詩のような 世界
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近所の公園にあるブランコ(右から3番目) は人を引き寄せる
噂は事実だったから僕は呼ばれた
艶やかなブランコはピンク紫の甘い匂いを放っており 僕はぼうっとしながらそれに座った
ブランコは女のようになった
教会に響いてもおかしくない声で 僕をクラクラさせた
「おいで だいすきよ おいで だいすきよ 」
僕は彼女にしがみついた 昨日の雨のせいで土はドロドロで 僕らのからだは泥まみれになったがかまわない 僕にはきみしかいないんだ 僕を慰めておくれ 僕の過ちを許しておくれ 僕の居場所になっておくれ
「
」
彼女の名前はブランコなんかじゃない 泥人形と化した僕には勿体無いほどの存在だ
「僕はきみさえ居れば僕なんか要らない」
腐敗臭に気づき振り向くと 僕に似た無数の人形たちがカピカピに乾いて倒れていた
黒目をぐるりと動かして僕は自分の行く末を理解した
それでも僕はこの瞬間 間違いなく幸せなのだ
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