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★短編小説15 - 2005年01月29日(土)





[リセットボタン]



春になると、何かが終わってしまったような気がする。
全てがリセットされてしまうような感覚。


3月になれば、別れがやってくる。
慣れ親しんだ場所や人と、別れを告げる。
いままで何度も叱られ、笑い合ってきた先輩達との、別れがあった。
だけどそれは、自分達が送り出す場合。



送り出される立場になった時、どうしようもない寂しさを感じた。


慣れ親しんだ場所と離れるから。
いままで笑い合った仲間と別れるから。
だけど、それ以上の寂しさがある。




なんで行くんだよ。
なんで独りで行くんだよ。


そればっかりが頭から離れない。


バスケとお前があって一つなんだよ。
今の俺にはそれがセットで一つなんだよ。

もしお前が向こうに行ってなんの連絡も活躍もしなかったら。
俺はどうしたらいいんだよ。

胸に穴が開いたみてぇになるじゃねぇーか。
どう責任とってくれるんだよ。





俺は結局、引き止める事も出来なくて。
いつもの毎日を送ってる。
別れの3月が過ぎて。
4月が過ぎて。
5月が過ぎて。

春が過ぎて、夏が過ぎて、秋が過ぎて、冬が過ぎて。


まるで俺の人生は、大事なところでリセットされたみたいだ。
お前がこっちに帰ってこないと。
俺はいつまでも再スタートが切れないでいる。

いっそのこと。
お前のいないスタートを切りたかった。


また春が来る。







end





...

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