詩のような 世界

目次


2010年06月15日(火) マルの向こう

みずたまり

のぞきこむ


葉っぱにたまった雨水を

指にたらして

なめらかな動作でみずたまりに


ぴちん(音はしない)


弧を描いた

なんでこんなにきれいなマルなんだろう


木は優しく手を差しのべてくれたので

また雨の残りをもらった


ぴちん


奥を見ようと目をこらす

マルの向こう

真っ黒なので

絶対遠いのだと思う


何度も何度も繰り返した

僕の指先はちょっとふやけた

みずたまりは徐々に大きくなる

でも残念ながら

マルの入口は広がらない


夢中になって続けていたら

葉っぱが1枚落ちて流れた

その上に僕は乗っていた

危なっかしい小船にしがみついて

僕は落ちたくないと願った

飛び込めばマルの先に行けるかもしれないのに


また雨が降ってくれば

間違いなく沈没だ

そして僕はすんなりとここから消える

最初からいなかったみたいに


葉はとてもあたたかい

見上げればあの木が微笑んでいる


このまま流れていることに決めた

どうにもならないのだから


マルの向こうは暗闇?

それとも光の世界?


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