」の秘密が、ちょっとわかったような気がした。
オーチャードホールの舞台で、インタビューに答えるノリエガ。 この人、その華やかな容姿に似合わず、驚くほど、ナチュラルというか、 自意識過剰なところ皆無の、俗に言う「自然体」なヤツだったのよね。
いい意味で、「オレってハンサムじゃん」オーラ、まるでなし。
着古した革ジャケットにジーンズ&ブーツというカジュアルな服装も、 「少しもエラそうでなく」かといって、「媚びるわけでもない」自然な態度も、 スペインのトップスターでありながら、 何も描いていないカンヴァスみたいな、未知数のニュートラルさ。
この「素」の時の「気の抜けっぷり」と、 スクリーンに登場した時の「妖しい魅力」のギャップが、逆に、 ある種の「才能」を感じさせて、私はちょっと感動したのだ。
なにはともあれ、『オープンユアアイズ』は、 このノリエガの媚薬のような魅力が存分に味わえる彼の代表作。
白日夢でもみているような、少々わかりにくい展開だけれど、 同じく、白日夢をみているような、不思議な映像美。
トム・クルーズが、同じヒロイン、ペネロペ・クルスを 引き抜いて、『ヴァニラスカイ』のタイトルで ハリウッドリメイクするらしいが、 私にとって『オープンユアアイズ』の主役は、 あくまで、ノリエガただ一人、である。
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