| 2004年12月05日(日) |
『魔法使いハウルと火の悪魔』 |
見て面白かった映画に原作があると、ついついそちらにも興味がわいたりします。 『ハウルの動く城』にかなりはまった私は、今回も当然のごとく原作『魔法使いハウルと火の悪魔』をGETしました(笑) ひとつには、映画を見終わって謎が多かったせいもあります。原作を読んだらわかるかなと思って・・・ その原作も読み終えました。 ここから先、ネタばれになると思いますので、まっさらな状態で映画を見たい方は読まないほうがいいかな(^^; ちょっぴり内容を知った上で見ようと思う方、見たけど謎が残ったと言う方には、ある程度参考になるかもしれません。
映画の中でストーリーの背景となっている戦争、これに関しては、原作にはありません。映画では、ふらりと出かけて行くハウルが時々戦いに参加しているらしく、ぼろぼろになって帰ってきたりするのだけど。 あれは、もしかしたらハウルの中の正義感や男っぽさを見せたかったのかな? だって原作では、ハウルが外出するのは、もっぱら女の子を口説きに行くため(^^; たいていは1時間以上も浴室にこもり、目一杯おしゃれして、花の香りを振りまきながら出かける。 それを見ているソフィーとしては、内心穏やかではないわけです、「絶対デートだ」と(笑) いえ、実は王様からの依頼の仕事も、ひそかに進めていたりはするのですが(^^; やきもきしたり、落ち込んだり、時にはきついひとことや、ちくりといやみを言ったりするソフィー。 そして、帰ってくるハウルの様子もいろいろ。機嫌よく帰ってきたり、不機嫌だったり、どうやら女の子の気をうまくひけなかったらしく沈んでいたり。
そんなハウルとソフィーの会話の面白いこと。 軽妙にかわしたり、からかったり、時にはすねたり、文句を言ったりするハウルに、振り回されながらも負けじと言い返すソフィー。 落ちこんでしょんぼりしているハウルに「かわいそう」と同情したとたん、ハウルが「今までの女の子ならなびくのに」と嘆き、口説くのをゲームのように考えていると知って、ソフィーの「かわいそう」に、ぶすぶすっと穴が開きます(笑) 「なんてやつ!」と憤慨し、ハウルをとんでもない悪者と思うことで、自分の気持ちを否定しようとするソフィー。 その様は、むしろユーモラスに描かれています。そこが絶妙!(笑)
映画の中で、老女に変えられているはずのソフィーが、時々少女の姿に戻ったり、老女よりはもうちょっと若いおばさんくらいの年に見えたりします。 これはきっと、ソフィーのその時の気持ちによって違って見えるのかと思っていました。でも、原作では老女のまま変わらないらしい。 ただし、ハウルは最初からソフィーにかけられた呪いに気づいていて、こっそりと何度も呪いを解こうとしていたのだと、おしまい近くで打ち明けます。 映画でのソフィーの変化は、もしかしたら呪いを解こうとするハウルの魔法が、不安定に効いたり、もとに戻ったりしていたのかもしれねい、なぁんて思ったりもしました。
原作でのソフィーは、確かに肝がすわってはいますが、なかなか思った通りにことがすすまず、「また、へまをしちゃった。これも長女だからだわ」とグチります。(どうやら「長女は何をやってもうまく行かない」と言う昔話のパターンがあるらしい) そして、へまをしてしまうたびに、ハウルの機嫌をそこねないかと気にします。でも、ハウルは決してソフィーを追い出すようなことはしない。 他の人がハウルを悪く言う度に、ソフィーはハウルが意外にも優しかったこと、今まで黒魔術と呼ばれるような魔法を使ったりしていないことに気づくのです。 ソフィーの中で、ハウルはいつのまにか信じるに足る存在となっている。 たぶん、ソフィーが唯一気にいらないのは、ハウルがきれいな女の子を追いかけてばかりいることなのでしょう。 これはもう、かわいいヤキモチ以外の何物でもない(笑)
さて、その当のソフィーも、実は自分でも気がつかずに魔法が使えていたのです。 ソフィーの魔法は、物に命を吹き込むこと。 ソフィーが語りかけながら作った帽子はものすごく人気が出たし、かかしもソフィーが話しかけたから命が宿った。 最後にハウルとカルシファーを救うことが、ソフィーにだけできたのです。 だからこそカルシファーは「他の人がやったらだめだけど、ソフィーなら」と言う。 ソフィーは最高に素敵な魔法が使える魔女だったわけです。 って、こうなると、ちょっと出来すぎなお話?(笑) まあ、魔法がふしぎではないファンタジーの世界ですから、ね!
この辺りが、私が原作を読んで、多少は解けたかなと思った謎でした(^^; 映画は、おおまかな設定は原作から取っているけれど、後半のストーリーやハウル以外の魔法使いや魔女の在り方は、ほとんどスタジオ・ジブリのオリジナルと言ってもいいかもしれません。 それくらい原作とは違った話しになっています。 でも映画は映画で面白かったし、そのおかげで素敵な原作の本にも出会えました。 映画を見て面白かったと思った方、原作も絶対面白い、お薦めです!
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