| 2008年08月06日(水) |
どれだけ長期化しても追及し続けたい、追及されるべきだと思う事件や問題は?(前編) |
どれだけ時間が経過しようと追及し続けたい、あるいは追及されるべきだと思う事件や問題を挙げてください。社会的な事柄でも身近な事柄でもかまいません。(A新聞/2008年3月30日掲載) http://aspara2.asahi.com/club/user/paper/100answers/index.html
著名な100人のみなさんの回答(敬称略・50音順)
赤塚正幸北九州市立大教授・日本近代文学 人間や人類や地球に対する罪。第二次世界大戦・太平洋戦争(大東亜戦争)、原爆、無差別の爆撃、自然に対する無用の手出し、自然の生き物に対する様々な虐待。
有栖川有栖作家 すべての刑法犯。民事に時効が存在するのはやむなし。 石田衣良作家 被害者が生き返らない以上は、殺人事件のすべて。
和泉昭子生活経済ジャーナリスト (この質問には回答がありませんでした)
伊東信宏大阪大准教授・音楽学 一連のオウム事件とJR宝塚線脱線事故。両方とも、現代日本の核心にあると思うから。
伊藤有壱アニメーション演出家 今の自分としては「自然環境破壊」問題は人類ある限り追求し続けるべき問題。人間がダメージを与え続ける自然自体は人間の言葉で悲鳴をあげてくれない。
稲葉振一郎明治学院大教授・社会哲学 「どれだけ」という言葉はちょっとあいまいで大げさです。大概のことは1000年もたてばどうでもよくなります。100年くらいなら、こだわるべきことはまだ残るでしょうから、100年のオーダーで考えますと、いわゆる「戦争犯罪」とか「人道に反する罪」などが浮上するでしょう。月並みですが。
稲畑廣太郎俳人 これは犯人が憎い、というわけではない、と言えば語弊があるが、3億円強奪事件の真犯人は是非知りたい。そして一連の「連合赤軍」が関与した事件は、是非全面的に解決してほしい。
井上由美子脚本家 本来はどんな事件でも、被害者がいる限り、追求され続ける手段がるべきだと思います。ですので、特定の事件をあげるのは困難です。
梅沢由香里囲碁棋士 (この質問には回答がありませんでした)
大野俊九州大教授・東アジア学 閔妃暗殺の責任、満州事変をはじめとする中国侵略の責任、太平洋戦争を開戦し、大勢が決してもなお戦争を続けた指導者たちの責任。
大宮エリー映画監督 追求されなくてもいい事件なんてない気がします。事件に大小はなくて、うやむやになるということが一番よくない気がします。
小川洋子作家 北朝鮮による拉致事件。
荻原博子経済ジャーナリスト 中国ギョウザ毒物事件、石井紘基(衆議院議員)殺害事件(刺殺犯の背景は?)、社会保険料横領事件など。
小倉紀蔵京都大学准教授・韓国思想 自分の家族や近しい人が理不尽な被害を受けたとしたら、どれだけ時間が経過しようと追及したいと考えるだろう。
長志珠絵神戸市外大准教授・日本近現代史 戦争や軍事占領に関わる犯罪 弱者に関わる犯罪。
オノデラユキ写真家 圧倒的な暴力ならば、まずは国家による戦争犯罪。それに尽きる。
加賀美幸子アナウンサー 追い続けることが可能な状況なら、幾つもあるのではないでしょうか。
梯久美子ノンフィクション作家 (webへの掲載を辞退されています)
加藤陽子東京大准教授・日本近代史 国家の犯罪。国家が国民の利害にかかわる問題について、怠慢あるいは故意によって記録を紛失した場合など。
亀山千広フジテレビ映画事業局長 3億円事件にグリコ森永事件。時効が成立しても未だにメディアが取り上げ続けているのは、その事件に時代背景やなんらかの教訓があるからだ。それを風化させないために、メディアとしての事を尽くすべきだと考える。犯人を捕まえることと、事件の真実の探るのは別物だと思うから。
苅谷剛彦東京大教授・教育社会学 国の方針を誤らせて、多大な損害を国内外の人びとに与えるような犯罪や政策(無作為を含め)の失敗。ただし、罪の重さとは関係しない。
川島蓉子伊藤忠ファッションシステムマーケティングマネジャー 人と殺めることには、錯綜した複雑な理由が存在するものだが、でき得る限りの追及を行い、公表すべきだと思う。人の命の存在意義、生かされていることを確認する意味を問い続けることは大切だと思うので。
北澤憲昭美術評論家 良心にかかわる事柄には、たとえ忘却はありえても時効はありえない。
北村想劇作家 戦争の無差別殺戮です。原爆、大空襲、さらには現在の自爆テロにいたるまで、ひとりを殺せば殺人、大勢なら英雄というのは実に奇妙な論理です。
金聖響指揮者 未だに未解決な3億円事件と、グリコ社長誘拐事件でしょうか。
隈研吾建築家 景観への犯罪(看板など)も、もっと徹底した態度でのぞむべきです。
倉橋健一詩人 最近、被害者が一切関知しない殺人事件がふえています。誰でもいいから殺したかったの類。強盗強姦によるもの、幼児・児童にたいする殺人には時効は意味をもたないのではないでしょうか。故になぜ時効があるのか、司法の側からの国民に納得できる言葉での説明を求めたいものです。
呉智英評論家 個人的なことなら、関係者の死去によって忘れ去られてもよい。しかし、戦争にともなう残虐行為、圧政による虐待などは、半永久的に追及すべきだろう。
黒岩比佐子ノンフィクション作家 犯人が死刑に処せられる可能性が高い事件は、時効にすべきではない。それが、再犯を防ぐことにもつながるのではないか。
黒沢清映画監督 大袈裟ですが、すぐに思いつくのは貧困、それから差別。ある人が20年間貧困だったら、その人の抱えた貧困という問題には終止符を打とう・・・なんてことあるわけない。差別も同じ。難しいのは戦争だ。誰かを処刑して無理やり戦争を終わらせようとする考え方はある。それと同じように、数十年たったら戦争にも時効がくるものなのだろうか。
小谷真理SF評論家 わたし自身が被害者だったテクスチュアル・ハラスメント事件の真相。ネッシーは存在したか? アブダクション(エイリアンによる誘拐)は本当に存在するか? 三億円事件。
是枝裕和映画監督 「大型間接税」とか「日の丸君が代強制」とか、政治家がしないと言ってしたり、するといったのにしなかったりしたことを時間とともになし崩しに事後承諾せずに、結果責任も含めて問い続けるというのが必要だと思います。その中でも今最も追及されるべきだと思うのは憲法9条と前文を持ち出して「イラク派兵」を正当化した小泉純一郎の責任。
斉藤斎藤歌人 朝日っぽくて恐縮ですが、プリンスホテルには絶対に泊まりません。
佐伯啓思京都大教授・社会経済学 個人的にいえば、私なら、たとえば私の家族や大切な人が殺されれば、いくら時間が経過しようと犯人を追求し続ける。
佐藤優起訴休職外務事務官 第一次世界大戦の開戦原因。なぜサラエボでのオーストリア皇太子暗殺が、世界大戦に発展したかについては、定説がない。この戦争がどうして発生したかというメカニズムを解明することが大規模戦争を防ぐためのヒントを多々提供すると思う。
残間里江子プロデューサー すみません。思いつきません!(私たちが犯罪を知るのは、ほとんどがメディアによるものなので、報道されている「角度」によって、過度に情緒的に反応していることもあるような気がします。現行社会に募る不満や反感が、「みんなで糾弾してもいい存在」を探してる昨今、(今の時代にやり切れなさを感じ、何かのキッカケを探しては溜飲を下げたいと思っている人が激増しているように思います)罪を憎む一方で、犯罪報道に対する冷静さも必要だと思います。)
清水良典文芸評論家 1988年に名古屋近郊で臨月の妊婦が殺害され、切断された腹部から男児が取り出され、電話機が突っ込まれていた事件があった。この犯人は今どこで何をして暮らしているか、ときどき考える。病的な犯罪の実態を把握するためにも、このような常軌を逸した事例については時効を外して、追求し続ける特別指定をかけたほうがよいと思う。
辛酸なめ子漫画家 前に雑誌で、殺人を犯したことのある若者数人の座談会を読みました。彼らは口々に殺すしか選択肢がない状態に追い込まれたと語っていました。やむを得ぬ事情があったとしても、殺人は許されるものではありませんが、もし、殺人に、やむを得ず自己防衛的なものと快楽的なもの、2種類あるのでしたら、後者は絶対に追及し続け、罪をつぐなわせるべきだと思います。
杉本博司現代美術家 張作霖爆殺事件。亡国への第一歩。
鈴木光司作家 (この質問には回答がありませんでした)
瀬戸山玄ノンフィクションライター 政治的な背景をもつ暗殺や疑獄、また組織犯罪については何年かけても真相究明するべきだと思う。さもないとコミュニティーは自浄作用を失い、社会が時代の流れと共に益々闇だらけなっていってしまう。
先崎学将棋棋士 社会的影響の強い団体、組織(国家を含む)の変節は、追及というよりも個人として忘れないように、と思います。
高木博志京都大准教授・日本近代史 多くの人々の記憶に刻まれた戦争・ジェノサイドなどの暴力。
高嶋哲夫作家 バカな政治家やずるい官僚の「政策の失敗、怠慢」の責任の追及。「バブルの崩壊」やそれに続く長い「不況」、「ゆとり教育」「年金の問題」など、明らかに失政による膨大な税金と時間の無駄遣いが発生している。さらには、失政が原因の自殺者も膨大な数におよぶと思う。こうした政治家や官僚の能力不足、怠慢による失政も一つの重大な「罪」としてとらえ、「責任の所在」を明らかにして、「相応の処罰」を与え、「責任」を取らせるべきである。
高田文夫放送作家 やっぱり三浦(和義)問題。かつて「ひょうきんプロレス」(*)で景山民夫に演じさせた「フルハム三浦」の作者としてそう思う。
竹川大介北九州市立大教授・人類学 恋泥棒。
武田徹ジャーナリスト 背景事情の更なる追求や、事件の歴史的意味の公的な確定を求めるという意味で。沖縄返還密約事件、リクルート事件、佐川急便事件、オウム真理教村井殺害事件、国松狙撃事件、ライブドア事件など。
多田容子作家 特にない。それほど深い怨恨、問題などは、その時代の社会制度の下では摘発されない気がする。もし暴いても納得のいく解決が望めるかは疑問。後に歴史の功罪を論じても、当事者に証言能力はなく、推測に過ぎない。
束芋現代美術家 自分自身。(‘自分の気持ち’を時間をかけて追求していかないと見えなくなっている今日このごろ。わかったつもりになっている‘自分の気持ち’と現実のズレが果ては大きな事件につながってしまうことだってある。)
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