たりたの日記
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2008年08月24日(日) 阿蘇中岳噴火口

22日、草千里から中岳火山口へ向かう。
噴火口の白い煙、
人を寄せ付けない、厳しい火山の顔。



< 旅日記より>

朝あれほど降っていた雨がすっかり上がった。

私は草千里から火口西口駅までバスに乗り、ロープウェイで中岳の火口まで登っていった。
ほとんど韓国語しか聴こえてこないロープウェイに詰め込まれ、押し出された場所も観光客で賑わう、「観光地」だった。
しかし、火口の荒々しさは、どれほど多くの観光客がそこを覗き込もうとも、揺るぐことはない。
この厳しさの前に息を飲む。

三年前、わたしは単独、反対側の仙酔峡から火山口まで行った。
あの時はロープウェイにはわたしの他、一組の親子しかいなかった。
火山口には人気もなく、ただただ恐ろしかった。
あの恐ろしく荒涼とした火山の姿をもう一度見たいと思っていた。
この風景の前に立つことを幾度となく心に描いてきたのだ。

あの日、人っ子一人いない火口に立ち、まるで「ここを立ち去れ」と言っているような突風の中、吹き付ける火山灰のつぶを顔に身体に受けながら、きりきりとする、完璧な孤独に半ば陶酔していた。

あの時、荒れ狂う風から剥ぎ取られる事を願っていたのだと思う。
人間として生きてきて身に付けてしまった、あらゆる柵、役割の枷、自分を偽る良識、言葉にならないような様々な重さを。

何のために?

剥がされて、剥がされて、何にも属さない、魂だけの存在になる必要があった。
憑かれるように、一人さ迷った、幾つもの山や荒野は、
すべて、そこへと繋がるような気がしてくる。


たりたくみ |MAILHomePage

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