つぶやきDiary
何気ない日常のつぶやき
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2006年09月09日(土) 記憶の中の道

母親の友達がずっと体調が悪いと言うことで、なんとかお見舞いに行きたいと以前から母に言われていました。
ちょうど今日は大安だし、母も私も時間が取れたので、思いきって車で出かけました。
なぜ思いきってかと言うと・・・まあちょっと遠いと言うこともあるのですが、そこは私が中学の頃まで住んでいた町。その後、今の町に引っ越してきたのですが、あれ以来訪ねるのは初めて。
なんと○十年ぶりに、昔住んでいた町を訪ねたのでした(^^;

そう言えば、最近はあまりないですが、以前は時々あの町や住んでいた家の夢を見たものでした。
それは、不思議ななつかしさと、ちょっぴり物悲しさを誘うような夢。
子供時代を過ごした場所と言うのは、独特の郷愁のようなものが漂っているのでしょう。
いつか実際にもう一度訪ねてみたいと思いながら、その「いつか」がいったいいつになるのか、あまり実感がなかった。
車で行けば2時間程度、行こうと思えばさほど苦になる距離でもないはずなのに・・・
きっかけがなかったこともあり、なんとなく行くのが怖かったり(?)もして、ずっと気にかかりつつも、記憶の中だけにしまわれていた町でした。

一応地図は用意したものの、現地に近づいてからは、ほとんどは記憶にたよって車を走らせました。
子供の頃の思い出が詰まっているはずの町や道、まるでタイムトリップをするようで、ちょっとドキドキしながら(笑)
でも、そんなドキドキのそばから、記憶の中にある道とどこか違う、微妙なぶれのようなものをも感じる。
田舎なので、長い年月のわりには、さほど大きな変化はないようだったのに、「あれ、この道こんなに細かったっけ」とか「こんなに近かったのかな」とか、自分の記憶のあいまいさに苦笑してしまいました。
長い間、何度も遠い記憶を辿っているうちに、「こうだったはず」と言う理想的な道が、頭の中でできあがっていたのかもしれません。
それに、子供の頃歩いたのと、今車で通るのと、感覚が違うのも当たり前ですよね(笑)

お見舞い先の母のお友達も、思ったよりお元気そうで安心しながら、次はいよいよ昔住んでいた家のお隣さんのお宅をも訪ねてみました。
そこへの道筋もこれまた、「ん? おかしいなあ、あの頃と違う」(^^;
もっとずっと曲がりくねっていて、遠かったように思えてたのに。
またもや、見事に記憶は裏切られました(笑)
お隣さんのお宅も新しくきれいな家になっていましたが、なつかしい方々と再会することはできました。
残念ながら、私が住んでいた家はなくなっていて、まったく別の家が建っていました。これも当たり前(笑)

子供の頃の思い出は、あくまでも自分の記憶の中でのみ輝いている。
あの道も、あの家も、あの風景も・・・いくつかのなつかしいシーンの欠片が、鮮やかに思い浮かぶけれど、それを今の町に探そうとしても、たぶん無理なことなんだなあ。
思い出は思い出のまま、大切にしまっておいて、時々その輝きを楽しめれば、それでいいのかもしれない。
そんなことを思いながら、家路に着きました。
なんとなく、無意識のうちに自分の心の片隅に居座らせていた、「昔住んでいた町」への呪縛(笑)のようなものが、すっととけたような気がしました。


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