| 2008年05月20日(火) |
万城目学 「鹿男あをによし」 |
今年の1月から3月まで、テレビで放送していた連ドラの原作です。 もっとも、原作の小説があるとは思わず、と言うか、原作は漫画なのかなと思っていました(^^;
まずタイトルを初めて聞いた時に思ったこと、「なんてふざけたタイトルなんだ!」(万城目さん、ごめんなさいm(__)m) だって、鹿男ですよ、何なんだ、鹿男って?と(^^; どうやら奈良を舞台にしているらしいと言うところで、ちっょと興味はあったのですが。 ドラマ一回目は、見逃しました。いえ、見る気はなかったのです。 でも、ネットのお友達が、ブログで「面白い!」と言ってらしたので、またまた興味が湧き、二回目から見始めたら、これがなんとも不思議な可笑しさ。 謎あり、スポ根あり、どんでん返しもありで、ついつい最後までしっかり見てしまいました(笑)
で、こうなると、次はやはり原作! この表紙絵がね、かわいいんですよ。ドラマ見ていた人なら、嬉しくなっちゃうんじゃないかと思います。 主人公の先生と、剣道着姿の女の子と、そして鹿! かわいいイラストになっているんです。
大学の研究室に在籍していた主人公は、教授から「神経衰弱」と言われ、短期間だけ大学を休んで、教師として働いてみないかと勧められます。 その勤務先は、なんと奈良の女子高。 赴任早々、主人公は、遅刻してきた生徒、堀田イトに悩まされます。 このイトちゃんの遅刻の理由がふるっていて、「駐禁をとられたんです」 主人公が冗談で「なんだ、マイカーでも持っているのか」と聞くと、イトちゃくは真面目な顔で「マイシカです。奈良の人間は鹿に乗るんです」と答える。 これだけで、ウケてしまった私って変?(笑)
イトちゃんは、その後も何かと主人公を悩ませる態度をとり続けるのですが、さらに主人公を悩ませたのは、ある日、いきなり鹿に、人間の言葉で話しかけられたこと。 「神無月だ。出番だよ、先生」
どうやら、鹿は神の使いらしい。この国が滅びるかもしれない危機に瀕していて、それを食い止めるために、古代から伝わる神宝を、主人公に運んできてもらわなくてはならないと言います。 「目」と呼ばれるそれが、いったいどんなもので、誰から渡されるかもわからないまま、主人公は面倒な出来事に翻弄されて行きます。
なんなのでしょうね、このお話のジャンルは(^^; ゆるゆるした、ちょこっとミステリー入りの和風ファンタジー?(笑) 日本が滅びるかもしれない危機、と言いながら、けっこうのほほんとした雰囲気ですし、舞台である奈良の情景も美しいし、深刻なはずなのに、どこか可笑しくて。 読んでいて、のどかに楽しかったのです(笑) ちょうど、疲れていたり、気持ちが沈みがちだったせいもあり、この荒唐無稽なお話に救われたようなところもありました。
なんとも古めかしい名前のイトちゃんが、なかなか手強いけど、清々しくてかわいい。 ドラマでは、多部未華子ちゃんが演じていたのですが、まさに原作のイメージ通りだったのだなあと感心。 ありえないと言ってしまえば、それまでなのですが、なぜかほんわか、ゆるゆるした気分になれるお話でした。
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