たりたの日記
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向こうに見える山は、はいだて山。 わたしの生まれた家の前の道に立つと道の向こうに 大きく、くっきりとこの山が見えていた。
生まれた時から視覚の中にこの山があったので、 わたしの生きている世界のはじっこには山があると決まっていた。 大人になってふるさとから離れた時、 視覚の中に山がないことが不思議であり、不安でもあった。 向こうに山がない風景は つまり向こう側がないのだった。 壁のない家のように 向こうのない世界が広がっているばかりだった。
山が見えるところに住みたいとふと思った。
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