アガサ・クリスティの「七つの時計」、もうずいぶん前に読んだ本です。 どうして今また思い出したかと言うと・・・ お友達のサイトで紹介されていたサイトで、人気作家さんたちの直撃インタビューがたくさん載っているところがあるのですが。 その中の恩田陸さんの記事に、この小説の名前が挙がっていたのです。 子供の頃読んだ本の中のひとつらしいのですが、恩田さん曰く「はじめてどんでん返しに驚いた」と・・・
「七つの時計」、クリスティ大好きな私は、もちろんこの本も持っていますし、読みました。 手元にあるのは、ミステリシリーズになっている文庫本ですが、ふと・・・ そう、ふと思い出したのです。 このお話を、確か私も子供の頃にも読んだような気がする、と。
小学生高学年、あるいは中学に入っていたのかしら。 ちょっとその辺りの記憶はさだかでないのですが(^^; 図書館に、児童向けのミステリーのシリーズ本がいくつかあったのですね。 作者はそれぞれだったようで、けっこう不気味なものとかもあったように思います(^^; そんなミステリー本の一冊だったのではと思うのですが、たぶん読んでいるはず・・・タイトルは確か「セブンダイアルズクラブ」。
あの頃の本に、どこまで詳しく書かれていたのかは、すでに覚えていないので、大人になって読み返した方の本から、あらすじをちょっとだけ(^^; あ、少々(かなりか?)ネタばれかもしれません。 これから読む予定のある方、知りたくない方は、すみません、読まずにいて下さいm(__)m
物語は、鉄鋼王と呼ばれるサー・オドワルド・クートの豪華なお屋敷から始まります。 招かれて滞在していた4人の若者のうちの一人ジェリーは、朝寝坊で有名。 そのあまりの寝坊ぶりに、他の仲間たちはある計画を思いつきます。 それは、たくさんの目覚まし時計を夜中にジェリーの枕元に仕掛けようと言うもの。 きっとびっくりして、さすがの朝寝坊も飛び起きるだろう、と。 こうして、ある夜、ジェリーの部屋には8つの時計が並べられたのです。
次の朝、それでも起きてこないジェリーに業を煮やした仲間たちにもたらされたのは、睡眠薬の飲みすぎでジェリーが死んだと言う知らせ。 部屋には、7つの時計が規則正しく時を刻み続けていました。 あれほどぐっすり眠るたちだったジェリーが、眠れないからと自ら睡眠薬など飲むはずはない。 それに、部屋に仕掛けた時計は8つ・・・なぜ7つしかないのか? そして、彼が死ぬ間際に書き残したと思われる恋人への手紙の中にも、思わせぶりに「セブンダイアルズ」と言う言葉が・・・
部屋に並んだ7つの時計、「セブンダイアルズ」と言うキーワード。 はたして、「セブンダイアルズ」とは何の意味なのか。ジェリーの死に関係しているのか。 その謎ときに果敢に挑んだ、サー・オズワルドの娘バンドルの痛快な活躍が始まります。
実は、「セブンダイアルズ」とはある目的のために、秘密裏に組織された仲間たちのクラブ名だったのです。 そこには、国際的な犯罪がからんでいるらしい。 バンドルは、なんとかセブンダイアルズクラブの秘密をさぐろうとします。 とにかく、元気なバンドルの活躍が楽しい。 持ち前の好奇心と行動力で、とことん突っ走ります(笑)
圧巻は、バンドルが「セブンダイアルズクラブ」の秘密会議が行われる部屋の棚にこっそり潜り込むところ。 小さく開けた穴から、会議の様子をのぞくのですが・・・(^^; なんと、会議に参加している人全員が奇妙な仮面をつけていたのです。 それは顔の前に布が下がっているだけの仮面ですが、時計の文字盤を象っており、それぞれが1時、2時と言うように違う時間を指している。 どうやらメンバーは7人、1時から7時まで。
そう、思い出しました。 私が子供の頃に読んだ本の表紙が、この会議の時の様子のイラストだったのです。 時計の仮面をつけた人たちが集まっているイラスト・・・ たぶん、その奇妙さに惹かれて本を手に取ったのでした。 読み進めるうちに次々と事件は起こり、そしてついに思いがけない真相が現れます。 読者は、バンドルと一緒になって冒険し、最後のどんでん返しに思わず、「ええ〜〜!」と驚く・・・はず(笑)
緻密で、どちらかと言うと落ち着いた雰囲気で読ませるミステリーが多いクリスティにはちょっと珍しい、エンターテイメント性溢れる、わくわくするような冒険劇です。 あ、もちろん謎自体はとても緻密に練られていますよ(^^; ひとつひとつ思い返すと、あ、なるほどと思わせる。 とても楽しませてもらいった一冊でした。 恩田さんの記事を読んだことで、あの本を読んだ時のわくわく感を久々に思い出しました。 ああ、クリスティって、やっぱり最高!\(^o^)/
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