たりたの日記
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| 2007年06月10日(日) |
長谷川勝彦さんの朗読会 |
長谷川勝彦さんの<朗読の散歩道>�◆嶌筝�安吾を読む」を聴きに行った。
雨の中、主日の礼拝の後、急ぎ都内へ。新宿から京王線に乗り明大前で降りる。 キッドアイラックアートホールにはちょうど開場時間の1時30分。 この場所は今回で2回目だが、なぜか充分になつかしい。 会場には30席ほどの座席が用意してあっただろうか。わたしは最前列の左端の壁にぴったりついた席に陣取る。 すぐ目の前に朗読者の座る椅子と本の置かれた丸テーブル。なかなか心地よい場所、心地よい空間だ。 物々しいステージではなく、かといって殺風景な教室でもなく、この小さなホールの朗読会はなんと贅沢なことだろう。
長谷川勝彦さんから月二度、さいたまアリーナのNHK文化センターで行われている朗読教室で指導を受けている。その教室で今回の朗読会の案内もいただいた。NHKのハイビジョンの番組、「司馬遼太郎と城を歩く」「私の藤沢周平」で 同居人共々、録画しては長谷川さんの朗読を楽しんでいるが、ライブの朗読会は初めての事。しかもテキストが坂口安吾という事でおおいに期待していた。
会場にはさいたまの教室でごいっしょの方も2人いらしていて、観客は圧倒的に女性が多かった。 開演時間の2時になり、長谷川さんがステージの椅子に座り、本を開くと、すばらしいリーディング・ボイスが流れ出し、その声に導かれて、その空間が安吾の世界に変った。 この日のテキストは「恋をしに行く」と「堕落論」。安吾はとても好きな作家だ。他の作家と同列には並べられない特別な親しさがある。屈折していたり逆説的だったり、理屈っぽかったり、難解だったりするのだが、そこが何とも好きだ。 長谷川さんの朗読には安吾の強さと直向さが滲み出ていた。まったく「安吾」そのものだったので、わたしは安心してその朗読に身をまかせ、安吾の言葉を聴き味わい、ある時には笑い、うなずき、何か大切なものを共感したような喜びを覚えた。「恋をしに行く」、1時間45分の朗読。何とも充実した朗読だった。この作品をわたしは読んでいたのだが、自分で読んでいた時には見えなかったものが見えてきた。とりわけ最後のところで、少なくとも安吾が何を希求しているのかそのことはストンと落ちたと思った。収穫だった。「恋をしに行く」のインパクトが大きかったせいか、「堕落論」の朗読の時は頭がぼおっとしていた。けれども、安吾節は気持ちに響いていて、家に帰ってから「堕落論」も、時間の関係で割愛された「続堕落論」も家に帰ったら読もう。
朗読会に続いて、地下のカフェで懇談会の席が用意されていたので参加した。6人の方々とごいっしょに長谷川さんのお話を伺う事ができ、文学や映画のこと、朗読について親しくお話する事ができて幸いだった。 ところでこのキッドアイラックアートホールはホールの雰囲気も好いが、この本や絵に囲まれた書斎のようなカフェはとてもいい。ワインや料理にもどこかのお宅に招かれたような細やかな心配りがあり、ほっかりと気持ちがほぐれる。先生以外は初めてお会いする方ばかりだったのに、余計な緊張や気後れも感じる事なく素敵な交わりのひとときだった。
それにしても朗読を学び始めて良かった。もっと精進しよう、良い朗読ができるように練習を積み重ねようと、意気揚々と帰って来た。

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