| 2006年10月23日(月) |
「アキハバラ@DEEP」石田衣良 |
最近、ちょっとはまっているかもしれない石田衣良さん。 なぁんて、たった3冊読んで言うのもおこがましいですが(笑)
「アキハバラ@DEEP」を最初に知ったのは、テレビで流れた映画のCMでした。 それによると、どうやら秋葉原のおたく青年たちを主人公とするお話で、しかも何やら強大な敵と戦うらしい(^^; RPGみたいなものか、いや違うだろうなあ(笑) ちょっと前に流行った「電車男」は、この間テレビで放送されていた映画版を後半だけ見て、ふむふむなるほどと思った程度(^^; 特別、その手の傾向に興味があったわけではないのですが。 でも、秋葉原と言う街を背景にして、いったい石田さんがどんな物語を作り上げたのだろう、とつい手に取ってしまいました。
お話の中心となるのは、ページ、ボックス、タイコと呼ばれる3人の青年。 キーボード上ではすばらしい文章力を駆使できるのに、実際に話すとひどくどもってしまうページ。 PCグラフィックを得意とするボックスは、不潔恐怖症+女性恐怖症で、常に白い手袋を手放せない。 デジタルミュージックやサウンドを次々と作り出すタイコは、光や音の周期的な点滅により、ところ構わずフリーズしてしまうと言う発作の持ち主。 それぞれ困った弱点を持つ3人ですが、そこは秋葉原を根城とするPCおたくの強み(笑) テキスト、グラフィック、サウンドと得意分野を活かして、一緒にPC関係の仕事をしています。
3人は、何か新規の仕事をしようと考え、新たなる仲間も加わります。 秋葉原のコスプレ喫茶の人気アイドル、でも実は格闘技が得意で、いつも迷彩服を着ている美少女アキラ。 16歳の天才プログラマー、イズムはメラニン色素欠乏症でサングラスが外せない。 10年間のひきこもり生活から、ようやく抜け出てきたばかりの三十男ダルマは、法学部出身で法律事務所に勤めた経験もあり。 「アキハバラ@DEEP」は、そんな彼ら6人の会社名なのです。
彼らは、何ヶ月にもわたる超絶的なハードな作業の末、画期的なサーチエンジンを開発するのですが、そのために思いもかけない事件に巻き込まれ、強大な敵と戦う道を選ぶことになります。 人間よりパソコンと向かいあう時間の方が長いような、典型的アキバ系青年たちが、想像もできなかった危険や恐怖に真っ向から向き合い、必死に知恵を絞り、力を合わせ、自分たちにしかできない戦いに挑む。 「もっとも弱き者の手のなかに未来は宿る」と言う言葉が、読む側にもささやかな、ほのぼのとした勇気をくれるような気がしました。
けっこう分厚い本で、しかもアキバ系特有の専門用語やらパソコン関係の用語やらが頻繁に出てきて、その辺り詳しくない私には、いささか理解がおいつかなかったりもしましたが(笑) でも、読んでいる間、とても楽しかった。 それぞれ愛すべきキャラクターの彼らと、彼らの戦いを、心から応援してしまいました。
|