詩のような 世界

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2003年09月26日(金) 泥人形の眼差し

近所の公園にあるブランコ(右から3番目)
は人を引き寄せる

噂は事実だったから僕は呼ばれた

艶やかなブランコはピンク紫の甘い匂いを放っており
僕はぼうっとしながらそれに座った

ブランコは女のようになった

教会に響いてもおかしくない声で
僕をクラクラさせた


「おいで
 だいすきよ
 おいで
 だいすきよ   」


僕は彼女にしがみついた
昨日の雨のせいで土はドロドロで
僕らのからだは泥まみれになったがかまわない
僕にはきみしかいないんだ
僕を慰めておくれ
僕の過ちを許しておくれ
僕の居場所になっておくれ


「  


          」



彼女の名前はブランコなんかじゃない
泥人形と化した僕には勿体無いほどの存在だ

「僕はきみさえ居れば僕なんか要らない」


腐敗臭に気づき振り向くと
僕に似た無数の人形たちがカピカピに乾いて倒れていた

黒目をぐるりと動かして僕は自分の行く末を理解した

それでも僕はこの瞬間
間違いなく幸せなのだ




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