西日が差したら枇杷の実を食べよう
index|past|will
前にも書いたが、このサイトのタイトルは、 ジャームッシュの短編連作映画シリーズ 「Coffe and cigarettes」から拝借している。
この企画、80年代にスタートし、すでに5作だったか6作だったか つくられ、いずれは長編としてまとめるつもりであるが、 いまだに未完成らしい…という、なんつーか、気の長いというか、 「ジャームッシュ、もしかしてホントは飽きた?」ってな感じの作品である。
ブシェミの出演したパート2は、日本のみ上映されたらしいが、 残念ながら私はみていない。 そして、私自身、 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』は気に入っているが、 とくにジャームッシュずき、というわけでもない。
が、しかし、いつだったか偶然みつけた、 『インディーズ監督10人の肖像』(キネマ旬報社)という本に載っていた、 この作品の二枚のカット写真が、私の中の何かを妙に刺激して、 それ以来、「Coffee and Cigarette」という名前は、 なぜか私にとって忘れられないものとなってしまった。
二枚のカットは、両方とも 画面はモノクロ。舞台はカフェ。
一つは、市松模様のテーブルの上に置かれた、 4つのコーヒーカップ、 キャメルのパッケージ、シュガーポット、 そして、なんのへんてつもないガラスの灰皿に 山のように積まれた吸い殻と、 親指と人差し指でタバコをつまんだ男の手を、 テーブルの真上から押さえたショット。
そして、もう一つは、同じカフェのテーブルで向かいあう かったるそーな二人の男、トム・ウェイツと、 イギー・ポップが、だらだらと煙草を片手に しゃべくりあっている絵柄。
二点とも、実に私ごのみの、いい絵であった。
しかも、作品の内容は、 「男たちがだらだらと、くらだらないやりとりを繰り広げるだけ」らしい。 これまた私ごのみの、まったりとした、いい雰囲気である。
何をかくそう。 私は、この「カフェでの男たちのくだらないやりとり」を 描いたシーンが妙に好きなのだ。 おなじみの「レザボアドッグス」の冒頭シーンとか。 お気に入りの、 「ロックストックアンドトゥースモーキングバレルズ」でも、 愛すべき男4人衆が、暇さえあれば、 お茶を飲んで(こっちはブリティッシュなので、多分、紅茶だろう)、 始終どうでもいいことを喋り通していた映画、という印象がある。
私がこんなシーンに、無条件にひかれてしまうのは、 私が女で、女の私は、多分、一生、 こんな男だけのくだらない、 けれど、とっても素敵なバカ話の輪に、 入れてもらえないからだろう。
|