たりたの日記
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| 2008年02月04日(月) |
英語で読む百人一首 � 齋�がため 春の野に出でて・・・> |
手元にA Hundred Verses from Old Japanという本がある。百人一首を英詩に翻訳したもので、それぞれの訳詩にその歌の背景や作者についての解説が記されている。著者はWilliam N. Porterで、大正5年10月から大正11年2月まで 熊本第五高等学校の英語の教師をしていた人のようだ。他にも徒然草などの翻訳がある。
ずいぶん前にアメリカの本屋で見かけ買ったものだったが、ずっと書架に置いたままで、きちんと読み始めたのは1年前だった。シニアクラスの英語の教材のひとつに、毎回、一首づつこの本から百人一首の英訳の詩を紹介するようになったのがきっかけだった。
今日は立春、そして外には昨日からの雪。何か春と雪が入った良い言葉はないかしらと思い、ふと浮かんできたのがこの歌。百人一首の15番目、光孝天皇の歌で『古今集』に収められている有名な歌。
君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ
さて、この歌をポーター氏がどのような英詩に仕立ててあったか本のページを繰ってみた。
Mother, for thy sake I have been
Where the wakana grow,
To bring thee back some fresh green leaves;
And see―my koromo
Is sprinkled with the snow! 君をMotherと訳し、母への呼びかけの歌になっている。これはおもしろい。解説を読んでみる。 ポーター氏のこの歌の解説に寄れば、この歌は光孝天皇がgrand mother(祖母)を讃えて詠んだ歌とある。そこで翻訳者は「君」を単にyou とはせずに、具体的にmother という呼びかけで訳したのだろう。 母(祖母)に持ち帰る、長寿を願う若菜とした事で、その若菜の贈り物の意味がくっきりとする。健康を願って新年に春の七草を食べるという習慣を知らない英語圏の読者を相手にする時、このような言葉の選び方はとても効果的だと感じた。また母よ、という呼びかけがこの歌をふんわりとした甘いムードから切り離し、精神性の高い詩へと高める働きをしているようにも感じた。
ところでthy 、またtheeと見慣れない単語があるが、これは聖書やシェークスピアの詩などに見られる古語で、thyはthou(you)の所有挌でyourに置き換えられる。なんじのとかそなたのとかいう日本語に相当する。またtheeはthouの目的挌でyou に置き換えられ、意味はなんじへとかそなたへという日本語に相当する。
さて、それではこの詩をひとつの英詩として、逆に日本語に置き換えてみよう。ここはできるだけ直訳で。
母よ、あなたのため、わたしは若菜の生えるところへ
新鮮な緑の葉をあなたに持ち帰ろうと
ごらんなさい わたしの衣を
そこに雪が降りかかる
この試み、いくつかシリーズで書いてみよう。
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