たりたの日記
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2003年08月25日(月) そこには地上に舞い降りた天使たちがいた

ずいぶん遅れてやってきた夏の日の今日
友人とわたしは
ギターと歌詞を書いた大きな巻物を抱えて
トンボのたくさんいる沼の脇を通って
「はぐくみ園」という授産施設へやってきた
ダウン症や自閉症など知的障害を持つ人達が通園して
様々な作業をし、共に時間を過ごしている場所

ちょうど12時にそこへ着いたわたしたちは
食堂へと案内される
50人くらいの人達がテーブル着いていて
楽しい食事がもう始まっていた

友人とわたしは5人の男性に囲まれて食事を共にする
24歳、18歳、19歳、の3人はずいぶんおしゃべりで
いろんなことを話しかけてくれる
となりに座っている子はしきりに「うちのおかあさんは」
と母の話題を持ち出す
同じ年恰好とすでに見破られているからか

向かいに座っている子は最近の事件の話題を振る
わたしはその話題を知らなかったのだが...
19歳のダウンの子は何もしゃべらないけれど
それでも話に入っていて顔がしゃべっている

40代とおぼしき男性がわたしたちに目もくれないのは
我々がオバハンだからだろうか
若い女の子だったら話は違ったかもしれない

向こうのテーブルにいた子たちも次次と挨拶にやってくる
「こんにちは」
「どんな歌歌うんですか」
「どんなダンスやるんですか」
「ぼくたちはソーラン節を踊るんです」

彼らとの会話は楽しい
心が全開なのでわたしもすっかり鎧を脱ぎ垣根を払う
気持ちの底のところがくすくすとくすぐったく
優しいってこういうことだったと気が付く
「きれいな人たち」とつぶやいた

体育館は体育館でおきまりの暑さ
でも汗たらたらはジムとサウナで慣れているからなんのその
ギターをジャカジャカ鳴らし
いっしょに歌う
歌いたい気持ちがいっぱい顔に出ているから
わたしの指に力がこもる
きれいな歌や音というわけじぁないけれど
心が満ちてくる
気持ちが開いていく

彼らのパフォーマンスは最高で
見ているとふつふつとエネルギーがチャージされるかのよう
透き通った
質の高い
喜びのエネルギー

いっしょに「さくら」を歌っていると
踊りたくなって踊ったら
いっしょに何人かが踊り始めた

両手をいっぱいに広げてタクトをとると
いっしょに何人かがタクトを取り始めた
歌よりも歌らしい歌がそこに起こった

わたしたちへのお礼だと
彼らが見せてくれた「ロックソーラン」は
わくわくとし、とても見ているだけではがまんができない
バッチリ決まったダウン症の子をインストラクターに見立てて
その動きに合わせてみる
彼のリズム感にはかなわないものの

集いが終わると何人もの人達が手を伸ばしてやってきた
握手をくれようというのだ
「ありがとう」という言葉がほんとうの「ありがとう」なので
胸が詰まる
喜びが溢れる



昨夜、少し不安な気持ちでギターを練習していたら
音楽ボラの先輩のWさんから携帯にメールが入った


「頑張る必要ないから安心して彼らと遊ぶといいんです。
イギリスでは知的ハンデの子らを地上に舞い降りた天使たちと呼びます。」



そこにいたのは
ほんとに天使たちだった
わたしがイメージしていたよりも美しい
それこそ欠けのない神様の作品で
欠けているのがむしろわたしの方だということの
つんとする心の痛みもあったのだった





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